news_kaigo
介護部門のお知らせ

認知症対応型デイサービスとは

2025.09.08

認知症対応型デイサービスとは

認知症、それは誰にとっても不安な響きを持つ言葉かもしれません。記憶の衰え、見当識障害、そして時に現れる幻覚や徘徊……。しかし、認知症になっても、住み慣れた地域で自分らしく穏やかに過ごすことは可能です。

その鍵となるのが、認知症対応型デイサービスです。1ユニット12名以下という手厚い職員配置で、認知症の知識を持ったスタッフが個別のケアプランに基づき、認知症の症状緩和に繋がるレクリエーションや機能訓練を提供します。さらに、緊急時対応体制も整っており、ご本人とご家族の安心を支えます。

この記事では、認知症対応型デイサービスの5つの特徴、選び方の4つのポイント、そして費用や手続きまで、詳しく解説します。最適なデイサービス選びは、ご本人とご家族の未来を明るく照らす第一歩となるでしょう。

読み進めることで、認知症対応型デイサービスが持つ可能性、そして、認知症と共に生きるための具体的な方法が見えてくるはずです。

併せて認知症の中核症状とはもお読みください。

認知症の周辺症状とはの詳細はこちらをご覧ください。

静岡市民の方は、令和7年度6月より65歳以上の方を対象に「静岡市物忘れ検診」制度が始まりました。無料で受けられる検査で認知症の早期発見・早期対応で今の生活をなべく長く維持していくため検査です。当施設と併設されている大石内科循環器科医院で受診いただけます。詳しくはこちらをご覧ください。

大石内科循環器科医院では物忘れ(認知症)外来を受診いただけます。認知症(もの忘れ)外来では「すぐに忘れてしまう」といった認知症のような症状が「加齢に伴う正常なもの忘れ」なのか、「認知症の入り口」なのかを診断します。
ご自身やご家族の方が「なにかおかしい」と感じたら、なるべく早めに当院の認知症(もの忘れ)外来にご相談ください。

認知症対応型デイサービスの5つの特徴

認知症と診断された時、ご本人だけでなくご家族も、これからどうなるのかと大きな不安を抱かれることでしょう。認知症は、中核症状である記憶障害、見当識障害、判断力など認知機能の低下に加え、周辺症状として幻覚や妄想、抑うつ、興奮、徘徊、攻撃性、不眠など、実に多様な症状が現れます。

これらの症状は人それぞれで、進行の速度も異なります。しかし、認知症になっても、住み慣れた地域で、自分らしく穏やかに生活を送ることが可能です。そのための心強い味方となるのが、認知症対応型デイサービスです。

認知症対応型デイサービスは、他のデイサービスとは異なる5つの特徴を備えています。これらの特徴を理解することで、ご自身やご家族にとって最適なサービス選びに役立てていただけます。

このように、認知症対応型デイサービスでは、個々の症状に合わせた柔軟なケアを提供することで、症状の進行を防ぎ、生活の質を向上させることを目指します。併せて認知症による徘徊はなぜ起こる?もお読みください。

認知症の方への専門的なケア提供

認知症対応型デイサービスは、認知症ケアに関する専門的な知識と経験を持つスタッフが対応します。認知症の症状は多岐にわたり、一人ひとり異なるため、画一的なケアでは対応できません。

例えば徘徊の症状がある方には、GPS機能付きの見守り機器を提案したり、施設内に安全な徘徊空間を設けるなどの工夫が必要です。また、興奮しやすい方には、落ち着いた声かけや環境調整、必要に応じて薬物療法なども検討されます。

このように、認知症対応型デイサービスでは、個々の症状に合わせた柔軟なケアを提供することで、症状の進行を防ぎ、生活の質を向上させることを目指します。

併せて認知症になりやすい人の特徴とは?もお読みください。

少人数制で個別ケア重視

認知症対応型デイサービスは、1ユニット12名以下という少人数制を特徴としています。これは、認知症の方一人ひとりに寄り添った、きめ細やかなケアを提供するために非常に重要です。

