SGLT2阻害薬は、腎臓での糖の再吸収を阻害し、尿中に糖を排出させることで血糖値を下げるメカニズムを持っています。心血管疾患のリスク低減や体重減少効果も期待できるという研究結果も出ています。
本記事ではSGLT2阻害薬の作用機序から効果、副作用、服用方法まで、わかりやすく解説します。
SGLT2阻害薬は、糖尿病治療において革新的な役割を果たす薬剤です。SGLT2阻害薬の作用機序と効果は以下のとおりです。
腎臓は、体内の不要物を排出する重要な臓器です。通常、腎臓は血液中の糖をほぼ完全に再吸収しますが、SGLT2阻害薬は糖を完全に再吸収する過程を変えます。
SGLT2は腎臓の尿細管にある、糖を再吸収するタンパク質です。SGLT2阻害薬の作用は、SGLT2の機能を抑制し、糖の再吸収を減少させることができます。この仕組みによって、通常なら再吸収される糖が尿中に排出されます。
SGLT2は糖を運ぶ「運び屋」の役割を担うタンパク質で、SGLT2阻害薬は「運び屋」の働きを直接抑えるイメージです。
SGLT2阻害薬の主な効果は血糖値の低下です。
SGLT2阻害薬はHbA1c(過去1〜3か月の平均血糖値を反映)低下や、空腹時血糖値を約20〜30 mg/dL低下させます。
SGLT2阻害薬は、心血管疾患のリスク低減にも寄与します。
2024年の研究結果は以下のとおりです。
上記のデータは、SGLT2阻害薬が単なる血糖コントロール薬を超えて、総合的な心血管保護作用を持つことを示しています。
SGLT2阻害薬は、糖尿病性腎症の進行を抑制する効果があります。
上記の効果により、糖尿病患者の腎機能維持に貢献し、透析導入リスクを低減する可能性があります。
SGLT2阻害薬には、副次的な効果として体重減少があります。
SGLT2阻害薬による1日の尿糖排出量は約60〜100 gであり、約240〜400 kcalに相当します。SGLT2阻害薬は、血糖コントロールだけでなく、心血管保護、腎保護、体重減少など多面的な効果を持つ革新的な糖尿病治療薬です。個々の患者さんの状態に応じた適切な使用が重要です。
SGLT2阻害薬の種類と副作用について、以下の内容を解説します。
以下の表は、SGLT2阻害薬の主な種類と特徴をまとめたものです。
一般名 | 商品名 | 服用回数 | 服用タイミング | 腎機能への影響 | 特記事項 |
カナグリフロジン | カナグル | 1日1回 | 朝食前または朝食後 | 腎機能低下患者さんに適している場合がある | 100mg錠しかないため用量調節がしづらい |
ダパグリフロジン | フォシーガ | 1日1回 | 朝食時に限定されていない | 腎疾患への適応あり | 心血管疾患への適応あり、エビデンスが豊富 |
エンパグリフロジン | ジャディアンス | 1日1回 | 朝食前または朝食後 | データなし | 心血管疾患への適応あり、エビデンスが豊富 |
イプラグリフロジン | スーグラ | 1日1回 | 朝食時に限定 | データなし | インスリン治療と併用可能、半量規格あり |
トホグリフロジン | デベルザ | 1日1回 | 朝食時に限定 | データなし | 半減期が短く夜間頻尿の副作用が抑えられる |
ルセオグリフロジン | ルセフィ | 1日1回 | 朝食時に限定 | データなし | フィルム製剤があり持ち運びに便利 |
上記の表は、各SGLT2阻害薬の主な特徴を比較しています。服用回数はすべて1日1回ですが、服用タイミングや腎機能への影響、その他の特記事項に違いがあります。
トホグリフロジンについては、1日2回分割投与(朝10mg、夕10mg)により、より良好な血糖コントロールが得られる可能性が示唆されています。トホグリフロジンの半減期が他のSGLT2阻害薬と比較して短いことに関連している可能性があります。
常に医師の指示に従い、定期的な経過観察を受けることが重要です。
SGLT2阻害薬の主な副作用は以下のとおりです。
副作用の頻度は個人差があることも理解しておきましょう。
