大石内科循環器科医院

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高齢者の心不全の末期症状とは?予防できる?原因や症状、治療法を解説

2025.02.24 高齢者向け循環器

心不全は、心臓のポンプ機能が低下する病気です。自覚症状がほとんどないまま進行し、気づけば重症化しているケースもあります。高齢者の場合、加齢による心臓機能の低下に加え、高血圧や過去の心臓病などが複雑に絡み合い、診断が難しいです。

少し動くと息切れがする、疲れやすい、足がむくむなどの症状は、年齢のせいではなく心不全の初期症状のおそれがあります。本記事では、高齢者の心不全の末期症状や原因、治療法、在宅ケアまで、詳しく解説します。具体的な症状や治療法を知ることで、早期発見や治療につなげ、健康寿命を延ばすことが期待されます。

大石内科循環器科医院では通院のしやすさにも定評がありますので、お悩みの方は気軽にご相談ください。

心不全の末期症状とは?心臓の機能が限界に近い状態

心不全の末期症状とは、全身に血液を送り出す心臓のポンプ機能が著しく低下し、生命維持に必要不可欠な血液循環の維持が困難な状態を指します。末期症状になると、血液循環の低下によって、身体中の臓器に酸素や栄養が行き渡らなくなり、生命に関わる重篤な状態となる可能性があります。

末期症状の始まるタイミングや末期症状の進行スピードを解説します。

末期症状の始まるタイミング

心不全の末期症状が現れるタイミングには個人差があります。心不全の重症度は、NYHA(ニューヨーク心臓協会)機能分類という基準でⅠ度からⅣ度の4段階に分けられます。末期症状は、主に最も重症なⅣ度の時期に現れると考えられています。しかし、Ⅲ度の後半から末期症状に近い状態になる方もいます。

肺炎などの感染症や、身体に大きな負担がかかるできごとをきっかけに、比較的早期の段階から急激に悪化するケースもあります。心不全は心臓の状態だけでなく、他の病気の有無や生活習慣、年齢、体質など、さまざまな要因が複雑に絡み合って進行するため、末期症状の開始時期を正確に予測することは困難です。

末期症状の進行スピード

心不全の末期症状の進行スピードも、人によって異なります。心臓の筋肉が徐々に弱っていくタイプの心不全では、ゆっくりと症状が進むことが多いです。心臓弁膜症など、心臓の弁に異常がある場合は、比較的速く症状が進行することもあります。

糖尿病や高血圧などの持病や、喫煙や飲酒などの生活習慣、治療に対する反応性も、進行スピードに影響を与える可能性があります。

バランスの取れた食事や適度な運動、禁煙などの健康的な生活習慣を心がけ、医師の指示に従って治療を続けることで、生活の質を維持しやすくなります。進行期心不全においても、生活の質を少しでも長く維持するには、継続的な心不全治療と緩和ケアが重要です。心不全の治療目的は、心臓の機能を改善させるだけでなく、患者さんの生活の質を高めることです。

身体的な症状の緩和だけでなく、不安や抑うつといった精神的な苦痛にも寄り添うことが重要です。呼吸困難や倦怠感といった身体症状の緩和には、薬物療法や酸素療法などが用いられます。不安や抑うつといった精神的な症状に対しては、カウンセリングや精神科でのサポートを受けることも可能です。

喫煙は心不全の進行を早める要因のひとつとされており、禁煙することで心臓への負担を軽減し、生活の質を維持しやすくなります。禁煙を考えている方は、以下の記事をご覧ください。
>>禁煙外来について

高齢者の心不全の特徴

高齢者の心不全には、以下のような特徴があります。

  • 心不全の初期症状
  • 他の病気との関連性
  • 末期症状の身体的症状
  • 末期症状の精神的症状

心不全の初期症状

初期の心不全は、自覚症状がほとんどない場合もあり、見過ごされやすいです。健康診断などで指摘されて初めて気づく方もいます。初期症状として代表的なのは以下のとおりです。

  • 息切れ
    普段通りの生活でも息苦しさを感じることがあります。軽い運動や階段の上り下りで息切れがしたり、横になると呼吸が苦しくなることもあります。
  • むくみ
    足首や足の甲がむくみ、夕方になると靴がきつくなったり、靴下の跡がくっきり残ったりします。
  • 倦怠感(けんたいかん)
    以前は簡単にできていた家事や仕事がつらくなり、身体が重だるく感じるようになります。

