大石内科循環器科医院

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医師が解説!高血圧の基準と血圧の正しい測定方法、降圧目標値の目安

2024.10.05 生活習慣病高血圧

健康診断で「血圧が高いです」と指摘された経験はありませんか? 「高血圧」は放置すると脳卒中や心臓病などの深刻な病気を引き起こす可能性があり、決して軽視できません。 しかし、高血圧の診断基準や、どの程度まで血圧を下げるべきなのか、実はよくわからない方も多いのではないでしょうか? この記事では、高血圧の診断基準や、目標とする血圧値について解説していきます。

大石内科循環器科医院では、高血圧の診療をしております。気軽で便利なクリニックとして、通院のしやすさに定評があります。お悩みの方は気軽に相談ください。

高血圧と判断される前に!正常血圧の範囲とは?

血圧は、心臓から全身に血液を送り出すときの圧力のことです。上の数値(最高血圧)と下の数値(最低血圧)の2つの数値で健康状態がわかります。正常な血圧を知っておくことで、早めに高血圧を予防できます。正常血圧や年令による正常値の目安を解説します。

正常血圧の基準

正常血圧の基準は、最高血圧が129mmHg以下で、最低血圧が84mmHg以下です。病院で「120の80」と言われたら、最高血圧が120mmHg、最低血圧が80mmHgという意味であり、健康的な数値です。

血圧は1日の中でも変化します。朝起きたときは少し高めで、お昼寝した後は低めになるのが普通です。

運動した後や緊張しているときは一時的に血圧が上がります。階段を上った直後に測ると、普段より10~20mmHg高くなることもあります。

年齢ごとの違う正常値の目安

血圧の正常値は年齢によって少し違ってきます。年齢ごとの正常値の目安は以下のとおりです。

  • 20代:110/70mmHg程度
  • 30代:115/75mmHg程度
  • 40代:120/80mmHg程度
  • 50代:125/80mmHg程度
  • 60代:130/85mmHg程度

どの年齢でも140/90mmHgを超えると高血圧の可能性が高くなるので、定期的に血圧を測って記録することをおすすめします。

高血圧の診断基準

高血圧の診断には、「家庭での測定値」と「病院での測定値」という2つの基準があります。基準が異なるのは、測定する場所や状況によって、血圧が変化するためです。以下で詳しく解説します。

家庭血圧と診察室血圧の違い

家庭で測る血圧(家庭血圧)は、リラックスした状態で測れるのが特徴です。テストの前日と、テストが終わった後では、緊張度が全然違います。同じように、家でくつろいでいるときの血圧は、とてもリラックスした状態です。そのため、家庭での高血圧の基準値は、最高血圧が135mmHg以上、または最低血圧が85mmHg以上と設定されています。

病院で測る血圧(診察室血圧)は、少し高めに出やすい傾向があります。白衣を着た先生の前で血圧を測ると、無意識のうちに緊張してしまい、血圧が上がってしまう「白衣高血圧」と呼ばれる現象があります。そのため、病院での高血圧の基準値は、最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上と、家庭よりも少し高めに設定されています。

家庭での血圧のほうが重要

普段の生活の中での血圧を反映している家庭血圧のほうが、より重要とされています。家庭血圧は、日常生活での本当の血圧の状態を知ることができます。1週間毎日測った記録があれば、自分の血圧がどのくらいで安定しているのかがよくわかります。

だからといって病院での測定が意味がないわけではありません。両方の測定値を組み合わせることで、より正確な診断ができます。

高血圧について網羅的に知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>大石内科循環器科医院|高血圧の基礎知識・症状・治療について

降圧目標値の目安

高血圧の治療では、「どのくらいまで血圧を下げるべきか」を示す目安となる値を「降圧目標値」と呼びます。目標値は、年齢や健康状態、合併症の有無によって異なり、血管や心臓への負担を軽減し、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを下げるために設定されます。

健康な人と糖尿病を持つ人では目指すべき血圧の値が異なるため、降圧目標値は個別に設定されるのが一般的です。目標値を知ることで、日々の血圧管理がより明確になり、治療の効果を最大化できます。具体的な降圧目標値を確認しましょう。

降圧目標値とは?

降圧目標値とは、血圧を「ここまで下げれば安心」という基準となる値のことです。血圧が高い状態が続くと、血管がダメージを受けやすくなり、心臓や脳の病気のリスクが高まります。そのため、血圧を一定の範囲内にコントロールすることが重要です。

病院での降圧目標値は、医師が患者さんの状態に応じて設定することが一般的です。適切な治療を継続することで、健康リスクの軽減が期待されます。糖尿病や腎臓病などの合併症を持つ方は、血管が傷つきやすいため、より厳しい降圧目標値が設定されます。状態別の目標値については、以下のガイドラインを参考にしてください。

健康な人の降圧目標値

健康な人の降圧目標値は、一般的に収縮期血圧(上の血圧)が130mmHg未満、拡張期血圧(下の血圧)が80mmHg未満とされており、脳卒中や心臓病などのリスクを抑えるための目安です。

