大石内科循環器科医院

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GLP-1って何の薬?効果や副作用、種類や治療のポイントも解説

2025.02.10 肥満生活習慣病

現代社会で増加する肥満や糖尿病。あなたも健康に不安を感じていませんか?糖尿病の問題に対する新たな治療法として、注目を集めているのがGLP-1です。GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病や肥満症において血糖値や体重の管理に効果が期待されています。

本記事では、GLP-1の効果や副作用、種類や治療を受ける際のポイントを解説します。GLP-1治療に興味がある方、現在治療中の方はぜひ最後までご一読ください。

GLP-1の効果と副作用

GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)は、人間の体内で自然に産生されるホルモンです。「GLP-1」は体内で産生されるホルモンを指し、治療に用いられるのは「GLP-1受容体作動薬」という医薬品です。GLP-1の効果と副作用について、以下の内容を解説します。

GLP-1の分泌と作用機序

血糖値の改善効果

食欲抑制と体重減少効果

心血管系への効果(動脈硬化の抑制など)

消化器系の副作用

GLP-1の分泌と作用機序

GLP-1は食事、特に糖質や脂質の摂取により腸から分泌されます。分泌されたGLP-1は、膵臓のβ細胞表面にあるGLP-1受容体に結合します。そうすることにより、後述する血糖低下や体重減少作用をもたらします。しかしGLP-1は、DPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)という酵素によって速やかに分解され、半減期はわずか1〜2分程度です。

短い作用時間を補うために、GLP-1受容体作動薬が開発されました。

血糖値の改善効果

GLP-1の血糖改善効果は、主に以下のメカニズムによるものです。

・グルコース依存性インスリン分泌促進

GLP-1は血糖値が高いときにのみインスリン分泌を促進します。インスリン分泌により低血糖のリスクを最小限に抑えつつ、効果的に血糖値を低下させることができます。

・グルカゴン分泌抑制

GLP-1はグルカゴンの分泌を抑制します。グルカゴンは肝臓でのグルコース産生を促進するホルモンであり、抑制することで血糖値の上昇を防ぐ作用があります。

・胃排出遅延

食物の胃内滞留時間が延長されることで、食後の急激な血糖上昇が緩和されます。上記の作用により、GLP-1は2型糖尿病患者さんの血糖コントロールを改善します。

食欲抑制と体重減少効果

GLP-1の食欲抑制のメカニズムは以下のとおりです。

・中枢神経系への作用

GLP-1は脳の視床下部にある満腹中枢を刺激し、食欲を抑制します。

・胃排出遅延

胃の内容物が小腸に移行する速度が遅くなることで、満腹感が持続します。

・消化管ホルモンへの影響

GLP-1は他の消化管ホルモン(例:ペプチドYY)の分泌に影響を与え、食欲を調節します。上記のメカニズムにより、食欲が抑制されることで一部の患者さんでは体重減少が見られます。

心血管系への効果(動脈硬化の抑制など)

GLP-1受容体作動薬が心血管系に保護的効果を持つ可能性が報告されています。

・血管内皮機能の改善

GLP-1は血管内皮細胞の機能を改善し、血管の弾力性を高めます。

・抗炎症作用

GLP-1は炎症性サイトカインの産生を抑制し、血管壁の炎症を軽減します。

・抗動脈硬化作用

GLP-1は血管平滑筋細胞の増殖を抑制し、動脈硬化の進行を遅らせる可能性があります。

・血圧低下作用

GLP-1には軽度の降圧作用があることが報告されています。

2024年に発表された研究では、過体重または肥満の非糖尿病患者さんにおけるGLP-1受容体作動薬の心血管イベントリスク低減効果が報告されました。具体的には以下の結果が得られています。

主要心血管イベント(MACE)リスク:14%減少

全死亡リスク:13%減少

心筋梗塞リスク:16%減少

再血管化リスク:19%減少

GLP-1受容体作動薬が糖尿病患者さんだけでなく、過体重や肥満の非糖尿病患者さんにおいても心血管保護作用を持つ可能性が注目されています。GLP-1受容体作動薬の肥満治療や心血管リスク低減効果に関しては、一部の海外で承認されていますが、日本国内での適応については制限があります。医師と相談のうえ、使用を検討してください。

消化器系の副作用

GLP-1受容体作動薬の主な副作用は消化器系症状です。副作用は、GLP-1の生理作用(特に胃排出遅延)に関連していると考えられています。主な副作用は、吐き気や嘔吐、下痢や便秘などです。

通常、治療開始後数週間で軽減する傾向があります。副作用の管理には以下の方法がおすすめです。

・少量から開始し、徐々に増量する(用量漸増)

・食事の量を減らし、回数を増やす

・水分を摂取する

・必要に応じて制吐剤の使用する(医師の指示に従う)

重度の持続的な副作用がある場合は、医師に相談し、投与量の調整や治療の中止を検討する必要があります。稀ではありますが、膵炎や甲状腺髄様癌のリスクが指摘されています。リスクを考慮し、定期的な検査や医師との相談が必要です。

