息切れは誰もが経験する呼吸の乱れですが、思いもよらぬ病気が潜んでいる可能性があります。少し動いただけで息が切れたり、安静時でも息苦しさを感じたりする場合、重大な疾患のサインである可能性があります。
この記事では息切れを引き起こす代表的な病気について、具体的な症状や治療法まで解説します。息切れの原因や受診の目安がわかり、不安を感じたときに適切な行動を取れるようになります。
息切れとは、呼吸時に不快感を覚えたり、呼吸に努力が必要と感じたりする状態のことです。短距離走などで全速力で走った後に起こる息切れは生理的なもので、心配はいりません。階段の上り下りや早足などの軽い運動で息切れが生じる場合は、何らかの疾患が関与している可能性があります。
軽い運動で息切れを感じるようになったり、同年代の人と比べて歩行スピードについていけなくなったと自覚したりする場合は、注意が必要です。
主な息切れの原因について、以下の3つを解説します。
心臓は全身に血液と酸素を送り出すポンプの役割を担っています。心臓に病気があると十分な血液を送り出せず、運動時など酸素の需要が高まった際に全身が酸素不足となり、息切れが起こります。この状態を心不全と呼び、原因となる疾患には狭心症・心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜症、不整脈などがあります。
症状が出る状況を再現しながら調べる検査については、以下のページで詳しくご案内しています。
狭心症・心筋梗塞は、心臓に血液を送る冠動脈の血流が低下することで、胸痛や息切れを生じる病気です。胸の締め付け感に加えて、冷や汗や吐き気を伴う場合は注意が必要で、早急な受診が重要です。
狭心症や心筋梗塞が疑われる場合、発作時だけでなく日常生活中の心電図変化を捉える検査が診断の手がかりになります。検査の目的や流れについては、以下のページで詳しくご案内しています。
心臓弁膜症は、心臓の弁の異常により血液の流れが妨げられたり逆流したりする病気です。健診で見つかることもありますが、息切れをきっかけに発見されるケースも少なくありません。
不整脈は、脈が速すぎたり遅すぎたりすることで心臓のポンプ機能が低下し、息切れや動悸を引き起こします。これらの症状がある場合は、医療機関への相談が勧められます。
肺をはじめとする呼吸器は、酸素を血液中に取り込み全身に届ける役割を担っており、異常があると十分な酸素を取り込めず息切れが生じます。息切れを引き起こす代表的な肺疾患は、以下のとおりです。
慢性閉塞性肺疾患では、肺機能低下により運動時の息切れが進行すると報告されています。運動療法や呼吸リハビリテーションは、症状軽減や生活の質改善に有効とされています。
肺塞栓症は急性期後も肺血流障害が残り、息切れや運動時の呼吸困難が続くこともあると報告されています。息切れは呼吸器の病気だけでなく、ほかの原因によって生じる場合もあります。以下の記事では、息苦しさを感じる原因や考えられる病気、対処の考え方について詳しく解説しています。
>>息苦しいと感じる原因とは?考えられる病気と対処法
その他にも、息切れの原因として以下の3つが考えられます。
甲状腺は、のどぼとけの下に位置する臓器で、新陳代謝を活発にする働きを持つ甲状腺ホルモンを生成します。甲状腺の腫大・頻脈・眼球突出の3つが代表的で、動悸や息切れなどを自覚しやすい病気です。
これらの原因のうち、特に甲状腺の異常が疑われる場合には、甲状腺の大きさやしこり、血流の状態を画像で確認する検査が有用です。甲状腺疾患の評価に用いられる検査については、以下のページで詳しく解説しています。
息切れの種類について、以下の3種類を解説します。
労作性息切れとは、運動や階段の上り下りなど、体を動かしたときに息切れがする状態です。平気な距離を歩いただけで息切れがしたり、少し動いただけで息が乱れたりする場合などです。健康な方でも、激しい運動をすれば息切れするのは当然です。
以前は問題なく行えていた活動で息切れする場合は、何らかの原因が潜んでいる可能性があります。
安静時息切れとは、じっとしていても息切れがする状態です。労作性息切れよりも深刻な病気が隠れている可能性があり、注意が必要です。椅子に座って休んでいるときや、夜寝ているときに息苦しさを感じて目が覚める場合は、安静時息切れの可能性があります。
放置すると重篤な疾患につながる可能性があるため、早期の受診が推奨されます。
急に息切れが起きる「発作性」の場合もあります。重症のぜんそく発作や、肺塞栓症などで起こりやすく、生命に関わる危険な状態となることもあります。肺塞栓症は、肺の血管に血栓が詰まることで起こり、突然の息切れや胸の痛みを伴います。エコノミークラス症候群も肺塞栓症の一種です。
長時間同じ姿勢でいることで足の静脈に血栓ができやすく、肺に流れて血管を詰まらせてしまいます。このようなケースでは、血栓の有無を早期に確認することが重要です。下肢の静脈や動脈に異常がないかを調べる検査については、以下のページで詳しくご案内しています。
息切れは症状の強さによって重症度が分けられ、日常生活への影響や必要な対応が異なります。息切れの程度を次の段階に分けて解説します。
軽度の場合は一時的な生理的反応であることもあり、日常生活への影響はありません。中等度以上では心臓や肺の病気が関係している可能性があります。重度の息切れがみられる場合は、生命に関わる危険性もあるため、速やかな医療対応が重要です。
息切れは単独で起こることもありますが、他の症状を伴う場合は、原因となる病気が隠れている可能性があります。以下の症状がみられる場合は注意が必要です。
症状が1つでもあれば、早めに医療機関を受診しましょう。胸の痛みや呼吸困難、意識障害などを伴う場合は、ためらわずに救急車を呼ぶことが重要です。
息切れは日常的に起こることもありますが、場合によっては重大な病気のサインである可能性もあります。ここでは、息切れで病院を受診すべきタイミングを解説します。
