大石内科循環器科医院

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下肢静脈瘤

下肢静脈瘤について

あなたは「立ち仕事だから足がむくむのは仕方ない」「年齢のせいかな」 そう感じていませんか? 実はそれ、放置すると怖い病気のサインかもしれません。

夕方になると足がむくむ、足の血管がボコボコしている…それはもしかしたら下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)かもしれません。 実は、日本人女性の約3人に1人がかかっているとも言われ、決して他人事ではない身近な病気なのです。

今回は下肢静脈瘤の原因や症状、治療法について詳しく解説していきます。 ご自身の体と向き合い、健康な状態を保つためのヒントとして、ぜひ最後まで読んでみてください。

下肢静脈瘤の主な症状と診断方法

「立ち仕事だから足がむくむのは仕方ない」「年齢のせいかな」、そう思っていませんか? 確かに、夕方になると足がむくむといった症状は、誰にでも起こる可能性があります。しかし、その症状、実は下肢静脈瘤のサインかもしれません。

下肢静脈瘤は、足の静脈弁がうまく機能しなくなり、血液が心臓に戻りにくくなることで引き起こされます。心臓から送り出された血液は、動脈を通って全身に運ばれ、再び静脈を通って心臓に戻ります。この時、足の静脈は重力に逆らって血液を心臓に戻す必要があり、その役割を担っているのが静脈弁です。静脈弁は、血液が逆流するのを防ぐ「一方通行の扉」のような役割を果たしています。

しかし、この静脈弁が壊れてしまうと、血液が逆流して静脈内に滞ってしまいます。これが、足の血管が浮き出るなどの症状を引き起こすのです。

下肢静脈瘤の代表的な症状5つ

下肢静脈瘤の代表的な症状としては、以下の5つが挙げられます。

  1. 足の血管がボコボコと浮き出る: 静脈に血液が滞ることで血管が太く、蛇行して皮膚の表面に浮き出てきます。色は青紫色であることが多く、足の甲やふくらはぎによく見られます。太さは人によって異なり、髪の毛のように細いものから鉛筆のように太いものまで様々です。
  2. 足のむくみ: 特に夕方になると、重力によって足に血液が溜まりやすくなるため、むくみが強くなります。靴下のゴムの跡が残ったり、靴がきつくなったりすることがあります。
  3. 足のだるさ・重さ: 血液の循環が悪くなることで足に疲労物質が溜まり、だるさや重さを感じるようになります。
  4. 起床時のこむら返り: 就寝中に足がつりやすくなる、いわゆる「こむら返り」も、下肢静脈瘤の初期症状の一つです。これは静脈の血流が悪くなることで、足の筋肉に十分な酸素が供給されなくなり、筋肉がけいれんを起こしやすくなるためと考えられています。
  5. 皮膚の変化: 症状が進行すると、皮膚に様々な変化が現れます。かゆみ、湿疹、色素沈着などがみられるようになり、重症化すると皮膚が硬くなる、潰瘍ができるといったこともあります。

これらの症状は、全ての人に現れるわけではなく、個人差が大きい点が特徴です。また、初期段階では自覚症状がほとんどない場合もあるため注意が必要です。

診断に用いられる検査法の種類

下肢静脈瘤の診断には、主に以下の検査が行われます。

  • 視診・触診: 医師が目で見て確認する視診と実際に手で触れて確認する触診によって、足の血管の状態を診察します。皮膚表面に浮き出た静脈瘤の有無や大きさ、範囲などを確認します。また、足のむくみや皮膚の変化などもチェックします。
  • 超音波検査(エコー検査): 超音波を使って、血管内の血液の流れを詳しく調べます。超音波検査では静脈の太さや形、血液の逆流の有無、血栓の有無などを確認できます。痛みもなく体に負担の少ない検査なので、妊婦さんでも安心して受けることができます。

これらの検査の結果に基づいて、下肢静脈瘤の重症度を判断し適切な治療法を決定します。

早期発見の重要性とその方法

下肢静脈瘤は、初期段階では自覚症状が出にくい病気です。そのため「少し足がだるい」「血管が浮き出ているけど、痛みはないから大丈夫」と安易に考えてしまいがちです。

しかし放置すると皮膚の色素沈着や潰瘍などの皮膚病変を引き起こしたり、血栓症などの重篤な合併症のリスクを高める可能性があります。血栓症は血管内に血の塊ができてしまう病気で、肺に詰まると肺塞栓症という命に関わる病気になってしまうこともあります。

