「胸がドキドキする」「時々、脈が飛ぶような感じがする」などの症状を「疲れているだけかな」と見過ごしてはいませんか。体からの症状のサインは、命に関わる不整脈が隠れている可能性があります。
受診先や検査内容がわからず不安になることもありますが、診療科選びが適切でない場合、診断までに時間がかかる可能性があります。この記事では、症状に合わせた適切な診療科の選び方から、具体的な検査、治療の流れまでを解説します。ご自身の症状と見比べながら、病院受診を考える一つの目安にしてください。
静岡市の大石内科循環器科医院では、循環器専門医が心電図などの検査を行い、不整脈の種類や重症度を丁寧に確認します。 不整脈は放置すると脳梗塞や心不全につながることもあるため、早期発見と適切な治療が大切です。安心して受診できる体制を整えていますので、気になる脈の異常はぜひご相談ください。
受診を考えるべき不整脈の症状は、以下のとおりです。
急に目の前が暗くなったり、気を失ってバタッと倒れてしまったりする場合は、不整脈の中でも危険度が高いサインです。倒れるまでいかなくても「意識が遠のく」感覚も、決して見過ごしてはいけません。心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役目をしています。
失神や意識が遠のく症状は、不整脈によって心臓のポンプがうまく動かなくなり、脳に届く血液が一時的に不足して起こります。脈が異常に速くなる頻脈(ひんみゃく)や、逆に極端に遅くなる徐脈(じょみゃく)が原因のことが多いです。ときには、心臓が数秒間止まってしまうことで起こる場合もあります。
失神は、命に関わる重い不整脈(心室頻拍や心室細動など)が隠れているサインの可能性があります。意識を失って転んでしまい、頭を強く打つなど、大きなけがにつながる危険も高いです。一度でも失神したり、意識が遠のく感覚を経験したりした場合は、すぐに循環器内科を受診してください。
不整脈によって心臓のポンプ機能がきちんと働かないと、全身に十分な血液を送ることができず、体は酸素不足の状態になります。酸素不足を補おうとして、心臓が余計に頑張ったり、呼吸が速くなったりすることで、動悸や息切れが起こります。動悸の症状は、以下のとおりです。
息切れの症状は、以下のとおりです。
不整脈は、ストレスや寝不足以外が原因である場合もあります。一部の研究では、大気汚染と不整脈の関連が示唆されています。空気中の微細な粒子状物質(PM)が不整脈リスクに影響を与える可能性について研究が進められています。
以下の記事では、症状別の動悸への対処法や、予防のための日常生活のポイントを解説しています。
>>動悸の対処法を症状別に解説!自宅でできる応急処置と普段から気をつけたいポイント
胸の痛みや、胸のあたりが気持ち悪い感じがする場合も、体からの重要なサインです。不整脈が原因で起こることもあれば、心筋梗塞など、さらに急いで治療が必要な病気が隠れていることもあります。はっきりとした痛みだけでなく、以下の違和感を覚えることも多いです。
不整脈によって心臓に負担がかかり、心臓に痛みを感じることがあります。心臓に栄養を送る血管(冠動脈)が細くなる「狭心症」や、血管が詰まる「心筋梗塞」と不整脈が一緒に起こることもあります。以下の症状が1つでも当てはまる場合は、命に関わる危険があります。
我慢したり、様子を見たりせず、すぐに救急車を呼んでください。軽い痛みや不快感が時々ある場合でも、循環器内科で心臓の状態を詳しく調べてもらうことが大切です。
以下の記事では、胸の痛みを部位ごとに分けて、原因や関連する病気の可能性について解説しています。
>>胸が痛い!痛む場所(左・右・真ん中)による原因や病気の可能性を解説
「立ちくらみ」や「めまい」も、不整脈が原因で起こることがあります。めまいには、以下のタイプがあります。
立ちくらみやめまいの原因は、失神と同じように、不整脈によって脳へ送られる血液の流れが一時的に不安定になることです。脈がゆっくりになる「徐脈」という不整脈では、脳への血流が減りやすいため、めまいや立ちくらみが起こりやすくなります。
めまいは耳の病気や貧血などの原因で起こることもありますが、不整脈の可能性も頭に入れておくことが重要です。以下の場合は、不整脈が隠れている可能性を考えて、循環器内科を受診しましょう。
まずは心臓の検査を受けて、重大な病気が隠れていないかを確認することが大切です。
