大石内科循環器科医院

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肥満と睡眠時無呼吸症候群は関係ある?リスクや検査の重要性も解説

2024.11.14

あなたは、睡眠中に呼吸が止まっていると言われたことはありますか? 実は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のサインの可能性が高いです。肥満気味の方、特に首回りに脂肪が多い方は要注意です。 脂肪が気道を圧迫し呼吸を妨げてしまうため、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクが高まります。 実際にBMIが高い人ほど、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクが高いという研究結果も出ています。

この記事では、肥満と睡眠時無呼吸症候群の意外な関係について詳しく解説します。 肥満で悩んでいる方は、当てはまっている可能性が高いです。ご自身と照らし合わせながら読み進めてみてください。

以下の記事では、睡眠時無呼吸症候群の症状や原因、治療方法について網羅的に説明しているので、ぜひチェックしてみてください。
>>もしかして睡眠時無呼吸症候群(SAS)?症状と原因、治療方法について解説

肥満が睡眠時無呼吸症候群リスクを高める理由

肥満が睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクを高める理由は多岐にわたります。まず、肥満による気道の構造的変化が、呼吸を妨げる要因です。内臓脂肪の蓄積がSASの発症にどのように影響するのか、そして肥満が生活習慣病とどのように相互作用するのかを理解することも重要です。以下の要因を詳しく見ていくことで、肥満とSASの関連性をより深く理解できます。

肥満と気道の構造的変化

肥満が睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクを高める理由の一つは、体重増加による気道の構造的変化です。特に、首周りに脂肪が蓄積されることで、気道が圧迫され、狭くなります。圧迫は、睡眠中に筋肉が弛緩することによってさらに悪化し、気道が完全に閉塞することもあります。気道が狭くなると、呼吸がしづらくなり、無呼吸状態に陥るリスクが高まります。

肥満によって舌の付け根にも脂肪が蓄積されるため、舌が大きくなり、気道を塞ぐ要因となります。特に仰向けで寝る際に顕著に現れ、SASの発症を助長します。肥満を解消することは、気道の健康を保つためにも重要です。

睡眠時無呼吸症候群と内臓脂肪の関係

内臓脂肪は、体内の臓器周辺に蓄積される脂肪であり、特に「りんご型肥満」と呼ばれる体型に見られます。内臓脂肪が多い人は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクが高まることが多くの研究で示されています。内臓脂肪は、ホルモンの分泌や炎症反応に影響を与え、気道の健康に悪影響を及ぼします。

内臓脂肪が増えることで、インスリン抵抗性が高まり、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクも増加します。内臓脂肪を減少させることは、SASの予防や改善において重要です。健康的な食事や運動を取り入れることで、内臓脂肪を減らしましょう。

肥満と生活習慣病の相互作用

肥満は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)だけでなく、さまざまな生活習慣病のリスクを高める要因です。肥満によって引き起こされる高血圧や糖尿病、心疾患などの病気は、SASの発症につながります。高血圧は心臓に負担をかけ、睡眠中の呼吸の質を低下させる可能性があります。

糖尿病患者は、神経系に影響を及ぼし、呼吸の調整が難しくなることがあります。結果、無呼吸の発生頻度が増加します。さらに、生活習慣病は、肥満を悪化させる悪循環を生むことがあります。肥満を管理し、生活習慣病の予防に努めることは、SASのリスクを低減するために不可欠です。定期的な健康診断や適切な食事、運動習慣を取り入れることで、肥満と関連疾患を予防できる可能性が高まります。

睡眠時無呼吸症候群の初期症状

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、症状が自覚しにくいことや他の病気と勘違いしやすい場合があります。検査が必要かどうか迷う方も多いです。次のような症状がある方は、SASの検査を検討することをおすすめします。

  • 大きないびき: 周りから「いびきがうるさい」と言われるほど大きな音でいびきをかく。
  • 睡眠中の無呼吸: 睡眠中に呼吸が止まっていると家族から指摘されたことがある。
  • 日中の強い眠気: 強い眠気に襲われて仕事中に居眠りをする、あるいは運転中に危険な経験をしたことがある。
  • 起床時の頭痛: 朝起きたときに頭痛がし、スッキリと目覚められない。
  • 集中力の低下: 集中力が続かず、仕事や勉強に支障が出ている。
  • イライラしやすくなる: 些細なことでイライラしやすくなり、感情のコントロールが難しくなる。

上記の症状は、SAS以外の病気の可能性もあります。自己判断せず、まずは医師に相談することをおすすめします。

「もしかして、睡眠時無呼吸症候群かもしれない…」と感じたら、当院へご相談ください。 検査を受けることで、適切な診断と治療につなげることができます。

睡眠時無呼吸症候群の検査方法

睡眠時無呼吸症候群の検査では、主に以下の方法が行われます。

  • 問診
    医師が症状や生活習慣(喫煙、飲酒、睡眠時間など)について詳しく聞き取りを行います。
  • 身体診察
    首回りの太さや舌の大きさ、扁桃腺の腫れ具合などを確認します。
  • 終夜ポリソムノグラフィー検査
    自宅で指や鼻にセンサーをつけて寝るだけの簡易検査です。睡眠中の呼吸状態を測定し、SASの疑いがあるかどうかを調べます。
  • 終夜ポリソムノグラフィー検査(入院フルPSG検査)
    医療機関に入院し、睡眠中のさまざまな生理的データを測定する検査です。最も詳細な情報を得ることができ、SASの確定診断や重症度の評価に役立ちます。

