秋になると、毎年なぜか風邪のような症状に悩まされることはありませんか?
実はその症状は、ヨモギ花粉症の可能性があります。ヨモギ花粉症は、8月から10月頃に飛散する花粉が原因で、くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、風邪とよく似た症状を引き起こします。
日本では特に、関東地方でヨモギ花粉の飛散量が多い傾向にあります。もしかしたら、自分も気づかずにヨモギ花粉症に悩まされているかもしれません。
この記事ではヨモギ花粉症の原因や症状、そして具体的な対策方法まで詳しく解説していきます。ご自身の状況と比較しながら、ぜひ読み進めてみてください。
ヨモギ花粉症は、秋の花粉症の代表的な原因の一つです。くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、他の花粉症と似た症状が現れます。これらの症状は、一見すると風邪と区別がつきにくいため、気づかずに過ごしてしまう方も少なくありません。
しかし、ヨモギ花粉症は放置すると症状が悪化するだけでなく、喘息などの合併症を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
ヨモギ花粉が目に入ると目のかゆみ、充血、涙目、異物感などの症状が現れます。これは花粉が目の中の結膜に付着し、アレルギー反応を起こすためです。
涙は目の表面を潤し、異物や細菌を洗い流す役割を担っています。しかしヨモギ花粉が目に入ったとき、私たちの体は花粉を異物と認識し涙を大量に分泌することで、その異物を排除しようとします。これが、涙目の原因です。
また、目の中で炎症が起こると白目が充血したり、まぶたが腫れたりすることもあります。
ヨモギ花粉を吸い込むと鼻の粘膜にもアレルギー反応が起こり、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりといった症状が現れます。
鼻水は、初期はサラサラとした水様性ですが、症状が進むにつれて粘り気を帯びてきます。ひどい場合には、鼻水がのどに流れ落ちてくる後鼻漏と呼ばれる症状が出ることもあります。
鼻詰まりは、鼻の粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなることで起こります。鼻詰まりがひどくなると、嗅覚が鈍くなったり、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まったりする可能性もあります。
くしゃみは、鼻の粘膜に付着したヨモギ花粉を体外に排出しようとする防御反応です。
健康な状態でも、埃やウイルスを吸い込んだ際に反射的にくしゃみが出ることがありますよね。ヨモギ花粉症の患者さんの場合、この防御反応が過剰に働いてしまうのです。くしゃみは一度に出ると止まらなくなり、日常生活に支障をきたすこともあります。
ヨモギ花粉は、目や鼻だけでなく、皮膚にもアレルギー症状を引き起こすことがあります。
例えば、ヨモギ花粉が付着した部分を掻きむしってしまうと、皮膚炎を起こし、赤みやかゆみ、湿疹などが現れることがあります。
また、じんましんが出ることもあります。じんましんは、皮膚の一部が赤く盛り上がり、強いかゆみを伴うのが特徴です。
口腔アレルギー症候群(OAS)は特定の果物や野菜を食べた後に、口の中や喉にかゆみ、腫れ、イガイガ感などのアレルギー症状が出る病気です。
ヨモギ花粉症の患者さんの中には、ヨモギと同じキク科の植物(例:ブタクサ、菊、セロリ、キウイフルーツ、メロンなど)に含まれるたんぱく質と反応し、OASの症状を引き起こすことがあります。
これは、ヨモギ花粉とこれらの植物に含まれるたんぱく質の構造が似ているため、体が誤って攻撃してしまうためだと考えられています。
秋の花粉症で悩んでいる方は、もしかしたらヨモギ花粉症かもしれません。ヨモギ花粉症は、ヨモギの花粉が原因で起こるアレルギー反応です。くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、他の花粉症と似た症状が出ます。
例えば、先日診察にいらした患者さんは、「秋になると毎年風邪を引く」とおっしゃっていました。しかし、よくよく話を伺ってみると風邪の症状が出る時期が毎年決まっており、症状も鼻水やくしゃみが中心で熱は出ないとのことでした。
これは、秋に飛散するヨモギ花粉が原因で起こる「ヨモギ花粉症」の可能性が高いと考えられます。風邪と症状が似ているため、花粉症だと気づかずに毎年風邪薬を飲んでしまっている方も少なくありません。
ヨモギ花粉は一般的に8月から10月頃に多く飛散します。地域によっては、7月から飛散が始まったり、11月頃まで飛散が続いたりすることもあります。関東地方では、特にヨモギ花粉の飛散量が多い傾向にあります。
地域 | 飛散開始時期 | 飛散ピーク | 飛散終了時期 |
