大石内科循環器科医院

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糖尿病による頭痛の原因とは?血糖値との関係や改善法も解説

2025.07.02 糖尿病

糖尿病の頭痛に悩まされていませんか。血糖値の乱高下が頭痛と関係しています。血糖値の急上昇は血管に負担をかけ、脳への酸素供給を不安定にする可能性があります。低血糖でも脳のエネルギー不足から頭痛が生じる場合があります。

糖尿病における頭痛の頻度は高く、放置すると動脈硬化や脳卒中など深刻な合併症のリスクが高まります。この記事では、糖尿病による頭痛の原因や改善策、病院での治療法などを詳しく解説します。糖尿病と頭痛の関係を知り、快適な日常生活を目指しましょう。

大石内科循環器科医院では、糖尿病に関する検査と丁寧な診療を行っています。症状が気になる方はもちろん「ちょっと不安かも…」という段階でも、早めのチェックが何より大切です。地域のかかりつけ医として、あなたの健康を全力でサポートいたします。どうぞお気軽にご相談ください。

糖尿病で頭痛が起こる原因

糖尿病と頭痛の関係を正しく理解し、適切な対処をするために、以下の原因を解説します。

  • 血糖値スパイク
  • 高血糖による血流の悪化
  • 低血糖

血糖値スパイク

血糖値スパイクとは、食後などに血糖値が急上昇する現象です。糖尿病の方はインスリンの作用が不十分なため、血糖値が急激に上昇しやすく、頭痛につながる場合があります。急激な血糖値の上昇は、血管を傷つけ、炎症を引き起こす可能性があります。

血管が炎症を起こすと、周囲の神経が刺激され、頭痛として認識されることがあります。血糖値スパイクは自律神経のバランスを崩し、血管の収縮と拡張のバランスを不安定にし、頭痛につながりやすいです。血糖値スパイクは、自律神経に影響し、めまいや動悸、発汗などのさまざまな症状を引き起こす可能性があります

高血糖による血流の悪化

高血糖の状態が続くと、血管内皮細胞が損傷し、炎症を起こしやすくするため血流が悪化します。血管内皮細胞は、血管の内側を覆っている細胞で、血管の健康を維持する役割を担っています。細胞が損傷すると、血管が硬くなり、弾力性が低下します。

高血糖は赤血球の変形も引き起こすため、毛細血管などの細い血管を通りにくくなります。脳を含む全身の臓器への酸素供給が滞り、頭痛などのさまざまな合併症を引き起こす可能性があるため、適切な血糖コントロールが不可欠です

低血糖

糖尿病の治療で使用するインスリン製剤や経口血糖降下薬の使用により、血糖値が必要以上に低下する場合があります。低血糖になると、血糖値を正常に戻すためにアドレナリンを分泌しますが、血管を収縮させる作用があります。血管収縮が脳への血流を一時的に減少させ、頭痛を引き起こす可能性があります。

脳は、ブドウ糖をエネルギー源にしています。低血糖状態は、脳に供給されるブドウ糖が不足して脳の機能が低下するため、頭痛の原因の一つと考えられています。低血糖による頭痛は、吐き気やめまいを伴うこともあり、重症の場合は意識消失や痙攣発作を起こす可能性があります。低血糖の初期症状は、以下のとおりです。

  • 発汗
  • 動悸
  • ふるえ
  • 空腹感
  • 不安感

症状が現れた場合は、すぐにブドウ糖や砂糖などの糖分を摂取することが重要です。以下の記事では、低血糖の主な症状や緊急時に取るべき7つの対処法について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
>>【要注意】糖尿病の低血糖症状と緊急時の対処法7つ

自分でできる応急処置

糖尿病で頭痛が起きたとき、自宅でできる応急処置は以下のとおりです。

  • 水分を取る
  • 早歩きをする
  • 低血糖の場合は糖質を補給する

水分を取る

血糖値が高すぎると、体は水分を排尿することで、血糖値を下げようとします。利尿作用により脱水症状になりやすく、頭痛が起こる場合があります。水分をこまめに摂り、血液中のブドウ糖濃度を下げ、脱水症状の予防や改善に役立つ可能性があります