大人数の施設では、どうしても画一的なケアになりがちですが、少人数制であれば、利用者の個性やペースに合わせた個別ケアが可能になります。例えば、手作業が好きな方には、折り紙や編み物などの活動を提供し、音楽が好きな方には、歌や楽器演奏の機会を設けるなど、個々の趣味や嗜好に合わせた活動を提供できます。

介護保険サービスを利用するには、ケアプランの作成が必要です。ケアプランについては、以下の記事で詳しく解説しています。→ ケアマネージャーの依頼、ケアプランの作成

個別ケアプランに基づいたサービス提供

介護保険サービスを利用するには、ケアプランの作成が必要です。ケアプランとは、利用者の状態や希望、課題などを考慮し、日常生活の自立支援や介護負担の軽減を目的とした、具体的なサービス内容を記載した計画書です。

認知症対応型デイサービスでは、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいてサービスを提供します。ケアプランには、入浴や食事の介助、排泄の介助、服薬管理、機能訓練、レクリエーション活動など、多岐にわたるサービス内容が記載されます。

認知症の症状緩和に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。→ 認知症は改善できる?

認知症の予防に関する情報も併せてお読みください。→ 認知症予防のためにできること

認知症の症状緩和に繋がるレクリエーションや機能訓練

認知症対応型デイサービスでは、認知症の症状緩和や進行抑制を目的とした、様々なレクリエーションや機能訓練を提供しています。

例えば、回想法は、懐かしい写真や音楽などを用いて昔の記憶を呼び起こし、脳の活性化を促す効果が期待できます。音楽療法は、歌や楽器演奏を通して情緒の安定やコミュニケーション能力の向上に役立ちます。

また、軽い運動プログラムも、認知症の症状緩和に効果的です。風船バレーや体操などの運動は、身体機能の維持・向上だけでなく、視空間の認識と維持・向上や、脳の構成力、注意力を刺激して機能の維持・改善を促します。

併せて認知症になりやすい人の特徴とは?もお読みください。

認知症を発症したら頑固になった?その原因と対応方法を解説の詳細はこちらをご覧ください。

緊急時対応体制

認知症の方は、急な体調変化や予期せぬ事故のリスクが高いため、緊急時対応体制が不可欠です。認知症対応型デイサービスでは、看護師の配置や提携医療機関との連携、緊急時に備えた体制を整えています。

また、アルツハイマー型認知症の治療薬として、ドネペジルとメマンチンの単独療法及び、併用療法により認知症の進行を緩やかにします。

さらに、うつ病や不安、不眠といったアルツハイマー病の合併症に対して、抗うつ剤や抗精神剤を的確に使用することにより、その症状の軽減を図ることができます。

認知症対応型デイサービスの選び方4つのポイント

認知症と診断されたご家族のために、最適なデイサービスを選ぶことは、ご本人とご家族の将来の生活の質を大きく左右する重要な決断です。デイサービスは、単なる一時的なお預かり場所ではなく、認知症の進行を穏やかにし、その人らしい生活を支え、生活の質を向上させるための重要な役割を担っています。

だからこそ、ご本人の個性や状態、ご家族の状況に合ったデイサービス選びが不可欠です。ここでは、最適なデイサービス選びのための4つのポイントを、医療現場の視点も交えながら詳しく解説します。

費用とサービス内容のバランス

デイサービスの利用料金は、サービス内容や提供時間、自治体によって大きく異なります。費用だけで判断するのではなく、提供されるサービス内容とのバランスを綿密に検討することが大切です。

例えば、あるデイサービスでは、個別機能訓練に力を入れている一方で、別のデイサービスでは、集団レクリエーションを重視しているなど、施設によって提供するサービスの重点が異なります。ご本人の状態や希望に合ったサービスが提供されているか、しっかりと確認しましょう。