早期発見・早期治療が重要です。早期発見のためには、以下のポイントに注意しましょう。

  • 足のむくみやだるさ、血管の浮き出など、気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
     特に、これまで経験したことのない足の症状が現れた場合は注意が必要です。
  • 健康診断などで足の血管の状態をチェックしてもらうことも有効です。
    健康診断の結果で気になる点があれば、必ず医師に相談しましょう。
  • セルフチェックとして、お風呂上がりなどに足の血管の状態を観察してみましょう。
    血管が浮き出ていないか、皮膚に変化がないかなどをチェックします。

下肢静脈瘤は適切な治療を行うことで、症状の改善や進行の抑制が期待できます。少しでも気になることがあれば一人で悩まず、当院へご相談ください。

下肢静脈瘤の原因と発症メカニズム

「足の血管がボコボコしているのは、見た目が気になるだけだろう」 「立ち仕事だから、足がむくむのは仕方がない」

そう思って、軽く考えてはいませんか?

実は、その足の血管の異常、下肢静脈瘤が原因かもしれません。 そして下肢静脈瘤は、進行すると治療が困難になるばかりか、命に関わる合併症を引き起こす可能性もある病気なのです。

ここからは、下肢静脈瘤の原因と発症メカニズムについて解説していきます。

私たちの体の中を走る血管は、大きく分けて動脈と静脈の2種類があります。 動脈は心臓から押し出された酸素を豊富に含んだ血液を、全身に送り届けるための血管です。 一方、静脈は全身を巡って戻ってきた血液を、再び心臓へと運ぶための血管です。

心臓から足の先まで血液を運ぶのは、重力の力も働くため比較的スムーズです。 しかし足の先から心臓へ血液を戻すためには、重力に逆らって血液を押し上げなければなりません。

そこで活躍するのが静脈に備わっている「静脈弁」という、とても小さなフタのようなものです。 この静脈弁は血液が逆流するのを防ぎ、心臓に向かって一方通行で流れるようにサポートする役割を担っています。

わかりやすく例えるなら静脈弁は、坂道に設置された「階段」のようなものです。 階段があれば、坂道を上るのも楽になりますよね。 静脈弁も、血液が心臓へスムーズに戻るための「階段」のような役割を果たしているのです。

しかし、この静脈弁が壊れてしまうと、血液が逆流してしまい静脈内に血液が滞ってしまいます。 その結果、静脈内の圧力が高まり、血管が拡張して皮膚の表面にボコボコと浮き出て見えてしまうのです。これが、下肢静脈瘤の正体です。

発症に影響を与えるリスクファクター

下肢静脈瘤は誰でも発症する可能性がありますが、特に発症リスクを高める要因がいくつかあります。

  • 立ち仕事: 長時間立ち続ける仕事をしている人は、足の静脈に常に負担がかかり続け静脈弁がダメージを受けやすくなります。 例えば、看護師、美容師、販売員などの職業の方は、注意が必要です。
  • 妊娠・出産: 妊娠中は、お腹の赤ちゃんが大きくなるにつれて骨盤内の静脈が圧迫され、血液の戻りが悪くなりやすくなります。また、女性ホルモンの影響で静脈が拡張しやすくなることも、下肢静脈瘤のリスクを高める要因となります。
  • 遺伝: 下肢静脈瘤は遺伝的な影響も大きく両親や祖父母が下肢静脈瘤の場合、発症リスクが高くなる可能性があります。 家族に下肢静脈瘤の方がいる場合は、特に注意が必要です。
  • 肥満: 体重が増加すると、足の静脈にかかる負担も大きくなります。 体重が重いほど、心臓へ血液を戻すために静脈はより多くの働きをしなければならず、その結果、静脈弁に負担がかかりやすくなるのです。
  • 加齢: 年齢を重ねるにつれて血管や弁は弾力性を失い、機能が低下しやすくなります。 そのため、高齢者は下肢静脈瘤を発症しやすくなる傾向にあります。
  • 長時間座っていること: デスクワークなど、長時間座りっぱなしの生活習慣も、足の血流を滞らせ、下肢静脈瘤のリスクを高める要因となります。
  • 下肢の骨折や外傷: 過去の足の骨折や外傷がきっかけで、静脈弁が損傷し、下肢静脈瘤を発症することがあります。
  • 深部静脈血栓症: 血液のかたまりである血栓が足の深部静脈にできる病気で、下肢静脈瘤のリスクを高める要因の一つです。