冷たい水や糖分の多いジュースではなく、常温の水やお茶をゆっくりと飲みます。一度に大量に飲むのではなく、少量ずつこまめに飲むのがポイントです。のどの渇きを感じる前に、水分補給の習慣をつけましょう。糖尿病の方は腎機能等を考慮し、かかりつけ医と相談して適切な水分摂取量を決めることが大切です。

糖尿病の方は、血糖コントロールのために適切な水分摂取を心がけましょう。

早歩きをする

軽い運動は、血糖値を下げるのに効果が期待できます。早歩きは、特別な道具や準備の必要がなく、手軽に行える運動です。5~10分程度の早歩きをすることで、筋肉がブドウ糖をエネルギーとして利用し、血糖値を下げる効果が期待できます。

激しい運動は、血糖値を上昇させる可能性があります。激しい運動は避け、息が少し上がる程度の早歩きを心がけ、体調に合わせて無理なく行いましょう。低血糖の危険がある場合は、運動前に血糖値を測定し、必要に応じて糖質を補給してから運動しましょう

低血糖の場合は糖質を補給する

低血糖は、血糖値が70mg/dL未満に低下した状態です。低血糖になると、脳に十分なエネルギーが供給されず、以下の症状が現れます。

  • 頭痛
  • めまい
  • ふらつき
  • 冷や汗
  • 動悸
  • 空腹感
  • 手の震え

糖質を摂取することで、血糖値を上昇させる効果が期待できます。ブドウ糖や砂糖が吸収されやすいため、角砂糖や飴玉、ジュースなどの摂取が効果的です。糖分の摂りすぎは、血糖値の急上昇につながるため、必要以上の摂取は避けましょう。

低血糖症状が続く場合や、意識がもうろうとする場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。重症化すると、痙攣や意識消失などの危険な状態に陥る可能性があります

糖尿病の頭痛を改善する方法

血糖値をコントロールすることで、頭痛の頻度や程度を軽減できる可能性があります。糖尿病の頭痛を改善するために、以下の方法を取り入れて、生活習慣を見直しましょう。

  • 低GI・高たんぱくな食事
  • 適度な運動
  • 十分な睡眠
  • ストレス管理

低GI・高たんぱくな食事

血糖値スパイクを防ぐには、低GI食品を摂り入れ、高たんぱくな食事を心がけることが大切です。GI値とは、食品が食後血糖値を上昇させるスピードを示す数値です。GI値の高い食品は、GI値の低い食品と比較して食後血糖値の上昇が早い傾向があります。

GI値が低い食材は、血糖値の上昇が緩やかなため、血管への負担を軽減し、頭痛の予防につながります。GI値が低い食材は、以下のとおりです。

  • 玄米
  • 全粒粉パン
  • そば
  • 野菜
  • 果物
  • 大豆製品

たんぱく質は、糖質に比べて消化吸収がゆっくりであるため、血糖値の急上昇を抑える効果が期待できます。GI値の低い食材や、たんぱく質を含む食品を、バランス良く食事に取り入れましょう。

適度な運動

適度な運動は、インスリン感受性を高め、血糖値のコントロールに役立つとされています。インスリン感受性とは、インスリンが体内で効果的に働く度合いをいいます。インスリン感受性が高いと、少ないインスリンで血糖値の乱高下を防ぎやすくします。

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、インスリン感受性を高めるのに効果的です。週に150分程度もしくは、1日20分程度の有酸素運動を目標に取り組んでみましょう。日常生活では、エレベーターではなく階段を使ったり、一駅分歩いたりするのも効果が期待できます。

十分な睡眠

睡眠不足は、自律神経が乱れたり、コルチゾールの分泌が増加したりして、血糖値を上昇させる要因につながります。睡眠不足は、体のさまざまな機能に悪影響を及ぼします。十分な睡眠をとることで、自律神経のバランスを整え、血糖値のコントロールを改善し、頭痛の予防につなげましょう。