具体的には、以下のようなサービス内容が提供されているか確認し、費用とのバランスを見て総合的に判断することが重要です。

  • 個別機能訓練: 日常生活動作の維持・向上を目的とした、個別の運動プログラム。理学療法士など専門家による指導があるか、ご本人の状態に合わせたプログラムが提供されているかを確認しましょう。
  • 集団リハビリ: 他の利用者と一緒に楽しく体を動かす体操やレクリエーション。社会的な交流の機会も提供されるため、精神的な刺激にも繋がります。
  • 栄養バランスの取れた食事: 管理栄養士が監修した、健康に配慮した食事の提供。噛む力や飲み込む力が低下している方への配慮、アレルギー対応なども確認しましょう。
  • 入浴介助: スタッフによる入浴のサポート。自宅での入浴が困難な方にとって、清潔を保つための重要なサービスです。
  • 送迎サービス: 自宅と施設間の送迎。ご家族の送迎負担を軽減し、安全に通所することができます。送迎範囲や時間帯、車椅子対応なども確認しましょう。

また、介護保険の適用範囲や自己負担額についても事前に確認しておきましょう。費用の内訳をしっかりと把握し、予算内で適切なサービスを選ぶことが重要です。

立地と送迎サービスの確認

デイサービスを選ぶ際には、自宅からの距離やアクセスの良さを考慮することも非常に重要です。ご家族が無理なく通える範囲にある施設を選ぶことで、通所のための負担を軽減し、継続的な利用を促進することができます。

送迎サービスの有無も重要なポイントです。送迎サービスを利用することで、天候に左右されずに安全に通うことができます。送迎範囲や送迎車の車種(車椅子対応など)、付き添いの有無なども確認しておきましょう。

スタッフの対応と施設の雰囲気

デイサービスは、ご本人が一日を過ごす場所であり、スタッフとの関わりがご本人の心身の状態に大きな影響を与えます。実際に施設に見学に行き、スタッフが利用者にどのように接しているか、施設全体が明るく清潔で、どのような雰囲気かを確認しましょう。

スタッフの認知症ケアに関する知識や経験、そして、認知症の方への共感と敬意を持った対応は、質の高いケアを提供するために不可欠です。認知症の症状は多様であり、適切な対応には専門的な知識とスキルが求められます。スタッフの研修体制や資格の有無なども確認しておくと安心です。

また、施設の雰囲気も重要です。落ち着いた雰囲気の中で過ごせるか、他の利用者との交流が促進されるような環境か、ご本人がリラックスして過ごせる空間かどうかを確認しましょう。

ケアの内容と実績

デイサービスでは、レクリエーションや機能訓練など、さまざまなケアが提供されています。ご本人の状態や好みに合ったケアが提供されているかを確認しましょう。身体機能の維持・向上を目的とした機能訓練や、認知機能の低下予防のためのレクリエーション、そして、社会的な交流の機会などが提供されているかを確認することが大切です。

また、施設の実績や評判も参考にすることができます。地域の高齢者支援センターやケアマネジャーに相談したり、インターネットで口コミを調べたりすることで、施設の評判やサービスの質をある程度把握することができます。

近年、肺炎のような感染症を経験した高齢者では、認知機能の低下リスクが高まるという研究報告もあります。これは、感染症による身体的なストレスや炎症反応が脳に影響を与えるためと考えられています。認知症予防の観点からも、適切なケアを提供してくれるデイサービスを選ぶことが重要です。

認知症対応型デイサービス利用の費用と手続き

認知症と診断されたご家族のケアを考える際に、費用や手続きについて不安を抱かれるのは当然のことです。ここでは、認知症対応型デイサービスの利用に関する費用と手続きについて、医療現場の視点も交えながら、わかりやすくご説明します。介護保険の適用範囲や自己負担額、利用開始までの流れ、費用の軽減制度、そして相談窓口についても詳しく解説しますので、ぜひ今後の生活設計にお役立てください。

