痛風は、足の指の付け根などに突然激しい痛みが生じる病気です。若い世代でも発症する可能性があり、生活習慣が大きく影響するとされています。血液中の尿酸値が基準値を超えて、結晶化することが主な原因です。痛風の原因となる高尿酸血症は、高血圧のリスクを高めることが研究で明らかになっています。
この記事では、痛風の原因を詳しく解説し、食事や運動などの改善ポイントをお伝えします。痛風の原因を知り、生活習慣を改善させ健康的な生活を送りましょう。
大石内科循環器科医院では、痛風や高尿酸血症をはじめ、生活習慣病を総合的に診療しています。痛風の症状やリスク、治療法について詳しく解説していますので、気になる方は以下もご覧ください。
>>痛風について
痛風は、血液中の尿酸が増えすぎることが原因で起こります。尿酸は体から排出される老廃物であり、通常は生成と排出バランスが保たれています。尿酸が増えすぎると関節の中で結晶化し、結晶に体が防御反応を起こすことによって炎症と痛みが生じます。
血液中の尿酸の濃度が高くなった状態を高尿酸血症と呼びます。血液検査で尿酸値が7.0mg/dLを超えると、結晶ができやすくなる可能性があるため注意が必要です。尿酸値が高くなるタイプは、次の2つに分けられます。
両方の特性を持った混合型もあります。高尿酸血症は痛風発作だけでなく、他の病気を引き起こす可能性も指摘されています。
尿酸値のコントロールには、食事内容や運動習慣の見直しが重要となります。具体的にどのような工夫が有効なのかを理解しておくことで、再発予防にもつながります。以下の記事では、日常生活で実践しやすい改善方法を詳しく紹介しています。
>>尿酸値を下げる食事と運動のコツ!今日から実践できる生活習慣の改善法
痛風リスクを高めやすい人の6つの特徴は、以下のとおりです。
プリン体は、食事から取り込まれるだけでなく、体の中でも作られています。プリン体を一度に多く摂りすぎると、分解されるときにできる老廃物である尿酸が増え、痛風の原因となる可能性があります。プリン体が多い、レバーや魚介類などの食べすぎに注意することが大切です。
食事による尿酸値の上昇は一時的なもので、少量を楽しむ程度であれば、過度に心配する必要はありません。特定の食品に偏らず、野菜や乳製品なども含めたバランスの良い食事を心がけることが大切です。
ビールだけでなく、アルコールは種類を問わず痛風のリスクを高める可能性があります。アルコールが尿酸値を上げる主な理由は、以下の2つです。
アルコールが肝臓で分解される際に生じる物質(乳酸)が、腎臓から尿酸を排出する働きを弱めてしまうためです。また、アルコール自体にプリン体が含まれることがあります。代表的なアルコールの100mlあたりのプリン体含有量は、以下のとおりです。
プリン体の含有量が少ないアルコールでも、飲酒量が増えると尿酸値が上昇する可能性があります。お酒が好きな方は、飲酒量を減らすことが推奨されます。週に2日以上お酒を飲まない休肝日を設けるなど、上手にお酒と付き合うことが大切です。
内臓脂肪型肥満は、痛風の危険因子の一つです。脂肪が蓄積すると体内で尿酸が作られやすくなったり、腎臓からの尿酸排泄も低下しやすくなったりします。肥満気味の人は尿酸値が上がりやすくなる可能性があります。肥満度を知るには、BMI(Body Mass Index)が用いられます。BMIの計算は以下の式で行います。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
BMIが25以上を「肥満」とする基準があります。BMI25以上の人は、25未満を目指して健康的な体重管理が推奨されます。急激な減量は、体内の代謝バランスに影響を与え、一時的な尿酸値上昇のリスクが指摘されています。肥満気味の人は、月に1〜2kg程度のペースでの減量を目指しましょう。
運動不足は肥満の原因の一つであり、痛風のリスクを高める可能性があります。日常的に体を動かす習慣をつけ、肥満の解消・予防が大切です。息が軽く弾む程度の有酸素運動を、無理のない範囲で続けることが推奨されます。
水分不足にも注意が必要です。体内の水分が不足すると、尿量が減り尿酸を十分に体の外へ排出できなくなる可能性があります。お茶や水をこまめに飲み、1日に合計2リットル程度の摂取が推奨されています。心臓病や腎臓病がある方は、医師に適切な水分量を相談することが大切です。
日常的にジュースや甘い清涼飲料水を飲んでいる人は注意が必要です。ジュース類に含まれる糖分は、尿酸値を上昇させる可能性があります。水分摂取は、ジュースや甘い清涼飲料水を避けましょう。
痛風や高尿酸血症は、以下の生活習慣病と関連があるとされています。
