大石内科循環器科医院

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初めてペットを飼おうと思ったら

2025.01.08 アレルギー科

大好きな犬や猫と暮らしたいけれど、アレルギーが心配で一歩踏み出せずにいませんか? 実はアレルギー反応で辛い思いをしながらも、ペットと幸せな毎日を送ることは十分可能です。

犬や猫アレルギーは、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、咳など風邪と似た症状が現れます。重症化すると呼吸困難に陥るケースもあるので、決して軽視できません。アレルギー反応は体を守る免疫システムが過剰反応することで起こり、その原因となるアレルゲンはペットのフケや唾液、尿などに含まれるタンパク質です。

この記事では、アレルギー検査の方法や費用、そしてアレルギーがあってもペットと暮らすための5つの具体的な対策を詳しく解説します。薬物療法や最新の舌下免疫療法、そして家庭でできる手軽な対策まで多角的にご紹介しますので、安心してペットとの生活を始めるための第一歩を踏み出しましょう。

犬アレルギー・猫アレルギーってどんな症状?原因とメカニズム

大好きなワンちゃん、ネコちゃんと一緒に暮らしたい!でもアレルギーが心配…という方は少なくないでしょう。特に小さなお子さんを持つご家庭では、ペットを飼う前にアレルギーについてきちんと知っておくことが大切です。

アレルギーとは私たちの体を守る免疫システムが、本来無害なはずの物質(アレルゲン)に過剰反応してしまうことです。花粉症で悩んでいる方もいらっしゃると思いますが、これも花粉というアレルゲンに対するアレルギー反応です。犬や猫の場合は、フケや唾液、尿などに含まれる特定のタンパク質がアレルゲンになります。

これらのアレルゲンが体内に入ると、免疫システムが「敵だ!」と勘違いして攻撃を始めます。この攻撃の際に放出されるヒスタミンなどの化学物質が、くしゃみや鼻水、かゆみなどのアレルギー症状を引き起こすのです。

犬アレルギーの主な症状3つ(くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど)

犬アレルギーの症状は、風邪とよく似ています。そのため「風邪かな?」と思って放っておくと、症状が悪化してしまうこともありますので注意が必要です。

  • くしゃみ: まるでコショウを吸い込んだように、連続でくしゃみが止まらなくなることがあります。診察室でも、ワンちゃんを飼いたいお子さんが、検査のために連れてきた犬に触れた途端、激しいくしゃみを連発したケースを何度も見てきました。
  • 鼻水: サラサラとした水のような鼻水が、まるで滝のように流れ出てきます。ティッシュが手放せなくなったり、鼻の周りが赤くなってヒリヒリしたりすることもあります。
  • 目のかゆみ: 目がとてもかゆくなり、ゴシゴシとこすってしまいます。目が充血したり、涙が止まらなくなったり、まぶたが腫れてしまうこともあります。まるで花粉症のような症状ですね。

これらの症状以外にも、咳やゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)、皮膚の発疹やかゆみ、じんましんが出ることもあります。さらに重症化すると、呼吸困難に陥るケースもあるので、決して軽視してはいけません。

猫アレルギーの主な症状4つ(咳、喘鳴、皮膚の発疹など)

猫アレルギーも犬アレルギーと同様に、風邪のような症状が現れますが、咳や喘鳴といった呼吸器系の症状が強く出る傾向があります。

  • : コンコンという乾いた咳や、ゴホンゴホンという痰の絡んだ咳が出ます。夜になると咳がひどくなり、眠れないこともあります。
  • 喘鳴: 呼吸をするたびに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音が聞こえます。まるで笛を吹いているような音で、聴診器を使わなくても聞こえるほど重症化することもあります。
  • 皮膚の発疹: 猫に触れた部分を中心に、赤く腫れ上がり、強いかゆみが出てきます。まるで蚊に刺された後のように、ボコボコと膨らんでしまうこともあります。私の患者さんの中には、猫カフェに行った後、腕全体が真っ赤に腫れ上がってしまった方もいました。
  • 目のかゆみ: 犬アレルギーと同じように目のかゆみや充血、涙などの症状が現れます。

