突然の息苦しさに、不安を感じたことはありませんか? 息苦しさの原因は風邪のような軽微なものから、緊急の処置が必要な重篤な病気までさまざまです。息苦しさは、患者さんが「息がしづらい」「空気が足りない」と主観的に感じる呼吸の不快感として報告されており、多くの要因が関与する症状とされています。
息苦しさを適切に治療するには、正しい診療科での治療が欠かせません。この記事では、受診すべき診療科や息苦しさを感じたときの原因、対処法まで解説します。息苦しさの背後にある病気を理解し、正しい知識を身につけて、不安を解消しましょう。
普段から息切れを感じる方は以下の記事も参考にしてください。息切れの原因や種類、症状を解説しています。
>>息切れについて
息苦しさの中には、一刻を争う危険な状態もあります。以下の緊急性の高い症状を知っておくことが大切です。
以上の症状が現れたときは、ためらわずに救急車を呼んでください。「様子を見よう」と考えている間に、命に関わる状態へ進行することがあります。冷や汗が出る、意識が遠くなる、唇や爪が紫色になるなどの症状が伴う場合は、1分1秒が重要です。
息苦しいときに受診すべき診療科は、以下の状態によって異なります。
適切な診療科を受診することは、早期診断と治療のために重要です。ご自身の症状を冷静に観察し、どの診療科を受診すべきか判断しましょう。
息苦しさの背景にはさまざまな原因や病気が隠れていることがあります。症状の原因を理解することで、受診の目安や適切な対応がより明確になります。以下の記事では、息苦しいと感じる主な原因や考えられる病気、対処法について詳しく解説しています。
>>息苦しいと感じる原因とは?考えられる病気と対処法
息苦しさに加えて、以下の症状がある場合は、緊急性が高い状態です。すぐに救急車を呼ぶか、近くの救急外来を受診してください。
異物や食べ物を飲み込んで窒息の疑いがある場合も救急外来を受診しましょう。放っておくと命に関わる可能性があります。より早く治療を受けるために、息苦しさの発症時間や症状の経過を記録しておくことが大切です。
咳や痰、喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという音)などの呼吸器症状が強い場合は、呼吸器内科を受診しましょう。風邪をひいた後、咳や痰が長引いて、息苦しさを感じるようになった場合は、肺炎などの呼吸器感染症が疑われます。
そのほか、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性的な呼吸器疾患が原因となっている可能性もあります。症状が続く場合や悪化している場合は、早めに呼吸器内科で詳しい検査を受けることが大切です。
息苦しさに加えて、動悸や胸の痛み、めまい、むくみなどの症状がある場合は、心不全や不整脈、狭心症などの心臓の病気が原因の可能性があります。階段の上り下りや少しの動作で息切れを感じる場合は注意が必要です。症状が急に現れた場合や、短時間で悪化している場合は、循環器内科を受診しましょう。
息苦しさの原因は身体的なものだけではありません。強い不安やストレス、パニック発作なども息苦しさの原因の一つです。日ごろから強いストレスを抱えている方は、精神科や心療内科の受診を検討してください。
検査で身体的な異常が見つからない場合でも、心の状態が症状に影響していることがあります。専門医に相談することで、不安の軽減や症状の改善につながる適切な治療やアドバイスを受けることができます。
息苦しさの原因がわからない場合や複数の症状がある場合、どの科を受診すべきか迷う場合は、一般内科を受診しましょう。内科医が全身的な評価を行い、必要に応じて専門の診療科へ紹介します。原因を特定するために、血液検査やレントゲン検査などを行うこともあります。
息苦しさに加えて胸の痛みを感じる場合、心臓や肺などの病気が関係している可能性も考えられます。症状の組み合わせによって受診すべき診療科が異なるため、判断に迷うことも少なくありません。以下の記事では、胸が痛いときに考えられる原因や受診の目安について詳しく解説しています。
>>胸が痛いときには何科を受診すればいい?
