健康診断でクレアチニン値が高いと指摘され、不安を感じていませんか?
クレアチニン値が高い状態が続くと、腎不全などの深刻な病気を引き起こすリスクが高まる可能性があります。気づかないうちに病気が進行することもあるため、早期発見・早期治療が肝心です。
この記事では、クレアチニン値が高いとどうなるのか、リスクと合わせて、今すぐできる対策や食事法を詳しく解説します。リスクと対策について正しく理解し、行動することで、 ご自身の体を大切にできます。
健康診断でクレアチニン値が高いと指摘された場合、深刻な病気を引き起こす前に、早めに対処しましょう。以下の記事も参考にしてください。
>>健康診断で異常があったらどうする?|静岡市にお住まいの方へ
クレアチニン値は、腎臓の働きを評価する重要な指標です。クレアチニン値が高いまま放置すると、体にさまざまな影響が出てくる可能性があり、適切な対応が重要です。放置のリスクについて、以下の内容を解説します。
クレアチニン値が高い状態が続くと、腎臓の働きは徐々に低下し、最終的には腎不全に至るリスクがあります。腎不全とは、腎臓が血液をろ過して、老廃物を尿として排出する機能が、著しく低下した状態のことです。
健康な腎臓は、一般的に毎日約120〜150リットルの血液をろ過し、老廃物を除去して尿を生成しているとされています。腎機能が低下すると、ろ過能力が落ち、老廃物が体内に蓄積し始めます。老廃物が蓄積すると、体に悪影響を及ぼします。
初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに病気が進行してしまうケースも多いです。クレアチニン値の上昇は、腎臓からのSOSサインです。早期に発見し、適切な治療を開始することで、腎不全への進行を遅らせたり、状態の悪化を抑えたりできる場合があります。
クレアチニン値が高い状態が続くと、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクも高まります。腎臓の働きが低下すると、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、血圧が上昇しやすくなります。高血圧は、心血管疾患のリスクを高めます。
血管を傷つける物質が増加し、動脈硬化の進行を促進する可能性もあります。動脈硬化も、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクを高める要因です。リスクを低減するためにも、クレアチニン値を適正範囲に維持することが重要です。
特に心筋梗塞は突然発症することが多く、早期のリスク管理が不可欠です。症状の兆候や予防法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
>>心筋梗塞について
クレアチニン値が高いと貧血やむくみ、倦怠感など、さまざまな症状が現れることがあります。腎臓は、赤血球の産生を促すホルモン(エリスロポエチン)を分泌しています。腎臓の働きが低下すると、ホルモンの分泌が減少し、貧血が起こりやすくなります。
腎臓の働きが低下すると、体内に水分が溜まりやすくなり、むくみが生じます。むくみは、足首や顔などに現れやすいです。老廃物が体内に蓄積することで、倦怠感や食欲不振などの症状が現れることもあります。日常生活に支障を及ぼす可能性があります。
クレアチンサプリメントの摂取により、血清クレアチニン値が一時的に上昇する可能性があり、腎疾患と誤診されるケースが報告されています。クレアチンは、筋肉中に存在する天然の物質であり、エネルギー産生に関与しています。一部のアスリートなどが、運動能力向上を目的としてクレアチンサプリメントを摂取します。
摂取後にクレアチニン値が上昇した場合、腎機能に問題がないか、医師に相談することが重要です。一方で、クレアチニン値が低い場合も、筋肉量の減少や代謝異常などが関係している可能性があります。クレアチニン値が低いと指摘された場合の原因や必要な検査については、以下の記事をご覧ください。
>>クレアチニンが低いと健診で指摘された方へ!原因と必要な検査
