大石内科循環器科医院

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自動車運送事業者の方は必見!心臓疾患・大血管疾患の対策ガイドラインを循環器科専門医が解説

2025.02.26 循環器

毎日ハンドルを握るプロドライバーの皆さん、心臓の健康に自信はありますか?

長時間の運転、不規則な生活、そして責任の重い業務は、心臓に大きな負担をかけているかもしれません。 日本では年間約20万人が心疾患で亡くなっており、その中には現役で活躍するドライバーの方も含まれています。

実は自動車運送事業者にとって、冠動脈疾患や不整脈疾患は特に注意が必要な二大心臓病リスクなのです。 この記事では、これらの心臓病の症状や原因、そして予防策まで循環器科専門医が分かりやすく解説します。

安全運転を続けるためにも、ご自身の心臓を守り、健康を維持するための知識を身につけてみませんか?

冠動脈疾患と不整脈疾患:自動車運送事業者における2大心臓病リスク

心臓は、体中に酸素と栄養を運ぶ血液循環の中心です。毎日休むことなく拍動を続ける心臓の健康は、私たちの生活の質を左右すると言っても過言ではありません。

特に長時間の運転を続ける自動車運送事業者の方々は、生活習慣の乱れや運転中のストレスなど、心臓に負担がかかりやすい環境に身を置いています。そのため、心臓病のリスクについても、より一層の注意が必要です。

今回は、自動車運送事業者の方々にとって特に注意が必要な2大心臓病、「冠動脈疾患」と「不整脈疾患」について解説します。

冠動脈疾患:狭心症と心筋梗塞

冠動脈疾患は、心臓を取り巻く冠動脈の動脈硬化によって引き起こされます。動脈硬化とは血管の壁が厚く硬くなり、弾力性を失ってしまう状態です。血管が硬くなると血液の通り道が狭くなり、心臓の筋肉(心筋)に必要な酸素や栄養が十分に供給されなくなります。

酸素不足の状態が一時的に起こると、胸の痛みや圧迫感などの症状が現れます。これが狭心症です。狭心症の痛みは胸が締め付けられるような、焼けるような重苦しいなど人によって感じ方が様々です。発作は運動時や興奮時、寒い時などに起こりやすく数分から十数分で治まるのが特徴です。

一方、血管が完全に詰まってしまうと、心筋に血液が全く届かなくなり心筋の一部が壊死してしまいます。これが心筋梗塞です。心筋梗塞は激しい胸の痛みや呼吸困難、冷や汗、吐き気などを伴い命に関わる危険性も非常に高い状態です。一刻も早い医療処置が必要となります。

冠動脈疾患の危険因子としては、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などが挙げられます。また、国土交通省が作成した自動車運送事業者における心臓疾患対策ガイドラインによると、ストレスや過労も危険因子となることが指摘されています。

毎日ハンドルを握るプロドライバーの方にとって、ストレスや過労は避けられない問題かもしれません。しかし、これらの危険因子を放置することで、狭心症や心筋梗塞のリスクが高まることを理解しておく必要があります。

不整脈疾患:期外収縮と心房細動

不整脈疾患は、心臓の拍動のリズムが乱れる病気です。健康な状態では、心臓は規則正しくリズムを刻み、全身に血液を送り出しています。しかし、このリズムが乱れると、様々な症状が現れることがあります。

期外収縮は脈が飛ぶ、または、胸がドキドキするなど、脈の乱れを自覚することがあります。健康な人でも期外収縮が起こることがあります。期外収縮自体は危険な不整脈ではありません。しかし、頻脈性期外収縮のように、期外収縮が高頻度に発生すると、動悸やめまい、息切れなどの症状が現れることがあります。

心房細動は、心臓の上にある心房が無秩序に細かく震える状態です。心房が適切に収縮しないため、心臓内に血液が滞りやすくなります。その結果、心臓内に血栓(血液の塊)ができ、それが脳に運ばれて血管を詰まらせてしまう脳梗塞のリスクが高まります。心房細動は自覚症状がない場合もありますが、動悸やめまい、息切れなどの症状が現れることもあります。

不整脈疾患の原因は様々ですが、加齢、高血圧、心臓弁膜症、心不全、冠動脈疾患、甲状腺機能亢進症、睡眠時無呼吸症候群などが危険因子として挙げられます。また、過度の飲酒や喫煙、カフェインの過剰摂取、ストレス、睡眠不足、疲労なども不整脈を誘発する可能性があります。

運転と心臓病:安全運転のための注意点と対処法

冠動脈疾患や不整脈疾患のある方が運転中に胸の痛みや動悸、めまいなどの症状が現れた場合、意識を失ったり正常な運転操作ができなくなったりする危険性があります。安全運転を確保するために、運転前には必ず体調チェックを行いましょう。少しでも異常に気付いたら無理せず運転を控え、医療機関を受診することが重要です。

また運転中に心臓病の症状が現れた場合は、安全な場所に車を停車させ、直ちに救急車を要請してください。決して無理に運転を続けず、ご自身の安全と周囲の安全を最優先に行動してください。国土交通省のガイドラインでも運転中の緊急時の対応として、安全な場所への停車と救急要請が推奨されています。