質の良い睡眠を確保するためには、以下の習慣を意識します。

  • 毎日同じ時間に寝起きする
  • 寝る前にカフェインを摂らない
  • 寝室を暗く静かに保つ
  • 睡眠環境(室温など)を整える

就寝前にカフェインを摂取すると、交感神経が刺激され、寝つきが悪くなる場合があります。明るい寝室ではメラトニンの分泌が抑制され、睡眠の質が低下する可能性があります。

ストレス管理

ストレスは、血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促進し、頭痛の悪化につながる可能性があります。ストレスをうまく管理することは、糖尿病による頭痛の改善に重要です。ストレスを感じると、交感神経が活発になり、アドレナリンが分泌され血糖値を上昇させる作用があります。

ストレスを軽減するためには、自分に合った方法を見つけましょう。以下の方法を取り入れるのもおすすめです。

  • リラックスできる時間を作る
  • 趣味を楽しむ
  • 軽い運動をする
  • 十分な睡眠をとる

自分のストレスの原因を理解し、適切な対処法を見つけることで、心身ともに健康な状態を保てます。

病院で行う糖尿病の治療

糖尿病の治療は、食事療法と運動療法を基本に、血糖値のコントロールを目標に行います。病院で行う以下の薬物療法をご紹介します。

  • インスリン投与
  • GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬

インスリン投与

1型糖尿病の患者さんは、インスリンをほとんど、あるいは全く分泌できないため、インスリン注射が不可欠です。2型糖尿病の患者さんの場合は、食事療法と運動療法で治療を開始します。血糖コントロールが目標値に達しない場合に、インスリン注射を追加する場合があります。

インスリン製剤には、持続型と速効型があり、血糖値の状態や生活スタイルに合わせて使い分けます。持続型インスリンは、1日に1回または2回注射し、持続的に血糖値を下げる働きがあります。速効型インスリンは、食前に注射し、食後の血糖値の急上昇を抑える働きがあります。

インスリン製剤の中には、持続型と速効型を混合した製剤も存在し、患者さんの状態に合わせて最適なインスリン製剤が選択されます。インスリンポンプという治療選択肢もあるため、詳しくは医師にご相談ください。

GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬

GLP-1受容体作動薬は、インスリンの分泌を促進し、グルカゴンの分泌を抑制することで、食後の血糖値の上昇を抑える薬です。胃の内容物が腸へ移動する速度を遅くすることで、満腹感を持続させる効果もあり、食べすぎの予防につながります。GLP-1受容体作動薬には、注射薬と経口薬があり、患者さんの状況に合わせて選択されます。

GLP-1受容体作動薬は糖尿病治療薬として承認されており、血糖コントロールを通じて糖尿病の管理に用いられます。使用に際しては、医師の診断と処方が必要です。頭痛や疼痛性疾患への効果も期待されており、研究が進められています。

SGLT2阻害薬は血糖値を下げる薬剤です。使用に際しては、医師の診断と処方が必要です。薬剤は、単独もしくは、他の糖尿病治療薬と併用される場合もあります。薬物療法は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、最適な薬剤を選択し、適切な量を処方することが重要です。

病院を受診する目安

頭痛を放置すると悪化したり、他の病気を併発したりするリスクが高まります。医療機関の受診目安は以下のとおりです。

  • 頭痛が週2回以上起こる
  • 意識障害を伴う
  • 激しい吐き気がある

頭痛が週2回以上起こる

頭痛が週に2回以上起こる場合、速やかに医療機関を受診しましょう。血管がダメージを受け、動脈硬化のリスクが増加します。動脈硬化は、脳卒中などの重篤な疾患につながる可能性があるため、頭痛の頻度が高い場合は放置せず、医師に相談することが重要です。

