大石内科循環器科医院

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静脈血栓症の症状について詳しく解説

2024.11.26 循環器

静脈血栓症は、体の静脈に血の塊(血栓)ができる病気で、放置すると命に関わる危険性も伴います。自覚症状がない場合も多くありますが、足の腫れや痛み、皮膚の変色、息切れなどの症状が現れることもあります。

近年、静脈血栓症は増加傾向にあり特に長時間座りっぱなしの仕事や長時間のフライトなど、長時間同じ体勢での活動が多い現代人に多く見られます。この記事では、静脈血栓症の症状について詳しく解説し、早期発見・早期治療の重要性を訴えます。ご自身の健康状態を見直すきっかけとして、ぜひ読み進めてみてください。

静脈血栓症の症状とは?知っておくべき特徴5つ

静脈血栓症は、体の静脈に血の塊(血栓)ができる病気です。自覚症状がないこともありますが、放置すると命に関わる危険性も伴います。今回は静脈血栓症の代表的な症状と、その特徴について詳しく解説していきます。早期発見・早期治療のためにも、ご自身の体と向き合い正しい知識を身につけていきましょう。

足の腫れや痛み:初期症状の見逃し注意

静脈血栓症の初期症状として特に多いのが、足のむくみや痛みです。血栓によって血液の流れが滞ると、静脈内の圧力が高まり足に水分がたまりやすくなるためです。多くの場合、片方の足に症状が現れます。

健康な状態では足の血管は弾力があり、血液をスムーズに心臓に戻しています。しかし静脈血栓症を発症すると、この血液循環が滞ってしまうのです。イメージとしては流れのある川に、急に大きな岩が転がり込んできた状態を思い浮かべてみてください。岩によって水の流れがせき止められ川の水位が上がってしまうように、血栓もまた血液の流れをせき止め足の血管内に血液を滞らせてしまうのです。

具体的な症状例

  • 靴下のゴムの跡がいつもよりくっきり残る:これは、夕方になると足がむくむというサインの可能性があります。健康な状態であれば、一時的に靴下の跡がついても、すぐに消えるはずです。しかし静脈血栓症の初期には、この跡がなかなか消えなくなってしまうことがあります。
  • 夕方になると足がパンパンに張る:日中は活動によって足の筋肉がポンプの役割を果たし、血液を心臓に戻すのを助けています。しかし夕方になるとこの筋肉の活動が低下し、血液が足に溜まりやすくなります。静脈血栓症を発症していると、さらに血液が滞りやすくなるため夕方になると足がパンパンに張ってしまうのです。
  • 足に鈍い痛みや違和感がある:これは血栓によって血管の内側が刺激されたり、炎症が起こったりすることで生じます。初期は「なんとなくだるい」「重い感じがする」といった程度の軽い痛みであることが多いです。
  • 足を動かしたり、歩いたりすると痛みが強くなる:静脈血栓症では足を動かしたり、歩いたりすることでふくらはぎの筋肉が収縮し血栓が刺激されて痛みが強くなることがあります。

これらの症状は日常生活でも経験しやすいものですが、静脈血栓症の可能性も考えられます。特に長時間座りっぱなしの仕事や、長時間のフライトの後などは注意が必要です。デスクワークや長距離移動の際には、こまめな休憩や足のストレッチを心がけましょう。

脚における皮膚の変色:血流の変化を示すサイン

静脈血栓症になると、足の皮膚の色が変化することがあります。血栓によって血流が悪くなると、皮膚の色が赤や紫っぽく変色することがあります。また、皮膚の温度が上がり、触ると熱く感じることもあります。

私たちの体は、血液によって酸素や栄養を全身に届けています。静脈血栓症によって血流が悪くなると、この酸素供給が滞り皮膚の色が変化することがあります。これは酸素を十分に受け取れない皮膚が、赤や紫っぽく変色してしまうためです。

具体的な症状例

  • ふくらはぎや足の甲が赤くなる:血栓ができている部分の皮膚が、炎症を起こして赤くなることがあります。
  • 足全体が紫色に変色する:重症化すると、足全体が紫色に変色することがあります。これは、血液中の酸素が著しく不足しているサインです。
  • 足の皮膚が熱っぽく感じる:炎症が起こっているため、足の皮膚が熱を持つことがあります。
  • 足の皮膚を触ると、いつもより硬く感じる:血栓によって血管が圧迫され、周囲の組織に水がたまることで、皮膚が硬く感じるようになります。

これらの皮膚の変化は、静脈血栓症が進行しているサインかもしれません。特に足の腫れや痛みに加えて、皮膚の変色が見られる場合は早めに医療機関を受診しましょう。

胸の痛みや息切れ:重篤な症状の可能性

静脈血栓症の血栓が剥がれて肺に詰まると、「肺血栓塞栓症」という命に関わる危険な状態を引き起こすことがあります。肺血栓塞栓症になると、突然の胸の痛みや息苦しさを感じます。

