大石内科循環器科医院

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花粉症の原因でよく聞くブタクサとは?そのアレルギーの原因と症状

2024.11.06 アレルギー科花粉症

秋になると、くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、花粉症の症状に悩まされる方も多いのではないでしょうか? 実は、秋の花粉症の原因として最も多いのは「ブタクサ」という植物です。ブタクサの花粉は非常に軽く、風に乗って遠くまで飛散するため、ブタクサが生えていない場所でも、症状が出てしまうことがあります。

この記事では、ブタクサアレルギーの原因となるブタクサの特徴から、代表的な症状、そして具体的な検査方法や治療法まで詳しく解説していきます。秋の花粉症に悩まされている方は、ぜひこの記事を読んで、正しい知識を身につけてみてください。

ブタクサアレルギーの代表的な3つの症状

ブタクサアレルギーは、くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、さまざまな症状を引き起こします。これらの症状は、人によって症状の出方が異なり、軽い場合もあれば、日常生活に支障が出るほど重い場合もあります。

今回は、ブタクサアレルギーの代表的な症状について、具体的に解説していきます。

くしゃみ・鼻水・鼻詰まり

ブタクサアレルギーになると、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの症状が出やすくなります。これは、ブタクサの花粉が鼻の中に入り込むことで、鼻の粘膜を刺激し、アレルギー反応を引き起こすためです。

くしゃみは、鼻に入った花粉を体外に出そうとする体の防御反応です。鼻水は、鼻の粘膜が炎症を起こして、最初は透明でサラサラとした鼻水が大量に出ます。さらに症状が進むと、鼻水がドロドロとした黄色っぽい鼻水に変わることもあります。鼻詰まりは、鼻の粘膜が腫れて、空気の通り道が狭くなることで起こります。

例えば、朝起きたときや、外出時にブタクサの花粉を吸い込むと、連続でくしゃみが止まらなくなったり、鼻水が止まらなくなったりすることがあります。患者さんの中には、「鼻が詰まって、夜寝られないんです…」と訴える方もいます。

目のかゆみ・充血

ブタクサアレルギーでは、目のかゆみ、充血といった症状もよく見られます。これはブタクサの花粉が目に入ることによって、目の結膜に炎症が起こるためです。かゆみは、目の中で異物感を感じ、ゴシゴシとこすってしまいたくなるような感覚です。充血は、白目が赤くなることを指し、炎症が強いほど、赤みが強くなります。

例えば、ブタクサの花粉が目に入ると、目がかゆくて涙が止まらなくなったり、目がゴロゴロしたりすることがあります。また、目が充血して、見た目が疲れているように見られることもあります。

喉のかゆみ・咳

ブタクサの花粉は鼻や目だけでなく、喉にも影響を与えることがあります。その結果、喉のかゆみ、咳などの症状が現れることがあります。喉のかゆみは、喉の奥に異物感があり、イガイガしたり、チクチクしたりする不快な感覚です。咳は、喉の異物感を取り除こうとして、反射的に起こる体の防御反応です。

例えば、ブタクサの花粉を吸い込むと、喉がかゆくて咳き込んでしまったり、声がかすれてしまったりすることがあります。これらの症状は、口腔アレルギー症候群(OAS)の一種である可能性があります。OASは、特定の果物や野菜などを食べたときに、口や喉にかゆみ、腫れなどのアレルギー症状が出る病気です。

医学的には、花粉と類似した構造を持つタンパク質を摂取することで、体が本来反応すべきではない花粉に対して、免疫反応を起こしてしまうと考えられています。ブタクサ花粉アレルギーの人は、メロン、キュウリ、バナナ、ズッキーニなどの食品に対してOASの症状を示す可能性があります。

ブタクサアレルギーの原因とメカニズム

秋の花粉症の原因として代表的なブタクサ。毎年この時期になると、つらい症状に悩まされている方も多いのではないでしょうか?

今回はブタクサアレルギーの原因とメカニズムについて、なるべく専門用語を使わずに、わかりやすく解説していきます。

ブタクサとは?

ブタクサと聞いても、どんな植物かパッとイメージできない方もいるかもしれません。

ブタクサは、キク科の一年草で、北アメリカ原産の外来種です。日本には明治時代に渡来し、今では道端や空き地など全国各地で見られます。

高さは50cmから1mほどで、ヨモギの葉に似たギザギザとした葉っぱを持っています。夏から秋にかけて、黄色い小さな花をたくさん咲かせます。

実は、この小さな花こそが、ブタクサアレルギーの原因となる花粉を大量に放出している犯人なのです。

ブタクサの花粉は非常に軽く、風に乗って遠くまで飛散するのが特徴です。そのため、ブタクサが生えていない場所でも、花粉の影響を受けることがあります。

また、ブタクサによく似た植物に「オオブタクサ」があります。名前の通り、ブタクサよりも大きく、高さは2~3mにもなります。葉っぱはクワの葉に似ていて、花は緑色で、ブタクサとは異なる点も多いですが、こちらもアレルギーの原因となる花粉を飛ばします。

なぜアレルギー反応が起こるの?

