「最近、なんだかふらつく」という症状は、さまざまな原因が考えられ、医療機関での相談が推奨される症状の一つです。適切な対応が遅れると、転倒による骨折、日常生活動作の制限、認知機能の低下などのリスクが高まることもあります。高齢者の転倒は、罹患率や死亡率を高める大きな問題です。
この記事では、高齢者のふらつきを引き起こす5つの原因と対策、そしてご自身を守るための適切な医療機関の受診について詳しく解説します。ぜひご自身やご家族の状態と照らし合わせ、健康寿命を延ばすためのヒントを見つけてください。
高齢者のふらつきを引き起こす主な原因は、以下の5つです。
めまいは、高齢者のふらつきの代表的な原因です。周囲の景色がグルグル回るような回転性めまい、地面が揺れているような動揺性めまい、ふわふわと浮いているような感覚の浮動性めまいなど、症状はさまざまです。
良性発作性頭位めまい症、メニエール病といった内耳の異常で起こるめまいの他、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、血圧の低下、貧血、薬の副作用、自律神経の乱れなどでもめまいが起こることがあります。
高齢者の場合、加齢とともに内耳の機能が低下し、めまいを起こしやすくなります。内耳には、体のバランスを保つためのセンサーである三半規管や耳石器があります。これらの器官は、体の傾きや動きを感知して脳に情報を送ることで、バランスを維持する役割を担っています。加齢によって器官の機能が低下すると、正確な情報が脳に伝わらなくなり、めまいが生じやすくなります。
以下の記事では、めまいのタイプや原因、必要な検査などについて詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
>>めまいについて
脳血管障害は、脳への血液供給が途絶えることで、さまざまな神経症状を引き起こす病気です。脳梗塞や脳出血などがあり、高齢者のふらつきの原因となります。小脳や脳幹と呼ばれる部位に障害が起こると、ふらつきやめまいが起こりやすくなります。
小脳は体のバランスを調整する中枢であり、脳幹は生命維持に不可欠な機能を司る部位です。これらの部位に障害が生じると、体のバランスを保つことができなくなり、ふらつきが生じます。脳血管障害が原因のふらつきは、放置すると重篤な後遺症が残る可能性もあるため、すぐに医療機関を受診する必要があります。
脳血管障害は、高血圧によって脳の血管が傷つき、破れることで脳出血や脳梗塞などにつながります。以下の記事では、高血圧が与える影響や対処法などを解説していますので、ぜひご覧ください。
>>高血圧が脳梗塞を引き起こす可能性も!理由や対処法など詳しく解説
高齢者は、若い人に比べて薬の代謝機能が低下しているため、薬の副作用が出やすい傾向にあります。降圧剤や睡眠薬、抗不安薬などは、ふらつきを引き起こす副作用が知られています。
降圧剤は血圧を下げる薬ですが、血圧が急激に下がりすぎると、脳への血流が不足し、めまいやふらつきが生じることがあります。睡眠薬や抗不安薬は、脳の活動を抑制する作用があり、服用量が多すぎたり、体質に合わなかったりすると、ふらつきや眠気が残ることがあります。
複数の医療機関から薬を処方されている場合、重複投薬や相互作用のリスクが高まります。服用している薬でふらつきが気になる場合は、自己判断で服用を中止せず、必ず医師や薬剤師に相談することが重要です。
加齢に伴い、筋力やバランス感覚は徐々に低下していきます。筋肉が衰えると、体の支えが弱くなり、バランスを崩しやすくなります。視力や聴力の低下、内耳の平衡感覚の衰えも、バランス機能の低下に拍車をかけます。
骨粗鬆症や変形性関節症といった加齢に伴う病気も、ふらつきを悪化させる要因となります。骨粗鬆症は骨がもろくなる病気で、わずかな衝撃で骨折しやすくなります。変形性関節症は関節の軟骨がすり減る病気で、痛みや可動範囲の制限を引き起こします。
老化に伴い、骨粗鬆症のリスクは高まります。以下の記事では、骨粗鬆症を放置してはいけない理由や初期症状、治療法などを網羅的に解説していますので、併せてご確認ください。
>>骨粗鬆症について
パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質であるドーパミンが減少することで起こる病気です。手足の震えや筋肉のこわばり、動作が緩慢になるなどの運動症状に加えて、自律神経症状として、ふらつきやめまい、便秘、頻尿、発汗異常などが現れることもあります。
パーキンソン病以外にも、脊髄小脳変性症や多系統萎縮症など、神経系の病気がふらつきの原因となることがあります。いずれも進行性の神経変性疾患であり、徐々に神経細胞が損傷していくことで、さまざまな神経症状を引き起こします。
ふらつきを放置することのリスクには、以下の3つのリスクがあります
ふらつきを放置する最大のリスクは、転倒による骨折です。若い頃は転んでもすぐに立ち上がれたものの、高齢者の場合、骨が脆くなっているため、わずかな転倒でも骨折する危険性が高まります。特に注意が必要なのは、大腿骨頸部骨折と脊椎圧迫骨折です。
大腿骨頸部骨折は、手術が必要になることが多く、寝たきりになるリスクも高くなります。脊椎圧迫骨折は、背骨がつぶれるように折れる骨折で、激しい痛みや変形を伴うことがあります。これらの骨折は、生活の質を著しく低下させるだけでなく、生命予後にも影響を及ぼす可能性があります。