クレアチニン値が高いと指摘された場合は、放置せずに医療機関を受診し定期的な検査を受けることが重要です。腎臓病は、初期段階では自覚症状が現れにくい病気です。自覚症状が出てからでは、病気がかなり進行している可能性もあります。
クレアチニン値などの検査で早期発見し、適切な治療と生活習慣の改善を早期に開始できます。腎不全への進行を抑制し、生活の質を維持できる可能性が高まりますので、医師の指示に従い、治療に取り組みましょう。
健康診断でクレアチニン値が高いと指摘された方は、以下のページをご覧ください。
>>健康診断で異常があったらどうする?|静岡市にお住まいの方へ
クレアチニンは、筋肉中で作られるクレアチンという物質が分解されてできる、老廃物です。健康な腎臓は、クレアチニンを血液中からろ過し、尿として排出します。腎機能が低下すると、クレアチニンを十分に排泄できなくなり、血液中に蓄積してクレアチニン値が上昇します。クレアチニン値を下げるための対策として、以下の4つを解説します。
適度な運動は、クレアチニン値の管理に役立つ可能性があります。ウォーキングや水泳、サイクリングなどの有酸素運動は、血圧を安定させ、血液循環を良くする効果があります。血液の流れがスムーズになることで、腎臓の負担を軽減し、クレアチニン値の改善につながります。
激しい運動は逆に、腎臓に負担をかける可能性があるので、無理のない範囲で、週に3回程度、30分ほどの運動を心がけましょう。近所を散歩したり、プールで軽く泳いだり、自転車で近所のスーパーまで買い物に行ったりするのもおすすめです。運動の種類は問いません。無理なく続けられる運動を見つけることが重要です。
運動を始める際は、医師や専門家と相談し、自分に合った運動の種類や強度を選びましょう。高齢の方や持病のある方は、必ず医師の指示に従ってください。
喫煙は血管を収縮させ、腎臓への血流を減少させる可能性があるため、腎機能に影響を与え、結果としてクレアチニン値の上昇につながる可能性があります。過度の飲酒も腎臓に負担をかけ、クレアチニン値の上昇につながることがあります。過度の飲酒は腎機能を低下させる可能性があります。
厚生労働省のガイドラインでは、飲酒量を減らすほど健康リスクが低くなると示されています。禁煙やお酒を控えることは、腎臓の健康維持に不可欠です。
特に、タバコは動脈硬化を進行させる要因となり、腎臓だけでなく心血管疾患のリスクも高めるため、早めの禁煙が推奨されます。自己流での禁煙が難しい場合は、医療機関のサポートを受けることも選択肢の一つです。禁煙を成功させるための具体的な方法については、以下をご覧ください。
ストレスは自律神経のバランスを崩し、血圧を上昇させるなど、腎臓に負担をかける原因となります。ストレスは目に見えにくいですが、心身ともに大きな影響を与える可能性があります。以下のストレス軽減法を参考にしてください。
自分に合った方法を見つけることが大切です。日常生活の中で、意識的にリラックスする時間を取り入れることで、ストレスを軽減し、腎臓の健康維持につなげましょう。
クレアチニン値が高い場合は、自己判断で対策を行うのではなく、必ず医療機関を受診し、医師に相談することが重要です。医師は血液検査や尿検査などの結果をもとに、クレアチニン値が高い原因を特定し、適切な治療法を提案します。原因によっては、薬物療法が必要となる場合もあります。
腎機能が著しく低下すると、透析が必要になることもあります。医師の指示に従い、適切な治療を受けるようにしましょう。
健康診断でクレアチニン値が高いと指摘されたら、食事の内容を見直すことが大切です。クレアチニン値が高い場合の食事療法は、以下のとおりです。
少しの工夫で、美味しく楽しく食事を続けながら、腎臓の健康を守ることが期待できます。
タンパク質は、筋肉や臓器、血液など、体を作るために欠かせない栄養素です。タンパク質を摂りすぎると、分解産物であるクレアチニンが増加し、腎臓に負担がかかってしまいます。クレアチニン値が高い場合は、タンパク質の摂取量を調整する「低タンパク質食」が推奨されます。
