突然、心臓がドキドキする動悸で不安になった経験はありませんか?動悸は、命に関わる深刻な病気の可能性もあるのです。動悸を引き起こす原因はさまざまで、心臓病から精神的な問題まで多岐に渡ります。
この記事では、動悸の原因となる代表的な病気4つを、具体的な症状とともにわかりやすく解説します。どの診療科を受診すべきか、家庭でできる予防策もご紹介します。動悸の不安を解消し、健康な毎日を送りましょう。以下の記事で、動悸の症状について詳しく解説しているので、合わせて読んでみてください。
>>動悸
動悸の原因となる病気と症状は以下のとおりです。
原因を知ることで、不安を少しでも和らげ、適切な対処法を見つけましょう。
不整脈とは、心臓のリズムが乱れる病気です。心臓は、規則正しく収縮と拡張を繰り返すことで、全身に血液を送っています。リズムが正確に刻まれているからこそ、人間の体は正常に機能しているのです。リズムが乱れると脈が飛んだり、速くなったり、遅くなったりといった症状が現れます。
期外収縮は、脈が「ドキン」と強く打ち、脈が飛ぶように感じます。健康な人でも、疲れているときや緊張しているとき、コーヒーを飲み過ぎたときなどに起こることがありますが、すぐに元のペースに戻れば心配する必要はありません。
心房細動は、心臓の上の方にある「心房」が細かく震えることで、心臓全体のリズムが乱れる病気です。脈がバラバラで、脈の速さも不規則になります。「ドキドキ」というよりも「ドドドドッ」や「ドキドドド」のように、脈がバラバラに感じられます。めまいや息切れを伴うこともあり、放置すると脳梗塞のリスクを高める危険な不整脈です。
遺伝的な要因で起こる不整脈もあり、症状を認識しにくく診断が難しい場合があります。自覚症状がない場合でも、深刻な事態を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
甲状腺機能亢進(こうしん)症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンは、体の代謝を活発にする働きがあります。過剰に分泌されると心臓の働きも活発になり、動悸が起こります。
いつも走っているような状態になり、心臓がドキドキしたり、脈が速くなったりします。汗をかきやすくなる、暑さを感じやすくなる、体重が減る、手が震えるといった症状が現れることもあります。
貧血とは、血液中の赤血球が不足している状態です。赤血球は、全身に酸素を運ぶ役割を担っています。貧血になると、体が酸素不足になり、心臓が頑張って多くの血液を送り出そうとするため、動悸や息切れが起こります。
鉄分が不足する鉄欠乏性貧血は、特に女性に多い貧血です。月経過多が原因で貧血になっているケースがあります。月経量を調整する治療を行うことで、貧血と動悸が改善することが期待できます。
心臓弁膜症は、心臓の弁がうまく機能しなくなる病気です。心臓には、血液が逆流しないように、一方通行の弁があります。弁が狭くなったり、閉じなくなったりすると心臓に負担がかかり、動悸や息切れが起こります。
弁膜症には、大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症などさまざまな種類があります。症状は、弁の異常の程度や種類によって異なりますが、動悸以外にも、胸痛や息切れ、むくみなどが現れることもあります。運動時に症状が悪化しやすいのも特徴です。心臓弁膜症は、放置すると心不全を引き起こす可能性もあるため、早期発見・早期治療が大切です。
動悸は、命に関わる病気のサインの可能性もあるため、軽く見過ごさずに適切な診療科を受診することが大切です。動悸で受診する主な診療科と、どのような場合にどの診療科を受診するのが適切なのかを解説します。
循環器内科は、心臓や血管の病気に詳しい診療科です。心臓に原因があると疑われる動悸は循環器内科を受診します。
動悸の原因で最も多い不整脈をはじめ、心臓の筋肉が厚くなってしまう心筋症や、心臓の弁がうまく機能しなくなる心臓弁膜症、虚血性心疾患なども動悸の原因となります。放置すると心不全のリスクを高めるため、注意が必要です。
内科は、幅広い内科疾患に対応する診療科です。動悸の原因が特定できない場合や、貧血、甲状腺機能亢進症など、他の病気が疑われる場合は内科を受診しましょう。
内科では問診や身体診察、血液検査などを通して、動悸の原因を探ります。必要に応じて、循環器内科など他の専門科への紹介状を書いてもらうこともできます。
