大石内科循環器科医院

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高血圧の人必読!高血圧から心不全になることも⁉

2024.10.18 循環器高血圧

健康診断で血圧が高いと指摘されても「まだ大丈夫」と軽く考えていませんか?

実は高血圧は自覚症状が出にくい病気ながら、放置すると心臓に大きな負担をかけ「心不全」を引き起こすリスクがあります。心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる病気で、息切れやむくみなどの症状が現れます。さらに、進行すると命に関わることもあるのです。

この記事では高血圧が心不全を引き起こすメカニズムを循環器専門医が分かりやすく解説し、具体的な予防法もご紹介します。ご自身の心臓を守るためにも、ぜひ最後まで読んで、高血圧と心不全について正しい知識を身につけてください。

高血圧が引き起こす心不全のメカニズムと予防法

「最近、健康診断で血圧が高いって言われたけど大丈夫かな?」 「健康のために何か始めたいけど、何から手をつければいいか分からない…」

そんな悩みをお持ちのあなたへ。今回は高血圧が原因で起こる「心不全」について、その仕組みや予防法を分かりやすく解説します。

心不全とは?原因や症状、高血圧との関係を解説

心臓は、私たちの体にとって無くてはならない臓器の一つです。毎日休むことなく全身に血液を送り続け、酸素や栄養を届けるという重要な役割を担っています。

この心臓の働きが何らかの原因で弱まり、全身に十分な血液を送り出せなくなった状態を「心不全」と言います。

心不全の原因は、心臓の筋肉自体が弱くなる病気(心筋症)、心臓を包む膜が硬くなる病気(拘束型心筋症)、心臓の弁が正常に働かなくなる病気(弁膜症)、心臓の血管が詰まる病気(心筋梗塞)、高血圧、不整脈など、実に様々です。

そして、これらの原因の中でも特に注意が必要なのが「高血圧」です。

高血圧は、血管に常に高い圧力がかかっている状態です。心臓は、この高い圧力に逆らって血液を送り出さなければならず、その結果、心臓に大きな負担がかかってしまいます。

これは重い荷物を抱えて急な坂道を毎日上り下りしているようなもので、長期間放置すると心臓は疲弊し、その機能は徐々に低下してしまいます。

心不全の初期症状として

  • 少し動くと息が切れる
  • 疲れやすい
  • 足がむくむ
  • 夜になると咳が出やすい

などがあります。

これらの症状は風邪や年齢のせいにしてしまいがちですが、心不全のサインかもしれません。初期の段階では自覚症状が乏しいことも多く、気づかないうちに病気が進行しているケースも少なくありません。 実際に私の患者さんの中にも、

  • 「最近、階段の上り下りが少し辛くなったかな?歳かな?」
  • 「少し動くと息切れがするけど、年のせいかな?」

と、軽く考えている方が多くいらっしゃいました。

しかし詳しく検査をした結果、心不全がかなり進行していることが判明し入院が必要となるケースも少なくありません。

高血圧は自覚症状が出にくい病気ですが放置すると心不全のリスクを高めるだけでなく、脳卒中や心筋梗塞などの命に関わる病気のリスクも高めます。

ご自身の心臓を守るためにも日頃から血圧を測り、高血圧の予防や治療に取り組むことが大切です。

高血圧が心不全を引き起こすメカニズム

高血圧は、心臓にとって非常に大きな負担となります。まるで消防車が火災現場に向かって、ホースで勢いよく水を送り続けているような状態です。

この状態が続くと心臓の筋肉は次第に疲弊し、その機能が低下していきます。

さらに、高血圧は血管にも悪影響を与えます。血管の内壁は高血圧によって繰り返し圧迫され、傷ついてしまいます。その結果、血管の内壁が硬く厚くなってしまう「動脈硬化」が起こります。

動脈硬化は血管を狭くし、血液の流れを悪くします。さらに血管の内壁がデコボコになり、血栓ができやすくなるため心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。

高血圧が引き起こす心不全は、大きく分けて2つの段階に分けられます。

  1. 心臓の肥大
    高血圧が続くと、心臓はより強い力で血液を送り出そうとします。その結果、心臓の壁が厚く硬くなってしまう「心肥大」が起こります。心肥大は心臓が頑張っている証拠でもありますが、同時に心臓が疲弊し始めているサインでもあります。
    心肥大が進むと心臓の筋肉は硬くなり、柔軟性を失ってしまいます。その結果、心臓は十分な血液を送り出すことができなくなり心不全へと進行していきます。
    私の患者さんの中にも、長年高血圧を放置していたため、心臓が肥大し、心不全を発症した方が多くいらっしゃいました。心肥大は一度起こってしまうと、完全に元に戻すことは難しいと言われています。そのため高血圧を予防し、心臓に負担をかけない生活を送ることが重要です。
  2. 心臓の収縮力の低下
    高血圧が長期間続くと心臓の筋肉自体がダメージを受け、収縮力が低下していきます。心臓の収縮力が低下すると、心臓は十分な血液を送り出すことができなくなり息切れや疲労感などの心不全の症状が現れます。
    さらに心臓は全身に血液を送り出すことができなくなるため、体内の臓器にも悪影響が及びます。
    例えば腎臓に十分な血液が供給されなくなると、腎機能が低下し老廃物が体内に蓄積されてしまいます。
    また肺に血液が溜まると、呼吸が苦しくなったり、肺水腫という状態になることもあります。
    このように高血圧は心臓に様々な悪影響を及ぼし、心不全へと進行させていきます。心不全は、命に関わることもある病気です。高血圧の予防と早期治療が、心不全の予防には非常に重要です。

まとめ

高血圧は心臓に大きな負担をかけ、放置すると心不全のリスクを高めます。高血圧が続くと心臓は肥大し、さらに悪化すると心臓の収縮力が低下することで、全身に十分な血液を送り出せなくなります。

心不全は命に関わる病気であるため、高血圧の予防と早期治療が重要です。健康診断で長年高血圧と指摘されている方は、当院へご相談ください。一緒に健康寿命を延ばしましょう。



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