「最近、片足だけがだるい気がする」と、不安を感じていませんか?長時間の立ち仕事の後、足の疲れを感じるのはよくあることですが、片足だけにだるさを感じたら、体のSOSかもしれません。
原因は、疲労やストレス、運動不足などの日常的なものから、神経や血管の病気、命に関わる病気のサインまでさまざまです。この記事では、片足のだるさの原因となる意外な病気や、自宅でできる対処法、専門医の受診が必要なケースなどを解説していきます。だるさの原因や対処法がわかり、必要な対策を取る参考になれば幸いです。
静岡県で片足のだるさにお悩みの方は、大石内科循環器科医院へお気軽にご相談ください。片足のだるさは、神経や血管などの病気が原因で現れることもあり、早期評価が重要です。当院では検査から治療まで一貫して対応できます。症状が続く場合は、早めに受診をご検討ください。
片足だけだるいときの原因について、以下の3つの観点から解説しています。
神経系の病気が原因で片足がだるくなることがあります。足をつかまれているような感覚や、電気が走るような痛みやしびれを感じることが特徴です。代表的な病気は、腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症です。
腰椎椎間板ヘルニアは、腰の骨と骨の間にあるクッションの役割をしている椎間板が飛び出して、神経を圧迫する病気です。腰や足の痛みやしびれが強くなり、長い時間立っていたり歩いたりすることがつらくなる症状が出ます。「腰から足にかけて重い鎖でつながれているような感覚」と表現する患者さんがいるほどです。
腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管(神経の通り道)が、加齢などで狭くなる神経系の病気です。しばらく歩いていると徐々に足がしびれてきて、休むと楽になる特徴的な症状があります。脊柱管が狭くなるため、歩くことで神経への圧迫が強くなり、しびれが出現します。
血管系の病気が原因で片足がだるくなることもあります。足のむくみや冷えを伴うことが多く、デスクワークで同じ姿勢が続く方や、飛行機での長旅の後などに起こりやすいです。代表的な病気は次の3つです。
深部静脈血栓症は、足の静脈に血のかたまり(血栓)ができる病気です。血栓により血液の流れが滞り、心臓に戻るはずの血液が足に溜まるため、むくみや痛み、だるさが生じます。
閉塞性動脈硬化症は、動脈硬化によって足の血管が狭くなったり詰まったりする病気です。血管の内側にコレステロールなどが溜まって血管が硬くなることで足の血管が狭くなり足への血流が不十分になります。その結果、足の冷えや痛み、だるさが生じます。
下肢静脈瘤は、足の静脈の「逆流を防ぐ弁」が壊れて血液が逆流して足に溜まる病気です。その結果、静脈が拡張して太くなり、足のだるさやむくみ、血管が浮き出て見えるなどの症状が出ます。
疲労やストレスが原因で片足がだるくなる場合も注意が必要です。現代では、疲労やストレスは誰もが抱えうる身近な問題のため、軽視できません。ストレスが溜まると、自律神経のバランスが乱れ、血流の低下や筋肉の緊張を招きます。その結果、だるさやしびれなど、さまざまな体の不調が生じることがあります。
長時間のパソコン作業やスマホの使いすぎで、首や肩の筋肉が凝り固まってしまう「テクノストレス」と呼ばれる状態も注意が必要です。筋肉の緊張が強くなると、周囲の神経や血管を圧迫し、血流が悪くなり、片足のだるさにつながることがあります。
精神的なストレスや不安、緊張などが原因で、身体にさまざまな症状が現れる心身症も、片足のだるさを引き起こす可能性があります。心身症は、検査をしても異常が見つからないことも多い病気です。だるさや疲労感、頭痛、めまい、動悸、息切れ、便秘、下痢など、さまざまな症状が現れるのが特徴です。
片足のだるさを感じたときは、原因に合わせた正しい対処が大切です。軽いだるさなら自宅でのケアで改善できることもありますが、症状が続く場合は専門的な治療が必要になることもあります。ここでは、日常で実践できる方法と医療機関で受けられる治療法を紹介します。
片足のだるさを感じたら、まずはご自身でできるケアを試してみましょう。毎日の生活のなかで、簡単に取り入れられるものばかりです。足を心臓より高い位置に上げてリラックスすることで、足に滞った血液が戻りやすくなります。
ソファで横になり、クッションや毛布を足の下に置き、寝る前に10分ほど行うだけでも効果が期待できます。硬くなった筋肉は血行を悪くし、だるさの原因になります。軽いストレッチで筋肉を緩めることで血流改善が期待できます。アキレス腱を伸ばすストレッチやふくらはぎのマッサージなどを行いましょう。
お風呂上がりなど体が温まっているときに行うと、血流がスムーズなため、効果が期待できます。湯船にゆっくり浸かったり、蒸しタオルを足に当てたりする温めケアで血行を促進します。ただし、炎症や鋭い痛みがある場合は温めず、冷やすほうが良いケースもあります。
以下の記事では、足のだるさ・重さの原因から改善法、重大な病気の可能性まで詳しく解説しています。併せてご覧ください。
>>足がだるい・重いときの原因を解説!だるさを取る方法の紹介や病気の可能性も言及