これらのリスクファクターを複数持っている場合、下肢静脈瘤を発症する可能性はより高くなります。ご自身の生活習慣や体質を振り返り、当てはまるものがないか確認してみましょう。

下肢静脈の機能と役割

下肢静脈は、心臓から送り出された血液を心臓に戻すという重要な役割を担っています。

動脈を通って全身に運ばれた血液は、毛細血管を通じて細胞に酸素と栄養を供給した後、静脈に入り、再び心臓へと戻っていきます。 下肢静脈は、この静脈系の一部を構成し足の各組織から血液を回収して心臓へと送り返す役割を担っています。

下肢静脈には、大きく分けて2つの種類があります。

  • 深部静脈
    太ももの骨やふくらはぎの筋肉の奥深くを通る太い静脈で、足の血液の約90%を運んでいます。 深部静脈は、周囲の筋肉の動きによってポンプのように血液を押し上げる働きが効率的に行われます。
  • 表在静脈
    皮膚のすぐ下を通る細い静脈で、足の血液の約10%を運んでいます。 一方、表在静脈は筋肉のポンプ作用を受けにくいため、血液が滞りやすく下肢静脈瘤を発症しやすい部位となります。

生活習慣が与える影響と改善策

下肢静脈瘤は、日常生活のちょっとした心がけで予防できる可能性があります。

長時間立ちっぱなしや座りっぱなしを避ける

長時間同じ姿勢を続けることは、足の血流を滞らせ、下肢静脈瘤のリスクを高める大きな要因となります。

例えば立ち仕事の場合、1時間に数回は軽い運動やストレッチを行い足の血流を促進するように心がけましょう。 具体的には、つま先立ちをしたり、かかとを上げ下げしたりするだけでも効果があります。

また、デスクワークなどで長時間座っている場合は、1時間に1回程度は立ち上がって歩いたり、足を動かしたりする習慣をつけましょう。 座ったままでも足首を回したり、ふくらはぎをストレッチしたりするだけでも効果的です。

適度な運動を心がける

適度な運動は足の筋肉を鍛え、静脈のポンプ作用を促進するため、下肢静脈瘤の予防に効果的です。 激しい運動は逆効果になる可能性があるので、ウォーキングや軽いジョギング、水泳など無理のない範囲で継続できる運動を選びましょう。

体重管理に気を配る

肥満は、足の静脈への負担を増大させるため、適切な体重管理が重要です。 バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、適正体重を維持しましょう。

弾性ストッキングの着用を検討する

弾性ストッキングは、足の静脈を外部から圧迫することで、血液の逆流を防ぎ、むくみを軽減する効果があります。 立ち仕事や長時間の移動などで足のむくみやだるさを感じやすい方は、弾性ストッキングの着用を検討してみましょう。

禁煙する

喫煙は血管を収縮させ血流を悪化させるため、下肢静脈瘤を含む様々な血管疾患のリスクを高めます。 禁煙は下肢静脈瘤の予防だけでなく、健康全体にとっても非常に重要です。

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これらの生活習慣の改善は下肢静脈瘤の予防だけでなく、健康な体作りにもつながります。 日頃から意識して生活習慣を見直し、足の健康を維持していきましょう。

下肢静脈瘤の治療法と予防策

足の血管がボコボコと浮き出てしまう下肢静脈瘤は「見た目が気になる…」と、悩んでいる方もいるかもしれません。 しかし下肢静脈瘤は進行すると、足のだるさやむくみ、痛みなどの症状を引き起こすだけでなく、皮膚の病気や血栓症といった、より深刻な病気を引き起こす可能性もある病気です。

「立ち仕事だから仕方ない」「年のせいかな」と諦めてしまう前に、適切な治療法と予防策を知り、健康な足の維持を目指しましょう。

有効な治療法の種類とそれぞれの特徴

下肢静脈瘤の治療法は、大きく分けて「血管内治療」と「外科的治療」の2種類があります。イメージとしては、水道のホースを思い浮かべてみてください。血管内治療はホースの中を掃除したり、補修したりする治療法です。 一方、外科的治療は、古くなってしまったホースを新しいものに交換するような治療法です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

