寝ている間に突然、足に激痛を感じることはありませんか?寝ている間の激痛は、痛風発作のサインの可能性があります。激しい痛みは数日で自然に治まることもありますが、自己判断で治ったと安心するのは危険です。原因を放置すれば発作を繰り返し、腎臓や心臓の病気などのリスクが高まります。
この記事では、発作の前に現れる前兆や初期症状、似た病気との見分け方まで、医師が詳しく解説します。ご自身の身体のサインと照らし合わせ、早期発見と正しい対処に役立てましょう。
大石内科循環器科医院では、痛風や高尿酸血症を含む生活習慣病の診療を行っています。以下の記事では、痛風の発症メカニズムや治療の流れについても詳しく解説しています。高尿酸血症との関係を深く理解したい方は、ぜひご確認ください。
>>痛風について
痛風は、発作の前に軽い違和感やピリピリとした痛みが現れることが多いのが特徴です。やがてその違和感が急激な痛みや腫れに変わり、足の親指の付け根に激痛が起こるのが典型的な初期症状です。発作前のサインと発症直後の症状について詳しく解説します。
痛風発作は突然の強い痛みが特徴ですが、数時間〜数日前に足の関節へ軽い違和感が生じる場合もあります。前兆は強い痛みではなく、関節まわりに起こる軽度の違和感が特徴です。以下の感覚は、痛風発作の前兆サインである可能性が高いため注意しましょう。
前兆は、関節内に尿酸結晶が作られ始め、身体が反応している可能性を示します。違和感がないまま突然発作が起こる場合もあります。
痛風の初期症状は、関節が急に炎症を起こす痛風発作です。多くの人が、足の親指の付け根で初めて症状を経験すると報告されています。痛風発作の主な症状は以下のとおりです。
突然の強い痛みは前触れなく起こり、痛みで目が覚める場合もあります。靴下や布団に軽く触れるだけでも、痛みを感じやすい状態です。腫れや赤み、熱感などは炎症によるサインであり、関節が赤く腫れるなど外見からも確認できます。
痛みは足の親指の付け根に生じることが多く、足首やかかと、膝などに起こる場合もあります。痛みのピークは発症から24時間以内に訪れることが多く、一度の発作に対して1か所痛むのが一般的です。7〜10日ほどで痛みが引いても痛風が完治したわけではありません。高い尿酸値を放置すると発作を繰り返す可能性があります。
痛風発作は、夜間から早朝にかけて起こりやすい傾向があります。眠っている間に身体の状態が変化し、尿酸値や炎症反応に影響が出るためです。以下の理由によって、夜間に発作が起きやすくなります。
眠っている間は汗をかいても水分を補給できないため、身体の水分が減って血液が濃くなり、尿酸値が上がりやすくなります。体温が低下すると尿酸が血液に溶けにくくなり、結晶として関節に溜まりやすくなります。
炎症を抑える副腎皮質ホルモンの分泌が夜から朝にかけて減るため、関節にできた尿酸結晶に対する反応が起こりやすい状況です。要因が重なることで、就寝中に突然の痛みが生じる場合があります。夜中に足の親指が急に痛み出して目が覚めた場合は、痛風発作の可能性があります。
痛風と症状が似ている代表的な病気との違いについて、以下の3つを解説します。
痛風と偽痛風は似たような関節の腫れや痛みを起こしますが、発症の仕組みと症状が出る場所がまったく異なります。痛風は尿酸の結晶が関節に溜まることで炎症を引き起こす病気で、典型的には足の親指の付け根に突然激しい痛みが起こります。
偽痛風はピロリン酸カルシウムの結晶が関節内に沈着することで起こり、膝や手首などの大きな関節に痛みや腫れが出るのが特徴です。主な違いは次のとおりです。
偽痛風は特に高齢者に多く、炎症が強く出やすいため、症状が長引く・広がる場合は早めに医療機関で関節液検査を受けることが大切です。
痛風と関節リウマチはいずれも関節が腫れて痛む病気ですが、原因や症状の現れ方は根本的に異なります。痛風は、体内の尿酸が結晶となって関節に溜まり、突然強い痛みを引き起こす発作的な炎症が特徴です。主に足の親指の付け根に起こり、男性に多く見られます。
関節リウマチは免疫の異常により関節の内側が慢性的に炎症を起こす自己免疫疾患です。手首や指などの小さな関節に左右対称で痛みや腫れが現れ、女性に多い傾向があります。進行すると関節が変形し、日常生活に支障をきたすこともあります。
診断では、痛風は血液や関節液の検査で尿酸結晶を確認し、関節リウマチは血液検査でリウマチ因子や抗CCP抗体を調べます。痛みが左右両側に続く場合や複数の関節に及ぶ場合は、早めにリウマチ科を受診することが大切です。
