大石内科循環器科医院

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SGLT2阻害薬とは?作用機序や効果、副作用と服用時の注意点を解説

2025.02.12 肥満生活習慣病

SGLT2阻害薬は、腎臓での糖の再吸収を阻害し、尿中に糖を排出させることで血糖値を下げるメカニズムを持っています。心血管疾患のリスク低減や体重減少効果も期待できるという研究結果も出ています。

本記事ではSGLT2阻害薬の作用機序から効果、副作用、服用方法まで、わかりやすく解説します。

SGLT2阻害薬の作用機序と効果

SGLT2阻害薬は、糖尿病治療において革新的な役割を果たす薬剤です。SGLT2阻害薬の作用機序と効果は以下のとおりです。

  • 腎臓での糖の再吸収阻害
  • 効果1:血糖値低下
  • 効果2:心血管イベントリスク減少
  • 効果3:腎保護作用
  • 効果4:体重減少効果

腎臓での糖の再吸収阻害

腎臓は、体内の不要物を排出する重要な臓器です。通常、腎臓は血液中の糖をほぼ完全に再吸収しますが、SGLT2阻害薬は糖を完全に再吸収する過程を変えます。

SGLT2は腎臓の尿細管にある、糖を再吸収するタンパク質です。SGLT2阻害薬の作用は、SGLT2の機能を抑制し、糖の再吸収を減少させることができます。この仕組みによって、通常なら再吸収される糖が尿中に排出されます。

SGLT2は糖を運ぶ「運び屋」の役割を担うタンパク質で、SGLT2阻害薬は「運び屋」の働きを直接抑えるイメージです。

効果1:血糖値低下

SGLT2阻害薬の主な効果は血糖値の低下です。

  • 作用機序:糖の尿中排出量を増加させ、血液中の糖濃度を下げる
  • 特徴:インスリンの作用に依存しないため、インスリン抵抗性の患者にも効果的

SGLT2阻害薬はHbA1c(過去1〜3か月の平均血糖値を反映)低下や、空腹時血糖値を約20〜30 mg/dL低下させます。

効果2:心血管疾患のリスク減少

SGLT2阻害薬は、心血管疾患のリスク低減にも寄与します。

  • 対象:2型糖尿病患者、特に心血管疾患リスクの高い患者
  • 効果:心筋梗塞、脳卒中などの心血管イベントリスクを低減

2024年の研究結果は以下のとおりです。

  • 慢性腎臓病を伴う糖尿病患者も心血管へのリスクが低下
  • 心不全による入院リスクの減少
  • 腎臓の働きを示す指標(eGFR)の50%以上の低下

上記のデータは、SGLT2阻害薬が単なる血糖コントロール薬を超えて、総合的な心血管保護作用を持つことを示しています。

効果3:腎機能の保護作用

SGLT2阻害薬は、糖尿病性腎症の進行を抑制する効果があります。

  • 腎機能低下の抑制:eGFR(推定糸球体濾過量)の低下速度を緩和する
  • アルブミン尿の減少:腎障害の指標となるタンパク尿を減少させる

上記の効果により、糖尿病患者の腎機能維持に貢献し、透析導入リスクを低減する可能性があります。

効果4:体重の減少効果

SGLT2阻害薬には、副次的な効果として体重減少があります。

  • メカニズム:尿中への糖排出によるカロリー損失
  • 平均的な体重減少:3〜4 kg(半年〜1年の使用で)

SGLT2阻害薬による1日の尿糖排出量は約60〜100 gであり、約240〜400 kcalに相当します。SGLT2阻害薬は、血糖コントロールだけでなく、心血管保護、腎保護、体重減少など多面的な効果を持つ革新的な糖尿病治療薬です。個々の患者さんの状態に応じた適切な使用が重要です。

SGLT2阻害薬の種類と副作用

SGLT2阻害薬の種類と副作用について、以下の内容を解説します。

  • 代表的なSGLT2阻害薬
  • 副作用の種類と頻度
  • 重篤な副作用

代表的なSGLT2阻害薬

以下の表は、SGLT2阻害薬の主な種類と特徴をまとめたものです。

一般名商品名服用回数服用タイミング腎機能への影響特記事項
カナグリフロジンカナグル1日1回朝食前または朝食後腎機能低下患者さんに適している場合がある100mg錠しかないため用量調節がしづらい
ダパグリフロジンフォシーガ1日1回朝食時に限定されていない腎疾患への適応あり心血管疾患への適応あり、エビデンスが豊富
エンパグリフロジンジャディアンス1日1回朝食前または朝食後データなし心血管疾患への適応あり、エビデンスが豊富
イプラグリフロジンスーグラ1日1回朝食時に限定データなしインスリン治療と併用可能、半量規格あり
トホグリフロジンデベルザ1日1回朝食時に限定データなし半減期が短く夜間頻尿の副作用が抑えられる
ルセオグリフロジンルセフィ1日1回朝食時に限定データなしフィルム製剤があり持ち運びに便利

上記の表は、各SGLT2阻害薬の主な特徴を比較しています。服用回数はすべて1日1回ですが、服用タイミングや腎機能への影響、その他の特記事項に違いがあります。

トホグリフロジンについては、1日2回分割投与(朝10mg、夕10mg)により、より良好な血糖コントロールが得られる可能性が示唆されています。トホグリフロジンの半減期が他のSGLT2阻害薬と比較して短いことに関連している可能性があります。