私たちの体は本来、ウイルスや細菌などの外敵から身を守るために「免疫」というシステムを持っています。

しかし、この免疫システムが、本来無害なはずのブタクサの花粉に対して過剰に反応してしまうことがあります。これが「ブタクサアレルギー」です。

具体的なメカニズムを見ていきましょう。

初めてブタクサの花粉が体内に侵入すると、免疫システムはそれを「敵」と認識し、攻撃するための抗体(IgE抗体)を作ります。この抗体は、鼻や目などの粘膜にあるマスト細胞という細胞の表面にくっつきます。

そして2回目以降に再びブタクサの花粉を吸い込むと、花粉はマスト細胞の表面にくっついている抗体と結合します。すると、マスト細胞は刺激を受けて、ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジンといった化学物質を放出します。

これらの化学物質が、くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、目のかゆみ、充血といった、さまざまなアレルギー症状を引き起こす原因となるのです。

ブタクサの花粉が飛散する時期は?

ブタクサの花粉が飛散する時期は、一般的に8月から10月頃と言われています。

特に、気温が下がり、乾燥した晴れた日には、花粉の飛散量が多くなる傾向があります。

「秋は過ごしやすい季節なのに、花粉症のせいで憂鬱…」

そう感じている方もいるかもしれません。

しかしブタクサの花粉が飛散する時期や量、症状の出方は、住んでいる地域やその年の気象条件によって大きく異なります。

例えば、都市部では、ヒートアイランド現象の影響で気温が高く、植物の生育期間が長くなるため、花粉の飛散期間も長くなる傾向があります。

また、台風や強風の後は、花粉が遠くまで運ばれるため、普段症状が出ない地域でも、急に症状が現れることがあります。

ご自身の住んでいる地域の飛散状況を把握しておくことが重要です。

ブタクサアレルギーの検査と治療法

ブタクサアレルギーと診断するためには、問診、身体診察に加えて、いくつかの検査方法があります。今回は、その中でも特に重要な検査と、ブタクサアレルギーと診断された場合に行われる治療法について詳しく解説していきます。

ドロップスクリーン検査とは?

ドロップスクリーン検査は、ほんの少しの血液で、ブタクサを含む様々なアレルギーの原因物質に対する抗体の量を一度に調べることができる便利な検査です。採血はほんの少しの量で済み、痛みも少ないので、注射が苦手な方でも安心です。検査の結果30分程度でわかります。

例えば、クッキーを食べたときに、小麦粉アレルギーの人はアレルギー反応が出てしまいますが、そうでない人は反応が出ませんよね?これは、小麦粉アレルギーの人が持っている体の中の特別な物質「IgE抗体」が、小麦粉にだけ反応するからです。

この検査では、この「IgE抗体」がブタクサに対してどのくらい作られているかを調べることで、ブタクサアレルギーかどうかを判断します。

この検査ではブタクサ以外にも、スギやヒノキ、ダニ、ハウスダストなど、様々なアレルゲンに対するIgE抗体を同時に測定することができます。そのため、一度の検査で、自分がどんなアレルギーを持っているのかを網羅的に調べることができ、アレルギーの原因を特定するのに非常に役立ちます。

さらに、この検査でわかるのはアレルギーの原因物質に対して、どの程度の量のIgE抗体が作られているか、ということです。この量が多いほどアレルギー症状が強く出やすい傾向があるため、検査結果をもとに医師から生活改善のアドバイスを受けたり、適切な治療法を選択したりすることができます。

対症療法:薬物療法の種類と効果

ブタクサアレルギーの症状が出ている場合は、症状を和らげるための薬を使用します。主な薬の種類と効果は以下の通りです。

薬の種類効果
抗ヒスタミン薬くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみを抑える
鼻腔用ステロイド剤鼻の炎症を抑え、鼻水、鼻づまりを改善する
点眼薬目のかゆみ、充血を抑える

薬は症状に合わせて医師が適切なものを処方します。自己判断で服用せず、必ず医師の指示に従ってください。

例えば、くしゃみや鼻水がひどい場合には、抗ヒスタミン薬を内服します。抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状の原因となるヒスタミンの働きを抑えることで、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状を和らげます。

鼻詰まりが特にひどい場合には、鼻腔用ステロイド剤が有効です。鼻腔用ステロイド剤は、鼻の中に直接噴霧することで、鼻の炎症を抑え、鼻づまりを改善します。

目のかゆみや充血が強い場合には、点眼薬を使用します。点眼薬には、抗ヒスタミン薬や、炎症を抑えるステロイドが含まれており、目のかゆみ、充血を効果的に抑えます。

これらの薬は、症状が出ている間は継続して使用することが効果的です。自己判断で薬の使用を中止してしまうと、症状がぶり返してしまう可能性もあるため、医師の指示に従って、適切な期間、薬を使用することが大切です。

まとめ

ブタクサアレルギーは、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状を引き起こす。これは、ブタクサの花粉に対する体の過剰な免疫反応が原因である。

ブタクサの花粉飛散時期は8月から10月頃で、症状を抑えるには抗ヒスタミン薬やステロイド剤などの薬物療法が行われる。

アレルギー症状でお困りなら、アレルギー検査で原因を調べてみませんか。当院のアレルギー科へご相談ください。

参考文献

  1. Nelson HS. “Standardized allergen extracts for allergen immunotherapy.” Allergy and asthma proceedings 43, no. 4 (2022): 327-332.
  2. Muluk NB, Cingi C. “Oral allergy syndrome.” American journal of rhinology & allergy 32, no. 1 (2018): 27-30.

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