嘔気(吐き気)とは、ムカムカして嘔吐したい気分のことで、「悪心(おしん)」とも表現します。
ただし、必ずしも嘔吐を伴うとはかぎりません。
嘔吐とは、胃の内容物が食道を経由して口腔内に逆流してくる現象です。(下図参照)
嘔吐に先駆けて生じる不快感を嘔気(吐き気)というが、原因によっては悪心を伴わずに嘔吐することもあります。
出典:悪心・嘔吐の解剖と生理 Vo7
嘔気(吐き気)・嘔吐の原因は、同時に起こったのか、あるいはいずれかのみの症状だったかによって、原因と考えられる病気が異なります。
嘔吐の種類として、主に3つに分類されます。
消化管や咽頭などからの刺激が嘔吐中枢にはたらきかけて起こる嘔吐。
原因
脳内にある嘔吐中枢が刺激を受けることによって起こる嘔吐。悪心を伴わないケースが多い。
原因
大脳皮質からの刺激が嘔吐中枢を刺激して起こる嘔吐。
原因
出典:UpToDate 悪心および嘔吐に伴う成人に対するアプローチ
上記のうち、赤字の疾患が緊急を要する疾患であり、早急に治療を行う必要があります。このように、悪心・嘔吐は様々な疾患が原因で起こっている可能性があります。
激しく嘔吐している時には、身体の水分が吐物として出てしまい脱水状態になりやすくなります。特に高齢者は元々脱水気味の方が多いため、気が付いた時には血圧低下などで命に関わる状態になる事もあります。水を飲ませてもすべて吐いてしまう場合は、点滴による水分補給が必要になるので、早めに受診してください。
このような場合には、ウイルスもしくは細菌感染症の疑いがあります。対処が遅れると集団感染を招く可能性もありますので、早めに受診してください。
高齢者の場合、吐き続けることで吐物が誤って肺に入ってしまい、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。激しい嘔吐ではなくても、嘔吐数日後に発熱が見られる場合には、肺炎を併発している可能性がありますので、一度受診してください。
他にも悪心・嘔吐は緊急処置が必要な急性腹症や脳出血・脳梗塞や心筋梗塞の主要な症状の場合もあり、注意が必要です。頭痛やめまい、胸痛、腹痛などの症状が伴う場合にも、なるべく早く受診してください。
まず、嘔気(吐き気)・嘔吐はいつ頃から現れたか、どれくらい続いているのか、症状は突然でたのか、何回吐いたかと吐物の量や内容物(色なども)、嘔吐の前に嘔気(吐き気)はあったかなどの問診を行い、原因を確認していきます。
嘔気(吐き気)・嘔吐と同時に他の症状(頭痛やめまい、胸痛、下痢、腹痛、発熱など)があったかどうかは、とても大切な所見です。該当項目があった際は、医師へ共有していただくようお願い致します。
問診を行いながら、以下図のように原因をアプローチしていきます。
出典:悪心・嘔吐 全国健康保険協会
これに加えて、手術歴などの既往歴や病歴、アルコール飲酒歴、常用薬の服用歴などのも診断ポイントになります。
お薬手帳がある方は、診察時に拝見させていただきますので、ご持参ください。
場合によっては、血液検査や尿検査、心電図検査、腹部X線検査などを行うことがあります。
嘔気(吐き気)・嘔吐に対しては制吐剤(吐き気止め)を使用し、一時的に症状を抑えつつ、原因となる病気を診断し、治療します。
原因となる病気が確定されれば、その治療が、悪心・嘔吐の治療ともなります。
見逃してはならない・早急に対応しなければならない緊急疾患(※)で、当院で治療ができない場合は、直ちに連携医療機関に搬送致します。
※見逃してはならない・早急に対応しなければならない緊急疾患:心疾患(心筋梗塞など)や、頭痛を伴う頭蓋内圧亢進症(脳出血など)、代謝性嘔吐(糖尿病性ケトアシドーシス、低血糖、尿毒症など)、 腹部緊急疾患など
胸痛や息苦しさ、ふらつき、激しい頭痛、腹痛や下痢が続く、多飲多尿などの症状がある場合はすぐに受診してください。
大石内科循環器科医院
420-0839
静岡市葵区鷹匠2-6-1
TEL:054-252-0585