常に医師の指示に従い、定期的な経過観察を受けることが重要です。

副作用の種類と頻度

SGLT2阻害薬の主な副作用は以下のとおりです。

  • 脱水症状:のどの渇き、めまい、ふらつきなどの症状がある。こまめな水分補給を行う
  • 尿路感染症:頻尿、排尿時の痛み、発熱などの症状がある。抗菌薬による治療
  • 性器感染症:かゆみ、おりものの増加、痛みなどの症状がある。対策は清潔保持、抗真菌薬による治療
  • 頻尿:トイレが近くなる、夜間頻尿などの症状がある。生活習慣の調整が必要

副作用の頻度は個人差があることも理解しておきましょう。

重篤な副作用

SGLT2阻害薬には重篤な副作用が報告されています。糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、吐き気や嘔吐、腹痛や意識障害などの症状が現れます。フルニエ壊疽(えそ)は、会陰部(えいんぶ)の皮膚の発赤や腫れ、激しい痛みを伴います。早期発見・早期治療が重要であり、発生頻度は0.01%未満です。

SGLT2阻害薬は効果的な糖尿病治療薬ですが、副作用があることにも注意しましょう。医師や薬剤師と密接に連携し、定期的な健康チェックを受けることを推奨します。

SGLT2阻害薬の服用時の注意点

SGLT2阻害薬の服用時の注意点として、以下を解説します。

  • 服用方法とタイミング
  • 他の薬との相互作用
  • 食生活と水分摂取
  • 運動療法との併用
  • 定期的な検査の重要性

服用方法とタイミング

SGLT2阻害薬は通常、1日1回服用します。服用のタイミングは薬剤によって異なります。

  • 食前・食後を問わず服用可能な薬剤(例:カナグリフロジン)
  • 食後すぐの服用が推奨される薬剤(例:エンパグリフロジン)

医師や薬剤師の指示に従い、適切なタイミングで服用することが重要です。多くのSGLT2阻害薬は朝の服用が推奨されており、24時間にわたって血糖コントロールが維持されることが報告されています。

飲み忘れた場合の対処法は以下のとおりです。

  • 気づいたらすぐに服用する
  • 次の服用時間が近い場合は、1回分をスキップする
  • 絶対に2回分を一度に服用しない

飲み忘れが起きないように、服用後はチェックをしたり、スマホのアラームをかけたりしておくなど対策を行うことがおすすめです。

他の薬との相互作用

SGLT2阻害薬と他の薬剤との併用には注意が必要です。インスリン製剤やスルホニル尿素剤との併用は、低血糖リスクが高まる可能性があります。利尿剤との併用では、脱水リスクが増加する可能性が高まります。高齢者や腎機能低下患者さんでは、薬物相互作用のリスクが高まるため、特に注意が必要です。

食生活と水分摂取

SGLT2阻害薬服用中は、バランスの取れた食生活と十分な水分摂取が重要です。

水分摂取の目安は1日1.5~2リットルですが、体格や活動量によって必要な量は異なります。運動時や汗をかく日は、さらに多めに水分を補給しましょう。以下の症状が現れた場合、脱水である可能性があります。

  • 軽度:めまい、立ちくらみ
  • 重度:意識障害、腎機能障害の可能性

極端な糖質制限も避けるべきです。糖尿病性ケトアシドーシスのリスクが高まる可能性があります。

運動療法との併用

適度な運動は、SGLT2阻害薬の効果を高め、血糖コントロールを改善します。普段からウォーキングや軽いジョギングを行うことも意識しましょう。運動の種類や強度は、個人の体力や健康状態に合わせて調整してください。

医師や理学療法士に相談し、適切な運動プログラムを作成することをおすすめします。

定期的な検査の重要性

SGLT2阻害薬服用中は、以下の検査を定期的に受けることが重要です。

  • 血糖値
  • HbA1c
  • 腎機能検査
  • 電解質検査

検査結果にもとづいて、医師が薬の用量や種類を調整します。服用方法や食生活、運動、定期検査を適切に行うことで、最大限の効果を得ながら、副作用のリスクを最小限に抑えることができます。常に医療専門家と相談しながら、個々の状況に合わせた最適な治療計画を立てましょう。

まとめ

SGLT2阻害薬は、糖尿病治療に革新をもたらす可能性を秘めた薬剤です。

主な特徴は以下のとおりです。

  • 腎臓での糖再吸収を阻害し、血糖値を下げる
  • 心血管イベントリスクの減少
  • 腎保護作用
  • 体重減少効果

注意点は以下のとおりです。

  • 適切な服用方法と水分摂取が重要
  • 副作用(脱水、感染症など)に注意
  • 定期的な検査で効果と安全性を確認

医師や薬剤師と相談しながら、個々の状況に合わせた最適な治療計画を立てることが大切です。

当院では、糖尿病や心不全、腎機能が悪い患者様に対して処方(保険診療)を行っているだけでなく、肥満外来にて一部の患者様に対しても減量目的に処方(自費診療)しております。

当院の肥満外来では、専門の医師が栄養指導や運動プログラム、必要に応じて治療薬の処方を通じて、個別のケアプランを提供します。肥満治療薬のみの処方も可能のため、お気軽にご相談ください。



参考文献

Donna S-H Lin, Jen-Kuang Lee, Kuan-Chih Huang, Ting-Tse Lin, Hao-Yun Lo. Effects of sodium-glucose cotransporter2 inhibitors on cardiovascular and renal outcomes in people with diabetes and advanced chronic kidney disease. Diabetologia, 2024, 67(11), p.2459-2470

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