心不全の初期症状は、風邪や貧血、その他の病気でも見られることがあり、心不全に限った症状ではありません。そのため、心不全の初期症状は見過ごされやすく、発見が遅れる可能性があります。他の病気の可能性も考えられますが、以下の症状がある場合は、早めの医療機関への受診をご検討ください。

  • 階段や坂道で息切れを感じる
  • 夜間に呼吸が苦しくて目が覚める
  • 足のむくみが取れにくい

症状の程度や持続期間は個人差があります。

他の病気との関連性

心不全と関連が深い他の病気には以下があります。

  • 認知症
    心不全によって脳への血流が低下すると、認知機能の低下につながりやすいため注意が必要です。もの忘れがひどくなったり、判断力が低下したりするなど、認知症の症状が現れることがあります。
  • 腎臓病
    心不全が進行すると、腎臓への血流も低下し、腎機能が低下することがあります。腎不全が進行すると、体内の老廃物が排出されにくくなり、心不全の悪化につながる可能性があります。腎機能の低下は心不全をさらに悪化させるという悪循環に陥る可能性があります。
  • 糖尿病
    糖尿病は、動脈硬化を促進し、心血管疾患のリスクを高めます。動脈硬化は血管を硬く狭くし、心臓への血流を阻害するため、心不全のリスクを高めるのです。

高齢者の場合、複数の病気が複雑に絡み合っていることが多く、それぞれの病気に合わせた治療が必要になります。治療方針を決める際には、患者さんの状態を総合的に判断することが重要です。

心不全による脳の血流低下は、認知機能にも影響を与えることが知られています。高齢になるにつれ、脈拍の異常だけでなく、認知症のリスクも高まります。認知症を予防するための具体的な方法については、以下の記事をご覧ください。
>>認知症予防のためにできること

末期症状の身体的症状

心不全が進行すると、生命に関わるような深刻な身体的症状が現れます。

  • 呼吸困難
    呼吸が苦しくなり、安静にしていても息切れがひどくなります。
  • チアノーゼ
    皮膚や粘膜が青紫色になるチアノーゼが現れることがあります。血液中の酸素が不足している状態を示す症状です。
  • 意識障害
    脳への血流が低下することで、意識がもうろうとしたり、意識を失ったりすることがあります。
  • 全身倦怠感
    ひどい倦怠感に襲われ、日常生活を送ることさえ困難になります。
  • 疼痛(とうつう)
    胸の痛みや、体液貯留による圧迫感など、さまざまな痛みを感じることがあります。

心不全の末期症状は、患者さんの大きな負担になります。特に、呼吸困難は苦しい症状であり、患者さんの生活の質が大きく低下します。

末期症状の精神的症状

末期の心不全では、以下の精神的な症状にも注意が必要です。

  • 不安
    病気の進行や将来に対する不安や死への恐怖など、さまざまな不安を感じることがあります。
  • 抑うつ
    気分が落ち込み、何事にも興味や喜びを感じられなくなります。
  • せん妄
    意識が混濁し、現実と非現実の区別がつかなくなったり、幻覚や妄想が現れたりすることがあります。高齢者では特にせん妄のリスクが高いとされており、注意が必要です。

心不全の治療法

心不全の治療は、心臓の状態を良くし、少しでも長く元気に過ごすことを目指します。薬を使った治療や薬を使わない治療、つらい症状を和らげる治療、心のケアなど、いろいろな方法を組み合わせて、患者さんに合った治療を進めていきます。

