健康診断で血圧が高いと指摘されても「まだ大丈夫」と軽く考えていませんか?実は高血圧は自覚症状が出にくく、放置すると心臓に負担をかけ心不全を引き起こすリスクがあります。心不全は心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる病気で、進行すると命に関わる可能性があります。
この記事では高血圧が心不全を引き起こすメカニズムをわかりやすく解説し、具体的な予防法もご紹介します。ご自身の心臓を守るためにも、ぜひ最後まで読んで、高血圧と心不全について正しい知識を身につけてください。
新静岡駅から徒歩3分のところにある大石内科循環器科医院では、高血圧や心不全など循環器の診療をしております。通院しやすい立地にあり、地域のかかりつけ医として診療を行っています。症状にお悩みの方はお気軽にご相談ください。

高血圧が心不全を引き起こす理由は主に以下の3つです。
高血圧が続くと心臓は圧負荷に適応するため、心筋を厚くしていきます。心臓の筋肉が厚くなると、柔軟性を失い硬くなりやすいです。硬くなった心臓は、血液を受け入れる能力が低下し、心肥大が進行します。
心臓が十分に拡張できないことで、肺から戻ってくる血液をうまく取り込めなくなります。次第に肺には水が溜まり、息苦しさを感じるようになります。硬くなった心臓は血液を十分に送り出せず、体全体に十分な血液を届けられません。
高血圧による継続的な負担は、心臓に慢性的な炎症を引き起こしやすくします。炎症は心臓の細胞を傷つけ、心臓のポンプ機能を低下させる可能性があります。心臓の過剰な負担は、機能低下による心不全へ進行しやすいです。
高血圧が継続すると血管の壁が厚くなり、硬くなる動脈硬化が進行します。動脈硬化は以下の流れで変化します。
硬くなった血管は血液の流れを妨げ、心臓はさらに強い力で血液を送り出さなければなりません。動脈硬化により心臓への負担が増加し、心不全のリスクが高まります。硬くなった血管は破れやすく、脳卒中などの危険性も増加します。
高血圧は心臓と血管の両方に影響を与え、相互に作用することで心不全のリスクを高めていきます。悪循環を断ち切るためには、早期の高血圧管理と生活習慣の改善が重要です。
高血圧以外にも、心不全には複数の危険因子が存在します。要因を理解し、適切に管理することが心不全の予防と治療に重要です。高血圧以外に注意すべき疾患は以下のとおりです。
心不全に関わる原因疾患の根本的治療を継続することが大切です。疾患以外には、65歳以上の高齢者も心不全の発症率が増加しています。肥満や喫煙、過度の飲酒などの日常生活習慣は心不全リスクを増加させることが知られています。
糖尿病が心臓や血管に影響するリスクについては、以下のページで詳しく紹介しています。
>>糖尿病による合併症リスク|心臓と血管に与える影響と対策方法
心不全の主な原因や初期症状、進行した際の症状などについて解説します。
心不全の原因はさまざまですが、特に注意が必要なのは高血圧です。高血圧は血管に常に強い圧がかかる状態で、心臓はその圧に逆らって血液を送り出し続けるため、心臓に大きな負担がかかります。その結果、心臓の筋肉が厚くなったり硬くなったりして、徐々にポンプ機能が低下していきます。
他にも原因となる病気があるため、代表例を以下にまとめます。
原因を長期間放置すると心臓は疲弊し、心不全が進行しやすくなるため注意が必要です。
近年の研究では、心臓内部で起こる炎症が心不全を悪化させることが報告されました。高血圧による持続的な負担が、心臓で免疫系の働きを過剰にさせ、心臓の筋肉を硬くする傾向があります。高血圧は心不全の原因に深く関係しています。
初期の段階では自覚症状が乏しいことも多く、気づかないうちに病気が進行しているケースもあります。心不全の初期症状として以下の症状があります。
症状の原因はさまざまであるため、気になる場合は医師にご相談ください。年齢の影響だと感じていても詳しく検査をした結果、心不全が進行していることが判明し、入院する人もいます。ご自身の心臓を守るためにも日頃から血圧を測り、高血圧の予防や治療に取り組むことが大切です。
心不全が疑われる場合、足のむくみや血流の状態を確認することも重要です。下肢の血管に異常があると、心臓への負担が増し、症状の悪化につながることがあります。
以下のページでは、心不全と足のむくみに関する記事を詳しく解説しています。
>>心不全と足のむくみの関係は?初期サインの見分け方から治療・対策・受診の目安も解説
心不全が進行すると、初期症状に加えて複数の特徴的な症状が現れます。主な症状は、以下のとおりです。
