「認知症は治らない」と思っていませんか?
歳を重ねるにつれて、誰もが認知症という言葉を耳にする機会が増えてくるでしょう。実際、アルツハイマー型認知症は認知症全体の約7割を占め、近年増加傾向にあります。ご自身や家族が認知症と診断された場合、不安な気持ちになるのも当然です。
しかし、認知症は早期発見と適切なケアによって進行を遅らせ、生活の質を維持できる可能性があります。この記事では認知症の種類や症状、そして具体的な対策方法をご紹介することで認知症と向き合い、より良く過ごすためのヒントを提供します。
誰もが歳を重ねる中で、認知症という言葉を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか?ここでは認知症と向き合い、より良く過ごすための5つの方法をご紹介します。
認知症は一つの病気ではなく様々な原因で脳の細胞がダメージを受け、認知機能が低下した状態を指します。症状としては記憶障害、理解・判断力の低下、時間や場所の認識障害、感情のコントロールが難しくなるなど日常生活に支障が出るほどの状態が続きます。
認知症の中で最も多いのはアルツハイマー型認知症で、全体の約7割を占めます。脳にアミロイドβという異常なたんぱく質が蓄積することで、神経細胞が徐々に壊れていく病気です。初期は物忘れが目立ちますが、進行すると周囲の状況が理解できなくなったり、徘徊、妄想、興奮などの症状が現れたりします。
2番目に多いのは脳血管性認知症で、脳梗塞や脳出血などが原因で脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳細胞がダメージを受けて起こります。症状は脳の損傷部位や範囲によって様々ですが、階段の上り下りが難しくなったり、ろれつが回らなくなったり半身の麻痺が出たりすることもあります。
その他、レビー小体認知症や前頭側頭型認知症など様々なタイプの認知症があります。レビー小体認知症はレビー小体という異常なタンパク質が脳に蓄積することで、神経細胞が壊れていく病気です。初期には生々しい幻視や動作緩慢、パーキンソン症状などが現れます。前頭側頭型認知症は、比較的若い世代に発症することが特徴で、前頭葉や側頭葉の神経細胞が萎縮することで人格の変化や行動の異常、言葉の理解や発語の障害などが現れます。
重要なのは、認知症は早期発見・早期治療が非常に大切だということです。認知症は進行性の病気であるため早期に発見し、適切な治療を開始することで症状の進行を遅らせ、生活の質を維持することが期待できます。
「あれ?最近物忘れが多いかな?」「いつもと様子が違うな?」と感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。認知症の診断は、問診、神経学的検査、画像検査、認知機能検査などを総合的に行います。
認知症の治療は薬物療法と非薬物療法を組み合わせることで、より効果が期待できます。
薬物療法は認知症の症状を和らげたり、進行を遅らせたりする効果が期待できます。例えばアルツハイマー型認知症では、神経伝達物質であるアセチルコリンの分解を抑える薬や神経細胞を興奮させるグルタミン酸の働きを調整する薬などが用いられます。これらの薬によって記憶力や判断力の低下を抑制し、日常生活動作の改善が期待できます。
一方、非薬物療法は薬物療法の効果を高めたり認知機能の維持・向上を図ったり、生活の質を改善したりすることを目的としています。
薬物療法と非薬物療法を適切に組み合わせることで、認知症の症状を改善し患者さんがその人らしく安心して生活を送れるよう支援することが重要です。
毎日の食事は、認知症の予防や改善にとても大切な役割を果たします。
私たちの脳は、毎日たくさんの栄養を必要としています。バランスの取れた食事を心がけることは、脳の健康を保つためにとても重要です。
例えば、魚に多く含まれるDHAやEPAは、脳の働きを活発にする効果が期待できます。DHAやEPAは、脳の神経細胞の膜を構成する成分であり、不足すると脳の機能が低下する可能性があります。
また、野菜や果物に含まれるビタミンやミネラルも、脳の健康維持に欠かせません。ビタミンEは、抗酸化作用があり、脳の老化を防ぐ効果が期待できます。ビタミンB群は、神経伝達物質の合成に関与し、脳の機能を正常に保つために必要です。ミネラルの中でも、鉄分は、脳に酸素を運ぶ役割を担っており、不足すると集中力や記憶力の低下に繋がることがあります。
毎日の食事に、これらの栄養素を積極的に取り入れてみましょう。
食品 | 期待される効果 |
青魚(いわし、さんまなど) | DHA・EPAが豊富で、脳の機能維持をサポート |
緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど) | ビタミン、ミネラル、抗酸化物質が豊富 |
果物(ブルーベリー、いちごなど) | 抗酸化物質が豊富で、脳の老化を防ぐ効果も期待 |
運動は、体だけでなく、脳にも良い影響を与えます。軽い運動でも、脳の血流がアップし、認知機能の維持や改善に繋がると言われています。
例えば、1日30分程度のウォーキングは、無理なく続けられる運動です。軽い運動を習慣化することで、認知症の予防効果が期待できます。
また、運動には、ストレスを軽減する効果もあります。認知症の方の中には、不安やイライラを感じやすい方もいらっしゃいます。運動によって心身のリフレッシュを図ることは、認知症の症状緩和にも役立つでしょう。
認知症の人は、周りの状況や言葉が理解しにくくなっていることがあります。そのため、コミュニケーションをとる際には、相手の気持ちを理解しようとすることが大切です。
例えば、認知症の人が「家に帰りたい」と言ったとします。この時、「あなたはもう家にいるのよ」と否定するのではなく、「今日は疲れたんですね。ゆっくり休んでくださいね」と共感する言葉を伝えましょう。
また、話しかける時は、相手の目を見て、ゆっくりと話しましょう。早口で話したり、急に話題を変えたりすると相手は混乱してしまうかもしれません。
認知症の人とのコミュニケーションは、忍耐が必要な場合もあります。しかし根気強く接することで、信頼関係を築くことができます。
認知症は脳の細胞がダメージを受けることで認知機能が低下し、日常生活に支障が出る状態を指します。早期発見・早期治療が重要で、症状に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。
治療法には薬物療法と非薬物療法があり、組み合わせて効果を高めます。バランスの取れた食事や適度な運動も、認知症の予防や改善に効果が期待できます。
認知症の人とコミュニケーションをとる際は、相手の気持ちを理解し、ゆっくりと話すことが大切です。忍耐強く接することで、良好な関係を築くことができます。
当院は認知症(もの忘れ)外来を行っております。ご家族など気になる症状等がある方は、早めに当院にご相談ください。
大石内科循環器科医院
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