「最近、靴がきつい」「夕方になると足がパンパン」足のむくみは、心臓からのSOSサインかもしれません。心不全は心臓のポンプ機能が弱まる病気で、結果として体のあちこちに水分が溜まり、足がむくむことがあります。
この記事では、心不全の症状と対処法について詳しく解説します。足のむくみは、心不全の初期症状である可能性があり早期発見が重要です。この記事を読むことで足のむくみの原因を理解し、適切な対処法を知ることができます。
足のむくみで悩んでいる方は、まずは循環器内科へ行くことをおすすめします。静岡県でむくみにお悩みの方は、循環器専門医が院長を務める大石内科循環器科医院へご来院ください。
心臓は体中に栄養を届けるポンプのような役割をしています。心不全は、心臓のポンプの力が弱まり足のむくみが起きてしまう病気です。心不全と足のむくみの関係性について、以下の4つを解説します。
足のむくみには心不全以外にも多くの原因があり、見極めが重要です。むくみ全般についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
>>むくみの原因は?危険なむくみや考えられる病気、日常でできる対処法を解説
心不全になると心臓のポンプ機能が低下し、全身に血液を送り出す力が弱まります。血液の流れが滞り、静脈に血液が溜まりやすくなります。心臓から最も遠い足は、重力の影響もあり、むくみが特に現れやすい場所です。
「夕方になると足がむくみやすい」「指輪がきつくなる」などの症状は、心不全の初期症状である可能性があります。日中の活動で心臓に負担がかかり、夕方になると心臓のポンプ機能が低下してしまうために起こると考えられています。
心不全以外にも、足のむくみの原因はさまざまです。以下に足のむくみを引き起こす原因になる一例を紹介します。
自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。医師は、むくみの症状以外にも動悸や息切れ、体重増加、尿量の変化などの症状もチェックします。血液検査や心電図、心臓超音波検査などの検査結果を総合的に判断し、むくみの原因を特定します。
むくみは原因によって受診すべき診療科が異なる場合があります。適切な医療機関の選び方を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
>>足のむくみは何科で診てもらえる?考えられる病気や症状に合う病院の選び方
心不全による足のむくみは一般的に両足に見られ、夕方になると悪化する傾向です。指で押すとへこみが戻りにくいという特徴もあります。朝起きたときにむくみが残っている場合や、日に日にむくみがひどくなる場合は、心不全が進行している可能性があるため注意が必要です。
心不全が進行すると、足だけでなくお腹や顔にもむくみが広がることがあります。心臓のポンプ機能が著しく低下し、体内の水分調節機能がうまくいかなくなるためです。むくみとともに体重が急に増えたり、靴や指輪がきつく感じたりするのも、体内に水分が溜まっているサインです。
心不全は、心臓のポンプ機能が低下することで、全身に十分な血液を送り出せなくなる病気です。足のむくみ以外にもさまざまな症状が現れます。代表的な症状は、以下のとおりです。
風邪や貧血など、他の病気で起こることもありますが、心不全の場合は症状が徐々に悪化していく傾向なので注意が必要です。夜、横になると息苦しくなり、枕を高くしても楽にならず、座った姿勢でないと眠れないような場合は、心不全が進行しているサインかもしれません。
以前は平気だった階段の上り下りや軽い家事で息切れを感じるようになったら、早めに医師に相談しましょう。高齢者のむくみは、背景に慢性疾患が隠れていることが少なくありません。特に見逃してはいけないサインについては、以下の記事で専門医が詳しく解説しています。
>>【循環器専門医が解説】高齢者のむくみは病気のサイン?