糖尿病による頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛と似た症状があります。片頭痛は頭の片側がズキンズキンと痛むのが特徴で、吐き気や光、音などに過敏になる人もいます。緊張型頭痛は、頭全体が締め付けられる痛みです。糖尿病による頭痛は、同時に起こるケースがあるため、専門家の診断を受けることが重要です。

血糖コントロールの状態によっては、市販薬の使用が適さないケースもあります。腎機能が低下している場合は注意が必要で、自己判断で薬を服用せず、医師や薬剤師に相談しましょう。週2回以上の頭痛は、QOL(生活の質)維持のためにも、早期の診断と適切な治療が重要です

当院でも糖尿病の診療を行っており、お悩みの方のご相談を受け付けております。以下の記事では糖尿病の症状や合併症、インスリンや血糖値の関係などについて詳しく解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
>>糖尿病について

意識障害を伴う

意識障害を伴う頭痛は、緊急性の高い症状です。意識がもうろうとしたり、呼びかけへの反応が鈍かったりする場合は、直ちに救急車を呼ぶか、近くの医療機関に連絡してください。高血糖による意識障害は、命に関わる危険な状態に進行する可能性があります。

低血糖でも意識消失が起こる可能性があり、適切な処置を行わないと脳に損傷を与える危険性があります。意識障害は糖尿病以外にも、脳卒中や脳腫瘍、髄膜炎などさまざまな原因で起こり得ます。意識障害の原因を特定し、適切な治療を受けるためには、医療機関での検査と診断が必要です。

意識障害の程度はさまざまであるため、日頃から血糖値をチェックし、意識障害の兆候に注意を払うことが大切です。家族や周囲の人にも、意識障害の症状や対処法を理解してもらうと安心です。

激しい吐き気がある

激しい吐き気を伴う頭痛は、医療機関の受診が必要です。高血糖による吐き気は、脱水症状やケトアシドーシスなどの合併症が原因である可能性があります。低血糖でも吐き気を誘発する場合がありますが、糖分を摂取すると症状が改善される傾向があります。吐き気は、髄膜炎や脳腫瘍、緑内障など他の病気の可能性も考慮します。

頭痛と吐き気が同時に起こる場合は、疾患を鑑別するために医療機関を受診し、検査を受けることが推奨されます。高血糖時の頭痛に嘔吐が加わると、意識障害に陥る危険性が高まるため、注意が必要です。吐き気は、胃の内容物を吐き出す行為だけでなく、吐き気がする状態も含まれます。

糖尿病の方は、吐き気を伴う頭痛の頻度や、起こりやすい状況を記録しておくと、医師の診断に役立ちます。吐き気とともに他の症状(発熱や腹痛、視力障害など)がある場合は、必ず医師に伝えてください

以下の記事では、糖尿病による心血管系の合併症とその予防策について詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
>>糖尿病による合併症リスク|心臓と血管に与える影響と対策方法

まとめ

糖尿病による頭痛は、血糖値の乱高下が主な原因です。高血糖による血流悪化や、低血糖、血糖値スパイクなど、さまざまな経緯で頭痛を引き起こします。ご自身でできる対処法は、水分補給や軽い運動、低血糖時の糖質補給などがあります。日頃から以下の生活習慣を意識し、血糖コントロールの改善を目指しましょう。

  • 低GI・高たんぱくな食事
  • 適度な運動
  • 十分な睡眠
  • ストレス管理

頭痛が週2回以上続いたり、意識障害や激しい吐き気を伴ったりする場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。適切な治療と生活習慣の改善により、糖尿病による頭痛の軽減が期待でき、生活の質の向上を目指しましょう。

以下の記事では、血糖値を下げるために効果が期待できる生活習慣の改善ポイントを7つに分けて詳しく紹介していますので、実践の参考にしてください。
>>血糖値を下げる7つの効果が期待できる方法!生活習慣改善のポイント

参考文献

Wael Halloum, Yousef Al Dughem, Dagmar Beier, Lanfranco Pellesi.Glucagon-like peptide-1 (GLP-1) receptor agonists for headache and pain disorders: a systematic review.J Headache Pain,2024,25,1,p.112

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