自宅でのケアでも症状が改善しない場合は、医療機関を受診し、専門的な治療を受けることをおすすめします。専門的な治療法は、以下の3つです。
薬物療法で使用する代表的な薬は、以下のとおりです。
薬の使用は、医師の診断のもとで行い、市販薬を自己判断で使用することは避けましょう。神経の圧迫を取り除く手術では、腰やお尻で神経が圧迫されている場合に行われ、圧迫を取り除いて症状を改善します。理学療法では、運動療法やマッサージ、日常生活の指導を組み合わせて行うことで、片足のだるさの改善を目指します。
日常生活で気をつけたい片足のだるさの予防法について、以下の3つを解説します。
適度な運動は、血流を改善し、片足のだるさを予防する効果が期待できます。運動によって筋肉が動くと、血液やリンパの流れが促進され、老廃物が排出されやすくなります。これにより、むくみやだるさの予防につながります。片足のだるさ予防におすすめの運動は、以下のとおりです。
1日30分程度、無理のない範囲で体を動かす習慣をつけましょう。毎日少しずつでも運動を続けることで、片足のだるさの予防に役立つでしょう。
片足のだるさを防ぐためには、まず食生活と水分の摂り方を見直すことが大切です。塩分を摂り過ぎると体に水分が溜まり、むくみや血流の悪化を招いてだるさの原因になります。反対に、カリウムを多く含むバナナやほうれん草などを食べると、余分な塩分を体の外に出す手助けをしてくれます。
1日に1.5〜2リットルの水をこまめに飲むことで血液がサラサラになり、血のめぐりが良くなります。アルコールやカフェインの摂り過ぎは体の水分を減らすので注意が必要です。毎日の食事と水分補給を整えることで、体の中からだるさを予防できます。
むくみや血流の滞りには、日常生活の見直しだけでなく、背景に隠れた原因を知ることも大切です。より詳しい原因や対処法を知りたい方は、以下の記事も参考になります。
>>むくみの原因は?危険なむくみや考えられる病気、日常でできる対処法を解説
仕事中の姿勢を工夫することで、片足への負担を減らし、だるさを防げます。長時間同じ姿勢でいると、特定の筋肉や血管に負担がかかり、片足だけに症状が出やすくなります。デスクワークが多い方は、以下の方法を試してみましょう。
立ち仕事の方には、以下の工夫をするだけで改善に役立つ可能性があります。
仕事中のちょっとした工夫が、片足のだるさ予防につながります。
片足だけにだるさを感じると、体に何か異常があるのではないかと不安になる方も多いです。場合によっては、命に関わる病気が隠れている可能性もあります。閉塞性血栓症は、足の静脈に血の塊(血栓)ができる病気です。「エコノミークラス症候群」とも呼ばれます。
血液を心臓に戻すための静脈に血栓ができることで、血液の流れが悪くなります。足の静脈に血栓ができると、血液が心臓に戻りにくくなり、足に溜まります。その結果、片足だけにむくみやだるさ、痛みなどの症状が現れます。閉塞性血栓症で起こる症状は以下のとおりです。
これらの症状に心当たりがある場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。ただし、症状の原因によって受診すべき診療科が異なるため、どこに行けばいいかわからない方も少なくありません。以下の記事で、症状別の受診先をわかりやすく解説しています。
>>足のむくみは何科で診てもらえる?考えられる病気や症状に合う病院の選び方
慢性疲労症候群は、原因不明の強い疲労感が長期間続く病気です。十分な休息を取っても疲労感が取れず、日常生活に支障をきたすこともあります。慢性疲労症候群では、体のさまざまな部位に症状が現れますが、なかでも足の症状を訴える方は少なくありません。慢性疲労症候群で起こる症状は以下のとおりです。
これらの症状は、人によって現れ方が異なり、症状の強さも日によって変化することがあります。原因がはっきりしないため、さまざまな検査を行っても異常が見つからないことが多いです。
神経障害性疼痛は、神経の損傷や障害によって起こる痛みです。神経が傷つくと、本来は痛みとして感じないような刺激でも痛みを感じてしまうことがあります。神経障害性疼痛は、糖尿病や帯状疱疹などの病気の後遺症として起こることもあれば、原因がわからない場合もあります。神経障害性疼痛で起こる症状は以下のとおりです。
神経障害性疼痛は、痛みの種類や程度、痛む場所などが人によって大きく異なります。そのため、診断が難しく、治療法も確立されていないのが現状です。
自律神経失調症は、ストレスなどによって自律神経のバランスが乱れることで、さまざまな身体症状が現れる病気です。自律神経は、体温調節や消化吸収、呼吸など、生命活動を維持するために重要な役割を担っています。交感神経と副交感神経の2つの神経がバランスを取りながら、体の機能を調節しています。
自律神経失調症で起こる症状は以下のとおりです。
これらの症状は、人によって異なり、さまざまな症状が現れるのが特徴です。病院の検査では異常が見つからないことも多く、診断が難しい病気とされています。自律神経失調症は、病院での治療に加えて、生活習慣の改善も大切です。十分な睡眠をとり、バランスの良い食事を心がけ、適度な運動をしましょう。
片足のだるさに関連する他の症状として、以下の3つを解説します。