北海道 | 8月上旬 | 8月中旬~9月上旬 | 9月下旬 |
東北 | 8月上旬 | 8月中旬~9月中旬 | 10月上旬 |
関東 | 8月上旬 | 8月下旬~9月下旬 | 10月中旬 |
中部 | 8月中旬 | 9月上旬~9月下旬 | 10月上旬 |
近畿 | 8月下旬 | 9月中旬~10月上旬 | 10月中旬 |
中国 | 9月上旬 | 9月中旬~10月中旬 | 10月下旬 |
四国 | 9月上旬 | 9月下旬~10月中旬 | 11月上旬 |
九州 | 9月中旬 | 10月上旬~10月下旬 | 11月中旬 |
さらに、近年では地球温暖化の影響で、花粉の飛散時期が長期化する傾向にあります。
アレルギー体質の人は、ヨモギ花粉症になりやすいと言われています。また、すでにスギ花粉症やヒノキ花粉症などの花粉症を持っている人は、ヨモギ花粉症も発症する可能性が高いです。さらに、ブタクサやカモガヤなど、ヨモギと同じキク科の植物にアレルギーを持っている人も、注意が必要です。
アレルギーは本来無害なはずの花粉などの物質に対して、体が過剰に反応してしまうことで起こります。アレルギー体質の人は、この過剰な反応を起こしやすいため、花粉症を発症しやすくなります。
また、ストレスや疲労、睡眠不足なども、免疫力の低下や自律神経の乱れを引き起こし、アレルギー症状を悪化させる要因となります。
ヨモギ花粉と似た植物としては、ブタクサやカナムグラなどがあります。これらの植物も、ヨモギと同じキク科に属しており、花粉症の原因となることがあります。ブタクサは、ヨモギよりも遅く、8月下旬から10月頃に花粉が飛散します。カナムグラは、7月から9月頃に花粉が飛散します。
植物名 | 花粉飛散時期 | 特徴 |
ヨモギ | 8月~10月 | 日当たりの良い空き地や河原に生える |
ブタクサ | 8月下旬~10月 | ヨモギと同様に、空き地や河原に生える |
カナムグラ | 7月~9月 | 道端や草むらに生える、つる性の植物 |
これらの植物は、ヨモギと同様に、空き地や道端など、身近な場所に生息しています。そのため、ヨモギ花粉症の患者さんは、これらの植物の花粉にも反応してしまうことがあります。
「秋になると、なんだか毎年風邪を引く気がする…」
そんな風に思っていませんか?実は、それは風邪ではなく、ヨモギ花粉症のせいかもしれません。
ヨモギ花粉症は、秋に飛散するヨモギ花粉が原因で起こるアレルギー反応です。くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、他の花粉症と非常によく似た症状が出ます。
風邪と症状が似ているため、花粉症だと気づかずに毎年風邪薬を飲んでしまっている方も少なくありません。しかし、ヨモギ花粉症を放っておくと、症状が悪化するだけでなく、喘息などの呼吸器疾患のリスクも高まります。
「もしかして、私もヨモギ花粉症?」
そう思ったら自己判断せずに、医療機関を受診して、きちんと検査を受けるようにしましょう。
ヨモギ花粉症かどうかを調べるには、ドロップスクリーン検査という血液検査が有効です。
ドロップスクリーン検査は、ほんのわずかな量の血液でヨモギだけでなく様々なアレルギーの原因物質(アレルゲン)に対するIgE抗体の量を測定することができます。
IgE抗体は、アレルギー反応を引き起こす物質に対して、私たちの体が作り出すタンパク質の一種です。
この検査では、採血した血液にヨモギ花粉のエキスを混ぜて、アレルギー反応が出ているかどうかを調べます。もし、アレルギー反応が出ていれば、ヨモギ花粉症の可能性が高いと判断されます。
具体的な検査方法
当院でもアレルギー検査・ドロップスクリーン検査が受診可能です。すでに多くの患者さんにご利用いただいておりますので、アレルギー症状を感じたらぜひ一度受診してみてください。
ヨモギ花粉症を予防するには、「花粉を避けること」と「体の抵抗力を高めること」が重要です。
ヨモギ花粉が飛散する時期には、以下のポイントに注意しましょう。
体の抵抗力を高めるためには、以下のポイントを心がけましょう。
これらの予防策を組み合わせることで、より効果的にヨモギ花粉症を防ぐことができます。
秋の花粉症の原因であるヨモギ花粉症は、くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、他の花粉症と似た症状が現れるのが特徴です。
放置すると症状が悪化し、喘息などの合併症を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。
ヨモギ花粉の飛散時期は8月から10月頃で、アレルギー体質の人は特に注意が必要です。
ヨモギ花粉症対策として、花粉を避けること、体の抵抗力を高めることが大切です。
アレルギー検査を受けたい、アレルギー症状でお悩みなら、当院のアレルギー科へご相談ください。