大石内科循環器科医院

静岡市葵区鷹匠2-6-1 新静岡駅より 徒歩3分 駐車場あり

静岡市葵区鷹匠2-6-1
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急性胃腸炎

1. 急性胃腸炎とは
2. ウイルス性胃腸炎とは
3. アデノウイルスとは
4. ロタウイルスとは
5. ノロウイルスとは
6. 細菌性腸炎とは
7. サルモネラ菌とは
8. カンピロバクターとは
9. 腸炎ビブリオとは
10. 治療

1.急性胃腸炎とは

急性胃腸炎は病原体(ウイルス、細菌、寄生虫)が感染することによって腸に炎症を来す疾患です。

2.ウイルス性胃腸炎とは

アデノウイルス、ロタウイルス、ノロウイルスなどが原因で、冬場に起こりやすい胃腸炎です。
ウイルス感染症の最も一般的な症状は悪心・嘔吐や水様性下痢であり、高熱や血便はまれです。

3.アデノウイルスとは

アデノウイルスとは、呼吸器、目、腸、泌尿器などに感染症を起こす原因ウイルスです。
1953年に発見され51の型に分類、病気と関係が深いのは1~8型です。多くの型があるため、免疫がつきにくく、何回もかかることがあります。

感染経路

汚れた手指やタオルの共有、プールでの接触、呼吸器からの飛沫など様々な経路で感染します。

アデノウイルスが引き起こす感染症

胃腸炎、呼吸器感染症、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、出血性膀胱炎がある。

予防と対策

流水と石けんを使った十分な手洗いが対策の中心です。手洗い後、アルコール手指消毒薬を使うことで、さらなる予防効果が期待できます。
またタオルの共有は避けましょう。アデノウイルスは熱に弱いので、感染者が使ったタオルは、熱水で洗濯すれば消毒できます(目安は85℃で1分間以上)。熱水洗濯が難しい場合は、水洗いした後に次亜塩素酸ナトリウムを使って消毒する方法も有効です。

4.ロタウイルスとは

ロタウイルス感染症は、乳幼児をはじめ子どもに多い急性胃腸炎を引き起こす感染症で、2〜3月にかけて最も多く発生します。他のウイルス性胃腸炎に比べて下痢や嘔吐の症状が激しいことが多く、入院が必要となる小児 急性胃腸炎の原因のうち50%を占めるとされています。
成人にも感染しますが、軽症で済んだり発症しなかったりする場合がほとんどです。治ったあとの免疫は不完全で、再び感染することもありますが、通常二度目は重症にはなりません。
尚、原因ウイルスであるロタウイルスは、10~100個程度でも体内に入れば感染するので、非常に感染力が強く(便1g中には1億から100億程度のウイルスが排出されます)生後6ヶ月〜歳の乳幼児に多くみられ、5歳までには大半の子どもがかかります。

症状

症状は2~4日の潜伏期間後、突発的に起こることが多く見られます。
白っぽい水様便が一日に何度も出る。下痢・嘔吐を繰り返しおこす。39度以上の発熱や腹痛。咳や鼻水。

予防

帰宅後の手洗いうがい、トイレの後はしっかり手を洗いましょう。
感染者の排泄物の処理の際は手袋、マスクを着けて処理しましょう。
カキなどの2枚貝を食べるときは生食は出来るだけ避けて、十分に加熱して食べましょう。
食器、調理具等は、熱湯(85度以上)による1分以上の加熱が有効的です。
次亜塩素酸ナトリウムによる消毒も有効です。ハイター等の漂白剤にも成分が入っています。

5.ノロウイルスとは

ノロウイルスとは毎年11~1月に流行する、感染性胃腸炎の原因となるウイルスです。主にヒトの手指や食品などを介して感染し、おう吐、下痢、腹痛などの症状を引き起こします。
ノロウイルスの治療薬や予防のワクチンはなく、特に抵抗力の弱い子どもやお年寄りは吐いた物を喉に詰まらせたり、肺に入って肺炎を起こして死亡するケースもあるので注意が必要です。
またノロウイルスは感染力が非常に強く、感染者の吐物や糞便中に含まれる数百万~数億個のうち、わずか10~100個程度で感染すると言われています。
このように非常に強力なウイルスとして知られ、少量でも感染能力があるばかりか、ノロウイルスは、過去に一度ノロウイルスに感染していても免疫がつかず、何度でも感染する可能性があります。

