大石内科循環器科医院

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動悸で病院に行くタイミングはいつ?受診の目安や検査、治療の流れ

2025.10.08 循環器
  • 「ドキドキと胸が高鳴る」
  • 「脈が速くて苦しい」

動悸の症状を経験したとき、病院に行くべきか迷う方は少なくありません。ストレスや一時的な疲労で起こることもありますが、不整脈や心臓の病気が隠れている場合もあります。動悸は、放置すると命に関わることがある症状です。

受診の目安を知っておくことで、無駄な不安を減らし、必要なタイミングで適切な医療につなげることができます。この記事では、動悸で受診すべきサインや病院で行われる検査・治療の流れ、自宅でできるセルフケアも解説します。正しい知識を持つことで、不安を安心に変え、健康的な毎日を送る第一歩となれば幸いです。

静岡市で動悸の症状にお悩みの方は、大石内科循環器科医院へご相談ください。当院では循環器専門医が心電図や超音波検査などを行い、原因を丁寧に確認しながら適切な治療や生活改善をサポートします。放置せずに早めに受診することで、安心と健康を守ることにつながります。

すぐに受診すべき動悸の3つのサイン

すぐに受診すべき動悸のサインは、以下の3つです。

  • 胸の痛み・息切れ・めまいを伴って現れる動悸
  • 突然死につながる重篤な不整脈を引き起こす動悸
  • 更年期・妊娠など特定の状況で悪化する動悸

胸の痛み・息切れ・めまいを伴って現れる動悸

動悸だけでなく、他の症状が一緒に現れるときは注意が必要です。心臓や肺の機能に何らかの異常が生じている可能性があります。以下の症状を伴う動悸の場合、他の病気の可能性もあるため、受診をおすすめします。

  • 胸の痛み・圧迫感・しめつけられる感じ:狭心症や心筋梗塞の可能性
  • 息切れ・呼吸が苦しい:心不全の可能性
  • めまい・ふらつき・気が遠くなる感じ:不整脈の可能性
  • 冷や汗が出る:ショック状態の可能性

以前から心臓の血管の病気(冠動脈疾患など)を指摘されている方は、動悸に注意してください。研究では、冠動脈疾患を持つ方の動悸や息切れは「心房細動」という不整脈が隠れているサインであると示唆されています。心房細動は、心臓の中の心房という部屋が不規則に痙攣(けいれん)する状態で、脳梗塞の大きな原因にもなります。

「いつもの動悸だから」と自己判断せず、他の症状もあれば医師に相談することが大切です。以下の記事では、症状別の動悸への対処法や、自宅で行える応急処置、普段から意識したいポイントを解説しています。
>>動悸の対処法を症状別に解説!自宅でできる応急処置と普段から気をつけたいポイント

突然死につながる重篤な不整脈を引き起こす動悸

動悸の中には、直接命に関わる、危険な不整脈が原因のものがあります。心臓が細かく痙攣し、全身に血液を送ることが困難になる状態です。緊急の対応が必要となる場合があります。危険な不整脈の種類は以下のとおりです。

  • 心室細動:心臓が小刻みにブルブルと震え痙攣する
  • 心室頻拍:脈が異常に速くなる(1分間に100回以上)

ご自身や周りの人が突然意識を失ったり、ぐったりして反応がなくなったりした場合は、すぐに救急車を呼びましょう。AED(自動体外式除細動器)が近くにあれば、音声の案内に従って使用してください。早急な対応が命を救うことにつながります。

更年期・妊娠など特定の状況で悪化する動悸

女性は、ライフステージの変化でホルモンバランスが大きく変動します。ホルモンバランスの影響が、動悸の原因となることもあります。自分で判断せず、気になる症状があれば専門医に相談することが大切です。

更年期が原因だと思っていても、心臓の病気が隠れている可能性があります。症状が日常生活に支障をきたすほど強い場合や、今までにない動悸を感じる場合は、婦人科や循環器内科を受診してください。

妊娠中の動悸は生理的なものがほとんどですが、重い貧血や甲状腺の病気、妊娠高血圧症候群などの病気が隠れていることもあります。自己判断せず、妊婦健診の際に医師や助産師に伝えるようにしてください。