薬物療法

心不全の薬物療法は、心臓の負担を軽減し、症状を和らげることを目的としています。主に以下の3種類の薬が使用されます。

  • 利尿薬
    身体にたまった余分な水分を尿として排出し、むくみや息切れを軽減します。心臓への負担を軽くすることで、呼吸を楽にする効果も期待できます。代表的な薬としては、フロセミドやスピロノラクトンなどがあります。しかし、脱水症状や電解質異常といった副作用にも注意が必要です。
  • 強心薬
    心臓の収縮力を高め、全身に血液を送り出しやすくする薬です。心臓のポンプ機能を改善することで、息切れや倦怠感などの症状を和らげます。代表的な薬としては、ジゴキシンやドブタミンなどがあります。強心薬は効果が高い反面、副作用のリスクも高いため、脈拍や血圧などのこまめなチェックや慎重な投与計画が必要です。
  • 血管拡張薬
    血管を広げ、血液の流れをスムーズにすることで、心臓の負担を軽減します。血圧を下げる効果もあり、高血圧を合併している心不全患者さんに特に有効です。代表的な薬としては、ニトログリセリンやヒドララジンなどがあります。血管拡張薬は、めまいや立ちくらみといった副作用が現れる可能性があります。また、他の薬との相互作用にも注意が必要です。

血管拡張薬は、血圧を下げる効果もあり、高血圧を合併している心不全患者さんに特に有効です。高血圧は心臓に負担をかけ、心不全の進行にも関わる重要な要因の一つです。血圧について詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひご覧ください。
>>大石内科循環器科医院|高血圧の基礎知識・症状・治療について

非薬物療法

薬物療法に加えて、非薬物療法も心不全の治療において重要な役割を果たします。

  • 在宅酸素療法
    自宅で酸素吸入を行うことで、血液中の酸素濃度を高く保ち、呼吸困難を和らげます。息切れがひどい場合や、動脈血酸素飽和度が低い場合に改善が期待されます。酸素吸入によって日常生活の活動性を高め、生活の質の向上が目指せます。在宅酸素療法を行う際には、定期的に酸素濃度を測定し、適切な酸素流量を維持することが重要です。
  • 人工呼吸器
    肺の機能が低下し、自力での呼吸が困難な場合に、呼吸を補助する医療機器です。心不全の末期症状では、呼吸不全を合併することがあります。人工呼吸器の使用で呼吸を楽にし、生命維持を図ります。人工呼吸器の使用は、感染症や気胸などの合併症のリスクを伴います。患者さんの状態を注意深く観察し、適切な管理を行うことが重要です。
  • 心臓リハビリテーション
    心臓病の患者さんの身体機能や生活の質の向上を目指すプログラムです。運動療法、栄養指導、服薬指導などを通じて、心不全の悪化を予防し、日常生活の活動性を高めることを目指します。心臓リハビリテーションは、患者さんの状態に合わせて個別プログラムを作成します。無理のない範囲で運動を行い、徐々に運動強度を高めていきます。

精神的なサポート

心不全は、患者さんだけでなく、ご家族にとっても大きな負担となる病気です。心不全の治療においては、身体的なケアだけでなく、精神的なサポートも重要です。

  • 不安や抑うつのケア
    心不全の患者さんは、病気の進行や将来に対する不安、死への恐怖など、さまざまな不安や抑うつを抱えることがあります。カウンセリングや抗不安薬、抗うつ薬などを用いて、精神的なケアを行います。
  • 多職種チームによる支援
    医師や看護師、薬剤師、理学療法士、ソーシャルワーカー、管理栄養士など、専門家が連携して、患者さんとご家族をサポートします。医療的なケアだけでなく、生活上の困りごとや社会的な支援など、幅広いニーズに対応します。
  • 患者会やサポートグループ
    同じ病気を持つ人たちと交流することで、精神的な支えを得られます。患者会やサポートグループでは、情報交換や悩み相談などを行います。

心不全はかつては不治の病と考えられていましたが、医療の進歩により、治療によって症状を和らげ、生活の質を向上させることが可能になりつつあります。

心不全の在宅ケア

心不全の在宅ケア方法では、以下が挙げられます。

  • 服薬管理
  • 食事療法
  • リハビリテーション

服薬管理

心不全の治療では、複数の薬を組み合わせて使用することが一般的です。それぞれの薬の効果や副作用、飲み方などを正しく理解し、医師の指示通りに服用することが重要です。心不全で処方される主な薬は、以下のとおりです。

  • 利尿薬
    体内の余分な水分を尿として排出し、むくみや息切れを軽減します。
  • 強心薬
    心臓の収縮力を高め、全身に血液を送り出しやすくします。
  • 血管拡張薬
    血管を広げ、血液の流れをスムーズにすることで、心臓の負担を軽減します。