呼吸困難は夜間や横になると、肺に血液が溜まりやすくなり、呼吸が苦しくなる場合があります。ピンク色の泡の痰が出る場合は、肺うっ血が進行している可能性が高いです。風邪でもないのに咳が続き、痰が絡んでなかなか取れない場合は、心不全が原因の可能性があります。心不全の進行を示す重要なサインです。他の疾患でも類似の症状が現れることがあるため、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
心不全の診断や状況を判断するために、検査が必要です。心不全を判断する血圧測定と心電図検査、心エコー検査とBNP検査について解説します。
心不全の診断で血圧測定と心電図検査は、短時間で心臓の状態を知るために重要な情報です。現在の血圧を正確に把握するために、ご自宅で毎日決まった時間に測る「家庭血圧」の記録を行います。普段の心臓の状態を知るうえで、重要な手がかりです。
心臓は規則正しいリズムで動くため、自ら微弱な電気信号を生み出しています。電気信号の流れを波形として記録するのが、心電図検査です。ベッドに横になり、胸や手足に電極を付けるだけの簡単な検査です。心電図検査は、不整脈や心肥大、虚血性心疾患などの判断に役立ちます。
基本的な検査で異常が疑われた場合や、心臓の状態を詳細に調べるために、心エコー検査とBNP検査を行います。心不全の診断や重症度を判断するうえで欠かせない検査です。心エコー検査は、超音波を使って心臓の動きを観察します。心臓の動きを観察することで、以下の情報が得られます。
BNP検査は、採血で心臓への負担を数値で客観的に評価できます。BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は、心臓に負担がかかると心筋から分泌されるペプチドです。BNPの数値で息切れなどの症状が心臓由来なのか、心不全の重症度の程度を判断できます。
心エコー検査は体に負担がかからない、安全な検査です。当院で行っている心エコーについての詳細は、以下のページをご参照ください。
>>心エコー検査とは
心不全の治療法には、主に薬物療法を取り入れます。心不全の薬物療法に取り入れる降圧剤と利尿剤、その他の心不全治療薬(ACE阻害薬、β(ベータ)遮断薬など)について解説します。
降圧剤は血圧を適切な範囲まで下げる薬剤で、以下の種類があります。
医師は患者さんの状態に応じて最適な薬剤を選択します。自己判断で内服をやめたり、量を調整したりすることは大変危険です。必ず医師の指示に従って、治療を継続しましょう。
高血圧の治療薬の効果や注意点は、以下のページで詳しく紹介しています。
>>高血圧の治療薬について~効果や副作用・注意点を解説~
利尿剤は体内の余分な水分を尿として排泄する薬剤です。心不全は体液が貯留しやすいため、利尿剤は重要な役割を果たします。主な種類には以下があります。
利尿剤の使用により、むくみの軽減や呼吸困難の改善が期待できます。
注意点として、降圧剤や利尿剤には副作用の可能性があるため、医師の指示に従って慎重に使用する必要があります。薬剤の効果は個人差があるため、定期的な経過観察が重要です。薬物療法の効果を最大限に引き出すためには、処方された薬を正しく服用することが重要です。お薬手帳を活用し、服薬管理を徹底しましょう。
心不全の治療では、症状を和らげるお薬と同時に、弱った心臓を守るお薬も欠かせません。薬は心臓の負担を長期的に減らし、病気の進行を抑えます。ACE阻害薬・ARBは血圧を下げるだけでなく、心臓に負担をかける物質の働きを抑えます。心臓の壁が厚くなる心肥大や、有害な炎症を防ぐことに期待できます。
β遮断薬は、心臓を興奮させる交感神経の過剰な働きを抑制します。心臓を休ませることで負担を減らし、長期的な機能改善を目指します。SGLT2阻害薬は糖尿病にも用いられる治療薬ですが、心臓を保護し、心不全を改善する効果が期待されています。糖尿病にかかわらず、心不全の治療薬にも処方される場合があります。
日々の生活習慣を見直すことで心不全の進行を防いだり、発症予防を目指せます。以下のポイントを意識して、今日から取り組みましょう。
心不全を予防するうえで、血圧管理は重要な対策の一つです。家庭血圧を正しく測るためのポイントは以下です。
血圧測定は、朝と夜の2回が理想です。朝起きて1時間以内に、朝食やお薬を飲む前に測りましょう。夜は寝る直前のリラックスした状態で測定します。朝晩の血圧を知ることで、1日の中での血圧の変動を把握できます。
血圧測定時は、椅子に座り1〜2分安静にした後に測定します。腕帯(カフ)は、心臓と同じ高さになるように調整してください。腕の位置がずれると、血圧の数値が不正確になるため注意が必要です。測定した数値は、診察の際に医師が治療方針を決めるための情報源となるため記録しましょう。
