もの忘れがひどいのは認知症の兆候?
「あれ?鍵どこだっけ?」「さっき何をしようとしていたんだっけ?」
誰しも経験する物忘れ。しかし、その頻度や程度によっては、深刻な病気のサインかもしれません。近年、増加傾向にある認知症の初期症状として、物忘れが挙げられるケースが多くなっています。
この記事では物忘れの原因を3つの種類に分け、それぞれについて詳しく解説します。加齢による変化、ストレスや不安、そして薬の副作用…様々な要因が複雑に絡み合っている可能性も。
さらに、物忘れ外来を受診すべきサインや、そこで行われる検査、治療法についても詳しくご紹介します。早期発見・早期治療が重要な認知症をはじめとした疾患を理解することで、あなた自身やご家族の健康を守ることに繋がります。
日常生活でできる物忘れ改善のための生活習慣、食事、運動、そして記憶力アップのテクニックもご紹介します。脳を活性化し、健康な生活を送るためのヒントが満載です。
物忘れに不安を感じている方、ご自身やご家族の健康が気になる方は、ぜひこの記事を最後まで読んで、適切な対処法を見つけてください。あなたの未来の健康を守るために、今すぐ知っておくべき情報がここにあります。
「あれ?さっき何をしようとしていたんだっけ?」「この人の名前、なんだっけ?」など、物忘れは誰にでも経験のあることです。特に年齢を重ねると、物忘れが増えたように感じることがあります。
物忘れには、すぐに思い出せる軽微なものから日常生活に支障が出る深刻なものまで、程度は様々です。そして、その原因も多岐に渡ります。加齢による変化、一時的なストレス、病気のサイン、生活習慣、薬の副作用など、様々な要因が複雑に絡み合っている場合もあります。
今日は、物忘れの原因を大きく3つの種類に分けて、詳しく見ていきましょう。原因を知ることで、ご自身またはご家族の物忘れに適切に対処できるかもしれません。
物忘れは認知症の初期症状の一つとして現れることもありますが、物忘れだけが認知症の症状ではありません。認知症は記憶障害に加えて、思考力、判断力、理解力などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態を指します。
初期の認知症では、「あれ?なんだか最近おかしいな?」と感じる程度の微妙な変化であることが多いです。ご家族が異変に気付くケースも多いです。例えば、以下のような症状が見られることがあります。
これらの症状が単独ではなく、いくつか重なって現れる場合、認知症の初期症状の可能性があります。ご自身やご家族に当てはまる項目があれば、早めに医療機関を受診し、専門医の診察を受けることをお勧めします。
ストレスや不安は、私たちの脳に大きな負担をかけ、脳の正常な機能を阻害します。その結果、集中力や記憶力が低下し、物忘れしやすくなります。まるで、パソコンのメモリがいっぱいになって、動作が遅くなってしまうようなものです。
ストレスや不安が原因で起こる物忘れは一時的なものが多いです。例えば、
など、心身ともに疲れている状態では、脳が正常に機能しにくくなります。
このような物忘れは原因となっているストレスや不安が解消されれば、自然と改善されることが多いです。しかし慢性的なストレスにさらされている場合は、物忘れ以外にも様々な心身の不調が現れることがあります。そのため、ストレスを適切に管理し心身のリラックスを心がけることが重要です。
薬の中には、物忘れを副作用として引き起こすものがあります。高齢者は複数の薬を服用していることが多く、薬の相互作用によって副作用が出やすいため、特に注意が必要です。薬の種類によって、物忘れの症状の出方も異なります。例えば、
これらの薬を服用している方で物忘れがひどくなったと感じたら、自己判断で服用を中止せず医師や薬剤師に相談することが大切です。薬の種類や量を調整することで、副作用を軽減できる場合があります。また、同じような作用を持つ薬でも副作用の出方には個人差があるため、ご自身の症状に合った薬を選択することが重要です。
「あれ?さっき何をしようとしていたんだっけ?」「あの人、誰だっけ?」そんな風に、物忘れが増えてきて不安を感じていませんか?物忘れは誰にでも経験のあることですが、その頻度や程度が日常生活に影響を及ぼし始めたら、物忘れ外来への受診を検討する時期かもしれません。
物忘れ外来とは、もの忘れに関する専門的な知識と経験を持つ医師が、あなたの物忘れの原因を探り、適切なアドバイスや治療を提供する場です。年齢を重ねると誰でも多少の物忘れは増えていきますが、病気が隠れている場合もあります。早期発見・早期治療が大切な病気も多いので、不安を抱え込まずに、気軽に相談してみましょう。
「ただの物忘れ」と「病気による物忘れ」はどこで見分けるのでしょうか? 具体的な例を挙げて考えてみましょう。
例えば、スーパーに買い物に行って、いつもの調味料を買い忘れることは誰にでもある「ただの物忘れ」と言えるでしょう。しかし、冷蔵庫の中に同じ調味料が既に入っているにも関わらず、何度も同じものを買ってきてしまう、買ったこと自体を忘れてしまう、といった場合は注意が必要です。
