多くの方が経験する足のむくみですが、ただの疲れや加齢のせいだと軽く考えていませんか?むくみのつらい症状は、血行不良や食生活の乱れ、心不全、深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)など、命に関わる病気のサインの可能性があります。
放置すると、皮膚が変色したり、治りにくい潰瘍(かいよう)ができたりするリスクもあります。この記事では、危険なむくみの見分け方から、自宅でできるストレッチ、つらい症状を解消するための方法を詳しく解説します。ご自身の症状と照らし合わせ、適切なケアを見つけましょう。
足のむくみが気になる方は、大石内科循環器科医院へご相談ください。心臓や血管の異常によるむくみは、放置すると深刻な病気につながることがあります。当院では循環器専門医が超音波検査や血液検査などを用いて原因を丁寧に調べ、必要に応じた治療や生活改善をサポートしています。気になる症状をそのままにせず、早めの受診で安心を取り戻しましょう。
足のむくみ・痛みを引き起こす主な原因を、5つ解説します。
足のむくみで最も多い原因は、血液の流れが悪くなることです。心臓から送り出された血液は、全身を巡って心臓に戻ります。特に足の血液は、重力に逆らって心臓まで戻る必要があります。このとき、ふくらはぎの筋肉がポンプのように収縮し、血液を力強く押し上げています。
これを「筋ポンプ作用」と呼び、第二の心臓とも言われる重要な機能です。以下の習慣があると、大切なポンプ機能がうまく働かないので注意が必要です。
加齢による筋力低下も、むくみを引き起こす大きな要因です。ご自身の生活を振り返り、こまめに足を動かす習慣をつけましょう。
むくみの大きな原因は食生活の乱れです。特に注意したいのが塩分の摂りすぎとカリウム不足です。塩分を多く含む食事の例は、以下のとおりです。
むくみ解消の強い味方となるのが「カリウム」です。カリウムは、体内の余分な塩分(ナトリウム)を尿として体の外に出す働きがあります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも、高血圧予防の観点からカリウム摂取の重要性が示されています。カリウムが不足すると、塩分が体内に残りやすくなり、むくみにつながります。
カリウムを多く含む食品の例は、以下のとおりです。
日々の食事で少し塩分を控え、カリウムを積極的に摂ることを心がけてみましょう。
女性は、ホルモンバランスの変化によってむくみやすくなる時期があります。特に女性ホルモンの一つ「プロゲステロン(黄体ホルモン)」には、体に水分をため込む性質があります。
ホルモンバランスの変化によるむくみは、ある程度は自然な体の変化です。日常生活に支障が出るほどつらい場合は、我慢せずに婦人科などで相談しましょう。
足の血管が浮き出て青く透けて見える場合、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)が疑われます。 足の静脈には血液の逆流を防ぐ弁がありますが、加齢・立ち仕事・妊娠出産などで壊れると血液が逆流し、血管がこぶのように膨らみます。
主な症状には、足の血管が浮き出る、むくみや重だるさ、頻繁なこむら返り、かゆみや皮膚の変色などがあります。初期は軽度のだるさや見た目の変化にとどまりますが、放置すると皮膚が硬くなったり潰瘍ができたりします。特に高齢者では再発や長期治療が必要になるケースもあります。
近年の研究でも、慢性静脈性下肢潰瘍は治りにくく再発率が高いことが報告されており、早期発見が重要とされています。血管が目立たなくても、足のだるさやむくみが続く場合は、早めに血管外科や循環器内科を受診してください。
以下の記事では、下肢静脈瘤で受診すべき診療科の選び方や原因、放置による影響、治療法について解説しています。
>>下肢静脈瘤は何科を受診すべき?原因や放置するリスク、治療法を解説
これまでの原因とは違い、むくみには命に関わる重大な病気が隠れていることもあります。次の症状は、危険なサインです。
深部静脈血栓症は「片足だけがパンパンに腫れる」「皮膚が赤紫色になる」などの症状が特徴です。血栓が肺に飛ぶと命を脅かす肺塞栓症を引き起こすため、早期受診が必要です。
甲状腺の機能低下や、細菌感染による蜂窩織炎(ほうかしきえん)などが原因でむくむこともあります。急に始まったむくみや、息苦しさなどを伴う場合は放置せず、すぐに内科や循環器内科を受診してください。
「片足だけだるい」背景には、血流障害や筋肉・神経の異常など、いくつかの病気が潜んでいる可能性もあります。以下の記事では、片足だけがだるいときに考えられる原因や病気、対処法について解説しています。
>>片足だけだるいときの原因は?考えられる病気と対処法を医師が解説!