自動車運送事業者の方は運転免許の更新時にも、自身の健康状態を医師に詳しく伝え必要な検査を受けることが重要です。心臓病の既往歴や自覚症状がある場合は、医師の指示に従い安全な運転を心がけましょう。

冠動脈疾患・不整脈疾患の症状と原因

心臓は、体中に酸素と栄養を届けるために、休みなく働き続ける重要な臓器です。その心臓に異常が生じる冠動脈疾患と不整脈疾患は、自動車運送事業者の方々にとって特に注意が必要な病気です。長時間の運転や不規則な生活、ストレスなどは、心臓に大きな負担をかけるため、これらの疾患のリスクを高める可能性があります。今回は、それぞれの症状や原因、そして危険因子について詳しく解説します。

冠動脈疾患の主な症状:胸痛、息切れ、冷や汗など

冠動脈疾患の代表的な症状は、胸の痛みや圧迫感です。心臓の筋肉(心筋)に必要な酸素が不足すると、締め付けられるような、焼けるような、あるいは重苦しいといった胸痛が起こります。このような痛みは、狭心症の典型的な症状です。運動時や興奮時、あるいは寒い時に症状が現れやすく、数分から十数分で治まることが多いです。安静にしていれば症状が軽快するのが特徴ですが、放置すると心筋梗塞に進行する可能性もあるため注意が必要です。

心筋梗塞は、冠動脈が完全に閉塞し、心筋への血流が途絶えることで発症します。激しい胸の痛みや圧迫感に加え、呼吸困難、冷や汗、吐き気、嘔吐、意識消失などの症状が現れます。心筋梗塞は命に関わる危険な状態であり、緊急の医療処置が必要です。症状が現れたらすぐに救急車を呼びましょう。

不整脈疾患の主な症状:動悸、めまい、失神など

不整脈疾患は、心臓の拍動のリズムが乱れる病気です。健康な人の心臓は、規則正しく脈打っていますが、不整脈では脈が飛んだり、速くなったり(頻脈)、遅くなったり(徐脈)します。

期外収縮は脈が飛ぶように感じたり、胸がドキドキしたりする自覚症状を伴う不整脈です。健康な人でも起こりうるものですが、高頻度に発生する場合は注意が必要です。期外収縮が続くことで、動悸やめまい、息切れなどを引き起こすことがあります。

心房細動は、心房が無秩序に細かく震える不整脈です。心房がうまく収縮できないため、心臓内に血液が滞り、血栓(血液の塊)ができやすくなります。この血栓が脳の血管に詰まると脳梗塞を引き起こす危険性があり、心房細動は脳梗塞の主要な危険因子の一つとされています。心房細動自体は自覚症状がない場合もありますが、動悸やめまい、息切れなどの症状が現れることもあります。

危険因子:高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙など

冠動脈疾患と不整脈疾患には共通の危険因子がいくつかあります。高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙などは、動脈硬化を促進し、心臓病のリスクを高めます。動脈硬化は血管の壁が厚く硬くなることで、血管の内腔が狭くなり、血液の流れが悪くなります。

国土交通省が作成した自動車運送事業者における心臓疾患対策ガイドラインにも、これらの危険因子が指摘されています。特に、自動車運送事業に従事する方は、長時間の運転や不規則な生活になりがちであり、これらの危険因子に注意が必要です。

ストレスや過労の影響

ストレスや過労も、冠動脈疾患や不整脈疾患のリスクを高める要因です。ストレスを感じると交感神経が活発になり、血圧や心拍数が上昇します。長期間にわたるストレスや過労は、心臓に負担をかけ、心筋梗塞や不整脈を引き起こす可能性があります。

現代社会においてストレスを完全に避けることは難しいかもしれませんが、ストレスをため込まない工夫をすることが重要です。十分な睡眠、適度な運動、趣味の時間などを確保し、心身ともにリラックスできる時間を作るようにしましょう。また、過労を避けるためには、業務量の調整や休暇の取得など、職場環境の改善も必要です。

自動車運送事業者のための心臓病予防と対策

プロドライバーの皆さんは毎日長時間運転し、心身ともに大きな負担を抱えていることと思います。安全運転を続けるためには、自身の健康管理が何よりも大切です。今回は、心臓病のリスクを減らすための予防と対策について、循環器科専門医の立場から解説します。

健康診断の重要性:早期発見と適切な治療

心臓病は、初期段階では自覚症状がほとんどない場合も多いです。そのため、定期的な健康診断が非常に重要になります。健康診断を定期的に受診することで、心臓病の早期発見・早期治療につながります。

健康診断では、血圧、コレステロール値、血糖値などを測定し、心臓病の危険因子を早期に発見することができます。心電図検査で不整脈の有無を確認することも可能です。仮に、心電図検査で異常波形が検出された場合、24時間ホルター心電図検査を追加し、より詳細な不整脈の評価を行うこともあります。

また、心臓超音波検査では、心臓の形態や機能、弁の動きなどを評価し、心臓病の有無を調べます。負荷心電図や心臓核医学検査は、運動中の心臓の状態を評価し、狭心症の診断に役立ちます。冠動脈CT検査では、冠動脈の状態を詳細に画像化し、動脈硬化の程度や狭窄の有無を評価します。

