大石内科循環器科医院

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夜中に何度も目が覚めてしまうその原因とは?

2024.10.08 いびき・睡眠無呼吸外来

夜中に何度も目が覚めてしまう、朝起きてもスッキリしない…そんな経験はありませんか?

もしかしたら、それは睡眠時無呼吸症候群(SAS)が原因かもしれません。 SASは眠っている間に呼吸が何度も止まり、体の酸素が不足してしまう病気です。 放置すると高血圧や心臓病などのリスクを高めることも報告されています。

この記事では、SASの原因や症状、そして治療方法について詳しく解説します。 あなたは、SASのリスクを知っていますか? 自分の睡眠の質を見直すきっかけになるかもしれません。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

「夜中に何度も目が覚めてしまう」「朝起きてもスッキリしない」そんな経験はありませんか? もしかしたら、それは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」が原因かもしれません。 もしかしたら自分では気づいていないだけで、悩んでいる方もいるかもしれません。

SASの定義と病気のメカニズム

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が何度も止まり、体の酸素が不足してしまう病気です。 息を止めてプールに潜っている状態を想像してみてください。 息を止めている間は当然、体の中に酸素は入ってきませんよね? SASは、まさにこの状態が、寝ている間に何度も繰り返される病気なのです。

SASになる一番の原因は、「気道」と呼ばれる、空気の通り道が狭くなってしまうことです。 寝ている間に、のどの奥にある筋肉がリラックスしてしまい、気道が塞がってしまうイメージです。 特に、太っている方は首回りに脂肪がつきやすく、気道が狭くなりやすいと言われています。

SASの主な症状と特徴

SASの代表的な症状を、いくつか例に挙げてみましょう。

症状説明
いびき睡眠中に、大きないびきをかいたり、呼吸が止まったりを繰り返してしまいます。
日中の眠気睡眠が十分に取れていない状態が続くため、日中でも強い眠気に襲われます。まるで、徹夜明けのような状態が毎日続くイメージです。
集中力・記憶力の低下睡眠不足によって、集中力や記憶力が低下しやすくなります。会議中に集中できなかったり、人の名前が思い出せなくなったりすることがあります。
朝の頭痛睡眠中の無呼吸状態が続くと、脳に十分な酸素が送られず、その結果、朝起きたときに頭痛を引き起こすことがあります。
夜間頻尿睡眠中に何度もトイレに行きたくなることがあります。OSAによって心臓に負担がかかり、その結果、夜間頻尿が起こりやすくなると考えられています。

SASの診断方法と検査

「もしかして、自分もSASかも?」と思ったら医療機関を受診し、検査を受けることが大切です。 SASの検査では「ポリソムノグラフィー検査」という検査が一般的です。この検査によって睡眠中の無呼吸の状態や、睡眠の質などを詳しく調べることができます。

当院には、いびき・無呼吸外来がありますので検査をご希望の方はご相談下さい。

SASと他の疾患の関連性とは?

SASは放置しておくと、高血圧や心臓病、脳卒中などのリスクを高めることが報告されています。 これは睡眠中の無呼吸によって体内の酸素が不足することで、心臓や血管に大きな負担がかかってしまうためです。 高血圧の患者さんの約30~70%にSASの合併が見られるという報告もあります。

またSASは、糖尿病やメタボリックシンドロームとの関連も指摘されています。 例えばSASと診断された手術を受ける患者さんは、そうでない患者さんと比べて、術後に合併症を起こすリスクが約2倍高くなってしまいます。

具体的には心臓や血管に関する合併症や、呼吸に関する合併症、さらには入院期間が長引いてしまったり、集中治療室に入ることになってしまうリスクが高くなってしまうのです。 そのためSASは、決して軽視できない病気なのです。

SASの治療法と選択肢

夜中に何度も目が覚めてしまう原因が睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された場合、治療が必要になります。 「治療」と聞くと、大掛かりなものを想像して不安になる方もいるかもしれません。しかし、安心してください。SASの治療は症状の重さや生活習慣、体質などを考慮し医師と患者さんが一緒に決めていくものなのです。

SAS治療の一般的なアプローチ

SASの治療は、大きく分けて「生活習慣の改善」「CPAP療法」「マウスピース療法」の3つのアプローチがあります。

  1. 生活習慣の改善
    • 例えば、肥満の方は、適度な運動とバランスの取れた食事を心がけることで体重を減らすことが推奨されます。
    • また、毎日の生活の中で、寝る前の飲酒や喫煙を控えたり、横向きで寝るようにするだけでも、症状が改善されることがあります。寝る前の習慣を見直すことは、睡眠の質を向上させるための第一歩と言えるでしょう。
  2. CPAP療法
    • CPAP(シーパップ)という装置を使い、鼻に装着したマスクを通して空気を送り込むことで、気道を広げて呼吸を楽にする治療法です。
    • CPAPは、睡眠中に装着する医療機器なので、最初は違和感を感じる人もいるかもしれません。しかし効果が高い治療法として広く使われており、多くの患者さんがその効果を実感しています。
  3. マウスピース療法
    • 寝ている間に装着するマウスピースで、下あごを少し前に出すことで気道を広げ、呼吸をスムーズにする治療法です。
    • CPAP療法に比べて、装着が簡単で、持ち運びにも便利というメリットがあります。