片足のだるさがあると、歩くときにいつもと同じように足を上げることが難しくなったり、地面を踏みしめる力が弱くなったりすることがあります。次のような症状がある場合、片足のだるさが原因で歩行やバランスに問題が生じている可能性があります。
転倒は骨折などの大きなけがにつながる可能性もあるため、注意が必要です。
片足のだるさと一緒に、ピリピリとしたしびれや、チクチクと針で刺されるような痛みを感じることがあります。神経が圧迫されたり、損傷を受けたりすることで起こる可能性があります。以下のような症状がある場合、神経系の病気が隠れている可能性も考えられます。
坐骨神経痛のように、腰から足にかけて伸びる神経が圧迫されて、だるさだけでなく痛みやしびれを引き起こすことがあります。糖尿病の合併症として神経障害が起こり、足のしびれや痛みを感じることもあるので要注意です。
片足のだるさだけでなく、同じ側の腕や顔にもだるさや力の入りにくさがある場合は、脳梗塞などの重大な病気が原因のことがあります。脳梗塞は、脳に酸素や栄養が届かなくなって、体の動きや感覚をつかさどる機能がうまく働かなくなる病気です。
片側の手足のしびれ、顔のゆがみ、言葉がうまく話せないなどの症状が見られたら、すぐに病院を受診することが大切です。放っておくと、命に関わったり、後遺症が残る可能性もあります。
片足のだるさは軽い症状に思えても、背景にさまざまな病気が隠れている場合があります。気になる症状の原因をより幅広く知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
>>足の浮腫・むくみは病気のサインかも?考えられる病気の一覧を解説
「この程度のだるさなら、病院に行くほどでもないか」と自己判断せず、少しでも気になることがあれば、早めに医療機関を受診しましょう。受診を推奨するケースは以下のとおりです。
麻痺やしびれの症状がある場合は、血管のつまりや神経圧迫の可能性があります。症状が改善しない、または悪化する場合は、放置すると他の病気を併発するリスクがあります。医療機関を受診し、治療を受けましょう。
足の静脈に血液が滞ってしまう「下肢静脈瘤」は、適切な治療が必要です。圧迫療法(弾性ストッキングなど)の使用が求められるので、医師の指示に従い、適切な治療の継続が大切です。
大石内科循環器科医院では、足のだるさやむくみ、しびれといった症状の原因を丁寧に調べ、血流や循環の状態を専門的に診断します。気になる症状が続く方は、早めに受診し、健康な足を取り戻しましょう。
片足のだるさに関するよくある質問について、以下の3つを解説します。
片足だけのだるさは、まず整形外科や循環器内科を受診するのがおすすめです。片足のだるさの原因は、神経の圧迫や血管の問題であることが多いため、これらを専門とする診療科が適しています。
歩くときに痛みがある、足が腫れているといった場合は整形外科を受診してください。むくみが強い、血管が浮き出ているなどの場合は循環器内科や血管外科が適切です。どこを受診すれば良いか迷う場合は、かかりつけ医に相談し、適切な診療科を紹介してもらうのも良い方法です。
マッサージやストレッチは、血流を改善し、片足のだるさを和らげる効果が期待できます。筋肉をほぐすことで血液やリンパの流れが良くなり、老廃物が排出されやすくなるためです。だるさを軽減させるためのセルフケアには、以下のようなものがあります。
強い痛みや腫れがある場合は、無理にマッサージをせず、まず医師に相談してください。血栓がある場合、マッサージによって症状が悪化する恐れもあります。軽い症状の場合は、セルフケアとして取り入れてみましょう。
片足のだるさを放置すると、重大な病気のサインを見逃す恐れがあります。だるさの背後に血栓症や神経障害などが隠れている場合、早期発見と治療が重要だからです。放置することで起こりうるリスクには、以下のようなものがあります。
軽いだるさであっても、数日続く場合や痛み、しびれ、腫れなどを伴う場合は、必ず医師に相談しましょう。
片足だけにだるさを感じたら、病気のサインかもしれません。神経系や血管系の病気から、疲労やストレスまで、さまざまな原因が考えられます。症状が重い場合や長引く場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。足のしびれや冷え、歩行障害など、他の症状を伴う場合は注意が必要です。
自己判断でマッサージなどをせずに、まずは医師に相談し、適切な検査や治療を受けることが大切です。早めの対処で、健康な毎日を取り戻しましょう。
むくみについてより詳しく知りたい方はぜひ次の記事もご覧ください。
>>【医師監修】足のむくみの原因と解消法を徹底解説!放置すると危険なワケとは?
Lian Y, Birt L and Wright D. Hospital clinicians’ perspectives of using compression therapy on venous leg ulcers: a systematic qualitative review. British journal of nursing (Mark Allen Publishing) 32, no. 4 (2023): S30-S42.
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