また、人の名前が出てこない、という物忘れもよくあります。例えば、職場の同僚の名前がすぐに出てこない、という程度であれば、よくある物忘れです。しかし、毎日顔を合わせている家族の名前が出てこない、顔を見ても誰だか分からない、という場合は、病的な物忘れの可能性があります。
このように、物忘れの頻度や内容、そしてそれが日常生活にどの程度影響を及ぼしているかで、受診のタイミングを判断します。
症状 | 程度 | 受診の目安 |
同じことを何度も質問する | 時々、相手に指摘される程度 | まだ様子見で良いでしょう。メモを取る、リマインダーアプリを使うなど工夫してみましょう。 |
置き場所が分からなくなる | 鍵や財布など、日常的に使うものを頻繁に見失う | 注意が必要です。一度受診を検討してみましょう。 |
昔のことは覚えているのに、最近の出来事をすぐに忘れてしまう | 数日前の出来事を覚えていない | 早めに受診しましょう。認知症の初期症状の可能性があります。 |
人の名前が出てこない | 親しい家族や友人の名前が出てこない、会っても誰だか分からない | 早めに受診しましょう。認知症の初期症状の可能性があります。 |
時間や場所が分からなくなる | 慣れた道で迷子になる、今日は何曜日か分からなくなる | 注意が必要です。一度受診を検討してみましょう。 |
これらの項目以外にも、ご自身やご家族が「おかしいな?」と感じることがあれば、早めに受診することをお勧めします。
物忘れ外来を受診すると、どのような検査が行われるのでしょうか? 患者さんにとって検査は不安なものですが、どのような目的で、どのように行われるかを知っておけば、安心して検査を受けることができます。
物忘れの原因が特定されると、その原因に合わせた治療やケアが始まります。
物忘れ外来では医師だけでなく、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士など、様々な専門家がチームを組んで患者さんをサポートします。一人で悩まず、まずは相談してみましょう。
「最近、物忘れがひどくなった気がする…」 そう感じて不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。特に日常生活で頻繁に物忘れが起こると、認知症の兆候ではないかと心配になるかもしれません。
物忘れは誰にでも経験する自然な現象ですが、その頻度や程度が日常生活に支障をきたすほどであれば、対策が必要です。加齢とともに物忘れは増えていく傾向がありますが、生活習慣を改善することで、脳の健康を維持し、記憶力を保つことが期待できます。
この章では食事、運動、日常生活の工夫という3つの側面から、物忘れを改善するための具体的な方法を医師の視点も交えながらご紹介します。まるで脳の筋トレのように、楽しみながら実践できるものばかりです。ぜひ今日から生活に取り入れて、脳をいきいきと保ちましょう。
脳の健康を維持するためには、バランスの取れた食事が不可欠です。特に、脳の働きを活発にする栄養素を積極的に摂るように心がけましょう。私が外来で患者さんによくお伝えする食事のポイントは、次の3点です。
運動は、体だけでなく脳にも良い影響を与えます。軽い運動でも、脳への血流が改善され、神経細胞の成長が促されることで、記憶力や集中力、思考力などの認知機能の向上が期待できます。
日常生活の中で、脳を積極的に使う習慣を身につけることで、記憶力を鍛え、認知機能の低下を予防することができます。
これらの生活習慣を継続することで物忘れの改善だけでなく、認知症の予防にも繋がると考えられています。無理なく楽しみながら、今日から実践してみましょう。
物忘れは加齢やストレス、病気など様々な原因で起こり程度の差も大きい。軽微なものは心配ないが、日常生活に支障をきたす場合は注意が必要だ。
認知症は物忘れ以外にも、思考力・判断力の低下など複数の症状を伴う。同じことを繰り返す、置き忘れが多い、時間や場所が分からなくなる、人柄が変わる、判断力が低下するなど、複数の症状が認められる場合は、早めに医療機関を受診することが重要だ。
ストレスや不安も物忘れの原因となる。仕事や人間関係、環境の変化などによるストレスは一時的な物忘れを引き起こすことがある。慢性的なストレスは心身に悪影響を及ぼすため、ストレス軽減策を講じる必要がある。
薬の副作用も物忘れの原因となりうる。抗不安薬、睡眠薬、抗アレルギー薬など、複数の薬を服用している高齢者は特に注意が必要だ。物忘れが悪化したと感じたら、自己判断で薬を中止せず、医師や薬剤師に相談することが大切である。
物忘れが気になる場合は、物忘れ外来を受診することを検討しよう。問診、認知機能検査、画像検査、血液検査などを行い、原因を特定し、薬物療法や非薬物療法、介護サービスなどを検討する。
生活習慣の改善も物忘れの予防・改善に有効だ。青魚、緑黄色野菜などを摂取し、適度な運動を行い、新しいことを学ぶ、メモを取る、人とコミュニケーションを取るといった習慣を身につけることが重要となる。
当院は物忘れ外来を行っております。また。認知対応型通所介護センター(デイサービス)も併設しておりますので、気になる症状等がある方は当院にご相談ください。
大石内科循環器科医院
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