低タンパク質食とは、1日のタンパク質摂取量を体重1kgあたり0.6〜0.8gに抑える食事療法です。体重60kgの方は、1日に36〜48gのタンパク質摂取が目安となります。タンパク質は体の重要な構成要素であるため、極端に制限しすぎると、免疫力の低下や筋肉量の減少につながる可能性があります。
主治医や管理栄養士の指導のもと、適切な量のタンパク質を摂取することが重要です。
塩分の摂りすぎは、高血圧のリスクを高めて、腎臓にも負担をかけます。高血圧は腎臓の血管を傷つけ、腎機能の低下を加速させる可能性があります。塩分を過剰に摂取すると、体内の水分量が増加し、腎臓がより多くの血液をろ過する必要があり、腎臓にとって大きな負担です。
日本高血圧学会のガイドラインによると、成人の1日の塩分摂取量の目標値は6g未満が推奨されています。個人の状態により適切な摂取量は異なるため、医師や管理栄養士の指導に従うことが重要です。外食や加工食品は塩分が多い傾向があるため、自炊を心がけることが大切です。
減塩を意識した調理方法を学ぶことも効果的です。だし汁や香辛料、ハーブ、柑橘類などを活用することで、薄味でも美味しく食事を楽しむことができます。
カリウムは、体内の水分バランスや神経・筋肉の働きを調節するうえで重要な役割を果たすミネラルです。腎機能が低下すると、カリウムの排泄がうまくいかなくなり、体内に過剰に蓄積する可能性があります。高カリウム血症は、不整脈や心停止などの重篤な症状を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
カリウムは、果物や野菜、海藻、いも類、豆類などに多く含まれています。摂取する際は、量を調整し、茹でこぼしなどの調理方法を工夫することで、カリウムの摂取量をコントロールできます。腎臓病が進行している場合は、医師の指示に従い、厳密なカリウム制限を行う必要がある場合もあります。
リンは、カルシウムとともに骨や歯の形成に不可欠なミネラルです。腎機能が低下すると、リンの排泄が困難になり、体内に蓄積しやすくなります。過剰なリンは、骨からカルシウムを溶け出させます。骨粗鬆症のリスクを高めるだけでなく、血管の石灰化を促進し、心血管疾患のリスクを高める可能性も指摘されています。
リンは、乳製品や加工食品、ナッツ類、肉類、魚介類などに多く含まれています。摂取量を調整し、リンの過剰摂取を防ぐことが重要です。加工食品には、リン酸塩などの食品添加物としてリンが含まれている場合があります。成分表示をよく確認する習慣を身につけましょう。
クレアチニン値が高い場合、タンパク質や塩分、カリウム、リンなどを制限した食事療法を行うため、エネルギー不足に陥りやすくなります。エネルギーが不足すると、体は筋肉を分解してエネルギーを産生しようとします。筋肉が分解されるとクレアチニンが生成されるため、クレアチニン値をさらに上昇させる可能性があります。
エネルギー不足を防ぐためには、炭水化物や油脂類を適切に摂取し、十分なカロリーを確保することが重要です。食欲不振などで一度に多くの量を食べられない場合は、少量ずつ複数回に分けて食事をとる、間食を積極的に取り入れるなどの工夫も有効です。
クレアチニン値が高いと指摘されたら、まずは生活習慣を見直してみましょう。適度な運動や禁煙、節酒、ストレス軽減は、腎臓への負担を和らげ、クレアチニン値の改善につながります。食事療法も大切で、タンパク質や塩分、カリウム、リンの摂取量を調整することで、腎臓の働きをサポートできます。
一番大切なのは、自己判断せずに医療機関を受診することです。医師のアドバイスを受けながら、自分に合った対策を見つけ、健康な毎日を目指しましょう。
クレアチニン値が高いと指摘された場合の対策について、詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひチェックしてください。
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参考文献
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