年齢を重ねても記憶力や判断力を保ち、冴えた頭でいたいと思いませんか?しかし多くの人が不安に感じているように、認知症は誰にでも起こりうる病気です。
実は、認知症は、早期に対策を講じることで予防できる可能性があることをご存知でしょうか?最新の研究では、毎日の食事が認知症予防に大きな影響を与えることが明らかになってきました。
本記事では食事を通して認知症を予防するために効果的な栄養素と、毎日の食事に取り入れたい具体的な食材をご紹介します。具体的なレシピも掲載しているので、ぜひ参考にして、今日からできる認知症予防を始めましょう!
認知症は、誰もがかかりたくない病気の一つですよね。歳を重ねても頭はクリアに、そして元気に過ごしたいと誰もが願うものです。実際、私の患者さんでも物忘れが気になって診察に来る方は少なくありません。
しかし、ご安心ください。認知症は早期に適切な対策を打つことで進行を遅らせたり、予防したりできる可能性があります。その中でも、食事は私たちができる最も効果的な対策の一つと言えるでしょう。
毎日の食事で脳の働きを活発にし、いつまでも健康的な毎日を送りましょう。
認知症予防には、特定の栄養素を積極的に摂取することが重要です。これらの栄養素は脳の神経細胞を保護したり、新たな神経細胞の生成を促したりする効果が期待できます。
例えば私が診察でよくお伝えしているのは、DHA・EPAという栄養素の重要性です。DHA・EPAは、魚に多く含まれる栄養素で、脳の神経細胞の情報伝達をスムーズにする働きがあります。
実際にDHA・EPAを積極的に摂取することで、認知機能の低下を抑制する効果が期待できるという研究結果も報告されています。
その他にも、様々な栄養素が認知症予防に効果が期待されています。具体的にどのような栄養素があるのか、詳しく見ていきましょう。
栄養素 | 期待される効果 | 多く含まれる食品 |
DHA(ドコサヘキサエン酸) | 脳の神経細胞の約20%を占める重要な成分です。脳の神経細胞の働きを活性化し、情報伝達をスムーズにすることで、記憶力や学習能力の維持に役立ちます。 | 青魚(いわし、さば、さんまなど)、まぐろ、ぶり |
EPA(エイコサペンタエン酸) | 血液をサラサラにし、脳の血流を改善する効果があります。脳梗塞などの脳血管疾患のリスクを減らすことで、脳血管性認知症のリスクを減らす効果が期待されます。 | 青魚(いわし、さば、さんまなど)、えび、かに |
オレイン酸 | 悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働きがあり、脳の血管を健康に保つ効果が期待できます。動脈硬化の予防にも効果が期待できます。 | オリーブオイル、アーモンド、アボカド |
ビタミンE | 強い抗酸化作用があり、体内の細胞の酸化を防ぐことで、脳の老化を防ぐ効果が期待できます。 | アーモンド、ひまわり油、モロヘイヤ |
ビタミンB群 | 脳の神経細胞の働きを助け、エネルギー代謝を促進する効果があります。ビタミンB群は、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチンの総称です。これらのビタミンB群は、それぞれ重要な役割を担っており、相互に作用しながら、健康維持に貢献しています。 | 豚肉、レバー、うなぎ、玄米 |
毎日の食事に、これらの栄養素を豊富に含む食材を積極的に取り入れてみましょう。バランスの取れた食事を心がけることが大切ですが、具体的にはどんな食材を選べば良いのでしょうか?
これらの食材をバランスよく食べることで、認知症予防だけでなく、健康な体作りにも繋がります。
毎日の食事、どんなメニューにすればいいのか迷いますよね。
「魚は体に良いって聞くけど、毎日なんて食べられないし…」
「野菜は意識して食べるようにしてるけど、種類が多くて…」
患者さんからも、そんな声をよく耳にします。そこで、皆さんの食生活に取り入れやすいように、具体的な献立例をいくつかご紹介しましょう。
ポイントは、紹介する食材を必ずしも全て使うのではなく、ご自身の好みに合わせて無理なく続けられるメニュー作りをすることです。
朝食は、脳にエネルギーをチャージするために重要な役割を担っています。
ご飯やパンなどの炭水化物はもちろん、納豆や豆腐などの大豆製品、魚、果物などをバランス良く取り入れるように心がけましょう。
昼食は、活動エネルギーを補給するだけでなく、夕食までの空腹感を抑え、食べ過ぎを防ぐ役割もあります。
麺類だけ、丼ものだけといった単品で済ませるのではなく、栄養バランスを意識したメニューを心がけましょう。
夕食は、1日の疲れを癒し、質の高い睡眠をとるために重要な役割を担っています。消化の良いものを選び、食べ過ぎないように腹八分目を心がけましょう。
献立例を見ただけでは、「どんな風に作ればいいか分からない…」と感じた方もいるかもしれません。そこで、具体的なレシピをいくつかご紹介します。どれも簡単に作れるものばかりですので、ぜひ試してみてください。
お好みのキノコ(しいたけ、しめじ、エリンギなど)と鶏肉、昆布などを一緒に炊飯器で炊くだけの簡単なレシピです。
だし汁を加え、醤油、みりんなどで味付けすると更に風味がアップします。キノコの旨味がご飯に染み渡り、食欲をそそります。
納豆、豆腐、きゅうり、みょうがなどを混ぜて、ポン酢とごま油で和えるだけの簡単レシピです。お好みで、ネギや海苔を加えてもよいでしょう。納豆と豆腐は、どちらも良質なタンパク質源であり、認知症予防に効果が期待できる食材です。
サバ缶、キャベツ、ピーマン、玉ねぎなどを炒め、塩コショウで味付けするだけの簡単レシピです。サバ缶の代わりに、サンマやイワシなどの青魚缶詰を使用してもよいでしょう。手軽にDHA・EPAを摂取できます。
ホウレンソウ、ベーコン、ニンニクなどを炒め、醤油とオイスターソースで味付けするだけの簡単レシピです。ほうれん草には、ビタミンB群や葉酸が豊富に含まれており、認知症予防に効果が期待されています。
お好みのキノコ、ベーコン、玉ねぎなどを炒め、パスタと和えるだけの簡単レシピです。味付けは、塩コショウ、醤油、コンソメなど、お好みに合わせてください。キノコの香りと食感が食欲をそそる一品です。
これらのレシピを参考に、色々な食材を組み合わせて、バランスの取れた食事を心がけましょう。
食事と同じくらい大切なのが、毎日の生活習慣です。
「先生、食事には気を付けているしサプリメントも飲んでいるんだけど、最近、物忘れがひどくなって…」
外来で、患者さんからこんな相談を受けることがあります。このような患者さんの多くは、生活習慣に問題を抱えているケースが多くみられます。食事に気を使っていても運動不足だったり睡眠不足だったりストレスをため込んでいたりすると、認知症のリスクを高めてしまう可能性があります。
認知症予防には食事だけでなく、生活習慣全体を見直し脳を活性化させることが重要です。
具体的に、どのような生活習慣を心がければ良いのでしょうか?
認知症予防には、DHA・EPA、オレイン酸、ビタミンE、ビタミンB群などの栄養素が効果的です。 これらの栄養素を効率的に摂取するために、青魚、野菜、大豆製品、ナッツ類、きのこ類などを積極的に食べましょう。 また、食事だけでなく、適度な運動、脳を使う活動、人とのコミュニケーション、十分な睡眠などの生活習慣も、認知症予防に重要です。
当院は物忘れ外来を行っております。気になる症状等がある方は当院にご相談ください。
大石内科循環器科医院
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