健康診断で血圧が高いと指摘されても「まだ大丈夫」と軽く考えていませんか?
実は高血圧は自覚症状が出にくい病気ながら、放置すると心臓に大きな負担をかけ「心不全」を引き起こすリスクがあります。心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる病気で、息切れやむくみなどの症状が現れます。さらに、進行すると命に関わることもあるのです。
この記事では高血圧が心不全を引き起こすメカニズムを循環器専門医が分かりやすく解説し、具体的な予防法もご紹介します。ご自身の心臓を守るためにも、ぜひ最後まで読んで、高血圧と心不全について正しい知識を身につけてください。
「最近、健康診断で血圧が高いって言われたけど大丈夫かな?」 「健康のために何か始めたいけど、何から手をつければいいか分からない…」
そんな悩みをお持ちのあなたへ。今回は高血圧が原因で起こる「心不全」について、その仕組みや予防法を分かりやすく解説します。
心臓は、私たちの体にとって無くてはならない臓器の一つです。毎日休むことなく全身に血液を送り続け、酸素や栄養を届けるという重要な役割を担っています。
この心臓の働きが何らかの原因で弱まり、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態を「心不全」と言います。
心不全の原因は、心臓の筋肉自体が弱くなる病気(心筋症)、心臓を包む膜が硬くなる病気(拘束型心筋症)、心臓の弁が正常に働かなくなる病気(弁膜症)、心臓の血管が詰まる病気(心筋梗塞)、高血圧、不整脈など、実に様々です。
そして、これらの原因の中でも特に注意が必要なのが「高血圧」です。
高血圧は、血管に常に高い圧力がかかっている状態です。心臓は、この高い圧力に逆らって血液を送り出さなければならず、その結果、心臓に大きな負担がかかってしまいます。
これは重い荷物を抱えて急な坂道を毎日上り下りしているようなもので、長期間放置すると心臓は疲弊し、その機能は徐々に低下してしまいます。
心不全の初期症状として
などがあります。
これらの症状は風邪や年齢のせいにしてしまいがちですが、心不全のサインかもしれません。初期の段階では自覚症状が乏しいことも多く、気づかないうちに病気が進行しているケースも少なくありません。 実際に私の患者さんの中にも、
と、軽く考えている方が多くいらっしゃいました。
しかし詳しく検査をした結果、心不全がかなり進行していることが判明し入院が必要となるケースも少なくありません。
高血圧は自覚症状が出にくい病気ですが放置すると心不全のリスクを高めるだけでなく、脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる病気のリスクも高めます。
ご自身の心臓を守るためにも日頃から血圧を測り、高血圧の予防や治療に取り組むことが大切です。
高血圧は、心臓にとって非常に大きな負担となります。まるで消防車が火災現場に向かって、ホースで勢いよく水を送り続けているような状態です。
この状態が続くと心臓の筋肉は次第に疲弊し、その機能が低下していきます。
さらに、高血圧は血管にも悪影響を与えます。血管の内壁は高血圧によって繰り返し圧迫され、傷ついてしまいます。その結果、血管の内壁が硬く厚くなってしまう「動脈硬化」が起こります。
動脈硬化は血管を狭くし、血液の流れを悪くします。さらに血管の内壁がデコボコになり、血栓ができやすくなるため心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。
高血圧が引き起こす心不全は、大きく分けて2つの段階に分けられます。
高血圧は心臓に大きな負担をかけ、放置すると心不全のリスクを高めます。高血圧が続くと心臓は肥大し、さらに悪化すると心臓の収縮力が低下することで、全身に十分な血液を送り出せなくなります。
心不全は命に関わる病気であるため、高血圧の予防と早期治療が重要です。健康診断で長年高血圧と指摘されている方は、当院へご相談ください。一緒に健康寿命を延ばしましょう。
大石内科循環器科医院
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