これらの症状に加えて、くしゃみや鼻水、じんましん、そして重症になると呼吸困難といった症状が現れることもあります。

アレルギー反応のメカニズム(抗原・抗体反応)

アレルギー反応は体を守る免疫システムが、本来無害な物質(アレルゲン)を敵だと勘違いして攻撃してしまうことで起こります。

  1. 初めてアレルゲンが体内に侵入すると、免疫システムは「これは敵だ!」と認識し、そのアレルゲンと戦うための特別な武器である抗体(こうたい)を作り出します。この抗体は、特定のアレルゲンだけに反応するように作られた、いわばオーダーメイドの武器です。
  2. 次に同じアレルゲンが体内に侵入すると、すでにスタンバイしていた抗体がアレルゲンに結合します。まるで鍵と鍵穴のように、ぴったりとくっつくのです。
  3. 抗体がアレルゲンに結合すると、肥満細胞(ひまんさいぼう)と呼ばれる細胞から、ヒスタミンなどの化学物質が放出されます。
  4. このヒスタミンこそが、くしゃみや鼻水、かゆみなどのアレルギー症状を引き起こす張本人です。

犬種・猫種によるアレルゲン量の差

犬や猫のアレルゲン量は、犬種や猫種によって異なります。一般的に、毛が短い犬種の方がアレルゲン量が少ないと思われがちですが、実はそうとも限りません。アレルゲンは毛だけでなく、フケや唾液、尿にも含まれているからです。

例えば、プードルは毛が抜けにくい犬種として人気ですが、アレルゲン量は比較的多いと言われています。一方、毛が長いペルシャ猫もアレルゲン量が多い傾向があります。しかし個体差も大きいため、同じ犬種や猫種でもアレルゲン量にはばらつきがあります。

複数のアレルギーを同時に発症する可能性

犬や猫のアレルギーを持つ人は、他のアレルギーも発症しやすい傾向があります。例えばダニや花粉、ハウスダスト、特定の食べ物など、様々な物質にアレルギー反応を示すことがあります。これは、アレルギー体質の人は免疫システムが過敏になっているためだと考えられています。複数の物質にアレルギー反応を示すことを「多種類アレルギー」と呼びます。

アレルギーは、適切な治療と対策によって症状をコントロールすることができます。まずはアレルギー検査を受けて、何がアレルゲンとなっているのかを特定することが大切です。

アレルギー検査の方法

ペットを飼いたいけれど、アレルギーが心配…という気持ち、よく分かります。私も動物が好きなので、その気持ちは痛いほど分かります。ここでは、ドロップスクリーンというアレルギー検査に関して説明します。

ドロップスクリーン検査

ドロップスクリーン検査は、一度にたくさんの項目のアレルギー検査ができる画期的な検査方法です。少量の血液で検査ができるため、小さな子どもでも比較的受けやすいというメリットがあります。

ドロップスクリーン検査のメリット

  • 一度に多くの項目を検査できる: この検査では、一度の採血で、犬や猫アレルギーだけでなく、花粉症やダニアレルギーなど、様々なアレルギーの原因物質を調べることができます。
  • 少量の血液で検査できる: 従来の血液検査に比べて、必要な血液量が少なくて済みます。注射が苦手な方や、小さな子どもでも、負担が少なく検査を受けることができます。

検査はどこで受けられる?

アレルギー検査は、主に病院やクリニックで受けることができます。専門のアレルギー科がある病院や、皮膚科、耳鼻咽喉科、小児科などでも検査が可能です。アレルギー検査は、専門的な知識と技術が必要となるため、医療機関で受けることが重要です。

当院でもドロップスクリーン検査を行っており多くの患者さんが検査を受けております。お気軽にご相談ください。

一部のペットショップでもアレルギー検査キットを販売していることがありますが、医療機関ではないため検査結果の解釈や適切なアドバイスを受けることは難しいです。検査キットは手軽に利用できるというメリットはありますが、その結果を正しく解釈するためには医療の専門家のサポートが必要不可欠です。

アレルギーの検査や治療は、専門知識を持った医師の指導のもとで行うことが大切なので、必ず病院を受診しましょう。自己判断で検査結果を解釈したり治療を行ったりすることは、かえって症状を悪化させる可能性があります。

