大石内科循環器科医院

静岡市葵区鷹匠2-6-1 新静岡駅より 徒歩3分 駐車場あり

静岡市葵区鷹匠2-6-1
054-252-0585

blog
ブログ

血糖値スパイクの症状と健康リスク!知っておくべき対策法

2025.04.21 糖尿病

食後に強烈な眠気や集中力の低下、イライラを感じた場合、血糖値スパイクが起きている可能性があります。健康診断で空腹時の血糖値が正常でも、食後に血糖値が乱高下する血糖値スパイクは自覚症状なく起きることがあります。

血糖値の上昇は糖尿病のリスクを高め、動脈硬化や認知症を引き起こしやすいことが指摘されています。この記事では、血糖値スパイクの具体的な症状や健康リスク、対策について解説します。血糖値の乱高下から身を守り、健康的な毎日を目指しましょう。

大石内科循環器科医院では、糖尿病の検査も実施しています。症状が気になる方はもちろん「ちょっと不安かも…」という段階でも、早めのチェックが何より大切です。地域のかかりつけ医として、あなたの健康を全力でサポートいたします。お気軽にご相談ください。

血糖値スパイクの症状5つ

血糖値スパイクは、食後に血糖値が乱高下する現象です。自覚症状が現れにくく、隠れ糖尿病と呼ばれることがあります。血糖値スパイクによって引き起こされる症状を把握し、早期発見につなげましょう。主な症状や注意点を、以下に沿って解説します。

  • 食後の眠気・倦怠感
  • 集中力の低下・イライラ
  • めまい・頭痛
  • 動悸・冷や汗
  • 自覚症状がない場合もある

食後の眠気・倦怠感

血糖値スパイクでは、食後の眠気や倦怠感が現れることがあります。血糖値が急上昇すると、体は血糖値を下げようと過剰にインスリンを分泌します。通常、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが血糖値を適切な範囲に保ちます。過剰分泌により血糖値は急降下し、低血糖状態に陥ることがあります。

低血糖状態は、食後の強い眠気や倦怠感の原因となる可能性があります。空腹が続くと食後の血糖値上昇は顕著になり、症状が強く現れることがあります。糖質は、消化・吸収されるとブドウ糖に変換され、血液中に取り込まれ血糖値が上昇します。インスリンの分泌不足や、作用が不十分だった場合は、血糖値が急上昇し血糖値スパイクが起こる可能性が高まります

集中力の低下・イライラ

血糖値スパイクにより食後に集中力が途切れたり、些細なことでイライラしたりすることがあります。血糖値が乱高下すると脳へのエネルギー供給が不安定になり、脳が正常に機能するためのエネルギーが不足する可能性が高まります。

めまい・頭痛

血糖値の急激な変動は脳の血流に影響を及ぼし、めまいや頭痛などの不快な症状が現れることがあります。食後高血糖と関連する頭痛には、低血糖によるものと動脈硬化によるものがあるため、原因を特定することが重要です。食後にめまいや頭痛が頻繁に起こる場合は、医療機関を受診しましょう

特に低血糖による症状は、早期に気づき適切に対処することが重要です。以下の記事では、糖尿病に伴う低血糖のサインや緊急時の対応について、7つの具体的な対処法をわかりやすく解説しています。症状が出る前にぜひ一度ご確認ください。
>>【要注意】糖尿病の低血糖症状と緊急時の対処法7つ

動悸・冷や汗

食後に動悸が起きたり冷や汗をかいたりする場合、血糖値スパイクが起こっている可能性があります。血糖値が急降下すると、体は血糖値を正常に戻そうとアドレナリンなどのホルモンを分泌します。ホルモンの影響により、動悸や冷や汗、震えなど、過剰なストレス反応を示すことがあります。

動悸は一時的なものであっても、放置せず原因を明らかにすることが大切です。以下の記事では、動悸の症状や考えられる原因、受診の目安について詳しく解説していますので、不安な方はぜひチェックしてみてください。
>>動悸の症状について

自覚症状がない場合もある

血糖値スパイクは健康診断などで指摘されるまで、自覚症状がないことがあります。血糖値スパイクが起きると体の負担になるため、定期的な健康診断を受け、血糖値をチェックすることが大切です。食後に眠気や倦怠感などを感じ、血糖値スパイクの症状が疑われる場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

以下の記事では、糖尿病や血糖値スパイクの早期発見に役立つ健康診断のチェック項目や見逃しやすい数値について詳しく解説しています。ご自身やご家族の健康管理にぜひお役立てください。
>>糖尿病の健康診断で見るべき数値!早期発見のポイント

