大石内科循環器科医院

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むくみの原因は?危険なむくみや考えられる病気、日常でできる対処法を解説

2025.10.08 むくみ
  • 「夕方になると靴がきつくなる」
  • 「飲み会の翌朝は顔がパンパン」

多くの人が経験するむくみは、日常的な体のサインの一つです。ほとんどは一時的なもので心配いりませんが、心臓や腎臓などの病気が隠れている場合もあります。特に、急な体重増加や片足だけの腫れは、注意が必要な危険サインです。

この記事では、日常生活に潜む原因、病気が隠れているむくみの特徴、セルフケアの方法を詳しく解説します。むくみの正しい見極め方を知ることで、不安を減らし、健やかな毎日を取り戻すヒントが見つかります。

原因不明のむくみが気になる方は、大石内科循環器科医院へご相談ください。心臓や血管の異常によるむくみは、放置すると深刻な病気につながることがあります。当院では循環器専門医がむくみの原因を丁寧に調べ、必要に応じた治療や生活改善をサポートしています。気になる症状をそのままにせず、早めの受診で安心を取り戻しましょう。

日常に潜むむくみの原因

むくみの多くは、病気ではない一時的なものです。日常に潜むむくみの主な原因は以下のとおりです。

  • 長時間の同じ姿勢(デスクワーク・立ち仕事)
  • 運動不足や体の冷えによる血行不良
  • 塩分やアルコールの摂りすぎ
  • ホルモンバランスの変化(生理・妊娠・更年期)
  • 栄養不足(タンパク質・カリウムなど)
  • 睡眠不足やストレスによる自律神経の乱れ

長時間の同じ姿勢(デスクワーク・立ち仕事)

長時間のデスクワークや立ち仕事では、夕方に足がむくみやすくなります。原因は、同じ姿勢を続けることで血液の流れが滞るためです。心臓はポンプのように全身へ血液を送り出しますが、足まで届いた血液は重力に逆らって心臓に戻る必要があります。

その際に活躍するのが「第二の心臓」とも呼ばれるふくらはぎの筋肉です。筋肉が収縮すると血管が押され、血液が上に押し戻されます。座りっぱなしや立ちっぱなしではこの働きが弱まり、血液やリンパ液が足にたまりやすくなります。その結果、血管から水分がしみ出して足がむくむのです。

30分に一度の軽い歩行や足首回しでも、この循環を助け、むくみ予防につながります。

運動不足や体の冷えによる血行不良

運動不足や体の冷えは、血行を悪くしてむくみを引き起こす大きな要因です。筋肉は血液を心臓に戻すポンプの役割を担い、同時に熱を生み出して体温を保つ働きもしています。特にふくらはぎの筋肉が衰えると血液や水分が滞りやすく、さらに体が冷えることで血管が縮み、老廃物の排出もうまくいかなくなります。

結果、足を中心としたむくみが現れやすくなるのです。生活の中で以下のような習慣がある方は注意が必要です。

  • エレベーターやエスカレーターをよく使う
  • 車での移動が多く、あまり歩かない
  • 手足がいつも冷たい
  • 夏でも冷房で体が冷えやすい
  • 入浴はシャワーだけで済ませることが多い

当てはまる項目が多い場合、むくみの背景に運動不足や冷えが関わっている可能性があります。まずは軽いウォーキングや湯船につかる習慣から取り入れて、血行を整えることが改善の第一歩です。

塩分やアルコールの摂りすぎ

食事や飲酒の内容は、むくみと直結しています。特に塩分やアルコールを摂りすぎると、翌朝の顔や足にむくみが出やすくなります。塩分を多くとると、体は血液中の濃度を薄めるために水分をため込みます。結果、余分な水分が血管の外にしみ出し、むくみとして表れるのです。

アルコールを飲むと血管が広がり、水分が漏れやすくなります。さらに利尿作用で体の水分が失われ、脱水に近い状態になると、体は水分を逃さないようにため込みます。このときに蓄えられた水分がむくみの原因になります。

おつまみには塩分の多い食品が多く、アルコールとの組み合わせでむくみを悪化させてしまいます。食生活を見直すことは、むくみ予防に直結する大切な一歩です。

ホルモンバランスの変化(生理・妊娠・更年期)

女性はホルモンの影響でむくみやすく、特に生理・妊娠・更年期は体の変化によって血流や水分の調整が乱れやすくなります。これは自然な現象ですが、ときに強いむくみとなり生活に影響を及ぼすこともあります。