動悸で病院を受診するタイミング

動悸がしても、すべてのケースですぐに病院へ行く必要はありません。受診を検討すべき動悸かチェックするためのポイントは以下のとおりです。

  • 頻度:週に何度も起きる・動悸の回数が以前より増加している
  • 持続時間:一度始まると30分以上続く・治まっても繰り返す
  • 症状の強さ:動悸のため集中できない・脈が飛ぶ・リズムが不規則に感じる

判断に迷う場合は、受診することをおすすめします。高血圧や糖尿病、心臓の血管の病気(冠動脈疾患)をお持ちの方の動悸は注意が必要です。放置せずに一度、循環器内科へ相談しましょう。

病院で行われる主な検査内容

病院で行われる主な検査内容は、以下のとおりです。

  • 心電図・ホルター心電図
  • 心エコー検査
  • 必要に応じての追加検査

心電図・ホルター心電図

動悸の検査で、基本となるのが「心電図検査」です。心電図検査は、心臓が動くときに発生する、ごくわずかな電気信号を波形にします。波形を記録し、脈のリズムの乱れ(不整脈)がないかを調べる検査です。ベッドに横になり、胸や手足に電極を貼るだけで痛みはありません。検査は数分で終わる簡単なものです。

心電図検査は、検査中の心臓の状態しか調べることができません。動悸の症状が出ていないときに検査をしても、異常が見つからないことがあります。より詳しく調べるために行われるのが「ホルター心電図検査」です。携帯できる小さな心電図の記録装置を、24時間身につけて生活します。

ホルター心電図検査は、普段通りの生活をしながら、心臓の状態を長時間記録し続ける検査です。仕事中や寝ているときなど、日常生活のなかで「いつ」「どんな状況で」動悸が起きているのかを調べることができます。

心エコー検査

心エコー検査は「心臓超音波検査」とも呼ばれます。超音波を使って、心臓の様子をリアルタイムの映像で観察する検査です。胸にゼリーを塗りプローブという器具を当てるだけで検査ができます。心エコー検査も痛みはなく、体への負担も少ないのが特徴です。

心電図が心臓の「電気的な情報」を調べるのに対し、心エコー検査では心臓の「形」や「動き」を確認できます。心エコー検査では、以下の項目を確認し、病気の有無を詳しく調べていきます。

  • 心臓の大きさや壁の厚さ:心肥大など
  • 心臓のポンプ機能:心不全など
  • 弁の動き:心臓弁膜症など
  • 心臓の筋肉の動き:心筋梗塞など

心エコー検査は、動悸の原因が、心臓の構造的な問題にあるのか、機能的な問題にあるのかを判断するために重要です。

必要に応じての追加検査

心電図や心エコー検査で原因がはっきりしないこともあります。心臓以外の病気が疑われる場合には、追加で他の検査を行うことがあります。患者さん一人ひとりの状態に合わせて、必要な検査を組み合わせて診断を進めていきます。追加検査の内容は、以下のとおりです。

  • 血液検査:貧血・甲状腺ホルモンの異常・体のミネラルバランスの乱れなどを確認する
  • 胸部X線(レントゲン)検査:心臓の大きさや形、肺に水がたまっていないか(心不全のサイン)などを画像で確認する
  • 運動負荷心電図:運動によって危険な不整脈や狭心症が誘発されないか確認する

複数の情報を総合的に評価することで、隠れた病気を見つけ出す手がかりになります。追加検査は、より正確な診断と治療方針を決めるために大切な役割を果たします。

動悸で病院を受診するときに知っておきたいこと

動悸で病院を受診する前に知っておきたいポイントとして、以下の3つを解説します。

  • まずは循環器内科の受診を検討
  • 受診前に準備しておくべき情報とメモの取り方
  • 診察時に症状を正確に伝えるコツ

まずは循環器内科の受診を検討

動悸の症状で病院を受診するとき、まずは「循環器内科」の受診を検討します。循環器内科は、心臓や血管の病気を専門的に診る診療科です。動悸の原因として考えられる不整脈や心臓の形の異常などを、専門的な検査で詳しく調べることができます。何科に行けばいいか迷う場合は、以下を参考にしてください。

  • 胸の痛みや息切れ・めまいなどを伴う動悸:心臓の病気が疑われるため、循環器内科が第一選択
  • どの科かわからない、動悸以外にも気になる症状がある:一般内科やかかりつけ医に相談
  • ストレスや不安を感じている:最初に循環器内科や内科を受診して心臓の病気がないかを確認し、必要であれば心療内科の受診を検討