ふらつきは、日常生活動作にも大きな支障をきたします。歩く、立ち上がる、座るといった基本的な動作が困難になるだけでなく、食事の支度、入浴、着替えといった日常生活のあらゆる場面で支障をきたす可能性があります。
以前はスムーズに歩けた近所のスーパーへの買い物も、ふらつきが原因で億劫になり、外出を控えるようになることもあります。また、入浴中にふらついて転倒するリスクを恐れて、入浴をためらうようになる方もいます。
このような状態が続くと、身体機能の低下だけでなく、精神的な負担も大きくなり、生活の質が低下するだけでなく、社会的な孤立を招く可能性もあります。
ふらつきは認知機能の低下にもつながる可能性があります。転倒による骨折や、ふらつきによる活動量の低下は、認知機能の低下を招くリスクを高めることが報告されています。ふらつきに対する不安や恐怖心から外出を控えがちになると、社会的な刺激が減り、認知機能の低下を促進する可能性があります。
複数の研究で、高齢、低教育レベル、多剤服用、栄養不良、独居、都市部居住、喫煙、飲酒は、高齢者の転倒リスクを高めることが明らかになっています。心臓疾患、高血圧、糖尿病、脳卒中、虚弱、過去の転倒歴、うつ病、パーキンソン病、疼痛などの合併症も転倒リスクを高める要因です。それぞれ複雑に絡み合い、認知機能の低下につながる可能性があるため、注意が必要です。
高齢になるにつれ、認知症のリスクも高まります。認知症を予防するための具体的な方法については、以下の記事をご覧ください。
>>認知症予防のためにできること
高齢者のふらつき対策のポイントは、以下の4点です。
バランス機能を維持・向上させる運動療法は、ふらつきの対策として有効です。無理のない範囲で、日常生活に取り入れやすい運動を継続しましょう。太極拳やヨガなどのゆっくりとした動きは、バランス感覚を養うのに効果的です。自宅で簡単にできる運動として、片足立ちもおすすめです。
最初は数秒間から始め、徐々に時間を延ばしていきましょう。壁や椅子につかまりながら行えば、転倒の心配もなく安全に行えます。スクワットも下半身の筋力強化に効果的な運動です。椅子に座りながら行えるレッグレイズや、腕の上げ下げ運動も、体力に自信がない方でも取り組みやすいです。転倒予防トレーニング法として有効性が報告されているクロステストもおすすめです。
現在服用している薬が、ふらつきの原因となっている可能性も考えられます。高齢者の場合、若い人に比べて薬物代謝機能が低下しているため、薬の影響を受けやすい傾向があります。降圧剤や睡眠薬、抗不安薬などは、ふらつきを引き起こす副作用が知られています。複数の医療機関から薬を処方されている場合、重複投薬や相互作用のリスクも高まります。
ご自身で判断して薬の服用を中止することは大変危険ですので、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。ふらつきの原因となっている薬があれば、減量や服薬方法の変更、あるいは別の薬への変更など、適切な調整が必要となる場合があります。
住環境を適切に整えることで、転倒リスクを減らすことができます。家の中の段差を解消したり、廊下やトイレ、浴室に手すりを設置したりするなど、自宅での安全対策を行いましょう。照明を明るくすることで、足元の状態を把握しやすくなり、転倒を未然に防ぐ効果も期待できます。
杖やシルバーカーなどの歩行補助具を使用することも有効です。歩行の安定性を高めるだけでなく、転倒時の衝撃を吸収する役割も果たします。
めまいやふらつきが続く場合は、神経内科や整形外科を受診しましょう。ふらつきは、単なる老化現象として片付けられがちですが、重大な病気のサインである可能性も否定できません。高齢者の転倒は、骨折や入院につながる可能性が高く、生活の質を著しく低下させてしまう危険性があります。
ふらつきは、命に関わる疾患のサインである可能性もあります。少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。大石内科循環器科医院では、オンライン診療も行っています。めまいやふらつきをはじめ、さまざまな診察を起こっていますので、お気軽にご相談ください。
高齢者のふらつきは、加齢によるバランス機能の低下だけでなく、めまいや脳血管障害、薬の副作用、神経系の病気など、さまざまな原因が考えられます。ふらつきを放置すると、生活の質を低下させてしまう以下のようなリスクが高まります。
ふらつき対策として、バランス機能を高める運動療法や薬の見直し・調整、生活環境の改善、そして何より大切なのは、適切な医療機関の受診です。「年のせいだから…」と安易に考えて放置せず、少しでもふらつきが気になる場合は、当院までご相談ください。
ご自身の状態に合った適切な治療と対策を行うことで、ふらつきを改善し、より安全で快適な生活を送ることができます。高齢の方が注意すべきこととして、糖尿病も挙げられます。65歳以上で発症する高齢者糖尿病の方も多いです。以下の記事では、高齢者が糖尿病になりやすい理由や症状などを詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
>>高齢者糖尿病とは?なりやすい理由や症状、合併症、血糖コントロールについて
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