心不全による足のむくみの対処法について、以下の3つを解説します。
心不全の治療で足のむくみの改善法として、大きく分けて以下の3つがあります。
薬物治療では、体の中に溜まっている余分な水分を尿として排出する利尿薬や、心臓をサポートして血液の滞りを改善する薬を使います。薬は医師の指示に従って正しく服用することが大切です。弾性ストッキングは、足首から太ももにかけて段階的に圧力をかけることで、足の静脈の血流を促進し、むくみを軽減します。
ふくらはぎは「第二の心臓」と言われており、足の血液を心臓に戻すのを助ける働きがあります。生活習慣の改善もむくみの改善に役立ちます。水分の過剰な摂取はむくみの原因となるため、一度にたくさん飲まないよう注意しましょう。
ウォーキングなどの軽い運動は血液の循環を良くし、むくみの改善に効果が期待できます。塩分の摂りすぎは体内の水分量を増加させるため、ラーメンのスープは半分残す、醤油やソースは減塩タイプを選ぶ、お漬物や佃煮は少量にするなど、日々の食事で工夫することが大切です。
足のむくみを予防するためには、心臓に負担をかけない生活を続け、体調をしっかり整えることが大切です。心不全では水分調節がうまくいかず、むくみが出やすくなるため、毎日の習慣が予防につながります。基本となる体調管理は次のとおりです。
睡眠を十分にとり、食事の時間をそろえることで体のリズムが整い、心臓への負担が軽くなります。ウォーキングやストレッチのような軽い運動は血の巡りを良くし、心肺機能の維持にも役立ちます。塩分を控えてカリウムを含む食品を取り入れることで水分のバランスが整い、むくみの悪化を防げます。
水分は飲みすぎも控え、医師の指示に従うことが大切です。
心不全による足のむくみを和らげるためには、血流を良くして体に溜まった水分をスムーズに戻すことが大切です。まず、軽い運動を取り入れることが大切です。ウォーキングなら1日30分ほどを自分のペースで歩くと、ふくらはぎの筋肉がポンプの役割を果たし、血流が改善されます。
ラジオ体操やストレッチなどの無理のない体操も同様に役立ちます。ふくらはぎを下から上へ向かって優しく揉むマッサージは、血液やリンパの流れを促し、むくみの軽減につながります。足首をゆっくり回すマッサージも効果が期待できます。
足湯もおすすめで、40℃ほどのぬるめのお湯に10〜15分浸かると足元が温まり血行が良くなります。休むときは足を心臓より高くすると血液が戻りやすくなり、むくみが楽になります。医師の指示で弾性ストッキングや包帯を使うと、静脈の流れを助け、むくみの改善に効果が期待できます。
足のむくみは、日ごろの気づきとセルフケアで早めに対処することが大切です。自宅で状態を確認しながら、むくみを防ぐ生活習慣を取り入れることで、心不全の早期発見にもつながります。チェック方法や予防のポイント、受診が必要なサインを紹介します。
足のむくみは、すねやくるぶしを指で押して、へこみが残るかどうかで簡単にチェックできます。むくみがあると、皮膚の下に余分な水分が溜まっているため、指で押すとその部分がへこみ、すぐには元に戻りません。これを「圧痕(あっこん)」と言い、むくみの程度を確認する目安になります。
健康な状態であれば、指を離すとすぐに元に戻ります。お風呂上がりや夕方、足のすねやくるぶしの骨の内側を指で5秒ほど押してみてください。押した跡がくっきり残り、なかなか戻らない場合はむくんでいる可能性があります。靴下のゴム跡が深く残る、靴がきつく感じるといった変化も、むくみのサインです。
毎日のセルフチェックでむくみの変化に早く気づくことが、病気の早期発見につながります。
むくみを予防するには、以下のようなちょっとした工夫が大切です。
塩分を摂りすぎると体が水分を溜め込みやすくなり、むくみの原因になります。長時間同じ姿勢でいると血液が足に滞りやすくなるため、定期的に体を動かすことや、足を高くして休むことで血流を促し、むくみを予防できます。
食事では味付けを薄めにし、外食の際は汁物を残すなどして塩分を控えましょう。デスクワークの合間に足首を回したり、かかとの上げ下げをするだけでも血流が良くなります。寝るときは足の下にクッションを置いて、心臓よりも少し高くすると、むくみが軽減されます。
日常生活での小さな工夫を積み重ねることで、足のむくみを予防し、快適に過ごせます。
足のむくみの原因をさらに詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。
>>足の浮腫・むくみは病気のサインかも?考えられる病気の一覧を解説
以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
以上の症状は、心不全の悪化や深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)など、重大な病気のサインである可能性があります。特に心不全では、むくみだけでなく呼吸困難や動悸、倦怠感などが同時に現れることが多く、放置すると命に関わることもあります。
数日のうちに急に体重が増えた、階段を上るだけで息切れがする、夜中に息苦しくて目が覚めるといった症状があれば、心不全の可能性があります。片方の足だけが腫れて痛みを伴う場合は、血栓が原因かもしれません。
普段と違う症状や急な変化に気づいたら、自己判断せずに早めに医師に相談することが大切です。
片足に生じるだるさや腫れには、血管・神経・筋骨格など複数の病気が関わることがあります。症状ごとの原因をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
>>片足だけだるい原因と対処法は?考えられる病気や症状も解説
心不全を正しく診断するためには、検査によって体の状態を詳しく調べ、専門家が総合的に判断することが欠かせません。診断に用いられる主な検査項目と、医師が果たす役割について説明します。