介護保険適用範囲と自己負担額

認知症対応型デイサービスは、要介護1~5の認定を受けた方が利用できます。要支援1・2の方も、介護予防認知症対応型通所介護というサービスを利用できる場合があります。これらのサービスは介護保険が適用されるため、自己負担額は原則1割となります。ただし、所得に応じて2割または3割負担となる場合もあります。

ご本人の経済状況によって負担割合が変わるため、ご家族の負担も大きく変わってきます。詳細な条件は市区町村によって異なる場合があるため、窓口でご確認ください。

負担割合対象者
1割負担市町村民税非課税世帯の方
2割負担一般所得の方(単身世帯で年収約280万円以上の方など)
3割負担現役並みの所得のある方(単身世帯で年収約340万円以上の方など)

自己負担額以外にも、おやつ代やおむつ代、特別なレクリエーション費用などの実費がかかる場合があります。これらの費用は施設によって異なるため、事前に各事業所へ問い合わせることが重要です。

利用開始までの流れ

認知症対応型デイサービスの利用開始までの流れは、複数のステップがあり、戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。大きく分けて以下のようになります。

  1. 医療機関で認知症の診断を受ける:まずは、医療機関を受診し、認知症の診断を受けてください。認知症にも種類があり、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症など、それぞれに特徴があります。診断によって適切なケアの内容も変わってくるため、正確な診断が重要です。
  2. 市区町村に要介護認定の申請をする:認知症の診断書をもとに、お住まいの市区町村の窓口に要介護認定の申請を行います。地域包括支援センターや居宅介護支援センターでも代行して申請を行ってもらうこともできます。申請から認定までには1ヶ月程度の期間を要する場合があります。
  3. 認定調査を受ける:市区町村の職員などが自宅を訪問し、心身の状態や生活状況などを調査します。ご家族も同席し、日頃の様子や困っていることなどを伝えることが重要です。
  4. 要介護認定の結果が出る:調査結果に基づいて、要介護度が決定されます。要介護度によって利用できるサービスの種類や費用が変わります。
  5. ケアプランを作成する:ケアマネジャーに相談し、デイサービスを含むケアプランを作成します。ご本人の希望や生活状況に合わせたケアプランを作成することで、より効果的なサービス利用が可能となります。
  6. デイサービス事業所と契約する:希望するデイサービス事業所に見学や体験利用を行い、契約手続きを行います。複数の事業所を比較検討し、ご本人に合った施設を選ぶことが大切です。

利用開始までには、1ヶ月から2ヶ月程度かかる場合もあるので、早めに手続きを始めましょう。

費用の軽減制度

認知症対応型デイサービスの利用には、費用の軽減制度が設けられています。費用の負担を軽減する制度には、以下のようなものがあります。

  • 高額介護サービス費制度:利用者負担が一定額を超えた場合、その超過分が支給されます。所得に応じて負担上限額が設定されています。
  • 市区町村独自の軽減制度:お住まいの市区町村によっては、独自の軽減制度を設けている場合があります。例えば、低所得者世帯に対する助成制度などがあります。

費用の軽減制度は、経済的な負担を軽減する上で非常に重要な役割を果たします。利用を検討する際には、これらの制度について詳しく調べておくことをおすすめします。窓口や相談機関で具体的な情報を得ることができます。

相談窓口と利用相談の方法

認知症対応型デイサービスの利用に関する相談は、様々な窓口で受け付けています。どこへ相談すれば良いかわからない場合は、以下の窓口を参考にしてください。

  • 担当のケアマネジャー:ケアプランの作成やサービス事業所の紹介など、幅広い相談に対応しています。すでにケアマネジャーがいらっしゃる場合は、まずはケアマネジャーに相談するのが良いでしょう。
  • デイサービス事業所:サービス内容や費用、利用方法など、具体的な相談ができます。実際に施設に見学に行き、雰囲気やサービス内容を確認することも可能です。
  • お住まいの市区町村の介護保険担当窓口:要介護認定の申請や費用の軽減制度などについて相談できます。お住まいの地域の情報を得るには最適な窓口です。
  • 地域包括支援センター:介護に関する総合的な相談窓口として、様々な情報提供や支援を行っています。介護に関する様々な相談に対応しています。