ストレスや不安、緊張などが原因で動悸が起こる場合もあります。パニック障害や自律神経失調症などが代表的な例です。心療内科や精神科の受診を検討しましょう。
パニック障害は、突然激しい動悸や息苦しさ、めまいなどの発作が起こる病気です。「このまま死んでしまうのではないか」という恐怖感に襲われ、救急車を呼ぶ方も少なくありません。
自律神経失調症は、自律神経のバランスが崩れることで、さまざまな症状が現れる病気です。動悸以外にも、倦怠感や不眠、頭痛や肩こりなど、さまざまな症状が現れます。症状が多岐にわたるため、診断が難しい場合もあります。
心療内科や精神科では、問診や心理検査などを通して、患者さんの心の状態を把握し、適切な治療を行います。薬物療法やカウンセリングなどを通して、症状の改善を目指します。
動悸はさまざまな原因で起こるため、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。ご自身の症状に合った適切な診療科を受診し、専門医の診察を受けてください。
動悸への対処法と予防策は、大きく分けて以下の5つに分類できます。
動悸が起きたときは、まず落ち着いて行動することが大切です。焦りは症状を悪化させる可能性があります。落ち着いて対処するために、以下の方法を試してみてください。
深呼吸については、息を吸うときは4秒かけてお腹を膨らませ、吐くときは6秒かけてお腹をへこませると効果的です。
動悸の原因によっては、薬物療法が必要です。不整脈が原因で動悸が起きている場合は、抗不整脈薬が処方されます。甲状腺機能亢進症が原因の場合は、甲状腺ホルモンの分泌を抑える薬が処方されます。
薬の種類や服用量は、患者さんの状態に合わせて医師が決定します。自己判断による服用の中断や量の変更は危険です。必ず医師の指示に従って正しく服用してください。
薬物療法で効果がない場合や、特定の種類の不整脈には、カテーテルアブレーションという治療法が行われます。心臓の中に細い管(カテーテル)を挿入し、動悸の原因となっている異常な電気信号を発している部分を焼き切る治療法です。
カテーテルアブレーションは、まれな遺伝性の不整脈症候群(カテコラミン誘発性多形性心室頻拍など)にも有効な場合があります。一見健康な方でも突然死を引き起こす可能性があるため、早期診断と適切な治療が重要です。
動悸の予防には、日頃から健康的な生活習慣を心がけることが大切です。具体的には、以下の点に注意しましょう。
ストレスは、動悸を引き起こす大きな原因の一つです。日常生活でストレスを溜め込まないよう、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。ストレス解消の例は以下のとおりです。
自分一人でストレスに対処することが難しいと感じたら、心療内科や精神科を受診しましょう。専門家のサポートを受けることで、ストレスを適切に管理し、動悸の予防につなげられます。
今の社会はストレスを抱えて生きている方が多いです。ストレスが原因の動悸について詳しく解説しているので、下記もご覧ください。
>>突然の急な動悸、その原因はストレスかも?
心臓の動悸は、不安やストレスだけでなく、命に関わる病気のサインであることもあります。動悸を感じたら、まずは落ち着いて安静にし、水分補給や深呼吸を試してみてください。
症状が続く場合や他の症状を伴う場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。循環器内科や内科、心療内科などが主な診療科です。日頃からバランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠を心がけ、ストレスを溜め込まない生活習慣を送り、健康な毎日を過ごしましょう。
Krahn AD, Tfelt-Hansen J, Tadros R, Steinberg C, Semsarian C, Han HC. Latent Causes of Sudden Cardiac Arrest. JACC. Clinical electrophysiology 8, no. 6 (2022):806-821.
大石内科循環器科医院
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