SASに関連する生活習慣や予防方法

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が何度も止まってしまう病気です。実はSASは生活習慣と密接に関係しており日々の生活習慣を改善することで症状を和らげたり、予防したりすることが期待できます。日々の生活の中で少し意識を変えるだけで、SASのリスクを減らせるかもしれません。

SASの影響を軽減する生活習慣の改善

SASの症状を和らげるためには、いくつかの生活習慣の改善が有効です。

  • 減量: 肥満はSASの大きなリスクファクターの一つです。体重が重くなると、気道が圧迫されやすくなり、呼吸が止まりやすくなってしまいます。これは、首回りに脂肪がつくことで、気道を物理的に狭くしてしまうイメージです。
  • 禁煙: タバコの煙は気道を狭くしたり、炎症を起こしたりするためSASのリスクを高めます。タバコの煙で気道がむくんでしまうイメージです。
    • タバコをやめることで気道の炎症が治まり、呼吸がスムーズになる効果が期待できます。禁煙はSASだけでなく様々な病気のリスクを減らす効果があるので、積極的に取り組んでいきましょう。
  • アルコール摂取を控える: アルコールは、筋肉を弛緩させる作用があるため、睡眠中に気道が狭くなりやすくなる原因となります。特に寝る直前の飲酒は、睡眠中の呼吸に悪影響を及ぼす可能性があります。
    • 寝る前のアルコール摂取は特に避け、飲酒量を控えるように心がけましょう。お酒を飲んだ日は、いつもより呼吸が浅くなっていることを意識してみてください。
  • 適切な睡眠環境: 睡眠の質を高めることも大切です。
    • 静かで暗い部屋で寝るようにし、自分に合った枕や布団を選びましょう。寝る前にリラックスする時間を作ることも効果的です。寝室の環境を整え、質の高い睡眠をとることで、SASの症状を軽減できる可能性があります。

SASの予防方法と改善策

SASは、生活習慣の改善や工夫によって予防できる可能性があります。

  • 横向きで寝る: 仰向けで寝ると舌が喉の方に落ち込み、気道を狭くしてしまうことがあります。横向きで寝ることで、気道を確保しやすくなるためSASの予防に繋がります。
  • 枕の高さを調整する: 枕が高すぎたり低すぎたりすると、気道が圧迫されやすくなります。自分に合った高さの枕を使用することで、気道を確保し呼吸をスムーズにすることができます。
    • 例えば、タオルを巻いて高さを調整してみるのも良いでしょう。自分に合った枕を見つけることは、快適な睡眠を得るだけでなくSASの予防にも役立ちます。
  • 口呼吸を改善する: 鼻呼吸は、気道を広げ、空気の通りを良くする効果があります。口呼吸の癖がある場合は、テープなどで口を軽く閉じるようにすると、自然と鼻呼吸になるように促せます。口呼吸は、口の中を乾燥させたり、歯並びが悪くなったりする原因にもなるため、改善することが望ましいです。
睡眠姿勢メリット
仰向け体への負担が少ない気道が狭くなりやすい
横向き気道を確保しやすい、いびきをかきにくい寝返りが打ちにくい、肩や腰に負担がかかる
うつ伏せいびきをかきにくい腰痛を引き起こす可能性がある、呼吸がしにくい

まとめ

夜中に何度も目が覚める原因として、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性があります。SASは睡眠中に呼吸が止まり、体の酸素が不足する病気です。主な症状は、いびき、日中の眠気、集中力・記憶力の低下などです。

SASは放置すると、高血圧や心臓病などのリスクを高めるため、早期の診断と治療が重要です。治療法は、生活習慣の改善、CPAP療法、マウスピース療法などがあります。症状の重さや体質によって、適切な治療法を選択する必要があります。

SASは、肥満や喫煙、アルコール摂取など、生活習慣と密接に関係しています。日々の生活習慣を改善することで、症状を和らげたり、予防したりすることが期待できます。

気になる症状等があるときは、ぜひ当院にご相談ください。

参考文献

Pivetta B, Sun Y, Nagappa M, Chan M, Englesakis M and Chung F. Postoperative outcomes in surgical patients with obstructive sleep apnoea diagnosed by sleep studies: a meta-analysis and trial sequential analysis.. Anaesthesia 77, no. 7 (2022): 818-828.

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