健康な心臓を維持するには、生活習慣を整えることが不可欠です。食事・運動・睡眠は、心不全を予防するための土台となります。
食事は1日6g未満の塩分摂取と、腸内環境を整えるバランスの良い食事が大切です。研究で腸内環境が心臓の健康に影響する報告がされました。特定の栄養素を摂りすぎると、腸内細菌が「TMAO」物質を作り出し動脈硬化や心臓の炎症に影響します。食事は野菜や魚、発酵食品など多様な食材をバランス良く摂りましょう。
高血圧に対する塩分制限については、以下のページでも紹介しています。
>>血圧と塩分の関係は?食事・調理法・外食のコツまで解説
運動は有酸素運動の継続が大切です。ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、血圧を安定させます。会話ができる程度の強度が目安ですが、頑張りすぎは心臓に負担をかけるため、必ず主治医に相談してから行いましょう。
睡眠は心臓を休ませ、血圧を安定させるための大切な時間です。寝不足が続くと自律神経のバランスが乱れ、心拍数や血圧が上がりやすくなります。寝る前はスマートフォンを控え、リラックスできる環境を整えるなど、質の良い睡眠を心がけましょう。
心不全は、自覚症状がないまま進行することは少なくありません。症状がなくても定期的に健康診断を受け、体の状態を客観的に把握することが重要です。高血圧や糖尿病などの持病がある方は、定期的な受診を意識しましょう。
日頃のご自身の状態を伝え、不安なことは遠慮なく相談してください。医師と患者さんが連携して治療に取り組むことが、心不全の発症や悪化を防ぐために大切です。
高血圧や関連する病気が気になる方は、通院が難しい場合でもオンライン診療を利用して医師に相談できます。大石内科循環器科医院では、高血圧症の日常生活改善に向けたアドバイスついて、オンライン診療での相談も可能です。
上記のように高血圧以外にも心不全の危険因子はたくさん存在しています。

心不全と高血圧に関するよくある質問にお答えします。
高血圧は、心不全を引き起こす危険因子の一つです。高血圧が続くと、心不全を発症する確率が56%増加したことが報告されています。高血圧の治療や、日々の血圧管理が将来の心臓を守るうえで大切です。
心不全は自覚症状が乏しく、初期症状に気付かない人が少なくありません。体の変化が、心不全のサインである可能性があります。年齢のせいで片付けず、ご自身の体調をチェックしてみましょう。
上記の症状は、心不全の可能性があります。1つでも当てはまる症状があれば、かかりつけの医師に相談してください。
お薬を飲んでいても、安心できません。心不全の予防には、お薬と生活習慣の改善が大切です。日常生活では、以下を意識して取り組んでください。
お薬だけに頼るのではなく、生活習慣全体で心臓をいたわる必要があります。
家庭で血圧を正しく測るコツは、毎日同じ条件で測り、記録して医師に見せることです。測定の精度を上げるために、まず次を意識しましょう。
この習慣を続けると、日ごとの変化や早朝高血圧に気づきやすくなります。測定値だけでなく、めまい・頭痛・動悸など体調のメモも残すと、治療方針の判断に役立ちます。
症状が悪いときの無理な運動は禁物です。医師の指導のもとで行う適切な運動は、「心臓リハビリテーション」であり治療の一環として重要です。ウォーキングなどの軽い有酸素運動には、以下のメリットがあります。
運動が腸内環境を改善するという研究が報告されました。定期的な運動は、腸内の善玉菌を増やし、血圧の調整に役立つ「短鎖脂肪酸」という有益な物質を作り出します。運動は心臓に直接働きかけるだけでなく、お腹の中から体を元気にする可能性があります。
運動の種類や強度は、心不全の状態によって異なるため、自己判断で運動を始めるのは危険です。主治医や専門家と相談し、ご自身に合った安全な運動プログラムを決めていきましょう。
高血圧は心臓に負担をかけ、放置すると心不全のリスクを高めます。高血圧が続くと心臓は肥大し、さらに悪化すると心臓の収縮力が低下することで、全身に十分な血液を送り出せません。心不全は命に関わる病気であるため、高血圧の予防と早期治療が重要です。
健康診断で長年高血圧と指摘されている方は、当院へご相談ください。一緒に健康寿命を延ばしましょう。新静岡駅から徒歩3分のところにある大石内科循環器科医院では、高血圧や心不全など循環器の診療をしております。通院しやすい立地にあり、地域のかかりつけ医として診療を行っています。症状にお悩みの方はお気軽にご相談ください。
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