GLP-1製剤の種類と違い

GLP-1製剤は、糖尿病治療やダイエットで注目を集めています。GLP-1製剤の種類、飲み薬と注射の違い、他の糖尿病治療薬との比較について解説します。

GLP-1受容体作動薬の種類

GLP-1受容体作動薬は、体内で自然に産生されるGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)と同様の働きをする薬剤です。GLP-1は食事摂取後に腸から分泌され、膵臓からのインスリン分泌を促進し、血糖値の上昇を抑制します。しかし、内因性のGLP-1はDPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)という酵素によって速やかに分解されるため、効果は短時間で消失します。

GLP-1受容体作動薬について、以下の表でまとめています。

製剤名一般名投与方法投与頻度特徴
ビクトーザリラグルチド皮下注射1日1回血糖コントロールと体重減少効果あり
トルリシティデュラグルチド皮下注射週1回長時間作用型
オゼンピックセマグルチド皮下注射週1回強力な血糖低下作用と体重減少効果あり
リベルサスセマグルチド経口1日1回注射が苦手な患者さんに適している

セマグルチド(リベルサス)は経口薬ですが、胃酸による分解を防ぐため、空腹時の投与が必要です。薬剤は、患者さんの生活スタイルや好みに合わせて選択できます。毎日の注射が困難な患者さんには週1回投与型が、注射に抵抗がある患者さんには経口薬が適しています。

当院では、オゼンピックとリベルサスの取り扱いがございます。

GLP-1製剤の飲み薬と注射の違い

GLP-1製剤には注射薬と経口薬があり、それぞれに長所と短所があります。
注射薬の長所は以下のとおりです。

  • 効果の発現が早く、持続時間が長い
  • 血糖値や体重への効果が大きい
  • 消化管を介さないため、吸収が安定している

注射薬の短所は以下のとおりです。

  • 注射への抵抗感がある患者さんもいる
  • 注射部位を管理する必要がある
  • 経口薬の長所は以下のとおりです。
  • 服用が簡便で、注射への抵抗感がない
  • 通院頻度を減らせる可能性がある

経口薬の短所は以下のとおりです。

  • 効果発現までに時間がかかる場合がある
  • 消化管での吸収が必要なため、個人差が大きい
  • 消化器系の副作用が出やすい傾向がある

注射薬か経口薬かを選ぶときは、それぞれの長所と短所を把握したうえで医師と相談し決定します。

GLP-1治療を受ける際のポイント

GLP-1治療は、2型糖尿病や肥満症の管理に効果的な選択肢です。治療法を受ける際の重要なポイントについて、解説します。

適応となる方と治療開始の判断

GLP-1治療は、主に以下の方に適応されます。

2型糖尿病患者:従来の治療で血糖コントロールが不十分な場合

肥満症患者:体重減少効果が期待できる

治療開始の判断は、病状や生活習慣、併存疾患や個人の希望を総合的に評価して行います。膵炎の既往や重度の腎臓病、心臓病がある患者さんは、慎重な検討が必要です。

他の薬剤との併用について

GLP-1製剤は他の薬剤と相互作用する可能性があります。注意が必要な薬剤は、スルホニルウレア剤(SU薬)やインスリンです。GLP-1製剤を併用すると、低血糖リスクが高まる可能性があります。

低血糖のリスクと注意点

GLP-1受容体作動薬は、単独で使用する場合、低血糖のリスクは比較的低いです。GLP-1のインスリン分泌促進作用が血糖依存的であるためです。しかし、以下の場合には低血糖のリスクが高まる可能性があります。

スルホニルウレア薬やインスリンとの併用

  • 腎機能障害がある場合
  • 高齢者

低血糖の症状には以下が挙げられます。

  • 冷や汗
  • 動悸
  • 手の震え
  • 脱力感
  • 空腹感
  • 集中力低下

低血糖が疑われる場合は、速やかにブドウ糖(15〜20g)を摂取し、15分後に血糖値を再測定します。症状が改善しない場合は、再度ブドウ糖を摂取し、必要に応じて医療機関を受診してください。

GLP-1治療は、2型糖尿病や肥満症の管理に有効な選択肢ですが、個々の患者さんの状態に応じた適切な使用が重要です。定期的な検査と生活習慣の改善を組み合わせることで、最大の治療効果を得ることができます。

副作用や他の薬剤との相互作用に注意し、疑問や不安がある場合は躊躇せず医師に相談してください。

まとめ

GLP-1治療は、2型糖尿病や肥満症の治療において今後の可能性が広がる薬剤です。主な特徴は以下のとおりです。

  • 血糖値コントロール、食欲抑制、体重減少効果がある
  • 注射薬と経口薬があり、患者さんの状態に応じて選択できる
  • 心血管イベントリスク低減の可能性がある
  • 副作用は一時的なものが多い

治療を受ける際は、定期的な検査と生活習慣の改善が重要です。他の薬剤との相互作用や低血糖リスクにも注意が必要です。まずは医師へ相談をして個々の状態に応じて適切に使用しましょう。

当院の肥満外来では、専門の医師が栄養指導や運動プログラム、必要に応じて治療薬の処方を通じて、個別のケアプランを提供します。肥満治療薬のみの処方も可能のため、お気軽にご相談ください。


参考文献

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