SGLT2阻害薬には重篤な副作用が報告されています。糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、吐き気や嘔吐、腹痛や意識障害などの症状が現れます。フルニエ壊疽(えそ)は、会陰部(えいんぶ)の皮膚の発赤や腫れ、激しい痛みを伴います。早期発見・早期治療が重要であり、発生頻度は0.01%未満です。
SGLT2阻害薬は効果的な糖尿病治療薬ですが、副作用があることにも注意しましょう。医師や薬剤師と密接に連携し、定期的な健康チェックを受けることを推奨します。
SGLT2阻害薬の服用時の注意点として、以下を解説します。
SGLT2阻害薬は通常、1日1回服用します。服用のタイミングは薬剤によって異なります。
医師や薬剤師の指示に従い、適切なタイミングで服用することが重要です。多くのSGLT2阻害薬は朝の服用が推奨されており、24時間にわたって血糖コントロールが維持されることが報告されています。
飲み忘れた場合の対処法は以下のとおりです。
飲み忘れが起きないように、服用後はチェックをしたり、スマホのアラームをかけたりしておくなど対策を行うことがおすすめです。
SGLT2阻害薬と他の薬剤との併用には注意が必要です。インスリン製剤やスルホニル尿素剤との併用は、低血糖リスクが高まる可能性があります。利尿剤との併用では、脱水リスクが増加する可能性が高まります。高齢者や腎機能低下患者さんでは、薬物相互作用のリスクが高まるため、特に注意が必要です。
SGLT2阻害薬服用中は、バランスの取れた食生活と十分な水分摂取が重要です。
水分摂取の目安は1日1.5~2リットルですが、体格や活動量によって必要な量は異なります。運動時や汗をかく日は、さらに多めに水分を補給しましょう。以下の症状が現れた場合、脱水である可能性があります。
極端な糖質制限も避けるべきです。糖尿病性ケトアシドーシスのリスクが高まる可能性があります。
適度な運動は、SGLT2阻害薬の効果を高め、血糖コントロールを改善します。普段からウォーキングや軽いジョギングを行うことも意識しましょう。運動の種類や強度は、個人の体力や健康状態に合わせて調整してください。
医師や理学療法士に相談し、適切な運動プログラムを作成することをおすすめします。
SGLT2阻害薬服用中は、以下の検査を定期的に受けることが重要です。
検査結果にもとづいて、医師が薬の用量や種類を調整します。服用方法や食生活、運動、定期検査を適切に行うことで、最大限の効果を得ながら、副作用のリスクを最小限に抑えることができます。常に医療専門家と相談しながら、個々の状況に合わせた最適な治療計画を立てましょう。
SGLT2阻害薬は、糖尿病治療に革新をもたらす可能性を秘めた薬剤です。
主な特徴は以下のとおりです。
注意点は以下のとおりです。
医師や薬剤師と相談しながら、個々の状況に合わせた最適な治療計画を立てることが大切です。
当院では、糖尿病や心不全、腎機能が悪い患者様に対して処方(保険診療)を行っているだけでなく、肥満外来にて一部の患者様に対しても減量目的に処方(自費診療)しております。
当院の肥満外来では、専門の医師が栄養指導や運動プログラム、必要に応じて治療薬の処方を通じて、個別のケアプランを提供します。肥満治療薬のみの処方も可能のため、お気軽にご相談ください。
Donna S-H Lin, Jen-Kuang Lee, Kuan-Chih Huang, Ting-Tse Lin, Hao-Yun Lo. Effects of sodium-glucose cotransporter2 inhibitors on cardiovascular and renal outcomes in people with diabetes and advanced chronic kidney disease. Diabetologia, 2024, 67(11), p.2459-2470
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