急に胸がドキドキと高鳴って「心臓の病気かもしれない」と不安に襲われた経験はありませんか。動悸は体からの重要なサインですが、すべての動悸が危険というわけではありません。
実は、動悸にはすぐに受診すべき危険なものと、ストレスやカフェインなどが原因の心配の少ないものがあります。この違いを見極められるかどうかが、ご自身の健康を守るうえで重要です。
この記事では、危険な動悸を見分けるポイントや、自宅でできる応急処置、動悸を予防する生活習慣までわかりやすく解説します。大切な体からのサインを正しく理解し、動悸への漠然とした不安を解消しましょう。
静岡市で動悸の症状にお悩みの方は、大石内科循環器科医院へご相談ください。動悸は一時的なものに思えても、不整脈や心臓疾患が隠れていることがあります。当院では循環器専門医が心電図や超音波検査などを行い、原因を丁寧に確認しながら適切な治療や生活改善をサポートします。放置せずに早めに受診することで、安心と健康を守ることにつながります。
動悸には、心配の少ないものと、すぐに受診すべき危険なものがあります。大切なのは、そのサインを正しく見分けることです。以下の4つのポイントを参考に、ご自身の症状と照らし合わせてみてください。
突然始まり突然止まる動悸は、不整脈が原因の可能性があります。脈のリズムに注目することが見分けるヒントです。代表的な不整脈には「期外収縮」と「発作性頻拍症」の2種類があります。動悸の特徴を整理すると次のようになります。
期外収縮は一時的のことが多く、特に心配はいりませんが、頻発する場合やめまいを伴う場合は心臓に負担がかかっている可能性があります。発作性頻拍症は胸の不快感や強い不安を伴うことがあり、このタイプの動悸を感じたら循環器内科での受診をおすすめします。
以下の記事では、不整脈の原因や発症しやすい人の特徴、代表的な症状や治療法について詳しく解説しています。
>>不整脈の原因とは?なりやすい人の特徴や症状、治療法まで解説
動悸に加えてめまい・失神・胸の痛みなどを伴う場合は、命に関わる危険なサインです。心臓がポンプとして十分に働かず、全身に血液を送り出せていない可能性があります。特に、失神や胸の圧迫感は放置すると突然死や心筋梗塞につながる恐れがあり、早急な対応が必要です。
危険な症状の目安を以下にまとめます。
これらの症状が1つでも当てはまれば自己判断は禁物です。「少し様子を見よう」とせず、ためらわずに救急車を呼ぶか、医療機関を受診してください。
以下の記事では、胸の痛む場所ごとに考えられる原因や病気の可能性について詳しく解説しています。
>>胸が痛い!痛む場所(左・右・真ん中)による原因や病気の可能性を解説
ストレスやカフェインなど日常生活のきっかけで起こる動悸は、多くの場合心配の少ない一時的な現象です。心臓の病気が原因でないことも多く、原因が取り除かれれば自然に治まるのが特徴です。
このタイプの動悸は、脈が速くなってもリズムは規則正しいことが多く、交感神経(アクセル)が一時的に過剰に働くことで起こります。反対に副交感神経(ブレーキ)が優位になると落ち着くため、休養や生活習慣の調整で改善が期待できます。
心配の少ない動悸の例は以下のとおりです。
生活習慣の改善で症状が落ち着く場合は過度に心配はいりません。ただし、動悸が頻繁に起き、生活に支障がある場合は、一度医師にご相談ください。
子どもや妊娠中などのライフステージでは、動悸が起こりやすい理由があります。子どもの場合、不安や興奮による一時的なものも多いですが、なかには心臓の病気が隠れているケースもあります。特に運動中や直後に動悸・胸の痛み・失神を伴う場合は重要なサインであり、注意が必要です。
診断では症状の詳しい聞き取りが重要となるため、お子さんが動悸を訴えたら早めに小児科や小児循環器科を受診しましょう。妊娠中は体内を流れる血液量が増えることで心臓への負担が大きくなり、動悸や息切れを感じやすくなります。