病院を受診すべき目安について、以下の2点を解説します。
片足だけの急な腫れ・痛み・皮膚の変色などの症状が1つでも現れた場合は、ためらわずに医療機関を受診してください。夜間や休日であれば、救急外来の利用も考えましょう。命に関わる危険なサイン・チェックリストは、以下のとおりです。
高齢の方は、加齢によって皮膚のバリア機能や免疫力が低下しています。細菌感染が起こりやすく、症状が悪化しやすい傾向があるため、注意が必要です。「いつもと違う」と感じたら、循環器内科や血管外科、内科を受診してください。
セルフケアをしてもむくみや痛みが続く場合は、重大な病気が隠れている可能性があります。 慢性的なむくみは、心臓や腎臓、肝臓などの水分バランスを調整する臓器の機能低下の可能性があります。次のような症状があるときは医師の診察を受けましょう。
慢性的なむくみを放置すると、皮膚が茶色く硬くなる「うっ滞性皮膚炎」や、傷が治りにくく潰瘍へ進行する危険があります。「たかがむくみ」と思わず、かかりつけ医や内科に早めに相談してください。
自宅でできるむくみ・痛みの解消法について、以下の6つを解説します。
長時間同じ姿勢でいると、ふくらはぎの筋肉が固まってしまいます。ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、足にたまった血液を心臓へ送り返すポンプの役割をしています。ポンプ機能をしっかり働かせるために、ストレッチや足首の運動をこまめに行うことで効果が期待できます。
座ったままできる足首の運動を2つ紹介します。仕事の合間やテレビを見ながらでもできるので、ぜひ習慣にしましょう。かかとの上げ下げ運動の手順は以下のとおりです。
足首を回す運動を、以下の手順で行いましょう。
立ったままできるふくらはぎの運動(つま先立ち運動)の手順は、次のとおりです。
デスクワークの方は、30分に1回は足首を動かす、1時間に1回は立ち上がって少し歩く、などを心がけるだけでも違いが出ます。
マッサージは、皮膚の下にたまった余分な水分(リンパ液)や血液の流れを物理的に促し、むくみを解消するのに役立ちます。ポイントは足先から心臓に向かって優しくなでるように行うことです。基本的な手順は次のとおりです。
肌の摩擦を減らすため、オイルやクリームを使用し、入浴後など血行が良いタイミングに行うのがおすすめです。ただし、強く押しすぎるのは逆効果で、皮膚に炎症がある部位や食後・飲酒後は避けてください。継続的に取り入れることで、むくみの改善や足の軽さを実感しやすくなります。
足の甲のむくみは単なる疲労や血流の滞りだけでなく、腎臓や心臓など全身の病気が背景にある場合もあります。以下の記事では、足の甲のむくみの原因や放置した場合のリスク、解消のための方法について解説しています。
>>足の甲のむくみの原因と解消法とは?放置しておくとどうなる?
体を温めて血行を良くすることは、むくみ解消の基本です。シャワーだけで済ませず、できるだけ湯船に浸かる習慣をつけましょう。ぬるめのお湯にゆっくり浸かることで、全身の血管が広がり、血の流れがスムーズになります。リラックス効果もあるため、自律神経のバランスを整えることにもつながります。
むくみ解消に効果が期待できる入浴法を紹介します。
心臓に持病のある方や高血圧の方は、体に負担がかかることがあるため、医師に相談してから行ってください。
むくみの大きな原因は塩分の摂りすぎです。ナトリウムが増えると体は濃度を薄めようとして水分をため込み、むくみにつながります。このとき役立つのがカリウムで、余分な塩分と水分を尿として排出する働きがあります。したがって減塩とカリウム摂取をセットで意識することが大切です。
減塩の工夫として、ラーメンやうどんの汁を残す、加工食品やインスタント食品を控える、調味料はかけずにつけて使うなどの方法があります。だしや香辛料、レモンやお酢を活用すれば、薄味でもおいしく食べられます。
食事には、ほうれん草やバナナ、さつまいも、ひじきなどカリウムを多く含む食品を取り入れ、むくみにくい体を目指しましょう。腎機能が低下している方は、カリウム過剰が害になることがあるため、主治医に相談してください。
着圧ソックス(弾性ストッキング)は、足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力をかける医療用具です。足首の圧力が強く、上に向かうほど弱くなるように設計されています。ふくらはぎの筋ポンプ作用を助け、血液やリンパ液が心臓に戻るのをサポートします。
特に立ち仕事やデスクワークで足がむくみやすい方には、日中の予防として効果が期待できます。効果を得るためには、正しく選んで使うことが重要です。着圧ソックスの選び方のポイントは、以下のとおりです。
正しく使うために以下の注意点も把握しておきましょう。
糖尿病や血行障害、皮膚疾患、妊娠中の方は医師に相談してください。高齢者はむくみを放置すると潰瘍のリスクが高まるため、着圧ソックスは重要な予防ケアになります。
夜寝ている間に、重力を味方につけて、日中足にたまった水分や血液を心臓に戻しやすくする方法です。翌朝の足のすっきり感につながるケアです。バスタオルを数枚重ねたものやクッション、座布団などを用意します。手順は次のとおりです。
足を高くしすぎると、腰や股関節に負担がかかるため、自分が心地よい高さを選ぶことが大切です。かかとだけを支えるのはひざへの負担になるので、面で支えるようにしましょう。
高齢の方にとって毎晩のむくみリセットは、皮膚トラブル予防にも重要です。ストレッチやマッサージと組み合わせ、習慣にすることで足の健康を守りやすくなります。
足のむくみは、多くの場合、長時間の同じ姿勢や食生活の乱れが原因ですが、心臓や血管の病気の可能性もあります。まずは、今日からできるストレッチやマッサージ、減塩などを試してみてください。
それでも改善しない場合や「片足だけが急に腫れる」「息苦しい」などの症状が見られる場合は、ためらわずに専門医に相談しましょう。「たかがむくみ」と軽視せず、ご自身の体からの大切なサインを見逃さないでください。
当院では循環器専門医がむくみの原因を丁寧に調べ、必要に応じた治療や生活改善をサポートしています。気になる症状をそのままにせず、早めの受診で安心を取り戻しましょう。
大石内科循環器科医院
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