処方される薬は、患者さんの状態に合わせて種類や量が調整されます。自己判断で薬の服用を中止したり、量を変えたりすることは大変危険ですので、医師の指示に従ってください。服薬管理をスムーズに行うために、薬の種類や服用時間、回数を一覧表にまとめておくことをおすすめします。

スマートフォンのアラーム機能などを活用して、飲み忘れを防ぐ工夫も有効です。お薬手帳を活用し、すべての薬剤情報を医師や薬剤師に共有することも重要です。複数の医療機関を受診している場合は、処方された薬同士の相互作用にも注意が必要です。

食事療法

心不全の患者さんにとって、食事療法は治療の一環です。バランスの良い食事を摂り、塩分や水分の摂取量を適切にコントロールすることは、心臓への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐことが期待されます。

塩分の摂りすぎは、体内の水分貯留を促進し、心臓に負担がかかります。1日の塩分摂取量は6g以下が目標です。薄味に慣れるまでは難しいこともありますが、香辛料や酸味、だし汁などの活用で、満足感のある食事を摂ることができます。

水分の摂りすぎも、心臓への負担が増大します。1日の水分摂取量は1.5リットル程度を目安にしましょう。のどが渇いた場合は、少量ずつこまめに水分を補給してください。

カリウムは、体内の水分バランスを調整する働きがあります。カリウムを多く含む食品(野菜や果物、海藻など)を積極的に摂りましょう。ただし、腎機能に問題がある場合は、カリウムの摂取量を制限する必要があるため、医師に相談してください。

高齢者の場合、食欲不振や咀嚼・嚥下機能の低下がみられることもあります。食べやすいように、食材を細かく刻んだり、とろみをつけたりするなど、工夫しましょう。低栄養にならないように、少量でも栄養価の高い食事を摂ることが大切です。主治医や管理栄養士に相談し、患者さんの状況に合わせた食事指導を受けることをおすすめします。

リハビリテーション

心不全の患者さんにとって、リハビリテーションは心臓の機能を維持・改善し、日常生活の活動性を高めるうえで重要です。適切な運動によって期待できる効果は、以下のとおりです。

  • 心肺機能の向上
  • 筋力の維持
  • 血液循環の改善
  • 生活の質の向上

リハビリテーションの内容は、患者さんの病状や体力に合わせて、医師や理学療法士が個別に作成します。ウォーキングや軽い体操など、無理のない範囲で運動を始め、徐々に強度や時間を増やすことが大切です。

高齢者の場合、筋力や体力の低下、バランス感覚の衰えがみられることがあります。転倒のリスクを考慮し、安全な場所で行いましょう。椅子に座って行う体操や水中運動など、身体への負担が少ない運動から始めることをおすすめします。

リハビリテーションは、心不全の症状を改善するだけでなく、患者さんの精神面にも良い影響を与えます。身体を動かすことで気分転換になり、ストレス軽減や意欲の向上が期待されます。

まとめ

高齢者の心不全は、加齢による心臓機能の低下や高血圧、過去の心臓病などが原因で起こります。複数の病気を抱えている場合もあるため、若年者よりも治療が複雑になることがあります。初期症状は、息切れやむくみ、倦怠感など、他の病気と間違えやすい症状が多く、見過ごされやすいので注意が必要です。

心不全が進行すると、呼吸困難やチアノーゼ、意識障害などの身体的症状だけでなく、不安や抑うつ、せん妄といった精神的症状も現れます。治療法としては、薬物療法や非薬物療法、在宅酸素療法、人工呼吸器などがあり、患者さんの状態に合わせた最適な方法を選択することが大切です。

心不全の在宅ケアでは、服薬管理や食事療法、リハビリテーションなどが重要です。複数の薬を正しく管理し、塩分や水分の摂取を適切にコントロールすることで、症状の悪化を予防できます。リハビリテーションは、心臓の機能維持・改善に役立ち、日常生活の活動性を高める効果も期待できます。

心不全は、脈拍の異常と深く関わる病気の一つです。原因や症状、治療法について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
>>心不全について

参考文献

大石内科循環器科医院
420-0839
静岡市葵区鷹匠2-6-1
TEL:054-252-0585

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