  1. 血管内治療: 傷跡が目立ちにくく、体の負担が少ない治療
    血管内治療は足の血管に細い管(カテーテル)を挿入し、レーザーや薬剤を使って静脈瘤を治療する方法です。
    レーザー治療はレーザーの熱で血管を閉鎖する方法で、硬化療法は血管内に薬剤を注入し、血管を固めて閉鎖する方法です。
    血管内治療は切らずに治療できるため、傷跡が目立ちにくく体の負担が少ないというメリットがあります。 入院の必要がなく日帰りで治療が可能な場合も多いです。
  2. 外科的治療: 静脈瘤を根本的に取り除く治療
    外科的治療は、手術によって静脈瘤を取り除く方法です。
    ストリッピング術は静脈瘤を引き抜いて切除する方法で、高位結紮術は静脈瘤の根元を縛って血流を遮断する方法です。
    外科的治療は、静脈瘤を直接取り除くため、再発の可能性が低いというメリットがあります。

どの治療法が適切かは静脈瘤の状態や患者さんの症状、希望などを考慮して医師が判断します。治療法について気になることや不安なことがあれば、遠慮なく医師に相談しましょう。

自宅でできる予防策とライフスタイルの改善方法

下肢静脈瘤は日々の生活習慣を改善することで、予防や症状の進行を抑制することが期待できます。

  1. 軽い運動を心がけましょう
    ウォーキングなどの軽い運動は、足の血液循環を促進し、静脈瘤の予防に効果的です。 運動不足を感じている方は、まずは1日10分程度のウォーキングから始めてみてはいかがでしょうか。
    デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合は、1時間に1回程度、軽いストレッチや足首を回す運動を取り入れましょう。 例えば、足首をぐるぐると回したり、つま先立ちをしたりする運動は、ふくらはぎの筋肉を動かし、血液循環を促進する効果があります。
  2. 足を高くして休みましょう
    日中は仕事や家事の合間に、椅子に座って足を台の上に乗せるなど足を心臓よりも高くして休ませる時間を取り入れるようにしましょう。 この時、足を高くする高さは10〜15cm程度を目安にすると良いでしょう。
    夜寝る時も足を少し高くすることで、足のむくみ解消に効果が期待できます。 枕やクッションなどを使い、足首から膝の裏にかけて緩やかに傾斜をつけるようにすると良いでしょう。
  3. 弾性ストッキングを着用しましょう
    弾性ストッキングは足首から太ももに向かって段階的に圧力がかかるように設計されており、足の血液循環をサポートする効果があります。 立ち仕事や長時間の移動など、足のむくみが気になる際に着用するとよいでしょう。
    薬局などで市販されていますが、適切なサイズを選ぶことが大切です。 購入する際には薬剤師に相談することをおすすめします。
  4. バランスの取れた食事を心がけ、塩分を控えるようにしましょう
    塩分の過剰摂取は、体のむくみを助長する原因となります。 減塩を心がけ、バランスの取れた食事を摂るようにしましょう。
    加工食品やインスタント食品は、塩分が多いため、なるべく控えるようにしましょう。 減塩のポイントとしては、だし汁や香辛料を上手に活用すると、薄味でも美味しく食事を楽しむことができます。
  5. その他
    禁煙や適度な体重管理も、下肢静脈瘤の予防に効果的です。禁煙は、血管の健康を保つ上で非常に重要です。 喫煙は血管を収縮させ、血流を悪化させるため下肢静脈瘤のリスクを高めます。
    また肥満も足の静脈への負担を増大させるため、適切な体重管理が重要です。 バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、適正体重を維持しましょう。

まとめ

下肢静脈瘤は、足の静脈弁がうまく機能せず血液が心臓に戻りにくくなる病気です。足の血管が浮き出る、むくみ、だるさなどの症状が現れます。

立ち仕事や遺伝などがリスク因子となり、悪化すると皮膚病変や血栓症のリスクも高まります。治療法は、血管内治療と外科的治療があり、症状や希望に合わせて選択します。日頃から適度な運動や足のむくみケアを行い、予防に努めましょう。

下肢静脈瘤でお悩みなら、循環器専門医の当院へご相談ください。



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