秋風が心地よい季節、秋の訪れと共に悩まされるのが花粉症です。 10月には、ブタクサやヨモギ、カナムグラなど様々な植物の花粉が飛散し目のかゆみ、くしゃみ、鼻水などの症状を引き起こします。 これらの症状は花粉が目に、鼻に、喉に侵入しアレルギー反応を引き起こすことで現れます。
しかし、どの花粉に反応しているのかわからない人も多いのではないでしょうか? そこで役立つのが「ドロップスクリーン検査」です。 この記事では、10月に見られる花粉症の症状や原因、そしてドロップスクリーン検査について解説します。 あなたの悩みに合った対策を見つけ、快適な秋を過ごしましょう。
過ごしやすい秋風が心地よい季節ですが、秋の花粉症に悩まされている方もいるのではないでしょうか? 実は花粉症は春だけのものではないのです。秋にも花粉症を引き起こす植物は多く存在し、10月もそのピークを迎えます。
今回は10月に見られる花粉症の代表的な症状を3つ、具体的な例を交えながらわかりやすく解説します。
10月の花粉症で特につらいのが、目のかゆみと充血です。まるで目にゴミが入ったようなゴロゴロとした違和感や、目を開けていられないほどの強い痒みに襲われることもあります。 また、目が充血して赤くなってしまうのも特徴です。
朝起きた時に目がかゆくてなかなか開けられなかったり、鏡を見たら白目が真っ赤になっていて驚いた経験はありませんか?これは、ブタクサやヨモギの花粉が、目に入ってしまったことが原因として考えられます。
これらの症状は花粉が目の中でアレルギー反応を起こし、炎症を引き起こすことで現れます。アレルギー反応とは本来であれば無害な花粉などの物質に対して、私たちの体が過剰に反応してしまうことです。 目のかゆみは花粉が目の中に侵入した際に、体がそれを排除しようとしてヒスタミンなどの化学物質が放出されることによって起こります。また、この反応によって目の血管が拡張し、充血が起こります。
症状 | 具体的な例 |
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目のかゆみ | 目がゴロゴロする、チクチクする、異物感がある、かゆくて目を開けていられない |
目の充血 | 白目が赤くなる、目が充血して真っ赤になる、目がかすむ |
涙目 | 涙が止まらない、目がしょぼしょぼする、涙が溢れてくる |
まぶたの腫れ | まぶたが腫れぼったい、目が開けにくい、まぶたが重たい |
くしゃみと鼻水も、10月の花粉症で非常によく見られる症状です。鼻の奥がムズムズして何度も連続でくしゃみが出てしまったり、透明でサラサラとした水のような鼻水が止まらなくなったりすることがあります。
例えば外出した後や布団に入った時に急に鼻がムズムズして、連続でくしゃみが出て困った経験はありませんか? また、ティッシュが手放せないほど鼻水が止まらない、という方もいるかもしれません。
これはブタクサやヨモギの花粉が鼻の粘膜に付着し、アレルギー反応を起こすことで、くしゃみや鼻水などの症状を引き起こすためです。 鼻の粘膜は、空気中の異物をキャッチし、体内への侵入を防ぐ役割を担っています。しかし花粉症の人は花粉に対して過剰に反応してしまい、くしゃみや鼻水といった症状が出てしまうのです。
症状 | 具体的な例 |
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くしゃみ | 連続でくしゃみが出る、くしゃみが止まらない、くしゃみをすると鼻水が飛び散る |
鼻水 | 透明で水っぽい鼻水が出る、鼻水が喉に流れる、鼻水が止まらない |
鼻づまり | 鼻が詰まって息苦しい、匂いが分かりにくい、鼻で呼吸ができない |
花粉症は目や鼻だけでなく、喉にも症状が現れることがあります。喉の奥がイガイガしたり、乾燥したような感じがしたり咳が出たりすることがあります。 風邪と勘違いされることもありますが花粉症による喉の症状は、熱や鼻詰まりを伴わない場合が多いのが特徴です
症状 | 具体的な例 |
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喉の痛み | 喉がイガイガする、喉がヒリヒリする、喉に何か詰まっている感じがする |