不整脈の受診先や診察科の選び方は、以下のとおりです。
不整脈を疑う症状がある場合、最初に訪ねてほしいのが「循環器内科」です。循環器内科は、心臓や血管の病気を専門的に診る診療科です。動悸や息切れ、胸の違和感といった症状の原因を突き止めるための専門家がいます。循環器内科を受診すると、不整脈の原因を調べるための専門的な検査が受けられます。
検査を組み合わせることで、不整脈の種類や原因を正確に診断し、一人ひとりに合った治療計画を立てることができます。健康診断で「心電図に異常がある」と指摘された場合も、循環器内科を受診しましょう。
以下の記事では、不整脈の原因や起こりやすい人の特徴、代表的な症状や治療法について詳しく解説しています。
>>不整脈の原因とは?なりやすい人の特徴や症状、治療法まで解説
かかりつけ医や、近所の一般内科にまず相談するのも良い方法です。かかりつけ医は、患者さんの普段の健康状態や生活スタイルをよく知っています。患者さんの症状を、体全体の状態と合わせて総合的に判断してくれるという強みがあります。
診察の結果、心臓の専門的な検査や治療が必要だと判断された場合は、最適な循環器内科を紹介してくれます。紹介の際に書いてもらう「紹介状」は、専門医への大切な引き継ぎ書になります。紹介状があれば、症状の経過や検査結果が専門医にスムーズに伝わり、専門病院での診察がより円滑に進むメリットがあります。
以下の場合は、まず「かかりつけ医」へ行くことをおすすめします。
身近な医師に相談して、次のステップを一緒に考えてもらうのも安心な方法です。
不整脈の症状の中には、命の危険が迫っていることを知らせる緊急サインがあります。以下の症状が1つでも当てはまる場合は、我慢したり様子を見たりせず、救急搬送を検討してください。
意識消失や激しい胸痛の症状は、心筋梗塞や、心臓が停止する危険のある重い不整脈のサインの可能性があります。すぐに救急車を呼ぶか、救急外来を受診してください。ご家族や周りの方が同じ状態になったときも、すぐに救急車を呼ぶことが命を救う行動につながります。
不整脈の症状は、心臓以外の体の不調や心のストレスが原因で、動悸などとして現れることもあります。以下の原因の場合、他の診療科と協力して治療を進めていく必要があります。
まず循環器内科で心臓に重大な病気が隠れていないかを確認することが大切です。他の原因が考えられる場合は、医師が適切な診療科を紹介してくれます。
不整脈の検査について、以下の3つを解説します。
医師は、患者さんが感じていること、困っていることを聞き取り、病気の種類や、どの検査が必要かを判断します。正確な診断のため、できるだけ詳しくご自身の状態を伝えましょう。緊張してうまく話せるか心配な場合は、事前のメモや、ご家族に代わりに話してもらうのもおすすめです。
医師に伝えてほしいことを、以下にまとめました。
最近では、スマートウォッチなどで心電図を記録できるものもあります。症状があったときの記録があれば、診断の有力な手がかりになります。
問診の次に行われるのが、心臓の状態を客観的に調べるための基本的な検査です。検査は、不整脈の診断に欠かせないもので、痛みもなく短時間で終わります。検査には、以下の種類があります。
心電図検査は、心臓が動くときに出る、電気信号を波形として記録し、測定は、ベッドに横になり、胸や手足に電極を貼って行います。心電図検査では、脈のリズムや回数、心臓の筋肉への負担を直接確認できる、不整脈診断の基本の検査です。
心エコー検査は、超音波で心臓の動きをリアルタイムで観察する検査で、胸にゼリーを塗り、超音波を出す機械をあてて調べます。心臓の大きさや形、壁の厚さ、ポンプ機能が正常かを動画で確認します。不整脈の原因となる心臓の病気の有無を調べます。
胸部レントゲン検査は、X線で胸全体の写真を撮ります。撮影は短時間で終わります。心臓の大きさや形、心拡大、肺に水が溜まっていないかなどを確認します。血液検査は、腕から少量の血液を採って調べます。血液検査では、貧血や甲状腺ホルモン異常など、不整脈の原因がないかを確認します。
心臓に負担がかかったときに高くなる「BNP」という数値も、血液検査で測定できます。複数の検査結果を組み合わせることで、不整脈の原因が徐々に明らかになります。
短い時間の検査では見つけられない不整脈を調べるために、より詳しい精密検査を行います。検査には、以下の2つがあります。
ホルター心電図検査の特徴は、以下のとおりです。