以下のようなタイミングでむくみが起こりやすいです。

  • 生理前:黄体ホルモンの作用で体に水分をため込みやすい
  • 妊娠中:血液量の増加や子宮による血管圧迫で足の血流が滞りやすい
  • 更年期:エストロゲンの減少で自律神経が乱れ血行が悪くなる

いずれも一時的または加齢による自然な変化であり、多くの場合は体の回復力によって和らぎます。ただし、日常生活に支障が出るほど強いむくみが続く場合は、体からのサインを見逃さず、医療機関に相談することが大切です。

栄養不足(タンパク質・カリウムなど)

必要な栄養素が不足すると、水分のバランスが崩れてむくみを引き起こします。偏った食事や過度なダイエットは、特に注意が必要です。

不足するとむくみにつながる主な栄養素は以下のとおりです。

  • タンパク質:血管内の水分を保つアルブミンを作る
  • カリウム:余分な塩分を体外に排出する
  • ビタミンB群:代謝や水分調整を支える

タンパク質が不足すると血管から水分が漏れやすくなり、カリウム不足は塩分の滞留を招きます。ビタミンB群が不足すると体の循環や代謝が滞ります。これらはすべて、むくみを悪化させる要因です。肉や魚、卵、大豆製品、野菜や果物を組み合わせて摂ることが、むくみを防ぐ第一歩となります。

睡眠不足やストレスによる自律神経の乱れ

睡眠不足やストレスが続くと、自律神経が乱れて血流が悪くなり、むくみの原因となります。自律神経は、交感神経と副交感神経から成り立ち、通常はバランスを保ちながら体を調整しています。しかし、眠りが不足したり精神的な負担が重なったりすると、交感神経が優位になり血管が縮み、全身の循環が滞ります。

その結果、心臓から遠い手足に血液が届きにくくなり、水分や老廃物がたまってむくみが起こります。さらに、自律神経の乱れはホルモンバランスの不調も招き、さまざまな体の不調につながることがあります。むくみを防ぐためには、睡眠の質を高めることと、日常生活の中で意識的にリラックスできる時間を持つことが大切です。

病気が隠れているむくみのサイン

むくみの中には体の異常を知らせる危険なサインが隠れていることもあります。以下のようなサインが現れたら注意が必要です。

  • 息切れや動悸・急激な体重増加(心不全の可能性)
  • 顔や全身のむくみ(腎臓病・甲状腺機能低下症の可能性)
  • 片足だけが急に腫れて痛む(深部静脈血栓症の可能性)
  • 指で押した跡が戻らない(慢性的なむくみ)
  • 強い倦怠感や皮膚の乾燥を伴う(甲状腺機能低下症など)

息切れや動悸・急激な体重増加(心不全の可能性)

むくみに加えて息切れや動悸、急激な体重増加がある場合は、心不全の可能性があります。心臓は全身に血液を送るポンプの役割を担っていますが、その力が弱まると血流が滞り、血管から余分な水分が漏れ出してむくみとして現れます。特に肺に水がたまると、咳や息苦しさの原因になります。次のような症状がある方は注意が必要です。

  • 息切れ:階段や早歩きなど以前は平気な動きで息が切れる
  • 夜間の息苦しさ:横になると咳や息苦しさが出て、体を起こすと少し楽になる
  • 動悸:安静にしていても胸がドキドキする
  • 急な体重増加:食事量が変わらないのに1週間で2〜3kg増える

なかでも急な体重増加は、脂肪ではなく体内に余分な水分がたまっているサインです。心不全は早期の治療開始が重要ですので、思い当たる症状があれば循環器内科を受診しましょう。

ただし、動悸がどの程度で受診すべきか判断に迷う方も少なくありません。以下の記事では、動悸で病院を受診するタイミングや検査の流れ、治療の概要について詳しく解説しています。
>>動悸で病院に行くタイミングはいつ?受診の目安や検査、治療の流れ

顔や全身のむくみ(腎臓病・甲状腺機能低下症の可能性)

顔やまぶた、全身にまでむくみが広がる場合は、腎臓や甲状腺の病気が隠れている可能性があります。足のむくみと違い、全身性のむくみは内臓の機能低下が背景にあることが多いため、注意が必要です。

腎臓病では、本来「余分な水分や塩分を尿として排出するフィルター」の役割を持つ腎臓の機能が低下します。その結果、体内に水分がたまり、特に朝起きたときに顔やまぶたが腫れるのが典型的です。尿の泡立ちや色の変化も重要なサインになります。

甲状腺機能低下症では、代謝をコントロールするホルモンが不足するため、全身の代謝が落ちて顔全体が腫れぼったくなるのが特徴です。疲れやすさや体重の変化を伴うこともあります。