血糖値スパイクによる健康リスク

血糖値スパイクは食後の眠気やだるさだけでなく、知らないうちに進行しているケースもあります。血糖値スパイクによる健康リスクとして、以下の4つを解説します。

  • 動脈硬化のリスク増加
  • 糖尿病への進行
  • 認知症やがんのリスク増大
  • 自律神経の乱れ

動脈硬化のリスク増加

血糖値スパイクは血管の壁に影響を与え、動脈硬化を進める場合があります。血管は全身に酸素や栄養を運ぶ重要な役割を担います。血管が硬くなると血液の流れが悪くなり、さまざまな臓器に酸素や栄養が行き渡りにくくなります。血管も動脈硬化によって柔軟性を失い、血液の通り道を狭めることがあります。

食事で糖質を摂取すると、血糖値が一時的に上昇します。血糖値スパイクが起こるとインスリンが過剰に分泌され、血管の内壁に負担がかかり傷つきやすくなることがあります。高血糖の状態が続くと血管内皮細胞が糖化反応を起こし、血管の弾力性が失われる場合があります。動脈硬化が進むと血管が狭まる、詰まるなどの状態が生じ、以下の病気を引き起こす可能性が高まります。

  • 心筋梗塞:心臓の血管が詰まり心臓の筋肉が壊死する
  • 脳梗塞:脳の血管が詰まり脳の神経細胞が壊死する
  • 壊疽(えそ):組織が壊死し、重症の場合には足を切断することもある

糖尿病への進行

血糖値スパイクを繰り返すと、糖尿病へ進行するリスクが高まります。糖尿病の予備軍になり、本格的な糖尿病へと進行する可能性が高いため注意が必要です。健康な状態では、インスリンの分泌により血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。

血糖値スパイクが続くと、細胞がインスリンの働きに鈍感になってしまう「インスリン抵抗性」という状態が起こります。インスリン抵抗性は、インスリンが分泌されていても、細胞がブドウ糖をうまく取り込めない状態のことです。インスリン抵抗性が起こると、血糖値を下げるためにさらに多くのインスリンが必要になります。

膵臓がインスリンを分泌する能力を超えてしまうと、血糖値が高い状態が続いてしまい、糖尿病になる可能性が高まります。糖尿病は神経や血管にダメージを与え、さまざまな合併症を引き起こします。生活の質を著しく低下させ、以下の合併症が起きる可能性があります。

  • 網膜症(失明)
  • 腎症(人工透析)
  • 神経障害(手足のしびれ)

こうしたリスクを防ぐためには、早めの対策と継続的な生活習慣の見直しが欠かせません。以下の記事では、血糖値を下げるために効果が期待できる7つの生活習慣改善法を紹介していますので、糖尿病予防の参考にぜひご覧ください。
>>血糖値を下げる7つの効果が期待できる方法!生活習慣改善のポイント

認知症やがんのリスク増大

血糖値スパイクは体内で活性酸素を増やし、細胞を傷つける可能性があります。活性酸素は老化やさまざまな病気の原因となる物質です。血糖値スパイクによって増加した活性酸素が脳の細胞を傷つけると、認知症のリスクが高まる場合があります。

認知症は、物忘れがひどくなったり判断力が低下したりする病気で、日常生活に大きな支障をきたします。活性酸素は細胞の遺伝子に影響を与え、がん細胞の発生や増殖に関連している可能性があります。がんは細胞が制御を失って増殖する病気で、命に関わることもあります。

こうした深刻な病気を未然に防ぐためには、日々の生活習慣の見直しが欠かせません。以下の記事では、認知症を予防するためにできる具体的な習慣や考え方についてわかりやすく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
>>認知症予防のためにできること

自律神経の乱れ

血糖値スパイクは、自律神経のバランスに影響を与える可能性があります。自律神経は呼吸や消化、体温調節など、生命維持に欠かせない機能をコントロールしています。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、バランスを取りながら働いています。

血糖値が乱高下すると自律神経が過剰に反応し、交感神経と副交感神経のバランスが崩れることがあります。さまざまな不調により日常生活の支障やQOL(生活の質)低下につながり、以下の症状が現れることがあります。

  • めまい
  • 動悸
  • 冷や汗
  • 便秘や下痢

他にも、イライラしやすくなったり不安感が強くなったりする場合もあります。

血糖値スパイクの対策と予防法

毎日の生活習慣を見直すことで血糖値スパイクを防ぎ、健康な体を維持することが大切です。実践しやすい方法は以下のとおりです。

  • 食後の軽い運動(ウォーキングなど)
  • 規則正しい生活習慣
  • バランスの良い食事(野菜から食べる)
  • ストレス管理
  • 専門家への相談

食後の軽い運動(ウォーキングなど)