多くは妊娠による自然な変化のため心配はいりませんが、もともとの心臓病や貧血が関与していることもあります。不安を感じた場合は無理せず、かかりつけの産婦人科医に相談することが安心につながります。
自宅で急に動悸が起きた際、パニックにならずに冷静に対応することが、症状を和らげるために大切です。ご自身でできる応急処置として、以下の3つをご紹介します。
動悸が起こると、不安から呼吸が浅く速くなりやすく、交感神経(アクセル)を刺激してさらに心拍数を上げる悪循環に陥ることがあります。このとき効果が期待できるのが「腹式呼吸」です。腹式呼吸は副交感神経(ブレーキ)の働きを高め、興奮した心臓を落ち着かせる効果が期待できます。
腹式呼吸の基本的なやり方は次のとおりです。
この呼吸を5分ほど繰り返すと気持ちが落ち着きやすくなります。無理にたくさん吸う必要はなく「ゆっくり、長く吐く」ことに集中するのがコツです。
突然脈が速くなり、数分〜数時間続いた後に急に止まるタイプの動悸(発作性頻拍症など)では、顔を冷やすことで正常なリズムに戻ることがあります。これは「潜水反射」と呼ばれる反応を利用した方法です。冷水が顔に触れると、体は「水に潜った」と判断し、心臓をコントロールする迷走神経が刺激されます。
その結果、心拍が落ち着きやすくなる効果が期待できます。具体的な方法は次のとおりです。
ただし、これらは急な刺激を伴うため心疾患のある方や高齢の方、血圧に不安がある方は無理をしないことが大切です。試してみて気分が悪くなった場合は直ちに中止し、必要に応じて医師に相談してください。
動悸が落ち着いた後や繰り返し起こる場合は、医療機関で原因を調べることが大切です。ただし、診察中に必ず動悸が現れるわけではないため、正確な診断には患者さんご自身の記録が役立ちます。発作時の状況を整理して伝えられるよう、普段からメモを取る習慣をつけておきましょう。
医師に伝える際の「動悸カルテ」の記録ポイントは以下です。
スマートフォンや手帳にまとめておけば、受診時に医師へ正確に伝えられます。記録は診断の助けになるだけでなく、ご自身の状態を客観的に把握し、不安を和らげる効果もあります。
多くの動悸は、日々の生活習慣と深く関わっています。普段の過ごし方を少し見直すだけで、動悸の予防につながる可能性があります。動悸を繰り返さないために、日常生活で気をつけたいポイントは以下の3つです。
動悸が気になるときは、カフェインやアルコールを控えることが重要です。これらは自律神経や心臓の働きを刺激し、脈を速めたり不快な動悸を引き起こしたりする原因になります。まずは、どのような食品や飲み物に含まれているのかを知っておきましょう。
カフェインを多く含む一例として、以下が挙げられます。
カフェインは「交感神経(アクセル)」を過剰に働かせ、心拍数を上げます。特に疲れているときにエナジードリンクを飲むと、元気が出るように感じても実際には心臓に負担をかけています。摂る量や時間帯を決める、デカフェに切り替えるなどの工夫が大切です。
アルコールも血管を広げて血圧を下げるため、体が血流を保とうとして心臓を強く動かし、動悸につながります。タバコのニコチンも自律神経に作用して同様の影響を与えるため、禁酒・禁煙、あるいは量を減らすことを心がけると安心です。
心臓のリズムを安定させるためには、睡眠と食事の質を整えることが欠かせません。不規則な生活は自律神経の働きを乱し、動悸を招く原因になります。そこで、まずは睡眠と食事それぞれで意識したいポイントを確認しましょう。
良質な睡眠をとるためには、次のような工夫が役立ちます。
以下のような食事のとり方にも注意しましょう。
こうした生活習慣を整えることが、自律神経を安定させ、心臓に余計な負担をかけないための大切な基盤となります。
運動不足はストレスをため込みやすくし、自律神経の乱れを招く原因となります。その結果、心臓の拍動を調整する働きにも影響が及び、動悸が起こりやすくなるのです。適度な運動は心身をリフレッシュさせ、自律神経を整える効果が期待できます。