特に高齢者では、動悸とともに息切れが現れることが多く、心臓や肺の病気に加えて、加齢に伴う体力低下や生活習慣の影響も関わる場合があります。以下の記事では、高齢者の息切れの原因や考えられる病気、検査・治療の流れ、日常でできる対処法を解説しています。
>>高齢者の息切れの原因は?病気の可能性や検査・治療法、日常での対処法を解説

受診前に準備しておくべき情報とメモの取り方

診察時間には限りがあるため、症状を正確に伝えるには事前の準備が大切です。動悸の症状や生活習慣などの情報を整理してメモに残しておくことで、医師は診断の手がかりを得やすくなり、必要な検査や治療方針の判断につながります。

動悸の症状を効率良く伝えるために、以下の項目を参考にメモを作成してみてください。

  • いつから:「1か月くらい前から」「昨日の夜から急に」
  • どんなときに:「じっと座っているとき」「階段をのぼったとき」「夜、横になったとき」
  • どんな動悸:「ドキドキと速くなる」「ドクンと一瞬、脈が抜ける感じ」「脈のリズムがバラバラになる感じ」
  • 持続時間:「数秒でおさまる」「10分くらい続いた」
  • 頻度:「1日に数回」「週に1回程度」
  • 動悸以外の症状:胸の痛み・息苦しさ・めまい・冷や汗・意識が遠のく感じなど
  • きっかけになりそうなこと:コーヒーやお酒を飲んだ後・寝不足のとき・緊張したときなど

健康情報を伝えるためのリストは、以下のとおりです。

  • 現在飲んでいる薬:お薬手帳の持参・サプリメントや漢方薬も含む
  • 今までにかかった大きな病気:高血圧・糖尿病・甲状腺の病気など
  • アレルギーの有無
  • ご家族の病歴:ご両親や兄弟に心臓の病気(狭心症・心筋梗塞・不整脈など)の方がいる場合は、遺伝的な体質を知るための情報

診察時に症状を正確に伝えるコツ

準備したメモがあれば、診察室で緊張してしまっても、伝え忘れを防げます。診察時は、以下のポイントを意識して医師に伝えましょう。少し意識するだけで、情報の伝わり方が大きく変わります。

  • 一番つらい症状から話す
  • 具体的なエピソードとして説明する
  • 自分の感じたままの言葉で表現する

不安を解消することも、大切な治療の一つです。少しでも気になることや不安なことがあれば、遠慮せずに質問することが大切です。

動悸が起きたときに自分でできるセルフケア

動悸が起きたときに自分でできるセルフケアとして、以下の5つを紹介します。

  • 安静にして深呼吸で落ち着かせる
  • 水分をとって脱水を防ぐ
  • 症状が軽い場合は横になって休む
  • カフェイン・アルコールを控える
  • 十分な睡眠をとる

安静にして深呼吸で落ち着かせる

動悸が起きると、不安や焦りの気持ちが強まり、さらに心臓がドキドキするという悪循環に陥ることがあります。悪循環を断ち切るためには、安静にすることが大切です。仕事や家事の手を一旦止め、楽な姿勢をとりましょう。ゆっくりとした「深呼吸」を試してみてください。

体には、体の調子を自動で整える「自律神経」という仕組みがあります。自律神経には、体を活動的にする「交感神経」と、体をリラックスさせる「副交感神経」の2種類があります。深い呼吸は、副交感神経のスイッチを入れ、高ぶった神経を鎮める効果が期待できます。心を落ち着かせる深呼吸の方法は、以下のとおりです。

  1. 楽な姿勢になり、ネクタイやベルトなど体を締め付けているものを緩める
  2. ゆっくりと4秒ほどかけて、鼻から息を吸い込む(お腹が大きく膨らむのを意識する)
  3. 6〜8秒ほどかけて、ゆっくりと口から息を吐き出す(お腹をへこませながら体中の力を抜いていく)
  4. 動悸が落ち着くまで数分間繰り返す

静かで落ち着ける環境で行うと、よりリラックスしやすくなります。焦らず、ご自身の呼吸だけに意識を向けてみましょう。

水分をとって脱水を防ぐ

体の中の水分が足りなくなる「脱水」も、動悸の原因になります。体の中では、血液が栄養や酸素を運んでいます。汗をたくさんかいた後や、水分をとる量が少ないと、血液の中の水分が減って、血液がドロドロの状態になります。心臓はドロドロになった血液を全身に送り出すために、いつもより強く速く働きます。