咳 | 空咳が出る、痰を伴わない咳が出る、咳が止まらない |
喉の乾燥 | 喉が渇く、喉がつまった感じがする、声がかれる |
これらの症状は花粉が喉の粘膜に付着し、炎症を起こすことで現れます。 花粉症の患者さんの中には、複数のアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)に感作されている方が多くいらっしゃいます。例えばブタクサ花粉症の患者さんが、同時にヨモギ花粉にも感作されているケースは少なくありません。
これらの症状は花粉が喉の粘膜に付着し、炎症を起こすことで現れます。 一見、風邪と似た症状が出るため、花粉症だと気づかない方も少なくありません。しかし花粉症の場合は風邪と異なり、発熱やだるさなどの全身症状はあまり見られません。
これらの症状に悩まされている方は一度、当院を受診し適切な検査や治療を受けることをおすすめします。
10月に入ると、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラといった花粉が原因で、目のかゆみや鼻水などのつらい症状に悩まされる方が増えてきます。これらの花粉は、それぞれ異なる特徴を持っているため、自分がどの花粉にアレルギー反応を起こしやすいのかを知っておくことが大切です。
まずブタクサは秋の花粉症の代表的な原因植物で、私のクリニックにもブタクサの花粉症に悩まされている患者さんが多くいらっしゃいます。背の高い黄色い花を咲かせ空き地や道路脇など、人の手が加わりにくい場所によく生えています。種子が靴の裏や車のタイヤに付着して広がるため、都市部でもよく見られます。ブタクサの花粉が飛散する時期は8月中旬から10月頃までと比較的長く、この時期は外出時にマスクが欠かせないという方も多いのではないでしょうか。
次にヨモギは道端や河原など、どこにでも生えているキク科の植物です。ヨモギ餅やお灸に使われることでも知られていますが、その一方で、花粉症の原因植物としても有名です。ヨモギの花粉はブタクサよりも少し早く、7月頃から飛散し始め、9月頃にピークを迎えます。
最後にカナムグラは、道端や荒れ地などに生えるツル性の植物です。葉っぱがザラザラしているのが特徴で、繁殖力が非常に強く、他の植物に絡みつきながら成長します。カナムグラの花粉の飛散時期は、8月から10月頃までです。
興味深いことにブタクサ、ヨモギ、カナムグラの花粉症を持つ人は、これらの花粉に同時にアレルギー反応を示すことがあります。これは、これらの花粉の構造が似ているため、体が同じように反応してしまうためと考えられています。例えばブタクサ花粉症の人は、ヨモギやカナムグラの花粉にも反応しやすいため注意が必要です。
実際に私のクリニックでもブタクサとヨモギ、両方の花粉にアレルギー反応を示す患者さんを多く診ています。患者さんの中には「ブタクサの花粉症だと思っていたけれど、ヨモギにも反応していたんですね」と驚かれる方もいらっしゃいます。
ブタクサ、ヨモギ、カナムグラの花粉症の症状は基本的には同じで、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどです。ただし、人によっては特定の花粉に対して症状が強く出たり、特定の症状が強く出たりすることがあります。例えばブタクサ花粉症の人は、目のかゆみが強く出る傾向があります。またヨモギ花粉症の人は、皮膚症状が出やすいと言われています。
これらの花粉症は単一のアレルゲンに対する反応ではなく、複数のアレルゲンに対して複合的に反応することも少なくありません。アレルギー性鼻炎・結膜炎の患者さんの多くは、複数のアレルゲンに感作されているという研究結果もあります。そのため治療の効果を高めるためには、患者さん一人ひとりに合ったアレルゲンを特定することが重要になります。場合によっては、アレルゲン免疫療法などの治療法も検討されます。
ご自身の症状や原因となる花粉を特定するためにも、自己判断せず、当院へ受診し、医師に相談することをおすすめします。
10月に入って目のかゆみや鼻水がツラくて、もしかしてブタクサ?ヨモギ?カナムグラ?なんて悩んでいませんか?
