脈が飛ぶような感覚や息切れ、動悸に悩んでいませんか?
もしかしたら、それは不整脈かもしれません。日本人の約3人に1人が経験すると言われる不整脈は、心臓のリズムが乱れる症状で、種類も治療法も多岐に渡ります。放置すると脳梗塞などの重大な合併症につながる危険性もあるため、早期発見と適切な治療が不可欠です。
この記事では、薬物療法・カテーテルアブレーションなどの治療法や、生活習慣の改善ポイントを解説します。不整脈の症状に心当たりがある方、ご家族に不整脈の症状がある方は、専門医への相談を検討する前にご一読ください。
静岡市の大石内科循環器科医院では、不整脈に対して心電図や24時間ホルター心電図などを用いた精密な検査を行い、脳梗塞や心不全のリスクを早期に見極めます。 検査結果にもとづき、生活指導から薬物療法まで一人ひとりに合った治療をご提案します。不整脈は放置せず、安心できる体制のもとでご自身の心臓の健康を守りましょう。
不整脈は種類がさまざまで「治るタイプ」と「治りにくいタイプ」があります。ストレスや睡眠不足が原因で一時的に起こる不整脈は、生活習慣を整えることで自然におさまることがあります。心房細動や心室細動のように心臓の中で電気の流れに大きな乱れが生じるタイプは、薬やカテーテルアブレーションなどの治療が必要です。
不整脈を放置すると、脳梗塞や心不全、突然死といった重大なリスクが高まります。特に心房細動では、心臓内に血のかたまり(血栓)ができやすくなり、それが脳に飛ぶことで脳梗塞を発症する危険があります。また、心室頻拍や心室細動といった重症の不整脈は、発作の最中に倒れ、命に関わるケースも少なくありません。
一方で、期外収縮などの経過観察のみで問題ないことが多い不整脈もあります。大切なのは「放置せず、どの種類かを見極めること」です。すべてが治るわけではなくても、適切な治療や生活改善でコントロールできる不整脈は多いため、自己判断せず専門医の診断を受けることが重要です。
不整脈のサインとしてよく現れる「動悸」については、以下の記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひご覧ください。
>>動悸の詳細はこちら
不整脈は脈の速さや乱れ方、起こる場所によって複数に分類されます。多くは良性で心配ないものですが、中には脳梗塞や突然死の原因となる重症の不整脈もあります。不整脈の代表的な5種類は以下のとおりです。
期外収縮は健康な人でも起こりますが、頻度が多い場合や心臓病を伴う場合には治療が必要です。心房細動は血栓ができやすく、脳梗塞のリスクが高まります。心室頻拍は突然死の原因となるため緊急性が高く、房室ブロックの重症例ではペースメーカーによる治療が行われます。
以下の記事では、こうした不整脈の種類ごとの症状や治療の違いについて、より詳しく解説しています。気になる方は参考にしてみてください。
>>不整脈の詳細を見る
不整脈の治療法は種類や症状の重さ、原因によって異なります。主な治療法は以下の4つです。
薬物療法は、不整脈に対して体への負担が少ない基本的な治療法です。薬の種類は大きく分けて2つあり、それぞれ目的が異なります。
脈をゆっくりにする薬は心臓のブレーキ役として働き、ドキドキ感を抑えて生活の質を改善します。一方、リズムを整える薬は心臓の電気信号に作用し、心房細動や心室頻拍の治療に用いられます。
ただし、薬には副作用のリスクも伴います。脈が遅くなりすぎたり血圧が下がるほか、めまい・吐き気・便秘・肝機能の変化などが起こることがあります。多くの場合は薬の量や種類を調整することで対応できるため、自己判断で服用を中止せず、必ず医師や薬剤師に相談することが大切です。
定期的な通院と検査を続けながら、副作用に配慮しつつ安全に治療を継続することで、不整脈をコントロールしやすくなります。
カテーテルアブレーションは、不整脈の原因となる異常な電気信号をピンポイントで取り除く根治を目指せる治療法です。治療は、足の付け根や首の血管から直径2〜3mmほどの細い管(カテーテル)を心臓に通し、電極で心臓の電気信号を詳細に調べます。
異常な信号が見つかった部位に高周波電流を流し、焼灼することで不整脈の発生源を抑えます。特徴をまとめると以下のとおりです。
このように、カテーテルアブレーションは有効性が高く、薬で効果が得られない場合や根治を目指す場合に選択される代表的な治療法です。
ペースメーカーとICDは、不整脈を制御するために体内に埋め込む機器ですが、目的は異なります。ペースメーカーは脈が遅くなりすぎたときに電気刺激を与えて拍動を整える装置で、房室ブロックや洞不全症候群などで用いられます。
ICD(植込み型除細動器)は危険な頻脈性不整脈を感知し、自動で電気ショックを与えて心臓のリズムを正常に戻す装置です。特に突然死につながる心室細動や心室頻拍に有効で、命を守るために重要な治療法です。