心臓の頑張りが、動悸として感じられることがあります。夏場や運動後、発熱、下痢・嘔吐があるときは、気づかないうちに脱水状態に陥りやすいので注意が必要です。上手な水分補給のポイントは、以下のとおりです。

  • 飲み物:水や麦茶、白湯など、カフェインや糖分を含まないもの・汗を多くかいたときはスポーツドリンクや経口補水液
  • 飲み方:コップ1杯程度の量を時間をかけてゆっくりと飲む
  • 温度:常温に近いもの

普段からこまめに水分をとる習慣は、脱水を防ぎ、動悸の予防にもつながります。

症状が軽い場合は横になって休む

胸の痛みや息苦しさなどの危険なサインがなく、比較的症状が軽い動悸の場合は、横になって体を休めることも方法の一つです。体を休めることで、動悸の原因となりやすい体の疲れや心の緊張を和らげることができます。

少しの時間でも横になることで、心と体の両方がリラックスでき、動悸が自然と治まることが期待できます。以下にリラックスして休むためのポイントを紹介します。

  • 楽な体勢を見つける:クッションや枕で上半身を少し高くする・楽だと感じる向きになる
  • 環境を整える:照明を暗くする・静かな音楽をかける
  • 体の力を抜く:目を閉じて手足の力を抜きリラックスする

横になっても症状が全く改善しない場合や、悪化するような場合は、医療機関に連絡してください。

心臓だけでなく、肺や消化器など他の臓器が原因の場合もあるため、症状を理解することが大切です。以下の記事では、胸の痛む場所ごとに考えられる原因や関連する病気を解説しています。
>>胸が痛い!痛む場所(左・右・真ん中)による原因や病気の可能性を解説

カフェイン・アルコールを控える

コーヒーや栄養ドリンクなどに含まれる「カフェイン」や、お酒の「アルコール」は、心臓を直接刺激して脈拍を速くする作用を持っています。カフェインやアルコールをとりすぎることが、動悸の引き金になる場合があります。

疲れていたり、ストレスが溜まっていたりするときに摂取すると、体が敏感に反応して動悸を感じることもあります。動悸が気になる場合は、一時的にカフェインやアルコールを控えてみましょう。ご自身の動悸が、特定の飲食物と関係していないかを確認する良い機会にもなります。

カフェインやアルコールを多く含むものは、以下のとおりです

  • カフェイン:コーヒー・紅茶・緑茶・エナジードリンク・コーラ・チョコレートなど
  • アルコール:ビール・日本酒・ワイン・ウイスキーなどの酒類

最近では、カフェインを含まない「デカフェ」や「カフェインレス」のコーヒーや紅茶も多くあります。動悸が心配なときは、代替品を選ぶのも一つの方法です。

十分な睡眠をとる

睡眠不足は、心と体の健康にさまざまな影響を与えますが、動悸とも深い関わりがあります。睡眠が足りないと、体の調子を自動で整える自律神経のバランスが乱れやすくなります。自律神経は心臓の動きをコントロールしています。自律神経のバランスが崩れると、脈が速くなったり、不規則になったりして、動悸を感じることがあります。

睡眠不足や過労が続くと、病気のリスクを高めてしまう可能性も考えられます。繰り返す動悸は、体が発している大切なサインの可能性があります。放置せずに、一度専門医に相談することが重要です。

まとめ

動悸の多くは一時的なもので心配いりませんが、心臓からのSOSサインが隠れていることもあります。胸の痛みや息切れ、めまいなどを伴う場合は、自己判断せず、専門医に相談しましょう。

「このくらいの症状で受診していいのかな?」と不安を抱え続けるよりも、一度検査を受けて安心することが大切です。この記事が、不安を和らげ適切な行動をとるきっかけになれば幸いです。

当院では循環器専門医が丁寧にお話を伺い、必要に応じた検査や治療で早期発見をサポートします。

参考文献

Jie Jian, et al.The identification and prediction of atrial fibrillation in coronary artery disease patients: a multicentre retrospective study based on Bayesian network.Ann Med,2024,56,1,p.2423789

大石内科循環器科医院
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