大石内科循環器科医院

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高齢者のクレアチニンが基準値より高いのは危険?原因やリスク、合併症について

2025.02.25 高齢者向け

高齢になると、健康診断でクレアチニン値が高いと指摘される方が多いです。実は、加齢とともにクレアチニン値は上昇しやすく、70歳以上では若い人よりも高い傾向があるという研究結果も存在します。

クレアチニン値の上昇は、腎機能の低下を示す指標の一つです。適切な管理を行わない場合、腎不全や心血管疾患、貧血、骨粗鬆症などの合併症のリスクが高まる可能性があります。2023年にJAMA Network Openで発表された研究によると、正常範囲内のクレアチニン値であっても、より高値を示す場合は、健康リスクとの関連が示唆されています。健康寿命を延ばすためにもクレアチニンについて知り、腎臓の健康について一緒に考えてみましょう。

大石内科循環器科医院では、オンライン診療も行っており、自宅やオフィスからでも診察が可能です。通院のしやすさにも定評がありますので、お悩みの方は気軽にご相談ください。

高齢者のクレアチニン値が高い原因4選

高齢者のクレアチニン値が高い原因について、以下の4つを解説します。

  • 加齢による肝機能の低下
  • 慢性肝臓病(CKD)
  • 糖尿病や高血圧などの生活習慣病
  • 脱水症状

加齢による腎機能の低下

歳を重ねると、身体のさまざまな機能が低下していきます。腎臓の機能も例外ではありません。腎臓は、血液をろ過して老廃物(身体にとって不要なもの)を取り除き、尿として排出する重要な役割を担っています。

ろ過機能は、腎臓にある糸球体(しきゅうたい)と呼ばれる小さな器官で行われています。糸球体は顕微鏡でやっと見えるほどの小さな毛細血管の塊で、老廃物が濾し取られます。

糸球体のろ過能力は、一般的に30歳くらいをピークに徐々に低下していくと言われています。若い頃は、多少腎臓に負担がかかっても、元気な糸球体がカバーしてくれるので、クレアチニン値は正常範囲内に収まります。しかし、高齢になると糸球体の数が減少し、働きも弱くなってくるため、老廃物を効率的に排出できなくなり、クレアチニン値が上昇しやすくなります。

クレアチニンは筋肉で作られる老廃物なので、筋肉量が減るとクレアチニンの産生量も減り、結果として血中のクレアチニン値が低くなる傾向があります。高齢者のクレアチニン値を評価する際には、年齢と筋肉量を考慮する必要があるのです。

高齢の方では、血清クレアチニン値が年齢と相関関係にあります。腎機能を評価する指標である糸球体濾過量(GFR)は、加齢とともに低下していくことが知られています。

慢性腎臓病(CKD)

慢性腎臓病(CKD)とは、腎臓の機能が慢性的に低下している状態のことです。CKDは初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行してしまう場合が多く、クレアチニン値の上昇によって発見されることも少なくありません。健康診断でクレアチニン値が高いと指摘されて初めて、腎臓に問題があることに気づく方もいらっしゃいます。

CKDの原因はさまざまですが、主な要因として以下が挙げられます。

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 慢性糸球体腎炎(まんせいしきゅうたいじんえん)

さまざまな要因が腎臓の糸球体が損傷を受け、ろ過機能が低下することで、クレアチニン値が上昇します。CKDは初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な健康診断や血液検査で早期発見・早期治療を行うことが重要です。

糖尿病や高血圧などの生活習慣病

糖尿病や高血圧などの生活習慣病も、クレアチニン値の上昇に大きく関わっています。糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなる病気です。高血糖の状態が続くと、腎臓の血管が傷つき、ろ過機能が低下します。

高血圧は、血管に常に高い圧力がかかっている状態です。腎臓は、血液をろ過するために多くの血管が集まっている臓器であるため、高血圧の影響を受けやすく、腎臓の血管が損傷し、機能が低下しやすくなります。

生活習慣病によって腎臓の機能が低下すると、クレアチニン値が上昇する原因となります。糖尿病や高血圧は、自覚症状が少ない場合も多いので、日頃から健康診断を受けるなどして、早期発見・早期治療に努めることが大切です。

高血圧の原因や対策について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>高血圧はなぜ起こる?原因と対策をわかりやすく解説

脱水症状

脱水症状も、クレアチニン値を上昇させる原因の一つです。体内の水分が不足すると、血液が濃縮されます。血液中のクレアチニン濃度も高くなるため、クレアチニン値が上昇します。