まずは当施設まで、お気軽にご相談ください。専門家による適切なアドバイスを受けることで、ご本人やご家族にとって最適なサービスを選択できるはずです。

まとめ

認知症対応型デイサービスは、認知症の方々が住み慣れた地域で、自分らしく穏やかに生活を送るための心強い味方です。専門的なケアや少人数制、個別ケアプランに基づいたサービス提供、症状緩和に繋がるレクリエーションや機能訓練、そして緊急時対応体制など、様々な特徴があります。

デイサービス選びの際は、費用とサービス内容のバランス、立地や送迎サービス、スタッフの対応や施設の雰囲気、そしてケアの内容と実績を考慮しましょう。費用については介護保険が適用され、自己負担は原則1割ですが、所得に応じて負担割合が変動します。費用の軽減制度も活用できますので、お住まいの市区町村の窓口に相談してみましょう。

利用開始までの流れは、まず医療機関で認知症の診断を受け、市区町村に要介護認定の申請を行います。その後、認定調査を受け、要介護度が決定されたらケアプランを作成し、デイサービス事業所と契約します。

認知症はご本人だけでなくご家族にとっても大きな不安を伴うものです。しかし、適切なデイサービス選びと利用によって、認知症になっても安心して生活を送ることが可能になります。まずは、お近くの相談窓口に相談し、情報収集から始めてみてください。きっと、あなたに合ったデイサービスが見つかるはずです。

当施設の認知症対応型デイサービスはこちら

お問い合わせは 054-252-0625 までお電話ください。


大石内科循環器科デイサービスセンター(認知対応型)
通所リハビリテーション
居宅介護支援センター

420-0839
静岡市葵区鷹匠2-6-1
054-252-0625

参考文献

  1. ドネペジル単剤療法とドネペジル・メマンチン併用療法のアルツハイマー病治療効果に関するメタ分析アップデート. PubMed.
  2. 新規治療戦略の探求:サイケデリックスの視点はアルツハイマー病の合併症に対する有望な解決策を提供できるか? PubMed.
  3. 腸脳相関における微生物多様性と健康状態:アルツハイマー病の発症リスクへの影響. PubMed.
  4. 肺炎と認知症・認知機能低下リスクの関連性に関する系統的レビューとメタ分析. PubMed.

追加情報

[title]: A meta-analysis update evaluating the treatment effects of donepezil alone versus donepezil combined with memantine for Alzheimer’s disease.

ドネペジル単剤療法とドネペジル・メマンチン併用療法のアルツハイマー病治療効果に関するメタ分析アップデート 【要約】

  • 本メタ分析は、アルツハイマー病(AD)に対するドネペジル単剤療法とドネペジル・メマンチン併用療法の有効性を比較することを目的とした。
  • PubMed、Scopus、Google Scholarデータベースを2024年2月14日まで検索し、4件のランダム化比較試験(RCT、計1930例)を選定した。
  • ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアでは、両治療法間に有意差はなかった (OR = 0.54, 95% CI: 0.06-4.60, p > 0.05)。
  • しかし、重症認知機能障害バッテリー(SIB)スコアでは、併用療法が有意に改善を示した (OR = 7.00, 95% CI: 1.13-43.24, p < 0.05)。
  • 両分析とも異質性が高かった(MMSE:I² = 72%、SIB:I² = 89%)。
  • MMSEの結果では軽度の出版バイアスが示唆されたが、SIBの結果では非対称性が認められた。
  • 本メタ分析は、重症認知機能障害患者において、ドネペジル・メマンチン併用療法がドネペジル単剤療法よりも有意に効果的である可能性を示唆している(SIBスコアに基づく)。しかし、MMSEスコアでは有意な差は認められなかった。
  • 研究間の高い異質性から、慎重な解釈が必要であり、より大規模でデザインの優れたRCTが必要であることが示唆された。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40584841


[title]: Exploring novel therapeutic strategies: Could psychedelic perspectives offer promising solutions for Alzheimer’s disease comorbidities?