主な症状

感染すると、1~2日で発症。吐き気、おう吐、下痢、腹痛などを引き起こし、発熱することはあっても、高熱になることはあまりありません。通常、これらの症状が1~2日続いた後、自然に回復しますが、高齢者や子供の場合は、1日に20回以上の下痢をおこし、脱水症状などで入院が必要となることがあります。
また、感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もあります。しかし、そんな人の糞便にも発症者と同じほどのウイルスが潜んでいるため、二次感染の予防対策に注意が必要です。

予防

・手洗いは手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法です。
帰宅時や調理を行う前、食事前、トイレの後に、流水と石鹸による手洗いを行いましょう。また、弱酸性エタノールなどを合わせて使いましょう。

・食事はなるべく火を通したものを食べましょう。特に貝類(主に牡蠣、シジミ、アサリなどの二枚貝)はしっかり加熱した状態であれば感染しませんが、お年寄りや子供、大人であっても体調の悪い人が、生や不十分な加熱状態で食べると、感染するリスクが高まります。
二枚貝を食べるときは、中心部まで十分加熱調理(85~90℃で90秒以上)しましょう。抵抗力の弱い高齢者や赤ちゃんは避ける方が無難です。一般的にウイルスは熱に弱く、加熱によりウイルスは失活します。

・調理台や非金属製の調理器具は洗剤などを使用して十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム(0.02%以上)で浸すように拭き取ります。ただし次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させる性質があるので、包丁などの金属製調理器具や食器類はアルコールによる二度拭き、または、熱湯(85℃で1分以上)による加熱が有効です。特に二枚貝を調理する場合は専用の調理器具を用いるか、使用のたびに、熱湯消毒するなどの対策を行いましょう。

手や食器、調理器具類を清潔にすることはもちろん、ドアノブや手すり、トイレ、イスなど、家族皆で使用する共有箇所のウイルス除去も大切です。ドアノブや配管類、家具などの金属部に次亜塩素酸ナトリウムを用いて消毒すると、さびが生じ、使用した場所によっては元には戻せないこともあるので注意しましょう。消毒後、十分に薬剤をふき取るか、もしくは臭いが少なく、プラスチックや金属に対する影響が少ないアルコールでの消毒がおすすめです。

6.細菌性腸炎とは

サルモネラ菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオなどの細菌が原因で、夏場に起こりやすいのが特徴です。発熱や極度の疲労、血性下痢を引き起こす可能性が高いといわれています。

7.サルモネラ菌とは

サルモネラは、人をはじめ、牛や豚やにわとりなどの家畜の腸内、河川・下水など自然界に広く生息していている細菌です。保菌しているネズミ・ハエ・ゴキブリや、犬・猫・カメなどの「ペット」からの感染にも注意が必要です。

原因となる食品

・牛、豚、鶏などの「食肉」や「卵」。
・感染者が調理する過程で”手”を介して「二次汚染された食品」。

潜伏期間

6-72時間程度

主な症状

吐き気・腹痛(下腹部)・38℃前後の発熱・下痢など。 (重症の場合、致死率0.2〜0.5%)長期にわたり保菌者となることもあります。

対策

ほとんどの細菌やウイルスは、加熱によって死滅します。肉や魚はもちろん、野菜なども加熱して食べれば安心。特に肉料理は中心までよく加熱することが大事です。
鶏肉のサルモネラ汚染率は20〜30%と言われていますので、特に鶏肉や卵は十分に加熱調理しましょう。

8.カンピロバクターとは

カンピロバクターは牛や豚などの家畜や鶏などの家禽の腸管に生息しています。カンピロバクターは、鶏肉から感染することが最も多いという報告がなされています。

原因

・鳥の刺身やささみを生の状態、または過熱が不十分な状態で食した場合。
・鶏肉に触れた手で、食器や調理器具に触れそれを介して他の食品に触れてしまい、移ってしまった場合。