食後の軽い運動は血糖値スパイクを緩和する効果が期待できます。運動によって血液中に糖が急激に流れ込むのを防ぎ、血糖値の急上昇を抑えます。食後30分〜1時間後くらいに、10〜15分程度の運動がおすすめです。以下の運動や日常生活での動きは、体を動かす良い機会になります。

  • ウォーキング
  • 軽いジョギング
  • サイクリング
  • 階段の上り下り
  • 家事
  • 庭仕事

激しい運動はかえって体に負担をかけてしまうため、軽めの運動を心がけてください。食後すぐに激しい運動をすると、消化器官への負担が大きくなる可能性があるので避けましょう。

運動中にめまいやふらつきを感じたらすぐに中止し、休憩を取ってください。糖尿病の治療を受けている方は、主治医に相談してから運動を始めましょう。食後の運動は、血糖値の急上昇を抑える効果的な方法であることが示唆されています。食後に太陽光を15分浴びると、血糖値の上昇が約27.7%減少する効果も報告されています。

規則正しい生活習慣

血糖値をコントロールするには、規則正しい生活習慣を心がけることが重要です。毎日同じ時間に食事や寝起きをすることで体内時計が整い、血糖値の変動を緩和させることが期待できます。睡眠不足は血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促すため、質の良い睡眠を取ることが重要です。睡眠の質を高める工夫として、以下の方法がおすすめです。

  • 毎日7時間程度の睡眠時間を確保する
  • 寝る前にカフェインを摂らない
  • リラックスする時間を作る

バランスの良い食事(野菜から食べる)

野菜や肉、魚、ご飯、パンなど、いろいろな種類の食品をバランスよく食べることで、健康維持が期待できます。食物繊維を多く含む野菜は、血糖値の上昇を緩やかにする効果が期待できるので、積極的に摂り入れましょう。糖質の吸収を遅らせる働きがあるため、血糖値の急上昇を防ぐことが期待できます。

食事を摂る際、野菜から食べることを意識するのも効果的です。食物繊維が豊富な野菜を食べることで、後から食べる炭水化物の吸収を穏やかにし、血糖値スパイクの防止が期待できます。よく噛んで食べることも、血糖値の急上昇を抑えるために大切です。消化吸収がゆっくりになり、血糖値の急激な上昇を防ぐことが期待できます。

ストレス管理

ストレスは血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促すため、心身のリラックスを意識した生活を送りましょう。ストレスを感じると交感神経が優位になり、アドレナリンやコルチゾールなどのホルモンが分泌されます。肝臓に蓄えられたグリコーゲンをブドウ糖に変え、血液中に放出させるホルモンの働きによって血糖値が上昇します。

趣味やリラックスできる活動を見つけ、ストレスを上手に発散しましょう。軽い運動や十分な睡眠も、ストレス軽減の効果が期待できます。友人や家族と過ごす時間を持つ、自然の中で過ごすなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが重要です。

専門医への相談

血糖値スパイクが気になる場合や、生活習慣の改善だけでは血糖値コントロールが難しい場合は、専門医に相談しましょう。それぞれの体調や生活スタイルに合わせて、アドバイスと治療法の提案を受けることが期待できます。自己判断でサプリメントや市販薬を服用する前に、医師に相談することをおすすめします。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

まとめ

血糖値スパイクにより血糖値が乱高下すると、自覚症状がなくても健康に影響を与えることがあります。動脈硬化や糖尿病、認知症、がんのリスクを高める可能性もあります。食後に以下の症状を感じている方は、血糖値スパイクが起きている可能性があるため注意しましょう。

  • 眠気
  • 倦怠感
  • 集中力の低下
  • めまい

生活習慣を見直すことで、血糖値スパイクの予防効果が期待できます。食後の軽い運動やバランスの良い食事を心がけ、野菜から先に食べる習慣をつけましょう。規則正しい生活とストレス管理も大切です。早期発見や早期対応を心がけ、血糖値スパイクの症状から健康を守りましょう。

血糖値スパイクを放置すると、糖尿病の進行だけでなく、心臓や血管への深刻な影響を及ぼす可能性もあります。以下の記事では、糖尿病による合併症のリスクや、心臓・血管を守るための具体的な対策方法について解説していますので、予防の参考にご覧ください。
>>糖尿病による合併症リスク|心臓と血管に与える影響と対策方法

参考文献

Powner MB, Jeffery G. Light stimulation of mitochondria reduces blood glucose levels. Journal of Biophotonics, 2024, 17, 5, e202300521.

大石内科循環器科医院
420-0839
静岡市葵区鷹匠2-6-1
TEL:054-252-0585

Google Maps