肺は、呼吸をするために非常に重要な臓器です。心臓から送られてきた血液から酸素を取り込み、全身に送り出す役割を担っています。しかし肺血栓塞栓症になると、この肺の血管が血栓によって塞がれてしまい酸素を取り込むことができなくなってしまうのです。

具体的な症状例

  • 胸に刺すような鋭い痛みがある:これは、血栓が肺の血管を塞いだ時に感じる痛みです。
  • 息を吸うと胸が痛む:呼吸をするたびに肺が動きますが肺血栓塞栓症になると、この動きによって胸の痛みが増強することがあります。
  • 呼吸が速くなる、息苦しい:肺が酸素を十分に取り込めなくなるため、体は酸素不足を補おうとして、呼吸数を増やそうとします。
  • 動悸がする:酸素不足になった体は、心臓をより多く動かすことで、酸素を全身に送ろうとします。そのため、動悸がするようになるのです。
  • 咳が出る:肺は異物が入ってくると、それを体外に出そうとして咳反射を起こします。肺血栓塞栓症になると、血栓を異物と認識して咳が出ることがあります。
  • 血痰が出る:血栓によって肺の血管が傷つけられると、咳と一緒に血が混じって出てくることがあります。

これらの症状は心筋梗塞や肺炎など、他の病気でも起こる可能性があります。しかし静脈血栓症の疑いがある場合は、すぐに救急車を呼ぶなど一刻も早い対応が必要です。

息切れの原因:肺血栓塞栓症との関連

静脈血栓症の合併症である肺血栓塞栓症は、血栓が肺の血管に詰まることで起こります。そのため肺に十分な酸素を取り込めなくなり、息切れなどの呼吸困難を引き起こします。

私たちの体は、常に新鮮な酸素を必要としています。呼吸によって肺から酸素を取り込み、血液によって全身に運ばれています。しかし肺血栓塞栓症によって肺の血管が詰まってしまうと、この酸素供給が滞ってしまうのです。

息切れは、体が酸素不足に陥った時に起こるサインです。軽い運動でも息切れがする、階段の上り下りで息苦しさを感じるなど日常生活に支障が出ることもあります。

息切れ以外に現れる可能性のある症状

  • 呼吸が速くなる:体は酸素不足を補おうとして、無意識に呼吸数を増やそうとします。
  • 息を深く吸えない:肺が十分に膨らまないため、深く息を吸うことが難しくなります。
  • 唇や指先が青紫色になる(チアノーゼ):血液中の酸素が不足すると、唇や指先など体の末端部分が青紫色に変色することがあります。
  • 意識がもうろうとする:重症化すると、脳に十分な酸素が供給されなくなり、意識がもうろうとしたり、意識を失ったりすることがあります。

肺血栓塞栓症は命に関わる危険性もあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。

日常生活への影響:静脈血栓症の管理方法

静脈血栓症と診断された場合は、医師の指示に従って適切な治療を受ける必要があります。治療には血栓を溶解する薬や、血栓が大きくなるのを防ぐ薬などが用いられます。

静脈血栓症の治療は血栓の大きさや場所、患者さんの状態によって異なります。一般的には抗凝固療法と呼ばれる、血液を固まりにくくする薬を使った治療が行われます。

日常生活で気を付けること

  • 弾性ストッキングを着用する:弾性ストッキングは、足の静脈を圧迫することで、血液の流れを良くする効果があります。
  • 適度な運動を心がける:足の筋肉を動かすことで、血液の循環が促進されます。ウォーキングなどの軽い運動を、無理のない範囲で行いましょう。
  • 長時間同じ姿勢を続けない:長時間座りっぱなしや立ちっぱなしは、血液の滞りを招きます。1時間に一度は立ち上がって歩いたり、軽いストレッチをしたりするなど、こまめに体を動かすようにしましょう。
  • 水分をこまめに摂る:水分不足は血液をドロドロにし、血栓ができやすい状態を作ってしまいます。こまめな水分補給を心がけましょう。
  • 禁煙する:タバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させ、血流を悪くする作用があります。禁煙することで、静脈血栓症のリスクを減らすことができます。

これらの生活習慣の改善は、静脈血栓症の予防にもつながります。ご自身の体と向き合い、健康的な生活を送りましょう。

まとめ

静脈血栓症は、足の血管に血の塊(血栓)ができる病気です。放置すると命に関わる肺血栓塞栓症を引き起こす可能性があります。主な症状は足のむくみや痛み、皮膚の変色、胸の痛みや息切れなどです。初期症状は軽いため見逃しがちですが、早期発見・早期治療が重要です。長時間座りっぱなしや立ちっぱなしなど、同じ姿勢を続ける際はこまめな休憩やストレッチを心がけましょう。また、弾性ストッキングの着用や禁煙なども効果的です。

静脈血栓症の症状に心当たりがある方や、ご不安な場合は、当院へご相談ください。


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