大石内科循環器科医院

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大動脈解離には前兆がない?心臓の異常に気付くための症状を紹介

2024.10.21 循環器

あなたは、突然、経験したことのない激しい胸の痛みに襲われたらどうしますか?

実は、こうした症状は命に関わる病気のサインかもしれません。心臓から身体に血液を送る大動脈が裂ける「大動脈解離」という病気をご存知でしょうか? 大動脈解離は初期症状がほとんどないため、突然発症し死に至る危険性も高い病気です。

この記事では大動脈解離の恐ろしさ、そして、突然の胸の痛みを感じた時にとるべき行動について詳しく解説していきます。自身の体を守るための知識として、ぜひ最後まで読んでみてください。

知っておくべき大動脈解離の前兆と緊急時の対処法

大動脈解離は心臓から身体に血液を送る最も太い血管である大動脈が、高血圧などの影響で内側に亀裂が入ってしまう病気です。

そして、大動脈解離は「ほとんど前兆がない」という非常に怖い病気です。毎日、血圧手帳をつけて健康管理をしっかりしている人でも、発症する数日前までは全く異常がないことも珍しくありません。

「じゃあ、どうすればいいの!?」と不安になりますよね。

安心してください。

大動脈解離は、発症した時にいかに早く異常に気づくことができるかが非常に重要です。そのためには、大動脈解離で起こる可能性のある症状を知っておくことが大切です。

突然の激しい胸や背中の痛み

大動脈解離で最も多くみられる症状は、「突然の激しい胸や背中の痛み」です。

患者さんは「今まで経験したことがないような激痛だった」「心臓が爆発するような気がした」と表現されることがあります。

例えば風邪をひいた時の喉の痛みや、筋肉痛のように「ジワジワくる痛み」とは全く違います。

痛みの特徴(引き裂かれるような、移動するような)

大動脈解離の痛みは、心臓発作の痛みと似ている部分もありますが、いくつか特徴があります。

  • 痛みの始まりが突然である: 心臓発作の痛みは、動脈硬化で狭くなった血管に負担がかかることで徐々に強くなることが多いですが、大動脈解離では、血管が裂けた瞬間から激痛に襲われることが多いです。
  • 痛みの場所が移動する: 最初は胸のあたりに感じていた痛みが、時間とともに背中や腹部、腰など、体の他の部分に移動することがあります。これは、解離(血管の裂け目)が血管に沿って広がっていくために起こります。

関連症状(失神、意識障害、冷や汗、血圧の左右差)

胸や背中の痛み以外にも、以下のような症状が現れることがあります。

  • 失神: 脳への血流が不足することで、一時的に意識を失ってしまうことがあります。
  • 意識障害: 意識がもうろうとしたり、周囲の状況が理解できなくなったりすることがあります。
  • 冷や汗: 強い痛みと不安から、冷や汗をかくことがあります。
  • 血圧の左右差: 解離が血管を圧迫することで、左右の腕で血圧が異なってしまうことがあります。 健康診断では異常がないと言われた人でも、左右の腕で血圧が10mmHg以上違う場合は注意が必要です。
  • 脈拍の異常: 速くなったり、遅くなったり、不規則になったりすることがあります。 健康な人では、リラックスしている状態であれば、脈拍は規則正しく、1分間に60~80回程度です。
  • 呼吸困難: 肺への血流が不足することで、息苦しさを感じることがあります。 「息切れ」は、階段を上った時など、運動をした時に感じることもありますが、安静にしている時でも息苦しさを感じる場合は注意が必要です。

疑わしい場合の緊急時の対応

大動脈解離は「時間との勝負」です。少しでも疑わしい症状があれば、ためらわずに、すぐに救急車を呼ぶか、周りの人に頼んで病院へ連れて行ってもらいましょう。

「大動脈解離かもしれないのに、救急車を呼んで迷惑なのでは?」と心配される患者さんもいますが、ご安心ください。救急隊員も医師も「大動脈解離の疑いがある患者さんは、一刻も早く病院に搬送する」という意識を常に持って対応しています。

自己判断で様子を見たり、市販薬を服用したりすることは大変危険です。

大動脈解離の治療法と予防策

大動脈解離の治療法は解離の部位や大きさ、患者の状態によって異なります。

  • 手術: 解離が進行している場合や重要な臓器への血流が阻害されている場合は、緊急手術が必要となります。 大動脈解離の患者さんの手術は心臓外科医と血管外科医のチームで行われることが多く、手術時間は6時間以上かかることもあります。
  • 薬物療法: 血圧を下げ心臓の負担を軽減することで、解離の進行を抑えます。 血圧の薬にはたくさんの種類がありますが大動脈解離の患者さんには、血管を拡張する作用を持つ薬が使用されることが多いです。

大動脈解離は、動脈硬化が大きなリスク因子となります。動脈硬化は、血管の壁にコレステロールや中性脂肪などが溜まり、血管が硬く脆くなる病気です。

動脈硬化を予防するためには、以下の点に注意することが大切です。

  • バランスの取れた食事: 野菜や果物を多く摂り、塩分を控えめにしましょう。 ファーストフードやインスタント食品ばかり食べていると、塩分を摂りすぎてしまうので注意が必要です。
  • 適度な運動: 毎日30分程度の運動を習慣づけましょう。 運動が苦手な人でもエスカレーターではなく階段を使ったり、一駅前で降りて歩いたりするだけでも効果があります。
  • 禁煙: 喫煙は動脈硬化を促進させるため、禁煙しましょう。 禁煙は自分自身の健康だけでなく、周りの人の健康を守るためにも大切です。
  • 定期的な健康診断: 血圧やコレステロール値などを定期的にチェックしましょう。 健康診断の結果は、今後の生活習慣を見直す良い機会になります。

まとめ

大動脈解離は、高血圧などが原因で心臓から身体に血液を送る大動脈に亀裂が入り、突然死のリスクも伴う病気です。

恐ろしいことに、大動脈解離にはほとんど前兆がありません。

しかし、発症時にいち早く異常に気づくことができれば、命を救える可能性があります。

突然の激しい胸や背中の痛み、引き裂かれるような痛み、痛みの場所が移動するなどの症状が出たら、すぐに救急車を呼びましょう。

胸の痛みや動悸、息切れなどで不安を感じたら循環器専門医の当院へご相談ください。



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