検査結果は「AHI(無呼吸低呼吸指数)」という指標で評価されます。AHIは、1時間あたりの無呼吸と低呼吸の回数を示しています。5未満が正常であり、5~15が軽症、15~30は中等症、30以上は重症です。AHIが高いほどSASの重症度が増します。AHIの値だけでなく、日中の眠気や他の病気の有無なども考慮し、最適な治療方針を見つけましょう。

睡眠時無呼吸症候群の治療効果と予防方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、適切な治療を行うことで多くの症状が改善され、日中の眠気や疲労感が和らぎ、生活の質が向上します。また、SAS治療は高血圧や糖尿病などの合併症リスクを抑える役割も果たします。以下では、SASの治療方法や治療による効果、予防方法について詳しく解説します。

睡眠時無呼吸症候群の治療方法

SASの治療は主に以下の3つの方法で行われます。

  • CPAP療法
    CPAP(持続陽圧呼吸療法)は、鼻に装着したマスクを通じて気道に空気を送り込み、気道を広げて無呼吸を防ぎます。睡眠中の酸素不足を解消し、日中の眠気や集中力の低下を改善します。
  • 歯科装置(マウスピース)
    軽度のSASやCPAPが合わない場合に用いられる治療法で、下あごを前方に引き出し、気道を広げて無呼吸を予防します。コンパクトで持ち運びやすいことが利点ですが、すべての症状には効果が期待できない場合もあります。
  • 生活習慣の改善
    肥満や飲酒、喫煙はSASのリスクを高めるため、改善することも重要です。体重管理や禁煙、飲酒制限を行うことで気道が広がりやすくなり、SASの改善が期待できます。

SASの治療費は治療法や医療機関によって異なりますが、CPAP療法や歯科装置には健康保険が適用されます。保険適用には、医療機関でSASと診断され、適切な治療が必要と判断されることが条件です。一般的な3割負担の場合、月額4,000円程度が目安となりますが、詳細は加入している保険や所得によって異なるため、医療機関で確認することをおすすめします。当院は禁煙外来も行っておりますので、ぜひご相談ください。

治療による効果と改善される症状

SASの治療を受けると、次のような改善が見込まれます。

  • 日中の眠気の軽減: 日中にスッキリと過ごせるようになり、仕事や勉強の集中力が向上。
  • いびきの軽減: 旅行や家庭での睡眠が快適になり、パートナーとの関係改善にもつながります。
  • 集中力・記憶力の向上: 睡眠の質が向上することで、勉強や仕事での成果が向上。
  • 気分の安定: 抑うつ症状やイライラが軽減され、日々の生活をより楽しめるように。

睡眠時無呼吸症候群の予防方法と生活習慣の変化

治療を通して生活習慣の見直しが促され、健康的なライフスタイルが身につくことで、SASの再発防止や健康寿命の延伸が期待できます。

  • 食事
    塩分や脂肪の多い食事を控え、野菜や果物、海藻類などを多く摂取するバランスの良い食事が推奨されます。
  • 運動
    毎日30分程度のウォーキングや軽い運動を取り入れ、肥満解消やストレス軽減に役立てましょう。
  • 睡眠の質向上
    規則的な睡眠リズムを保つ、寝る前のカフェインを避けるなど、質の良い睡眠を心がけることも大切です。

健康リスクの軽減

SASの治療により、心血管系の負担が軽減されるため、高血圧や心筋梗塞、脳卒中などの深刻な病気のリスクを抑える効果を期待できます。例えば、SASの治療を通じて血圧が安定し降圧剤の量を減らせるケースや、糖尿病の血糖値管理が容易になるケースもあります。

適切な治療と生活改善により、SASによる体の負担が減少し、自分や家族の安全と健康を守るための重要な一歩となります。

まとめ

肥満は睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクを高める大きな要因です。 肥満により首回りに脂肪がつくと気道が狭くなり、呼吸が阻害されるためです。 SASの疑いがある場合は、医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが重要となります。 治療法には、CPAP療法や歯科装置、生活習慣の改善などがあり、症状や生活スタイルに合った方法を選択できます。

SASの治療により、日中の眠気や倦怠感などの症状改善だけでなく、合併症のリスク軽減など、健康面で多くのメリットが期待できます。当院は、いびき・睡眠無呼吸外来を行っており、豊富な治療経験があります。気になる症状がある方はぜひご相談ください。

参考文献

Fishman H, Al-Shamli N, Sunkonkit K, Maguire B, Selvadurai S, Baker A, Amin R, Propst EJ, Wolter NE, Eckert DJ, Cohen E and Narang I. “Heated humidified high flow nasal cannula therapy in children with obstructive sleep apnea: A randomized cross-over trial.” Sleep medicine 107, no. (2023): 81-88.

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