新規治療戦略の探求:サイケデリックスの視点はアルツハイマー病の合併症に対する有望な解決策を提供できるか? 【要約】

  • アルツハイマー病(AD)は、認知機能障害だけでなく、様々な合併症を伴う複雑な疾患である。
  • 本論文は、サイケデリックス(幻覚剤)がADの合併症治療における新たな治療戦略となりうる可能性を探っている。
  • サイケデリックスは、ADに伴ううつ病、不安、睡眠障害などの精神症状の改善に有効である可能性が示唆されている。
  • さらに、サイケデリックスは、AD患者の生活の質(QOL)を向上させる可能性がある。
  • ただし、サイケデリックスの使用は慎重な検討が必要であり、今後の更なる研究が求められる。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40108882


[title]: Microbial diversity and fitness in the gut-brain axis: influences on developmental risk for Alzheimer’s disease.

【要約】

  • 腸脳相関(GBA)は、消化器系と中枢神経系(CNS)を繋ぐ動的で双方向のコミュニケーションシステムである。
  • 本論文は、GBAに焦点を当て、特にアルツハイマー病(AD)において、腸内微生物の多様性と健康状態が腸内健康の維持と神経変性疾患の予防に果たす役割を検討している。
  • 腸内細菌の善玉菌と悪玉菌のバランスの乱れである腸内 dysbiosis は、全身性炎症、神経炎症の増加、アミロイド沈着、タウオパチー、血液脳関門(BBB)透過性亢進といった病的メカニズムを通じてADの進行と関連付けられている。
  • プロバイオティクス、食事介入、間欠的断食による腸内細菌叢のバランス回復、炎症軽減、神経変性リスクの最小化の可能性が示唆されている。
  • プロバイオティクスとシンバイオティクスは、認知機能と代謝の健康改善に有望であり、地中海式食事などの食生活は、神経炎症の減少と腸脳コミュニケーションの強化に関連付けられている。
  • しかし、脳の健康に影響を与える特定の微生物株、代謝物、メカニズムを解明するにはさらなる研究が必要である。
  • AD関連疾患の管理のための、マイクロバイオームに基づいた標的療法を開発するには、縦断的なデザインと高度なオミックス技術を用いた将来的な研究が不可欠である。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40207973

[title]: Does pneumonia increase the risk of dementia and cognitive decline? A systematic review and meta-analysis.

肺炎と認知症・認知機能低下リスクの関連性に関する系統的レビューとメタ分析 【要約】

  • 本研究は、肺炎と認知症・認知機能低下のリスク増加との関連性を評価することを目的とした系統的レビューとメタ分析である。
  • 2024年2月29日までに発表された研究を、PubMed、EMBASE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Science、Scopus、ClinicalTrials.gov、WHO ICTRPデータベースから検索した。
  • 10件の研究が対象となり、プール分析の結果、肺炎と認知症リスクの増加との間に有意な関連性が認められた(ハザード比=1.738、95%信頼区間: 1.358~2.225)。研究間での異質性も大きかった(I² = 97.1%)。
  • サブグループ分析では、高齢者で関連性がより顕著であり、地域や研究デザインによっても若干の差異が見られた。細菌性肺炎と非特異的肺炎の間でリスクに有意差はなかった。
  • このメタ分析は、肺炎が認知症発症リスクの有意な増加と関連していることを示唆している。特に高齢者において、肺炎からの回復期における注意深いモニタリングと予防戦略が必要であることを示している。 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40549831