検査を受ける際の注意点

アレルギー検査を受ける際には、いくつか注意しておきたいことがあります。例えば抗ヒスタミン薬などのアレルギーの薬を飲んでいる場合は、検査結果に影響が出る可能性があるので、必ず検査前に医師に相談しましょう。薬の影響でアレルギー反応が弱まり、正確な検査結果が得られない可能性があります。

また体調が悪い時や皮膚の状態が良くないときも、検査結果が正確に出ないことがあるので体調を整えてから検査を受けるようにしましょう。発熱や風邪などの症状がある場合は、検査を延期した方が良いでしょう。

妊娠中や授乳中の方も、検査前に医師に相談しましょう。妊娠中はホルモンバランスが変化するため、アレルギー反応の出方が通常とは異なる場合があります。

検査結果の見方と医師への相談

検査結果は数値やグラフで表示されることが多く、少しわかりにくいかもしれません。陽性(+)と表示されればアレルギーがある可能性が高く、陰性(ー)であればアレルギーの可能性は低いと考えられます。+の数が多ければ多いほど、アレルギー反応が強いことを示します。例えば「+++」は「+」よりもアレルギー反応が強いことを意味します。

しかし、検査結果だけで全てがわかるわけではありません。検査結果の数値が低くても、症状が強く出ている場合もあります。実際に検査結果は陰性だったにもかかわらず、犬や猫に触れるとひどいアレルギー症状が出てしまう方もいらっしゃいました。

検査結果はあくまでも参考程度に考え、医師とよく相談しながら今後の対策を考えていきましょう。医師は検査結果だけでなく患者さんの症状や生活環境などを総合的に判断し、最適なアドバイスをいたします。

アレルギーがあってもペットと暮らすための対策5選

大好きなペットと暮らしたい!でもアレルギーが心配…という気持ち、痛いほどよく分かります。私も動物好きなのでアレルギーのあるなしに関わらず、新しい家族を迎えるワクワク感は共感できます。

アレルギー反応で辛い思いをするのは嫌だけれど、ペットとの幸せな生活も諦めたくない…そんなあなたのために、アレルギーがあってもペットと暮らすための対策を5つご紹介します。ちょっとした工夫でアレルギー症状を和らげながら、ペットと幸せな毎日を送ることは十分可能です。具体的な方法を一緒に見ていきましょう。

薬物療法(抗ヒスタミン薬、ステロイド薬など)の種類、効果、副作用

アレルギー症状を抑える薬はいくつか種類があり、症状の重さや体質に合わせて使い分けます。料理する時に、色々なスパイスを組み合わせて最高の味付けを見つけるようなものです。主な薬の種類、効果、そして注意すべき副作用について説明します。

  • 抗ヒスタミン薬: くしゃみ、鼻水、かゆみなどを抑える薬です。飲み薬、点鼻薬、点眼薬など様々な種類があり、症状やライフスタイルに合わせて選択できます。眠くなる副作用があるものもありますが、最近は眠くなりにくい薬も開発されているので、運転をする方や仕事に集中したい方でも安心して使える場合があります。実際に、私のクリニックでも、眠気が気になる患者さんには、第二世代と呼ばれる眠くなりにくい抗ヒスタミン薬を処方することが多いです。
  • ステロイド薬: 炎症を抑える即効性のある強力な薬です。症状がひどい時や、他の薬で効果がない時に使用します。点鼻薬、吸入薬、塗り薬など、様々な種類があります。長期的に使用すると、皮膚が薄くなったり、骨が弱くなったりする副作用が現れる可能性があるので、医師の指示に従って正しく使用することが大切です。
  • ロイコトリエン阻害薬: 気管支の炎症を抑え、咳やゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)を和らげる薬です。飲み薬として服用します。副作用は抗ヒスタミン薬やステロイド薬と比べると少ない傾向がありますが、全くないわけではありません。まれに、肝機能障害や消化器症状などが報告されていますので、体に異変を感じたら、すぐに医師に相談するようにしてください。