突然息切れが起こり、同時に胸が締め付けられるような痛みや圧迫感を感じる場合は、すぐに病院を受診してください。心筋梗塞や狭心症といった心臓の病気や、肺塞栓症などの危険な状態の可能性があります。
安静にしているときや夜中に突然息苦しくなったり、冷や汗や吐き気を伴ったりする場合は、緊急性が高いサインです。特に胸の痛みが腕や肩、あご、背中に広がるような感覚がある場合は、一刻も早く救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください。
早期発見・早期治療が命を救うことにつながるので、我慢せずに行動しましょう。
息切れが数日間続いたり、咳や痰が一緒に出たりする場合も、医療機関での診察を受けることをおすすめします。風邪や疲れが原因のこともありますが、肺炎や気管支ぜんそく、COPDなどの呼吸器の病気が隠れている場合があるからです。以下の症状がある場合は、肺に炎症が起きている可能性があります。
放置すると症状が悪化し、治療に時間がかかることもあるため、早めに医師に相談しましょう。
息切れと一緒に、足のむくみや動悸(心臓がドキドキする感じ)がある場合も、受診が必要です。心臓のポンプ機能が低下している心不全のサインである可能性があるためです。以下の症状がある場合は、注意が必要です。
心不全は進行すると日常生活に大きな支障をきたすため、早期発見と適切な治療が大切です。少しでも気になる症状があれば、遠慮せずに医師に相談しましょう。
息切れを感じた際には、症状を悪化させないためにも、落ち着いて対処することが重要です。日常生活で息切れを感じたときは、以下の方法を試してみてください。
対処法を試しても改善しない場合や、症状が悪化する場合は、医療機関を受診しましょう。安静時にも息切れが続く場合や、動悸、胸の痛み、発熱、咳、痰などの症状を伴う場合は、早急に医療機関を受診することが重要です。
息切れに対する検査方法と治療法について、詳しく解説します。
息切れの原因を調べるための検査は、患者さんの症状や既往歴、生活習慣などを踏まえながら、段階的に行われます。以下の検査を組み合わせて行い、息切れの原因を総合的に評価します。
以上の検査結果をもとに、必要に応じて専門的な検査や治療方針が検討されます。症状が続く場合や急に悪化した場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。
心エコー検査では、弁の動きや血液の流れ、心臓のポンプ機能まで詳細に評価でき、息切れや動悸の原因を見極める重要な手がかりとなります。検査の内容や流れについては、以下のページで詳しくご案内しています。
息切れの治療法は原因によって異なりますが、主に以下の3種類が挙げられます。
薬物療法としては、気管支拡張剤やステロイド薬、利尿剤や強心剤など、さまざまな薬剤が使用されます。ぜんそくには気管支拡張剤やステロイド吸入薬が、COPDには気管支拡張剤や吸入ステロイドが、心不全には利尿剤や強心剤などが用いられます。
呼吸リハビリテーションは、呼吸筋のトレーニングや呼吸法の改善などを通して、呼吸機能を高める治療法です。COPDの患者さんにとって、運動療法を含む肺リハビリテーションは、呼吸困難や疲労感を軽減し、生活の質を向上させるうえで重要です。
酸素療法は、血液中の酸素濃度を上げる治療法です。重度の呼吸不全の患者さんなどに用いられます。
治療にかかる費用と期間は、原因となる病気や治療法によって大きく異なります。健康保険が適用される場合がほとんどですが、自己負担額は3割負担の方で医療費全体の30%です。高額療養費制度を利用することで、自己負担額を抑えることも可能です。
治療内容や通院頻度によって費用や期間は変動するため、診察時に目安を確認しておくことが大切です。
息切れに関する代表的な質問について、以下の3つを解説します。
息切れと動悸は、どちらも胸や呼吸に関する不快な症状です。その内容には、以下の違いがあります。
運動をしたときに「ハァハァ」と息が上がるのが息切れで、同時に胸の中で心臓が強く打っているのを感じるのが動悸です。どちらも心臓や肺の病気のサインとして現れることがあるため、両方の症状が同時に起こる場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
息切れを予防するためには、心臓や肺の機能を健康に保つことが大切です。日常生活の中で、以下のポイントを意識しましょう。
これらの習慣を日常生活に取り入れることで、心肺機能の低下を防ぎ、息切れの予防につなげることができます。
息切れが起きたときは、まず落ち着いて、楽な姿勢をとることが大切です。座った状態で少し前かがみになり、テーブルや膝に手をつくと、呼吸が楽になることがあります。ゆっくりと深呼吸を繰り返し、鼻から息を吸って口からゆっくり吐くように意識しましょう。
階段を上って息が切れたときは、その場で立ち止まり、深呼吸を数回行うだけでも症状が和らぐことがあります。窓を開けて新鮮な空気を取り込むことも効果が期待できます。急に強い息切れや胸の痛みが起きた場合、安静にしても症状が改善しない場合は、救急車を呼ぶか、医療機関を受診してください。
自己判断で様子を見すぎると、重大な病気を見逃す危険があります。
息切れは誰にでも起こりうる症状ですが、原因はさまざまです。心臓疾患や肺疾患、貧血や甲状腺疾患など、息切れを引き起こす可能性のある病気と、それぞれの症状や検査方法、治療法について解説しました。
少し動いただけで息切れがする、安静時にも息苦しさを感じるなど、いつもと違う息切れが続く場合は軽視せず、医療機関を受診することが大切です。息切れの原因を理解し、適切な対応を取るための一助になれば幸いです。息切れや呼吸困難、呼吸の違和感を感じたら当院までご相談ください。
大石内科循環器科医院
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