胸がドキドキしたり、脈が飛んだりする経験はありませんか?動悸などの症状は「不整脈」の可能性があります。不整脈は放置すると脳梗塞や突然死につながるリスクが高まります。心疾患だけでなく、ストレスや睡眠不足などの生活習慣も原因になる場合があります。
この記事では、不整脈のタイプの症状や危険なサインの見分け方、原因から治療法までを解説します。ご自身の症状と照らし合わせ、漠然とした不安を解消しましょう。
静岡市の大石内科循環器科医院では、循環器専門医が心電図などの検査を行い、不整脈の種類や重症度を丁寧に確認します。 不整脈は放置すると脳梗塞や心不全につながることもあるため、早期発見と適切な治療が大切です。安心して受診できる体制を整えていますので、気になる脈の異常はぜひご相談ください。
不整脈の3つのタイプは、以下のとおりです。
頻脈(ひんみゃく)は、心臓の拍動が通常より速くなる状態です。頻脈では、脈拍が1分間に100回を超えるのが特徴で、主な症状として以下が挙げられます。
頻脈の主な種類は、以下の2つです。
頻脈は、症状を感じないまま経過することもあります。研究では、心電図のさまざまな変化が心房細動の発生の予測に役立つと報告されています。症状がなくても、健康診断などで心電図検査を定期的に受け、早期発見につなげることが重要です。
徐脈(じょみゃく)は、頻脈とは逆に心臓の拍動が遅くなる状態です。脈拍が1分間に50回未満になるのが特徴で、主な症状は以下のとおりです。
症状が軽ければ様子を見ることもありますが、失神を繰り返す場合は注意が必要です。生活への支障や、命の危険がある場合は、心臓の働きを助ける「ペースメーカー」などの機械を植え込む治療を検討します。
期外収縮(きがいしゅうしゅく)は、突発的に心臓が収縮する状態です。健康な人でも起こる不整脈で、主な症状は以下のとおりです。
期外収縮では、症状を全く感じないこともあります。心臓に他の病気がなければ、期外収縮は心配いらないことが多く、治療も必要ありません。ただし、以下の場合は詳しく調べることを推奨します。
気になる症状があれば、放置せずに医師に相談してください。
不整脈は循環器内科をはじめ複数の診療科が関わる可能性があるため、症状に応じた適切な選択が重要となります。以下の記事では、不整脈で受診すべき診療科や診察の流れについて詳しく解説しています。
>>不整脈は何科を受診すべき?症状別の病院選びと診察の流れを解説
不整脈を引き起こす主な原因は、以下のとおりです。
不整脈の背景に、心疾患が隠れていることがあります。心臓は電気信号で動くポンプですが、病気によって心臓の筋肉や電気の通り道が傷つくと、リズムが乱れやすくなります。不整脈の原因となりやすい心疾患は、以下のとおりです。
不整脈の予防のためにも、根本にある心疾患を治療することが大切です。
不整脈は、以下の持病が原因で起こることもあります。
心臓以外の病気でも、間接的に心臓の働きに負担をかけ、不整脈を引き起こします。持病をお持ちの方は、不整脈のリスクが高まることも認識しておきましょう。
普段の生活習慣が、不整脈の引き金になることがあります。心臓の動きは、体のアクセル役「交感神経」とブレーキ役「副交感神経」からなる「自律神経」が調整しています。以下の生活習慣が原因で、自律神経のバランスを乱し、不整脈を誘発する場合があります。
生活習慣が原因の場合、ご自身の心がけで改善できる可能性があります。できるところから、意識して直していきましょう。
特別な病気や生活習慣に心当たりがなくても、加齢や遺伝、体質で不整脈が起こることがあります。年齢を重ねると、体の他の部分と同じように心臓も少しずつ変化します。電気信号を作る機能が衰えたり、電気を通す道が硬くなったりして、不整脈が起こりやすくなります。
不整脈には生まれつきの遺伝子が関わるものもあります。ブルガダ症候群やQT延長症候群などが代表例で、突然死につながることもあるため注意が必要です。血縁のあるご家族に若くして突然倒れた方がいる場合は、専門医に相談することを推奨します。
普段飲んでいる薬が、不整脈の原因になる可能性もあります。不整脈を引き起こす可能性のある薬は、以下のとおりです。
新しい薬を飲み始めてから動悸が気になり始めた場合、医師や薬剤師に相談しましょう。複数の病院にかかっている方は「お薬手帳」を活用しましょう。飲んでいるすべての薬を医師に伝えることが、副作用を防ぐために大切です。
以下の記事では、動悸で病院に行くべきタイミングや受診の流れを詳しく解説しています。
>>動悸で病院に行くタイミングはいつ?受診の目安や検査、治療の流れ
肥満体型の方は、不整脈になりやすい傾向があります。肥満は高血圧や糖尿病の原因となるだけでなく、肥満そのものが不整脈のリスク因子です。肥満になると、心臓は全身により多くの血液を送ろうとするため、常に余分な負担がかかります。