このような症状に気づいたら、まずは内科やかかりつけ医に相談してください。必要に応じて、腎臓内科や内分泌内科で精密検査を受けることができます。

片足だけが急に腫れて痛む(深部静脈血栓症の可能性)

片足だけが急に腫れて痛む場合は「深部静脈血栓症」の可能性があり、命に関わる危険があります。足の奥の静脈に血の塊(血栓)ができ、血流が妨げられる病気で「エコノミークラス症候群」としても知られています。以下のような状況は、特に注意が必要です。

  • 飛行機や車での長時間移動
  • デスクワークで座りっぱなし
  • 病気やケガで長期の安静
  • 災害時の避難所生活

この病気で恐ろしいのは、血栓が肺に流れて詰まる肺塞栓症です。発症すると突然の胸の痛みや呼吸困難を引き起こし、命に直結する危険があります。片足だけの腫れや痛みを感じたら、絶対に放置せず、すぐに循環器内科や血管外科を受診してください。

以下の記事では、片足だけがだるいときに考えられる病気や対処法について解説しています。
>>片足だけだるいときの原因は?考えられる病気と対処法を医師が解説!

指で押した跡が戻らない(慢性的なむくみ)

指で押した跡がなかなか戻らないむくみは「圧痕性浮腫」と呼ばれ、体に病気が隠れている可能性があります。すねを親指で10秒ほど押してへこみが残る場合、皮膚の下に余分な水分がたまっている証拠です。

単なる一時的なむくみでは跡が残ることは少なく、慢性的な異常を示す可能性があります。考えられる主な原因として、以下が挙げられます。

  • 心臓の病気:心不全で血液を送り出す力が低下
  • 腎臓の病気:水分や塩分の排出が不十分
  • 肝臓の病気:アルブミン不足で血管に水分を保てない
  • 栄養不足:特にタンパク質不足

このようなむくみは、体のSOSを見逃さないことが大切です。放置せず、まずは内科やかかりつけ医に相談しましょう。早期に原因を特定することで、重い病気を未然に防げる可能性があります。

強い倦怠感や皮膚の乾燥を伴う(甲状腺機能低下症など)

むくみに加えて強い倦怠感や皮膚の乾燥がある場合、甲状腺機能低下症の可能性があります。甲状腺ホルモンは全身の代謝を調整する「体のエネルギー源」であり、不足すると活動レベルが低下し、さまざまな不調が現れます。

むくみ以外にも次のような症状が見られることがあります。

  • 強い倦怠感でやる気が出ない
  • 以前より寒がりになった
  • 汗をかきにくくなった
  • 皮膚が乾燥してカサカサする
  • 髪が抜けやすくなった
  • 食欲はないのに体重が増える
  • 声がかすれる・低くなる
  • 便秘がちになる

上記はゆっくり進行するため「加齢や疲れ」と勘違いされがちです。むくみと併せて複数の症状に心当たりがある場合は、内科や内分泌内科で相談してください。血液検査で簡単に確認でき、治療により症状が改善する可能性があります。

むくみと同時に体重の変化があるときは、背景にある原因を幅広く確認することが重要です。以下の記事では、むくみと体重増加の関係性や考えられる病気、解消法について解説しています。
>>むくみと体重増加の関係性とは?考えられる病気や原因・解消法を解説!

今日からできるむくみの対処法

毎日の生活にすぐに取り入れられる、むくみの対処法は以下のとおりです。

  • 食生活の見直し
  • ストレッチやウォーキング
  • 体を温める入浴や簡単なマッサージ
  • 適切な水分補給

ご自身の生活スタイルに合わせて、無理のない範囲で試してみてください。

食生活の見直し

むくみを改善する第一歩は、毎日の食生活を整えることです。特に「塩分を控える」「カリウムを摂る」「良質なタンパク質を摂る」の3つが大切です。まずは減塩を意識しましょう。塩分に含まれるナトリウムは体に水分をため込みやすく、摂りすぎはむくみの大きな要因となります。

減塩のコツとしては次のような工夫が役立ちます。

  • 汁物は残す
  • 加工食品を減らす
  • 酢や香辛料で味付けする
  • 調味料は「かける」より「つける」

次に、余分な塩分を排出してくれるカリウムを積極的に摂りましょう。野菜や果物、いも類、海藻に多く含まれます。タンパク質不足は血液中のアルブミンを減らし、水分保持力を弱めます。肉・魚・卵・大豆製品をバランス良く取り入れることが、むくみ予防に欠かせません。