さらに、運動によって幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌され、気持ちの安定やストレス解消にもつながります。特別な運動でなくても、ウォーキングや軽いジョギング、ヨガ、ストレッチ、サイクリングなど、心地よいと感じる範囲で続けることが大切です。
無理のある運動はかえって心臓に負担をかけるため、まずは1日20分程度のウォーキングから始めるのもおすすめです。階段を使う、一駅手前で降りて歩くなど、日常生活の小さな工夫を積み重ねることが、心臓の健康維持につながります。
受診の判断は症状の出方や体への影響によって異なります。どのような基準で病院を受診すべきか、以下の内容を解説します。
動悸を評価するときは「どのくらいの頻度で起こるか」「1回の持続時間」が重要な手がかりです。年に数回程度で数十秒以内に治まる、あるいは緊張やカフェイン摂取などの原因がはっきりしている場合は心配の少ないケースと考えられます。
週に何度も起こる、数分以上続く、以前より回数や持続時間が増えているなどの場合には、一度は医師に相談することをおすすめします。特に、意識が遠のく感覚や強い胸の痛みを伴う場合は、心臓に重大なトラブルが隠れている可能性があります。
症状の変化を記録しておくと診断の助けになり、適切な治療につながります。
動悸と同時に現れる症状は、受診の必要性を判断する大切な材料です。特に以下のようなサインがある場合は、心臓が十分に血液を送り出せていない可能性があり、命に関わる病気の危険があります。
胸の痛みや動悸、失神が同時に起きる場合は、重大な心疾患を示す危険信号です。「仕事や家事に集中できない」「外出するのが怖い」など、日常生活に支障を及ぼしているときも、早めに受診してください。
動悸の受診判断は年齢や持病によって異なります。お子さんは胸の違和感をうまく伝えられないことが多く「胸がドキドキする」「気持ち悪い」などの訴えにも注意が必要です。
運動中や直後に動悸・胸痛・失神がある場合は、突然心臓死のリスクを示すサインであり、すぐに小児科や小児循環器科を受診してください。
高齢の方や心臓病、高血圧、糖尿病、脂質異常症などを持つ方は、動悸が病気の悪化や新たな発症を示す可能性があります。普段と異なる動悸を感じたときは、自己判断せずかかりつけ医へ早めに相談することが大切です。
動悸の原因によって相談すべき診療科は異なります。以下の症状がある場合は、循環器内科がおすすめです。
以下のような症状がある場合は、心療内科・精神科がおすすめです。
どちらに行けば良いか迷うときは、まず一般内科やかかりつけ医を受診しましょう。医師の診察を受けることで原因をある程度推測でき、必要に応じて専門医を紹介してもらえます。大切なのは一人で抱え込まず、早めに相談することです。
実際にどのような状況で受診が必要になるのかを知っておくと、行動の判断に役立ちます。症状の程度や持続時間によっては救急対応が望まれるケースもあるため、目安を理解しておくことが重要です。以下の記事では、動悸で病院を受診するタイミングや検査、治療の流れについて解説しています。
>>動悸で病院に行くタイミングはいつ?受診の目安や検査、治療の流れ
動悸は、ストレスや疲れによる一時的なものも多いですが、心臓からの危険なサインが隠れていることもあります。特に、めまいや胸の痛み、失神などを伴う場合は注意が必要です。
応急処置や生活習慣の見直しで改善しない場合や、少しでも「おかしいな」と感じることがあれば、決して一人で抱え込まないでください。ご自身の症状を記録し、循環器内科などの専門医に相談することが、安心への一番の近道です。
この記事が、あなたの不安を和らげ、自分の体を守るための適切な一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
当院では循環器専門医が丁寧にお話を伺い、必要に応じた検査や治療で早期発見をサポートします。
大石内科循環器科医院
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