潜伏期間

2-7日間程度

主な症状

腹痛、下痢や嘔吐、発熱が起こります。初期症状は風邪と同様なので間違われることもあります。これらの症状の他に頭痛、めまい、倦怠感などが起こります。
特に下痢は、日に10回を超える場合もあり、それが1~3日間続きます。下痢が続いて動くのもつらい状態になってきた場合は、すぐに受診してください。
カンピロバクターによる食中毒を発症してから2週間くらいして、急に体が動かせなくなることがあります。この場合、ギランバレー症候群という病気が疑われます。ギランバレー症候群は、急性かつ多発性の根神経炎で、身体の筋肉が動かせなくなる病気です。重症だと寝たきりになったり、呼吸筋麻痺で人工呼吸管理が必要になったりすることもあります。
カンピロバクターに対する抗体が自分の体を攻撃してしまうために起こると考えられており、治療としては免疫グロブリン大量療法や、血漿交換療法、免疫吸着療法で有害な抗体を除去することを試みます。
ほとんどの場合は、数週間の間に徐々に良くなり完治します。しかし15~20%は重症化し、2%程度の死亡率がありますので注意が必要です。

対策

生肉や加熱不十分な鶏肉料理を避けましょう。二次汚染防止のために、食肉は他の食品と調理器具や容器を分けて調理や保存を行うようにしましょう。
食肉を取り扱った後は手やまな板や包丁を十分に洗ってから他の食品を取り扱い、肉に触れた調理器具等は使用後洗浄・殺菌を行うようにしましょう。

9.腸炎ビブリオとは

主に海にいる細菌であるビブリオ菌の一種による食中毒です。

原因

魚介類の刺身や寿司から感染する。夏に多い。

潜伏期間

12時間前後

主な症状

発熱と激しい腹痛、下痢を起こす吐き気や嘔吐を伴うこともあります。症状は、原因となる食べ物を口に入れてから、およそ半日くらいで発症します。
高齢者では血圧の低下や不整脈を伴うことがあり、重症化しやすい傾向があります。

対策

魚介類は、調理前に流水(水道水)で良く洗って菌を洗い流してください。魚介類に使った調理器具類は良く洗浄・消毒して二次汚染を防ぎます。魚介類を調理したままのまな板で、野菜などを切らないようにしましょう。(まな板を使い分ける)
夏季の魚介類の生食は十分注意し、わずかな時間でも冷蔵庫でできれば4℃以下に保存しましょう。
(腸炎ビブリオは低温では増殖できません。また、低温で腸炎ビブリオの増殖は抑えられるものの、凍結しても短期間では死滅しません。)
冷凍食品を解凍する際は専用の解凍庫や冷蔵庫内で行ないましょう。
加熱調理する場合は、中心部まで充分に加熱してください(60℃、10分以上)。

細菌性は夏場に、ウイルス性は冬場に流行しやすいとされていますが、近年は食品事情からこの限りではないようです。
細菌性の方が重症化しやすく、嘔吐や下痢の他に発熱・腹痛があり、重症化すると血液が混入した便が出たりショック症状を起こすこともあります。

10. 治療

一般的にウイルス性胃腸炎は自然治癒する事が多いために、症状を抑える治療を行います。
下痢や嘔吐により脱水にならないように、小まめな水分補給や場合によっては点滴などが行われます。ただし、下痢止めは排出されるべき腸内容物や病原体を腸内にとどめてしまい、治癒が遅れることがあるため、通常は使用しない方がよいと言われています。
また、細菌性や寄生虫による感染性腸炎の場合には、病原体の種類や重症度などに応じて抗菌薬や抗寄生虫薬の処方が検討されることもあります。

感染性腸炎は、原因菌や本人の体力や基礎疾患などにより症状の程度が様々です。
そのため、特に下記のような症状がある方は医療機関を受診して下さい。

・血便を認める。
・悪心・嘔吐、下痢に加え高熱を認める。
・口からの水分補給が難しく、脱水症状が出現している。
・腹痛があり、便意を感じるにもかかわらずトイレに行って排便しようとしても便が出ない(しぶり腹)。

参考文献:MSDマニュアル  Thomas G. Boyce , MD, MPH, University of North Carolina School of Medicine、東京都保険医局HP 感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎を中心に) 東京都保健医療局 (tokyo.lg.jp)

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