塩分を控えめにした食生活や適度な運動を継続することで、目標値に近づけるよう生活習慣を改善していきます。普段から血圧を測定・記録し、自分の状態を把握することが重要です。

血圧測定の正しいタイミング

血圧を測るベストなタイミングは、朝と夜の2回です。朝は起きてから1時間以内で、トイレを済ませた後、朝食を取る前に測りましょう。朝6時に起きた場合は、6時15分頃がおすすめです。

夜は就寝前に測ります。入浴は血圧に影響するので、お風呂に入ってから30分以上経ってから測りましょう。夜9時に入浴したら、10時頃に測るのがベストです。お酒を飲む習慣がある人は、飲酒前に測ることが大切です。

正確な測定のための3つの注意点

正確な測定のための3つの注意点は以下のとおりです。

  • 正しい姿勢を保つ
  • 安静にしてから測る 
  • カフ(腕に巻くバンド)の位置を正しく巻く

椅子に深く腰掛け、背筋を伸ばし、足は床にしっかりつけて組まないようにしましょう。測定前に1分ほど安静にして呼吸を整えます。カフ(腕に巻くバンド)は心臓と同じ高さになるように巻き、きつすぎず緩すぎないよう調整してください。

測定の30分前には喫煙やカフェイン摂取を避け、測定中は会話を控えることで、外部要因の影響を最小限に抑えられます。

高血圧を予防・改善するための生活習慣

高血圧を予防・改善するための生活習慣は以下のとおりです。

  • 塩分を控えめにする
  • 運動習慣を身につける
  • 質の良い睡眠をとる

無理なく続けられる習慣を作って改善しましょう。

塩分を控えめにする

塩分は控えましょう。1日の塩分摂取量は6g未満が基準です。いきなり味付けを薄くすると食事が楽しめなくなってしまいます。簡単にできるコツは以下のとおりです。

  • 麺類の汁は半分だけ飲む(1日2g程度の塩分カット)
  • 調味料は「かける」のではなく「つける」習慣に変える
  • 醤油やソースを小皿に取り分ける
  • 香辛料や酢、レモンなどの柑橘類を使う

野菜をたっぷり使うのもおすすめです。野菜に含まれるカリウムには、余分な塩分を体外に出す効果があります。

運動習慣を身につける

運動は難しく考える必要はありません。まずは、毎日10分から始めましょう。おすすめの運動は以下のとおりです。

  • 1駅分歩く
  • エレベーターの代わりに階段を使う
  • テレビを見ながらその場足踏みをする

生活の中で自然と体を動かす機会を作りましょう。運動の強さは「ちょっと息が弾む」くらいが目安です。買い物のついでにひと回り大きく歩くコースを選んだり、休日は家族や友達と公園を散歩したりするのもおすすめです。

汗をかくような激しい運動は、逆に血圧を上げてしまう可能性があるので注意が必要です。まずは、楽しく続けられる運動を見つけましょう。

質の良い睡眠をとる

良質な睡眠は血圧のコントロールに重要です。1日7~8時間の睡眠を目指しましょう。寝る3時間前からは食事を控え、就寝1時間前にはスマートフォンやパソコンの使用を避けることをおすすめします。ブルーライトは睡眠を妨げる原因になります。

毎日同じ時間に起きることで、体内時計が整い、血圧の日内変動も安定します。寝室は18~23度、湿度は50~60%が快適な睡眠のための目安です。休日に寝だめをすると、かえって体内リズムが乱れるので、平日と同じような時間に起きることを心がけましょう。

高血圧で自覚症状が現れることもあります。以下の記事も合わせて参照してください。
>>高血圧の自覚症状を解説!頭痛や吐き気・肩こりが出始めたら注意

まとめ

高血圧は、放置すると脳卒中や心臓病などの重大な病気を引き起こす可能性があります。家庭での血圧測定では、最高血圧135mmHg以上、または最低血圧85mmHg以上で高血圧と診断されます。

病院での測定では、白衣高血圧と呼ばれる緊張による血圧上昇が起こりやすいため、高血圧は年齢や性別に関わらず発症し、最高血圧140mmHg以上、または最低血圧90mmHg以上で高血圧と診断されます。

降圧目標値は年齢や合併症などによって個人差があります。糖尿病などの合併症がある場合は、より低い血圧値を目指した治療が必要となります。大石内科循環器科医院では、肥満に関するご相談を承っております。健康的な体重管理を目指したい方は、ぜひご相談ください。

参考文献

Jingjing Hou, Song Zhao, Jie Liu, Xiaoxia Xi, Yawei Xu, Shengfeng Shi, Shikai Yu, Yi Zhang; Northern Shanghai Study investigators. Association between cardiovascular risk and diastolic blood pressure in older adults with systolic blood pressure less than 130mmHg: a prospective cohort study from 2014 to 2022. Aging Clin Exp Res, 2024

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