ホルター心電図検査で機械をつけている間は、仕事や家事など、いつも通りの生活を送ってください。動悸などの症状が出た時間や、行動内容をメモしておくと、診断の参考になります。
運動負荷心電図検査の特徴は、以下のとおりです。
運動負荷心電図検査では、心臓に運動の負荷をかけて心電図変化を確認します。上記の検査でも診断が難しい場合や、より専門的な治療が必要と判断された場合には、より高度な医療機関へ紹介されることもあります。
不整脈の主な治療法は、以下の3つです。
薬物療法は、不整脈治療の基本です。薬物療法では、心臓の電気的な活動に働きかけることで、症状の改善や病状の安定化を図ります。不整脈で使われる薬には、主に2つの役割があります。
不整脈の薬は、速すぎる脈(頻脈)を落ち着かせたり、バラバラな脈のリズム(心房細動など)を正常に近づけたりします。「心房細動」という不整脈では、心臓の中で血液がよどみ、血栓ができやすくなります。血栓が血流に乗って脳の血管に飛んでいくと、血管を詰まらせて「脳梗塞」を引き起こします。
血液を固まりにくくする抗凝固薬の服用により、血栓塞栓症のリスク軽減が期待できます。患者さんの状態に合わせて、以下の薬が使われます。
重要なのは、医師の指示通りに毎日きちんと飲み続けることです。自己判断で薬をやめたり量を変更したりすると、症状の再発や、脳梗塞のリスクが高まる危険があります。気になることがあれば、主治医に相談してください。
カテーテルアブレーションは、異常な電気回路を高周波で焼いたり、凍らせたりする治療です。薬を飲み続けても症状が良くならない場合や、薬の副作用が心配な方、薬をやめたい方などに提案されます。治療の流れは以下のとおりです。
カテーテルアブレーションにより、不整脈の改善や根治の可能性があります。治療後は、薬を減らせる可能性もあります。治療のためには、数日間の入院が必要です。まれに、出血や心臓へのダメージなどの合併症が起こるリスクがあります。
カテーテルアブレーションは「発作性上室性頻拍」や「心房細動」などの不整脈に効果が期待できます。「高額療養費制度」などの公的な助成制度の利用によって、自己負担額を抑えることが可能です。
ペースメーカーは、脈が極端に遅くなる「徐脈性不整脈」というタイプの不整脈に対する治療法です。ペースメーカーは、小さな金属製の本体と、心臓に電気信号を伝える細い電線(リード)でできています。ペースメーカーの本体には電池とコンピューターが入っており、心臓の脈を監視しています。
脈拍が一定数を下回ると、本体から電気信号を送り、心臓のリズムをサポートします。ペースメーカーの手術は局所麻酔で行い、鎖骨の下あたりの皮膚の下に本体を植え込みます。ペースメーカーを入れた後も日常生活への影響は少なく、以前までに近い生活を送れる方が多いです。入浴や旅行、趣味のスポーツなども可能です。
ただし、以下の点には注意が必要です。
不整脈の症状は人それぞれですが、気になるサインを見逃さないことが大切です。まずは心臓の専門家である「循環器内科」に相談することが基本です。もし意識が遠のく、経験したことのない激しい胸の痛みなどの症状を感じた場合は、ためらわずに救急車を呼んでください。
適切な検査や治療を受けることで、症状の改善や将来のリスク軽減に向けた取り組みが期待されます。「このくらい大丈夫」と一人で抱え込まず、専門医に相談することが大切です。
当院では循環器専門医が丁寧にお話を伺い、必要に応じた検査や治療で早期発見をサポートします。
Kiattichat Tassanaviroj, Pimchanok Plodpai, Pakpoom Wongyikul, Krittai Tanasombatkul, Krekwit Shinlapawittayatorn, Phichayut Phinyo.Effect modification of diabetic status on the association between exposure to particulate matter and cardiac arrhythmias in a general population: A systematic review and meta-analysis.PLoS One,2024,19,5,p.e0301766
大石内科循環器科医院
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