高齢者は、若い人に比べて体内の水分量が少なく、脱水になりやすい傾向があります。高齢になるとのどの渇きを感じにくくなるため、気づかないうちに脱水になっている場合もあります。

暑い時期や運動後などは、意識的に水分を摂取するように心がけましょう。高齢者の場合、持病によっては水分摂取を制限されている場合もあるので、医師に相談しながら適切な水分量を摂取することが大切です。

クレアチニン値が高い場合のリスクと合併症

クレアチニン値が高いことは、腎機能低下の可能性を示す指標の一つであり、適切な管理をしないとさまざまなリスクや合併症を引き起こす可能性があります。クレアチニン値が高い場合のリスクと合併について、以下の4つを解説します。

  • 腎不全
  • 心血管疾患(高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中など)
  • 貧血
  • 骨粗鬆症

腎不全

腎臓は、血液をろ過して老廃物を除去し、尿として排出する役割を担っています。腎臓の働きが慢性的に低下した状態が慢性腎臓病(CKD)で、さらに悪化すると腎不全に至る可能性があります。腎不全になると、老廃物が体内に蓄積し、さまざまな症状が現れることがあります。

初期段階では自覚症状がない場合も多いですが、病気が進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • むくみ
  • 倦怠感
  • 吐き気
  • 食欲不振
  • 息切れ

健康な腎臓は、体内の老廃物を効率的に除去し、体液のバランスを保つことで健康を維持しています。しかし、腎不全になると、老廃物が蓄積し、電解質バランスが崩れ、健康に重大な影響を及ぼす可能性があります。

腎不全が進行すると、腎臓の機能を人工的に代替する治療法である人工透析が必要になるケースもあります。人工透析は、血液を体外に取り出し、人工腎臓という機械で老廃物を除去し、再び体内に戻す治療法です。週に数回、数時間かけて行う必要があり、患者さんの生活に大きな負担がかかります。

心血管疾患(高血圧、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中など)

腎臓の働きが弱ると、心血管疾患のリスクを高める可能性があります。腎臓は血圧を調整するホルモンを分泌しており、腎臓の働きが悪くなると、ホルモンのバランスが崩れ、血圧が上昇しやすくなります。高血圧は、血管に負担をかけ、動脈硬化を引き起こす要因となります。

動脈硬化とは、血管の壁が硬く厚くなってしまう病気です。血管が硬くなると血液の流れが悪くなり、心臓や脳に十分な酸素や栄養が届きにくくなります。その結果、心筋梗塞や脳卒中といった重大な病気を引き起こす可能性があります。

2023年に発表された研究では、正常範囲内であっても高い尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)は、特に心血管の状態が悪い成人において、全死亡率リスクの有意な上昇と関連していることが示唆されています。

貧血

腎臓は、赤血球の産生を促すホルモンであるエリスロポエチンを分泌しています。腎臓の働きが悪くなると、ホルモンの分泌が減少し、赤血球の産生が抑制され、貧血を引き起こす可能性があります。貧血になると、体内に十分な酸素が供給されなくなり、以下の症状が現れることがあります。

  • 疲れやすさ
  • 息切れ
  • 動悸
  • めまい
  • 顔色の悪さ

健康な方であれば、体内で酸素を運ぶ赤血球は常に一定量作られ、全身に酸素が行き渡っています。しかし、貧血になると、体内で作られる赤血球の数が減少し、全身への酸素供給が不足します。

身体は酸素不足を補おうとして心臓をより速く動かすため、動悸やめまいが起こりやすくなります。皮膚や粘膜への酸素供給も不足するため、顔色が悪くなることもあります。

骨粗鬆症

腎臓は、骨の形成に必要なビタミンDを活性型に変換する役割を担っています。腎臓の働きが悪くなると、ビタミンDの活性化がうまくいかなくなり、カルシウムの吸収が阻害され、骨がもろくなりやすくなり、骨粗鬆症のリスクを高めることにつながります。

骨粗鬆症になると、骨が弱くなり、骨折しやすくなります。高齢者は転倒のリスクも高いため、骨折のリスクはさらに高まります。

高齢者のクレアチニン値を下げるための対策3選

クレアチニン値を下げるために、生活習慣の見直しや医師による適切な管理により、腎臓への負担を軽減できる可能性があります。クレアチニン値を下げるための具体的な3つの対策を解説します。

  • 食事療法(低タンパク、減塩、カリウム、リン制限など)
  • 適度な運動
  • 薬物療法(医師の指示による)

食事療法(低タンパク、減塩、カリウム・リン制限など)