痛風の患者さんの多くが、生活習慣病を合併しているとされています。遺伝情報を用いた研究では、尿酸値が高い状態が続くと、将来的に高血圧になる可能性が示唆されています。生活習慣病は、血管に影響を与え動脈硬化のリスク要因となる可能性もあります。動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞といった病気のリスクが高まることが知られています。
痛風は遺伝的な要因の可能性があります。研究では、尿酸の排泄に関わる遺伝子の異常が、尿酸値の上昇や痛風リスクに関係することがわかっています。遺伝的に尿酸値が上がりやすい体質であっても、食事や運動、飲酒など生活習慣の見直しが大切です。尿酸値が上昇するリスクを抑えるように生活習慣を整えることで、痛風の予防に役立つ可能性があります。
痛風の予防・再発防止には、日々の生活習慣を見直すことが重要です。以下の4つのポイントを意識することで、尿酸値の管理や症状の改善が期待できます。
尿酸のもとになるプリン体を多く含む食品を、完全に制限する必要はありません。食べる量や頻度に気をつけながら、バランスの良い食事を心がけましょう。プリン体は、肉や魚介類に多く含まれています。プリン体が多い食品は以下の食材に含まれています。
野菜や海藻類は、尿をアルカリ性に傾ける働きがあります。尿酸はアルカリ性の尿に溶けやすい性質があるため、適度な摂取が推奨されます。乳製品に含まれるタンパク質は、尿酸の排出を促す働きが期待できます。ジュースなどに含まれる果糖の過剰摂取は、尿酸値に影響を与える可能性があるため、水分補給には水やお茶を選択しましょう。
脂肪が溜まると、体内で尿酸が増加して腎臓からの排出力が弱まる可能性があります。適度な運動を習慣にして、健康的な体重を維持することが推奨されています。ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、水泳などの運動を取り入れてみましょう。
息が軽く弾むくらいの有酸素運動は、1日30分程度、週に3回以上行うのが推奨されています。息が切れるような激しい運動は、体への負担が大きく、痛風発作につながる可能性があります。激しい運動を避ける理由は、以下のとおりです。
運動中は汗で水分が失われやすく、脱水は尿酸値を上げる原因につながります。運動中や前後には、こまめに水分補給を行い自分のペースで続けることが大切です。
十分な水分摂取は、尿量を確保するために大切です。水分を適切に摂取することで、尿酸の排泄サポートが期待できます。水分摂取は以下のポイントを意識しましょう。
ビールなどのアルコールはプリン体が多く、尿酸の排泄を阻害する作用があります。水分摂取では、水や麦茶を摂取し、アルコールは種類にかかわらず飲酒量は控えめにしましょう。
痛風の治療は、生活習慣の改善と薬物療法を組み合わせながら、長期間続ける必要があります。自己判断で治療をやめたり、誤った情報に振り回されたりしないためにも、医師や薬剤師などの専門家と連携することが大切です。定期的に通院し、医師の診察を受けることで、血液検査の結果にもとづいた適切な治療方針が決まります。
疑問や不安は医師や薬剤師に相談し、治療の継続を目指しましょう。薬剤師が患者さんの服薬管理に関わることで、治療目標が達成されやすくなり、痛風発作が減る可能性が報告されています。薬剤師は薬の専門家として、あなたの生活に寄り添い、治療を続けるための心強いサポーターとなってくれます。
医師や薬剤師などの医療従事者と患者さん本人もチームの一員となって、治療を継続していくことが大切です。
痛風は適切な受診タイミングや診療科を押さえることも、円滑な治療開始につながります。以下の記事で、受診先の選び方を詳しく解説しています。
>>痛風になったら何科に行くの?病院を受診するタイミングや検査・治療の流れを解説
痛風は、足の親指の付け根などに突然の激しい痛みを起こす病気で、食生活や運動不足、肥満など日々の生活習慣が大きく影響します。プリン体の多い食品やアルコールの摂りすぎは尿酸値を上げる原因となるため、控えめにすることが大切です。ウォーキングなど息が弾む程度の適度な運動を習慣化し、水分をこまめに補給することも、発作の予防につながります。
高血圧や脂質異常症などの生活習慣病を抱えている場合、痛風のリスクが高まることが知られています。定期的に健康診断を受け、尿酸値が高めと言われた段階で早めに生活を見直すことが重要です。気になる症状があるときや、繰り返し尿酸値を指摘される場合は、医療機関に相談し、適切な治療やアドバイスを受けましょう。
痛みが長期化している場合には、発作以外の原因が隠れている可能性もあるため、早期に原因を把握することが重要です。痛みが続く際の対処法や放置するリスクを、次の記事で詳しく解説しています。
>>痛風が1ヶ月以上痛いときの対処法|長引く痛みの原因と放置するリスクを解説
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