痛風と外反母趾は、どちらも足の親指に痛みを感じる点で似ていますが、原因と症状の現れ方がまったく異なります。
痛風は、体内の尿酸が結晶となって関節に溜まり、突然激しい痛みや腫れ、赤みを引き起こす急性の炎症です。外反母趾は、足の親指が小指側へ曲がることで関節が変形していく慢性の病気で、合わない靴や骨格の影響によって少しずつ進行します。
痛風では発作が短期間で強く現れますが、外反母趾は歩行時の違和感や継続的な痛みが特徴です。痛風は男性に多く見られるのに対し、外反母趾は女性に多く、外観から変形がわかる点も異なります。痛みの出るスピードや関節の形の変化を観察することが、両者を見分ける大切なポイントです。
痛風発作が起きたときの対処法として、以下の4つが挙げられます。
痛風発作による強い痛みは、関節内で尿酸結晶が刺激となり、炎症が生じている状態です。炎症を落ち着かせるためには、患部を冷やし安静を保つことが重要です。炎症を抑えるために以下の応急処置を実施してください。
温めることやマッサージ、お酒を飲むなどの行動は、炎症を悪化させる可能性があるため、避けましょう。市販の痛み止めには、症状を悪化させる可能性のある種類もあります。患部を冷やして安静にし、早めに医療機関へ相談してください。
痛風の再発を防ぐためには、毎日の食事を見直し、尿酸のもととなるプリン体の摂取を抑えることが、再発予防に役立つとされています。痛風は尿酸が体内で結晶化して関節にたまることで炎症を起こすため、食事の管理が再発予防の基本になります。以下のポイントを意識して食生活を整えましょう。
これらを意識することで、尿酸値を安定させ、痛風の発作を繰り返さない体づくりにつながります。
食事の工夫とあわせて、生活習慣を見直すことも尿酸値の管理に役立ちます。日々の習慣を整えることで、痛風の再発予防につながります。以下は生活習慣づくりのポイントです。
十分な水分補給は尿量を確保し、尿酸を体外へ排出しやすくします。水やお茶を中心に、1日に約2リットルを目安にこまめに飲むことを心がけましょう。アルコールは種類にかかわらず尿酸値を上げやすいため、量を控えることが大切です。ビールはプリン体が多く含まれるため注意が必要です。
ウォーキングなどの軽い有酸素運動は肥満の予防に役立ちます。発作時の運動は症状を悪化させる可能性があるため避けましょう。生活の中でストレスを溜め込むと体調に影響が出る場合があります。十分な睡眠を確保し、気分転換できる時間を持つことが健康維持につながります。
痛風発作の痛みは、7〜10日ほどで自然に落ち着く場合があります。症状が落ち着いても体内では尿酸値が高い状態が続いており、次の発作が起こりやすい状況です。放置すると発作を繰り返し、関節の変形や腎臓病、心筋梗塞などにつながるリスクが高まるとされています。受診時のポイントは以下のとおりです。
内科の受診を検討し、医療機関によってはリウマチ科や整形外科でも診療を行っています。痛みのピーク時に患部を撮影しておくと、診断の参考になります。腫れや赤みが引いた後でも写真があれば、発作時の状態を医師に具体的に伝えやすくなります。
治療では、薬を飲むだけでなく生活習慣の見直しも欠かせません。薬剤師による服薬サポートが痛風の治療継続に役立つとの報告もあります。薬の飲み方や副作用、食事で気をつけたい点など、不安なことは医師や薬剤師に相談しながら進めましょう。
痛風は適切な受診タイミングや診療科を押さえることも、円滑な治療開始につながります。以下の記事で、受診先の選び方を詳しく解説しています。
>>痛風になったら何科に行くの?病院を受診するタイミングや検査・治療の流れを解説
足の親指の付け根に突然強い痛みが生じる症状は、痛風発作の代表的なサインとされています。痛みは7〜10日ほどで落ち着く場合がありますが、病気そのものが治ったわけではありません。高い尿酸値を放置すると発作を繰り返し、関節の変形や腎臓病などにつながる可能性があります。
気になる症状がある際は、自己判断を控え、早めに内科などの医療機関へ相談することが大切です。専門家と協力しながら、無理のない範囲で治療に取り組みましょう。
痛風の症状が長引く場合には、生活改善だけでは対応しきれないケースもあります。症状が続く背景には、関節の炎症や腎機能への負担などの要因が潜んでいる可能性があります。長期間痛みが改善しないときの注意点や受診の目安については、以下の記事で詳しく解説しています。
>>痛風が1ヶ月以上痛いときの対処法|長引く痛みの原因と放置するリスクを解説
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