もし健康診断で異常が見つかった場合は、速やかに専門医を受診し、適切な治療を受けるようにしましょう。早期発見・早期治療は、心臓病の重症化を防ぎ、健康な生活を送るために不可欠です。ご自身の健康状態を把握し、安心して運転を続けるためにも、健康診断は積極的に活用しましょう。

当院でも健康診断を受診いただけます。くわしくはこちら

生活習慣の改善:食事、運動、睡眠、禁煙など

心臓病予防には、日々の生活習慣の改善も重要です。バランスの取れた食事を心がけ、塩分、糖分、そして飽和脂肪酸の摂り過ぎに注意しましょう。野菜、果物、魚、海藻、大豆製品などを積極的に摂取し、栄養バランスの良い食事を心がけることで、動脈硬化の予防につながります。

適度な運動は、血圧やコレステロール値を改善し、心臓の健康を保つために効果的です。ウォーキングや軽いジョギング、水泳など、無理なく続けられる有酸素運動を、1回30分程度、週に数回行うのが理想的です。体を動かす習慣を身につけることで、心臓病だけでなく、様々な生活習慣病の予防にもつながります。

また、十分な睡眠を確保することも重要です。睡眠不足はストレスホルモンの分泌を促し、心臓に負担をかける可能性があります。毎日同じ時間に寝起きし睡眠時間を7時間程度確保することで、体内時計が整い質の高い睡眠を得ることができます。寝る前のカフェイン摂取やスマートフォン操作は避け、リラックスして眠りにつくようにしましょう。

さらに、禁煙は心臓病予防に大きく貢献します。タバコは血管を収縮させ血圧を上昇させるだけでなく、血液をドロドロの状態にするため心臓病のリスクを高めます。禁煙することで、心臓病だけでなく、がんや呼吸器疾患など他の多くの病気のリスクも減らすことができます。

薬物療法とカテーテル治療、外科的治療

心臓病の治療法には、薬物療法、カテーテル治療、外科的治療など、様々な方法があります。薬物療法では、高血圧や高脂血症、糖尿病などの危険因子をコントロールするための薬や、狭心症や不整脈の症状を和らげる薬などを用います。

カテーテル治療はカテーテルと呼ばれる細い管を血管に通して、狭くなった血管を広げたり詰まった血管を開通させたりする治療法です。冠動脈疾患の治療として広く行われており、比較的低侵襲な治療法として注目されています。

外科的治療は心臓のバイパス手術や弁置換術など、手術によって心臓の機能を改善する治療法です。重症の心臓病の場合に選択される治療法であり、患者さんの状態に合わせて最適な手術方法が選択されます。治療法は、患者さんの病状や年齢、生活習慣などを考慮して、医師が適切な方法を選択します。

運転中の緊急時の対処法:停車、救急要請

運転中に胸痛やめまい、動悸などの症状が現れた場合は、すぐに安全な場所に車を停車させましょう。路肩やパーキングエリアなどに停車し、ハザードランプを点灯して周囲に注意を促します。そして、落ち着いて119番に電話し、救急車を要請してください。

救急隊員には、症状や服用している薬などについて正確に伝えましょう。また、意識がもうろうとする、冷や汗が止まらない、呼吸が苦しいなどの症状がある場合は、一刻を争う状態である可能性があります。このような場合は、躊躇せずに救急車を要請することが重要です。

関連法規と運転免許:更新時の注意点

大型自動車や第二種免許などの運転免許を取得・更新する際には、一定の健康状態であることが求められます。心臓病を患っている場合は、医師の診断書が必要となる場合があります。また病状によっては、運転免許の取得・更新が制限されることもあります。安全運転を続けるためにも、ご自身の健康状態を正しく理解し、法規に従って適切な対応をすることが大切です。

運転免許の更新時には、必ず医師に相談し、関連法規を確認するようにしましょう。心臓病の既往歴や現在の症状、治療内容などを医師に詳しく伝え、運転への影響について相談することが重要です。医師の指示に従い、安全な運転を心がけてください。

まとめ

運転中の突然の体調変化、考えただけでも恐ろしいですよね。

今回は、自動車運送事業者の方に向けて、心臓疾患・大血管疾患の対策ガイドラインを解説しました。長時間の運転、不規則な生活、ストレスは心臓に大きな負担をかけ、冠動脈疾患や不整脈疾患のリスクを高めます。

自覚症状が少ないからこそ、定期的な健康診断で早期発見・早期治療を心がけましょう。バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠、そして禁煙も大切です。

運転中に胸の痛みや動悸、めまいを感じたら、安全な場所に停車し、迷わず119番通報を。健康管理を徹底し、安全運転で走り切りましょう。

動悸や胸痛、脈が飛ぶなど心臓に不安を感じたら循環器専門医の当院までご相談ください。

法人や団体などでの心臓疾患・大血管疾患の検査、健康診断のご相談はこちらをご覧ください。

参考文献

自動車運送事業者における心臓疾患対策ガイドライン



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