ストレッチやウォーキング

むくみを和らげるには、ふくらはぎを動かして血流を促すことが大切です。ふくらはぎは、筋肉の動きによって下半身の血液を心臓へ押し戻す役割を担っています。しかし、デスクワークや立ち仕事で同じ姿勢を続けるとこの働きが弱まり、足に水分がたまりやすくなります。

意識的にふくらはぎを動かす工夫を取り入れてみましょう。座ったままでも、かかとを床につけてつま先を上げ下げしたり、足首を大きく回したりすることで筋肉を動かすことができます。立っているときは、背筋を伸ばして支えを持ちながらかかとの上げ下げを行うのもおすすめです。

さらに1日20〜30分ほど歩く習慣を持つと全身の血行が促され、ふくらはぎのポンプ作用も働きやすくなり、むくみ対策につながります。

体を温める入浴や簡単なマッサージ

体を温める習慣は血流を整え、冷えからくるむくみを和らげる助けになります。シャワーだけで済ませず、湯船に浸かることで体の芯から温まりやすくなります。入浴時に意識したいポイントは次のとおりです。

  • お湯の温度は38〜40℃程度のぬるめ
  • 時間は15〜20分ほど、リラックスして浸かる
  • 浸かりながら足首を回したり指を動かしたりする

さらに、入浴後の体が温まっているタイミングで以下のようなマッサージを取り入れると、下半身の循環がスムーズになりやすくなります。

  • 足の指を1本ずつ軽くつまんで回す
  • 足裏を親指で押す
  • 足首から膝裏に向けて、ふくらはぎをなで上げる

力を入れる必要はなく「さする」「なで上げる」などの優しいタッチで十分です。心臓に戻すイメージで行うと、リラックス効果も高まり、むくみ対策につながります。

ただし、むくみに加えて痛みを伴う場合は注意が必要です。単なる血流の滞りだけでなく、炎症や血管・関節の病気が背景にある可能性もあります。以下の記事では、足のむくみが痛いときに考えられる原因や受診の目安、解消に役立つストレッチ方法を解説しています。
>>足のむくみが痛い原因は?受診の目安や解消するためのストレッチ

適切な水分補給

水分を控えるとかえって体が水分をため込みやすくなり、むくみにつながることがあります。そのため、大切なのは「どのように飲むか」を工夫することです。飲み方を意識するだけで、体のめぐりを保ちやすくなります。水分補給のポイントは次のとおりです。

  • 一度にたくさんではなく、1日に数回に分けて飲む
  • 冷たい飲み物より常温の水や白湯を選ぶ
  • 朝起きたとき、入浴前後、運動中などに意識して飲む

上記を意識することで、体にやさしい水分補給ができます。ただし、アルコールは利尿作用が強く、体を脱水させやすいため注意が必要です。飲み過ぎると体は水分不足を補おうとして水を保持しようとするため、結果的にむくみにつながることがあります。

普段からこまめに水分を取り入れることが、健やかな習慣づくりにつながります。

症状が続くときの受診目安と診療科の選び方

セルフケアを続けてもむくみが改善しない場合や、特定の症状を伴うときは病気が隠れている可能性があります。自己判断せず、早めに医療機関を受診しましょう。

注意したい症状の例としては次のようなものがあります。

  • 急にむくみが出てきた
  • 片足だけが腫れて左右で太さが違う
  • むくんだ部分に痛みや赤み、熱っぽさがある
  • 階段で息切れや動悸がある
  • 指で押すと跡が戻らない
  • 顔やまぶたのむくみが何日も続く
  • 食事量が変わらないのに短期間で体重が増える

むくみの背景にある病気によって相談先の診療科は異なります。息切れや動悸があるときは循環器内科、顔やまぶたのむくみが強いときは腎臓内科、片足だけの腫れや痛みは循環器内科や血管外科が目安です。強いだるさや寒がりを伴う場合は内分泌内科、判断に迷うときは一般内科やかかりつけ医で相談するのが安心です。

まとめ

ほとんどのむくみは、塩分を控えたり、ふくらはぎを動かしたりなどの、日常生活の工夫で改善が期待できます。まずは、ご自身でできそうな対処法から無理なく試してみてください。

ただし「片足だけが急に腫れた」「息切れがする」「指で押した跡が戻らない」などは、心臓や腎臓などの病気が隠れている可能性があります。ご自身の体を守るために、体からの小さなサインを見逃さないことが何よりも大切です。

「いつものことだから」と自己判断せず、少しでも不安に感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。当院では循環器専門医が丁寧にお話を伺い、必要に応じた検査や治療で早期発見をサポートします。

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