これらの機器は電池で動作しており、5〜10年ごとに交換が必要です。感染や機械の不具合などのリスクもわずかにありますが、適切な管理で安全性は確保されています。適応を正しく見極めて使用すれば、不整脈に伴うリスクを減らし、安心して生活できるようになります。
外科手術は、不整脈治療の中では最後の選択肢と言える方法です。多くの不整脈は薬物療法、カテーテルアブレーション、ペースメーカーやICDなどのデバイス治療で改善しますが、これらで効果が得られない場合や心臓に合併症がある場合に行われます。
手術には心臓を直接切開して行う開心術と、小さな穴から行う低侵襲手術があります。前者は体への負担が大きい一方で、後者はより体に優しく回復も早いのが特徴です。回復期間は術式や体調で異なりますが、一般的には数週間〜数か月を要し、術後はリハビリを通じて日常生活へ復帰していきます。
外科手術には高い効果が期待できる一方でリスクも伴います。医師と十分に相談し、自分の状態に最も適した治療法を選択することが大切です。
生活習慣の乱れは不整脈の発症や悪化に直結するため、改善することで治療効果を高め、再発の予防にもつながります。具体的には次のような取り組みが大切です。
食生活の工夫は、不整脈の悪化を防ぐためにとても重要です。特に塩分の摂りすぎは高血圧を招き、心臓に余計な負担をかけるため注意が必要です。加工食品やインスタント食品は塩分が多く含まれることが多いため、できるだけ控えるようにしましょう。
カリウムを多く含む野菜や果物を取り入れることは血圧の安定に役立ちます。目安としては、1日の塩分摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。無理な制限ではなく、調味料を減らす、出汁や香辛料を活用するなど工夫しながら食事を整えていくことが、不整脈の予防と改善につながります。
喫煙は不整脈を誘発し、心臓や血管に大きな負担をかけます。禁煙は不整脈の改善に直結するだけでなく、脳梗塞や心筋梗塞などの重大な病気を防ぐ効果もあります。また、タバコ以外にも刺激物の過剰摂取は控えることが大切です。目安となる摂取量は以下の通りです。
完全にやめることが難しい場合でも、本数を減らす、禁煙外来を利用するなど少しずつ取り組むことが改善への基本となります。
無理のない運動習慣は心臓の働きを助け、不整脈の予防や改善に役立ちます。一方で、激しいトレーニングや過度な負荷は、かえって不整脈を誘発することがあるため、注意が必要です。ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチといった有酸素運動を中心に、週に数回継続するのがおすすめです。
自分の体調に合わせて無理をせず、少しずつ続けていくことが、心臓の健康を守る近道になります。
十分な睡眠は、不整脈の悪化を防ぐうえで欠かせません。睡眠不足や不規則な生活は自律神経のバランスを乱し、脈のリズムを不安定にします。毎日同じ時間に寝起きし、できるだけ6〜8時間の睡眠を確保することが理想です。夜更かしや不規則な生活を避け、規則正しいリズムを維持することが、心臓を守るための基本になります。
ストレスは不整脈の大きな引き金となります。日常の中で意識的にリラックスできる時間を持つことが、不整脈の予防や改善に直結します。以下のような工夫をしましょう。
こうした工夫を取り入れることで、自律神経の乱れを防ぎ、心臓への負担を和らげることができます。生活習慣の改善は治療効果を高めるだけでなく、再発予防にもつながります。ご自身の心と体の声に耳を傾け、無理のない方法でストレス対策を取り入れてみてください。
以下の記事では、ストレスが引き起こす突然の動悸について詳しく解説しています。心当たりのある方はぜひチェックしてみてください。
>>突然の急な動悸、その原因はストレスかも?
不整脈の多くは適切な治療や生活習慣の見直しによって症状をコントロールし、日常生活を無理なく続けられる方も多くいます。大切なのは、症状を一人で抱え込まず、専門医に相談することです。
診察や検査を通じて、自分の不整脈がどのタイプなのか、治療が必要なのかを知ることが、最初の一歩になります。不整脈と上手に付き合うためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
不整脈があるからといって悲観する必要はありません。医師と二人三脚で治療と生活習慣の改善を続ければ、健康を守りながら日常生活を送ることが十分に可能です。
不整脈は心臓のリズムが乱れる状態で、種類や重症度によって治療法が異なります。薬物療法、カテーテルアブレーション、ペースメーカーやICD、外科手術などがあり、それぞれにメリットと注意点があります。生活習慣の改善も欠かせず、減塩・禁煙・運動・睡眠・ストレス対策が予防や再発防止に役立ちます。
脈の乱れや動悸を感じたら自己判断せず、専門医に相談することが安心への第一歩です。脈が飛ぶ、安定しないなど、不整脈で不安を感じたら、循環器専門医の当院にご相談ください。
大石内科循環器科医院
420-0839
静岡市葵区鷹匠2-6-1
TEL:054-252-0585