負担が続くことで心臓の筋肉や電気信号の流れに変化が起き、不整脈が起こりやすくなります。研究によると、体重を10%減らすと不整脈になる確率が低くなる可能性があると報告されています。不整脈の予防のためには、不整脈の原因と対策を把握し、バランスの良い食事や適度な運動、禁煙・節酒を心がけましょう。
不整脈の注意すべき症状は、以下のとおりです。
不整脈が起こると、心臓のポンプ機能が乱れることがあります。全身に血液を送り出せず、体に以下の不整脈の初期サインが現れます。
いつもと違う症状があれば、一度ご自身で脈を測ってみましょう。
不整脈の症状の中には、命に関わる危険なサインもあります。以下の5つのサインを解説します。
ご自身や周りの人に危険なサインが見られたら、一刻を争う事態です。命に関わるので、周りの人に助けを求め、すぐに救急車を呼びましょう。
特に胸の痛みは、不整脈に限らず心臓疾患や肺・消化器などさまざまな病気が関与している可能性があります。痛みの部位によって原因が異なる場合もあるため、正しい判断の参考となる知識を持つことが重要です。以下の記事では、胸の痛む場所ごとに考えられる原因や関連する病気について解説しています。
>>胸が痛い!痛む場所(左・右・真ん中)による原因や病気の可能性を解説
不整脈には、自覚症状がほとんどないタイプ(無症候性不整脈)があります。特に注意が必要なのが心房細動です。2023年の研究では、心房細動は症状がないまま経過することが多く、知らないうちに脳梗塞のリスクを高めている可能性が指摘されています。早期の発見には、定期的な健康診断などで行われる心電図検査が重要です。
心電図は、現在の心臓の状態を調べるだけでなく、将来のリスク予測にも役立ちます。健康診断で「心電図の異常」や「不整脈の疑い」を指摘されたら、循環器内科を受診し、詳しい検査を受けましょう。
不整脈の治療法について、以下の内容を解説します。
薬を使った治療は、不整脈治療の選択肢の一つです。薬には脈の乱れを整える薬(抗不整脈薬)と脳梗塞などを予防する薬(抗凝固薬)があります。
薬物療法で大切なのは、医師の指示通りに飲み続けることです。自己判断で量を調整したり中断したりすると、症状の悪化や脳梗塞のリスクを高める可能性があります。気になることや副作用があれば、医師に相談しましょう。
薬による対症療法だけでなく、不整脈の根本的な原因を取り除くことを目的とした治療法に「カテーテルアブレーション」があります。この治療では、細い管(カテーテル)を血管から心臓に挿入します。不整脈の原因となる異常な電気信号の発生源や伝導路を特定し、熱(高周波)や冷凍で処置することで、根治を目指します。
心房細動や発作性上室性頻拍など、脈が速くなるタイプの不整脈(頻脈性不整脈)に対して効果が期待されており、再発を抑える目的でも用いられます。ただし、すべての不整脈に適応できるわけではなく、治療に伴う合併症のリスクもあるため、実施の可否は個々の症状や体調によって判断されます。
ご自身の不整脈が対象となるかどうかは、循環器内科での相談をおすすめします。
薬やカテーテル治療では対応が難しい不整脈に対しては、ペースメーカーや植込み型除細動器(ICD)の挿入が検討されます。ペースメーカーは脈が遅くなったときだけ、電気刺激を送って心臓を動かし、正常な脈拍を保つ役割を果たします。ICDは危険な不整脈の発生を感知し、電気ショックを与えて心臓のリズムを正常に戻す働きをします。
通常、医療機器は胸の皮膚の下に植え込まれます。日常生活に大きな制限はありませんが、磁気の強い機器など、注意が必要なものもあります。医師の説明を聞き、理解することが重要です。
不整脈を根本から改善するためには、不整脈そのものだけでなく、その原因となる病気の治療が欠かせません。背景にある疾患を放置すれば、不整脈の薬や処置だけでは十分な効果が得られない場合があります。
狭心症や心筋梗塞が原因なら、血流を改善する治療を行うことで不整脈も軽くなることがあります。高血圧や糖尿病、甲状腺疾患、睡眠時無呼吸症候群などの生活習慣病や全身の病気も、適切にコントロールすることで不整脈の頻度や強さの軽減につながる可能性があります。
不整脈の治療は「不整脈そのもの」と「原因疾患」の両方に取り組むのが基本です。症状が気になるときは、不整脈だけに注目するのではなく、その背景にある病気を治療する視点が重要です。
不整脈は脳梗塞などの命に関わる病気につながる可能性があります。原因は心疾患だけでなく、日々のストレスや生活習慣が関係していることもあります。
動悸やめまいなど「いつもと違うな」と感じるサインがあれば、放置せずに専門医に相談することが大切です。健康診断などで異常を指摘された場合は循環器内科を受診しましょう。
大石内科循環器科医院
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