実は、これらの花粉症かどうかを調べるのに、とっても役立つ検査があります。それが「ドロップスクリーン検査」です。
ドロップスクリーン検査は、ほんの少しだけ指先から血を取るだけで色々なアレルギーの原因物質を一度に調べることができる、とても便利な検査です。
例えば当院でもスギやヒノキなどの花粉症の原因検査として、年間を通して多くの患者さんに受けていただいています。採血による検査なので小さなお子さんでも安心して受けることができます。検査の流れは、とても簡単です。
検査の結果は、グラフで表示されます。それぞれの項目にクラス0からクラス6までの7段階の評価がつけられクラスが高いほど、そのアレルギー物質への反応が強いことを示しています。
例えば「ブタクサ:クラス2」「ヨモギ:クラス0」「カナムグラ:クラス4」といった結果だったとします。
この場合、カナムグラ花粉に対してアレルギー反応が強く出ている可能性が高いと考えられます。
でも安心してください。結果に応じて、お医者さんが、あなたにピッタリの治療法を教えてくれます。
結果(クラス) | アレルギー反応の強さ | 具体的な例 |
---|---|---|
クラス0 | ほぼなし | アレルギー症状が出ていない状態。検査で陽性反応が出ても、症状が出ていなければ、特別な治療は必要ありません。検査を受けられる項目は医療機関によって異なるので、気になる項目があれば事前に確認しておきましょう。 |
クラス1~2 | 弱い | 花粉が飛散する時期に、軽い目のかゆみや鼻水が出現する程度。市販の目薬や鼻炎薬である程度症状を抑えられる場合が多いです。症状がつらい場合は早めに医療機関を受診し、自分に合った薬を処方してもらいましょう。 |
クラス3~6 | 強い | 花粉が飛散する時期に激しい目のかゆみ、鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどの症状が出る。日常生活に支障が出るほどの症状が出る場合は、医療機関を受診し適切な治療を受ける必要があります。症状が重い場合は、抗アレルギー薬の内服や点鼻薬、点眼薬などを使用します。その他にも、アレルゲン免疫療法という治療法もあります。 |
ドロップスクリーン検査を受けるメリットは、たくさんあります。
ドロップスクリーン検査を受けることで、アレルギーの原因を特定し適切な治療法を見つけ、不安を解消することができます。もしアレルギーの症状で悩んでいる方は、当院へご相談ください。
ドロップスクリーンでアレルギーの原因が判明し、スギやダニが原因の場合には体質を改善してアレルギー症状緩和を目指す舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)という治療法が有効です。
舌下免疫療法は治療薬を舌の下に投与し継続する方法で、自宅で服用できるのが特徴です。体内にアレルゲンを少しずつ取り入れて、体を徐々に慣らし抗体をつくります。
10月はブタクサ、ヨモギ、カナムグラなど、複数の花粉が飛散し秋の花粉症のピークを迎えます。 目のかゆみ、鼻水、喉の違和感といった症状に悩まされる人が増えます。
原因となる花粉を特定し、適切な治療を行うために「ドロップスクリーン検査」が有効です。 この検査は、指先から少量の血液を採取し、複数の物質に対するアレルギー反応を調べます。
検査結果に基づいて、医師は適切な治療法を提案し、症状の改善を図ります。 アレルギー症状に悩んでいる方は、当院でドロップスクリーン検査についてご相談ください。
Nelson HS, Bernstein DI, Biedermann T, Nolte H. Sublingual immunotherapy tablets in monosensitized and polysensitized adults with allergic rhinoconjunctivitis. Allergy and asthma proceedings 45, no. 1 (2024): 33-36.
大石内科循環器科医院
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