息苦しさを治すには、原因の特定が欠かせません。息苦しさの原因を4つ解説します。
肺に異常が発生すると、息苦しさを感じることがあります。肺は、酸素を取り込み二酸化炭素を排出する、生命維持に欠かせない臓器です。気管支喘息は、アレルギー反応などによって気管支が狭くなり、呼吸が困難になる病気です。「ヒューヒュー」「ゼーゼー」などの喘鳴を伴う息苦しさが特徴で、特に息を吐くときに起こります。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、主に喫煙によって引き起こされる肺の病気です。COPDは進行性の病気であり、初期段階では自覚症状が少ない場合も多いですが、病気が進行すると、少し動いただけでも息切れします。
肺炎は、細菌やウイルス感染によって肺に炎症が起きる病気です。高熱や咳、痰とともに息苦しさを感じることが多く、重症化すると呼吸不全に陥るケースもあります。肺がんは、初期段階ではほとんど自覚症状がありませんが、病気が進行すると咳や血痰、胸の痛みとともに息苦しさが現れることがあります。
心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役割を果たしている臓器です。ポンプ機能に異常が生じると、肺の血液が滞り、息苦しさを感じることがあります。心不全とは、心臓のポンプ機能が低下した状態です。軽度の運動でも息切れを感じたり、夜間に横になると呼吸が苦しくなったりします。
狭心症や心筋梗塞は、心臓の血管が狭窄したり閉塞したりすることで、心臓の筋肉に十分な酸素が供給されなくなる病気です。激しい胸の痛みとともに、息苦しさを感じることがあります。
身体的な病気だけでなく、パニック障害や不安障害などの精神的な原因も息苦しさの原因の一つです。パニック障害は、激しい動悸や息苦しさ、めまい、発汗などの発作が突然起こる病気です。発作時には「このまま死んでしまうのではないか」という強い恐怖感に襲われます。
不安障害は、過剰な不安や心配が続く病気です。不安が強くなると、息苦しさや動悸、吐き気などの身体症状が現れることがあります。
アレルギー反応によって気管支が狭くなると、息苦しさや咳が出ることがあります。貧血は、血液中の赤血球が不足した状態です。酸素を運ぶ赤血球が不足すると、全身に酸素が行き渡らなくなり、息苦しさや動悸、めまいなどの症状が現れます。甲状腺機能亢進(こうしん)症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。息苦しさや動悸、発汗、体重減少などの症状が現れます。
息苦しさを感じたときは、自己判断せずに医療機関を受診することが重要です。
息苦しさを和らげるための5つの対処法は、以下のとおりです。
紹介した対処法を試しても改善しない場合は、医療機関を受診してください。
深呼吸や腹式呼吸を意識的に行うことで、副交感神経を優位にし、リラックス効果を高めて息苦しさを軽減できます。深呼吸は、鼻からゆっくりと息を吸い込み、肺いっぱいに空気を満たすように意識します。お腹が膨らむのを感じたら、口からゆっくりと息を吐き出し、お腹をへこませます。
腹式呼吸は、呼吸を助ける重要な筋肉である横隔膜を意識して行う呼吸法です。息を吸うときにお腹を膨らませ、息を吐くときにお腹をへこませることを意識します。慣れないうちは、以下のように仰向けに寝て行うと感覚をつかみやすくなります。
深呼吸と腹式呼吸は、場所を選ばずに行えるので、息苦しさを感じたら試してください。寝る前や起床時、ストレスを感じたときに行うと、リラックス効果が高まります。
息苦しいときは、楽な姿勢をとることも重要です。息苦しさを感じると、無意識に背中を丸めてしまいがちですが、背中が丸まった姿勢は肺を圧迫し、さらに呼吸が苦しくなります。人によって楽な姿勢は異なりますが、一般的には、上体を起こした姿勢や、横向きに寝た姿勢が呼吸しやすいです。
椅子に座っている場合は、背筋を伸ばし、肩の力を抜いてリラックスしましょう。猫背にならないように注意してください。寝ている場合は、枕やクッションを使って上体を少し高くすると、呼吸が楽になることがあります。横向きに寝る場合は、下になっている方の肺が圧迫されないように、抱き枕などを使いましょう。
自分にとって一番楽な姿勢を見つけることが、息苦しさを軽減する第一歩です。
息苦しさを感じたときは、窓を開けて換気を良くすることが重要です。新鮮な空気を取り入れることで、体内の酸素濃度が上がり、呼吸が楽になる場合があります。窓を開けて空気の入れ替えをしたり、換気扇を回したりすることで、室内の空気をきれいに保てます。空気清浄機を使用するのもおすすめです。
最近では、二酸化炭素濃度を測定できる機器も市販されており、活用するのもおすすめです。
特に冬場は空気が乾燥しやすいため、加湿器を使って適切な湿度を保つことが重要です。乾燥した空気は、喉や気管を刺激し、息苦しさを悪化させる可能性があります。乾燥した空気は、粘膜の防御機能を低下させ、ウイルスや細菌に感染しやすくなるリスクも高まります。