食事療法の目的は、腎臓のろ過機能への負担を軽減することにあります。具体的には、タンパク質や塩分、カリウム、リンの摂取を制限することが重要です。それぞれの栄養素について、なぜ制限が必要なのか、具体的な食品例を挙げながら見ていきましょう。

  • タンパク質
    クレアチニンの原料となるため、過剰摂取はクレアチニン値を上昇させます。肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などに多く含まれます。1日の摂取量の目安は、ご自身の体重1kgあたり0.6~0.8gです。例えば体重が50kgの方であれば、1日に30~40gのタンパク質摂取が目安となります。
  • 塩分
    塩分の過剰摂取は、腎臓での老廃物の排出を阻害し、むくみの原因にもなります。醤油、味噌、漬物、加工食品などに多く含まれています。1日の摂取量の目安は6g未満です。薄味を心がけ、だしや香辛料を活用することで、減塩を意識せずに美味しく食事を楽しめます。
  • カリウム
    腎臓の機能が低下すると、カリウムの排出が困難になり、高カリウム血症を引き起こす可能性があります。高カリウム血症は、不整脈などの深刻な症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。カリウムは、バナナやほうれん草、ナッツ類、ドライフルーツ、海藻などに多く含まれています。1日の摂取量の目安は2,000mg程度です。生野菜は茹でこぼすことでカリウムを減らすことができます。
  • リン
    腎臓の機能が低下すると、リンの排出も困難になります。高リン血症は、骨粗鬆症や血管の石灰化などのリスクを高める可能性があります。リンは、乳製品や加工食品、ナッツ類などに多く含まれています。1日の摂取量の目安は800~1,000mgです。リン含有量の少ない食品を選ぶようにしましょう。

栄養素のバランスを考慮しながら、腎臓に優しい食事を心がけることが重要です。腎臓病食のレシピサイトなどを参考に、毎日の食事に取り入れてみましょう。栄養士に相談して、個別の食事指導を受けるのも良いアイデアです。栄養の専門家からアドバイスを受けることで、より効果的な食事療法を実践できます。

適度な運動

適度な運動は、血行を促進し、腎臓の機能維持に役立ちます。高齢者の場合、激しい運動はかえって腎臓に負担をかける可能性があるので、ウォーキングや軽い体操など、無理のない範囲で体を動かすようにしましょう。1日30分程度のウォーキングを週に数回行うだけでも、血行促進効果が期待できます。

運動をすることで、筋肉量の維持や基礎代謝の向上にもつながります。筋肉はクレアチニンの産生源ですが、適切な運動は腎機能の維持に役立つため、過度に筋肉量を増やすことを心配する必要はありません。

すでに腎臓病を患っている方は、運動の種類や強度について、必ず医師に相談してください。安全かつ適切な運動メニューを作成し、自分の体力や体調に合わせて、無理なく続けられる運動を見つけましょう。

薬物療法(医師の指示による)

食事療法や運動療法でクレアチニン値が改善しない場合、またはすでに腎機能が低下している場合は、医師の指示にもとづいて薬物療法を行う場合があります。薬物療法には、腎臓の働きをサポートする薬や、クレアチニン値を上昇させる原因となる病気を治療する薬など、さまざまな種類があります。

薬は、腎臓病の進行を遅らせたり、合併症を防いだりする効果が期待できます。ただし、薬には副作用が生じる可能性もあるので、医師の指示に従って正しく服用することが大切です。

自己判断で薬の量を増やしたり、中断したりすることは絶対に避けましょう。気になることや不安なことがあれば、必ず医師や薬剤師に相談するようにしてください。ご自身の症状や体質に合った薬を、適切な量で服用することが重要です。

まとめ

高齢者のクレアチニン値が高い原因は、加齢による腎機能の低下以外にも、慢性腎臓病や生活習慣病、脱水症状など、さまざまな原因が考えられます。クレアチニン値が高いと、以下のようなリスクが高まるため注意が必要です。

  • 腎不全
  • 心血管疾患
  • 貧血
  • 骨粗鬆症

クレアチニン値を下げるためには、食事療法適度な運動、そして医師の指示による薬物療法が腎臓への負担軽減に役立つ可能性があります。高齢になると腎臓の機能は低下しやすいため、日頃から食事や運動に気を配り、定期的な健康診断で早期発見・早期治療に努めましょう。

気になることがあれば、早めに医療機関を受診し、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。また、高齢の方は糖尿病にも注意が必要です。糖尿病の症状や治療法について網羅的に知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>糖尿病の症状や治療法について

参考文献

大石内科循環器科医院
420-0839
静岡市葵区鷹匠2-6-1
TEL:054-252-0585

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