舌下免疫療法の効果・費用・期間・副作用

舌下免疫療法とはアレルギーの原因物質であるアレルゲンを少量ずつ舌の下に投与し、体をアレルゲンに慣れさせていく治療法です。少しずつ水温に慣れさせていくことで、冷たいプールにも入れるようになるようなものです。スギ花粉症の治療では広く知られていますが、ダニや犬、猫などのアレルギーにも効果があります。

毎日、自宅で薬を舌の下に垂らすだけなので、注射のように病院に通う手間も省けます。費用は保険適用で月数千円程度です。治療期間は3~5年と長期間かかりますが、アレルギー症状が軽くなったり薬を飲まなくてもよくなったりする効果が期待できます。

副作用として、口の中が少し腫れたり、かゆくなったりすることがありますが、ほとんどの場合数日で治まります。ごくまれにアナフィラキシーショックという重篤なアレルギー反応が起こる可能性もありますが、適切な処置を行えばすぐに回復しますので過度に心配する必要はありません。

家庭でできるアレルギー対策(空気清浄機、掃除など)

家庭でできるアレルギー対策は家の大掃除をするように、アレルゲンを徹底的に排除することが重要です。こまめな掃除機掛け空気清浄機の活用、ペットの寝床の清潔保持、そしてこまめな換気など地道な努力の積み重ねが大きな効果を生み出します。

  • 掃除機: アレルゲンとなるペットの毛やフケを吸い取りましょう。週に2~3回、できれば毎日行うのが理想的です。高性能なHEPAフィルターを搭載した掃除機を選ぶと、より効果的にアレルゲンを除去できます。
  • 空気清浄機: 空気中のアレルゲンを吸い取って、きれいな空気を循環させます。HEPAフィルター搭載の空気清浄機は、特に効果的です。24時間稼働させるのが理想ですが、少なくとも、ペットと過ごす時間帯は稼働させましょう。
  • ペットの寝床: ペットが寝る場所は、アレルゲンが溜まりやすい場所です。ペットの寝具はこまめに洗濯し、天日干ししましょう。週に1回は洗うのが理想的です。
  • 換気: 窓を開けて新鮮な空気を入れることで、室内のアレルゲンを減らすことができます。1日に数回、数分間でも換気をするだけでも効果があります。

アレルギー反応を起こさない犬、猫との接し方

アレルギー反応を最小限に抑えながら、ペットと触れ合うための工夫はいくつかあります。大切な友達と遊ぶ時に、相手を傷つけないように優しく接するようなものです。

  • 手洗い: ペットに触れた後は、すぐに石鹸で丁寧に手を洗いましょう。アレルゲンは目に見えないので、丁寧に洗うことが大切です。
  • 抱っこ: 抱っこや添い寝はアレルゲンへの接触が増えるため、できるだけ控えましょう。どうしても抱っこしたい場合は、マスクや手袋を着用しましょう。
  • ブラッシング: ペットのブラッシングは、アレルゲンとなる毛やフケを減らす効果があります。屋外で行うのが理想的です。
  • 服装: ペットの毛が付きにくい、ツルツルした素材の服を着るようにしましょう。静電気防止加工がされている服も効果的です。

これらの対策を参考にアレルギーがあっても、安心してペットとの幸せな生活を送ってください。

まとめ

犬や猫アレルギーは、フケや唾液などに含まれるタンパク質がアレルゲンとなり、くしゃみ、鼻水、目のかゆみ、咳、喘鳴、皮膚発疹などを引き起こします。

アレルギー反応は、免疫システムがアレルゲンを敵と認識し抗体を作ることで起きます。次回同じアレルゲンに曝露されると、抗体が反応し、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、アレルギー症状が現れます。。

アレルギーがあってもペットと暮らす対策として、薬物療法、舌下免疫療法、家庭での対策、ペットとの適切な接し方があります。薬物療法には、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、ロイコトリエン阻害薬などがあります。舌下免疫療法はアレルゲンを少量ずつ投与し、体を慣れさせる方法です。家庭では掃除機や空気清浄機を活用し、こまめな換気を心がけてください。ペットに触れた後は手洗いを徹底し、抱っこは控えめにしましょう。

アレルギー検査を受けたい方や、アレルギー症状の原因を知りたい方、辛いアレルギー症状でお悩みの方は当院までお気軽にご相談ください。



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