心不全の診断には、複数の検査項目を組み合わせて総合的に判断します。主な検査項目と内容は、以下のとおりです。
問診では、息切れや疲労感、むくみなどの症状、これまでの病歴、現在服用している薬などを詳しく聞き取ります。身体診察では、体重や血圧、脈拍などを測定し、心臓や肺の音、むくみの程度もチェックします。血液検査では、血液中のBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)などの心不全マーカーを測定します。
BNP値が高いほど心不全が疑われるため、心不全の状態を客観的に評価する重要な指標となります。心電図検査では、心臓の電気的な活動を記録し、不整脈や心筋の酸素不足などを調べます。心臓超音波検査(心エコー)では、超音波を使って心臓の動きや構造をリアルタイムで観察し、心臓のポンプ機能や弁の状態を評価します。
胸部レントゲン検査では、心臓の大きさや肺の状態を確認します。心臓の肥大や肺のうっ血など、心不全に伴う変化がないかをチェックし、診断の補助として役立てます。
心不全の診断には、循環器内科医などの専門医の診察が重要です。専門医は豊富な知識と経験にもとづいて、問診や身体診察、検査結果などを総合的に判断して心不全の診断を行います。心不全の原因となる高血圧や心筋梗塞、弁膜症などの病気を特定し、一人ひとりに適切な治療計画を立てることができます。
心不全は、初期段階では自覚症状が乏しい場合もあるため、早期発見が重要です。足のむくみなどの症状がある場合は、放置せずに循環器内科を受診し、専門医に相談することをおすすめします。
静岡県で足のむくみや心不全にお悩みの方は、新静岡駅から徒歩3分の大石内科循環器科医院へお気軽にご相談ください。
足のむくみや心不全について、以下の5つを解説します。
足のむくみがあるからといって必ず心不全というわけではありません。足のむくみは、以下のように、さまざまな原因で起こります。
心不全は原因の一つではありますが、すべてのむくみが心不全によるものではありません。夕方になると靴がきつく感じるのは、重力で血液が足に溜まりやすくなるためで、多くの場合は一晩休めば翌朝には改善します。心不全によるむくみは、朝になっても改善せず、むしろ日に日に悪化する傾向があります。
むくみが続く場合や他の症状を伴う場合は、自己判断せず医師に相談することが大切です。
心不全によるむくみは、休んでも改善しにくく、体重増加や息苦しさなど他の症状を伴うことが特徴です。一般的なむくみは、長時間の同じ姿勢や、塩分の摂りすぎなどが原因で起こり、足を高くして休んだり一晩寝れば改善することがほとんどです。
心不全によるむくみは、心臓のポンプ機能が低下して体内に水分が溜まり続けているため、休んでもなかなか良くなりません。心不全のむくみでは、朝になってもむくみが残り、数日で急に体重が2〜3kg増えたり、階段を上るだけで息切れがするなどの症状が現れます。
気になる症状がある場合は、心不全の可能性を考えて早めに受診しましょう。
朝起きたときに顔や手がむくんでいる場合は、腎臓の問題が考えられますが、足のむくみが朝も続いている場合は心不全の可能性があります。健康な人でも、朝起きた直後は顔や手がむくむことがあります。寝ている間に体が横になっているため、水分が全身に分散しやすくなるからです。通常は起きて活動すれば自然に解消されます。
足のむくみが朝になっても改善しない場合は、心臓や腎臓に問題がある可能性があります。夜寝る前に足がむくんでいて、翌朝起きても全く改善していない、むしろ靴下の跡が深く残っている、などの場合は注意が必要です。顔や手のむくみが何日も続く場合は、腎臓の働きが低下しているサインかもしれません。
朝になってもむくみが引かない場合は、心不全や腎臓病の可能性があるため、医療機関を受診しましょう。
心不全では、以下の症状に注意が必要です。
心不全では心臓のポンプ機能が低下するため、全身に十分な血液が送れなくなります。少し動いただけで息切れがしたり、疲れやすくなったりします。肺に水分が溜まると、夜横になった時に息苦しさを感じることがあります。
症状が複数当てはまる場合は、早めに循環器内科を受診してください。
軽いマッサージや適度な運動はむくみの軽減に役立ちますが、心不全の根本的な治療にはならないため、必ず医師の指導のもとで行ってください。心不全の状態によっては、過度な運動や強いマッサージがかえって心臓に負担をかけることもあるため、自己判断で行うのは危険です。
ふくらはぎを下から上へ優しくさするようにマッサージすることで、血液やリンパの流れが良くなり、むくみが少し楽になることがあります。運動も、散歩などの軽い有酸素運動は心臓の機能維持に役立ちますが、激しい運動は避けるべきです。マッサージや運動を行う際は、必ず医師に相談し、自分の状態に合った方法で行いましょう。
足のむくみは、靴がきつくなるといった一時的なものから、心臓の病気のサインの可能性もあるので注意が必要です。足のむくみ以外にも、息切れや疲れやすさ、動悸、横になると息苦しくなるといった症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
心不全の治療には、心臓の負担を減らす薬や、むくみを軽減する利尿剤などが用いられます。足のむくみの改善には、マッサージや弾性ストッキングの着用、適度な運動も有効です。自己判断で対処法をおこなうのは危険な場合もあるため、必ず医師に相談し、適切な指導を受けるようにしましょう。
むくみについてより詳しく知りたい方はぜひ次の記事もご覧ください。
>>【医師監修】足のむくみの原因と解消法を徹底解説!放置すると危険なワケとは?
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