加湿器には、スチーム式や気化式、超音波式などさまざまな種類があります。自分に合った加湿器を選び、適切な湿度を保ちましょう。適切な湿度は、40~60%です。湿度計を設置して、こまめにチェックしましょう。
息苦しさの原因を特定し、避けるように心がけることで、息苦しさを予防・軽減できます。息苦しさを悪化させる代表的な要因は、以下のとおりです。
ストレスが原因の場合は、リラックスする時間を確保したり、趣味に没頭したりするなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
ここでは、息苦しさがある場合に受診前に準備しておくべきことを解説します。
病院で的確な診断を受けるためには、症状の詳細を医師に伝えることが重要です。受診前に症状をメモしておくことをおすすめします。医師は患者さんの話から病気の手がかりを見つけるため、正確な情報があれば診断の精度が上がります。次の5つを記録しましょう。
スマートフォンのメモ機能を使えば、日時も自動で記録されて便利です。症状の記録は、医師とのコミュニケーションを円滑にし、適切な治療への近道となります。
初めての病院を受診する際には、いくつか持参すると診察がスムーズになるものがあります。以下の持ち物は事前に準備しておきましょう。
紹介状がある場合は忘れずに持参しましょう。医師は過去の治療歴や検査結果を知ることで、より正確な診断ができます。同じ検査を繰り返さずに済むため、時間と費用の節約にもなります。これらの準備により、医師は患者さんの全体像を把握しやすくなり、的確な診療につながります。
息苦しさに関するよくある質問について、以下の4つを解説します。
夜間や休日に急に息苦しくなると、どこに相談すればいいか迷う方も多いです。緊急度に応じた適切な対応を知っておくことが大切です。救急外来は夜間や休日でも受診できる場合がありますが、軽症の場合は翌日の通常診療を受けることが推奨されます。命に関わる可能性がある症状は、時間帯に関わらず速やかに受診することが大切です。
「すぐに病院へ行くべき危険な息苦しさ」に当てはまる症状がある場合は、迷わず119番に電話してください。判断に迷うときは「#7119(救急安心センター事業)」に電話すると、看護師や医師が相談に乗り、緊急性を判断してくれます。
軽度の症状で、翌日まで様子を見ても問題なさそうな場合は、横になって安静にし、水分を取りながら経過を観察しましょう。夜間・休日の急な体調不良は不安になりますが、冷静に症状を観察し、適切な判断をすることが重要です。
息苦しさに加えて、他の症状が現れた場合、病気の種類や緊急性を判断する手がかりになります。複数の症状を総合的に見ることが大切です。一つの症状だけでは判断が難しい病気でも、組み合わせによって特徴的なパターンが見えてくるためです。複数の臓器に影響が出ている場合、重症度が高い可能性があります。
特に注意が必要なのは、次の症状の組み合わせです。
以上の症状が現れたときは、速やかに救急車を呼んでください。症状の組み合わせに注意することで、適切なタイミングで医療機関を受診できます。
何度病院に行っても息苦しさの原因が見つからない場合は、セカンドオピニオンとして別の病院を受診することを検討してください。医師によって専門分野や診察の視点が異なるため、新たな発見がある可能性があります。
総合病院の呼吸器内科や循環器内科など、専門性の高い科を受診するのも一つの方法です。ストレスや不安が原因の場合、心療内科や精神科での診察が役立つこともあります。症状日記をつけて、症状が出る時間帯、状況、食事内容などを記録し、パターンを見つける努力も大切です。
原因不明の症状に悩むときは、一人で抱え込まず、複数の医療機関や専門家の力を借りることをおすすめします。
息苦しさの多くは、日常生活の工夫である程度予防できます。健康的な生活習慣が、呼吸器や循環器の機能を守る基本です。息苦しさの原因となる病気の多くは、生活習慣と深く関係しています。予防に取り組むことで、病気の発症リスクを下げ、すでに症状がある方も悪化を防ぐことができます。具体的な予防法は、以下のとおりです。
毎日の小さな積み重ねが、将来の息苦しさを防ぐ最良の方法です。
突然息苦しさを感じた場合などは、緊急性が高いため、救急外来を受診してください。咳や痰など、呼吸器の症状が強い場合は、呼吸器内科がおすすめです。日ごろから強いストレスを感じている場合は、精神科・心療内科を受診しましょう。原因がわからない場合や、行くべき病院に悩んでいる場合は、一般内科を受診してください。
息苦しさは、肺や心臓などの病気のサインの可能性もあれば、精神的な原因からくる場合もあります。自己判断はせず、ご自身の症状に合った適切な診療科を受診することが大切です。
Campbell ML. “Dyspnea.” Critical care nursing clinics of North America 29, no. 4 (2017): 461-470.
大石内科循環器科医院
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