病気のあれこれ

体調が悪い、おかしいな?と思ったら早めに受診することをおすすめします。
よくある疾患をまとめましたので、参考にしてみてください。ご不明点がございましたらお気軽にご相談ください。

インフルエンザ(高熱が出た!悪寒がする)

インフルエンザは、普通の風邪と違って、注意が必要な感染症です。
特に子供や、高齢者にとっては、命にかかわります。インフルエンザを重症化させないためには、初期症状を見逃さず、「インフルエンザかな」と思ったら 2日以内に医師の診察を受けることが大切です。

インフルエンザチェックポイント
1.周辺地域でインフルエンザが流行っている
2.38度以上の発熱および悪寒がある。    
3.急激に発症した。 

以上の3点があてはまれば、インフルエンザが強く疑われます。

その他、インフルエンザには以下のような症状があります。
・関節痛、筋肉痛
・倦怠感、疲労感
・くしゃみを伴わない咳
・のどの炎症
・頭痛

インフルエンザは市販の風邪薬ではなおりません。
発症から2日以内でしたら、「インフルエンザの特効薬」と言われる薬が有効ですので、必ず医師の診察を受け、処方して貰ってください。
発症から3日以上たってしまうと、薬がきかず回復が長引きますので、インフルエンザ治療については、「いかに早く発症を知り、医師の診察を受けるか」がポイントになります。

肺炎球菌(65歳以上の方は注意が必要です)

人はどんなに元気な人でも、年齢を重ねるに従い体力や免疫力が低下します。
そして65歳以上になると、肺炎球菌などの感染症にかかりやすくなります。
現在、肺炎は、日本人の死因の中で、がん・心疾患に続いて第3位となり、肺炎で亡くなる方は、年間で約12万人に達します。
その内の96.8%が65歳以上です。
高度高齢化社会を迎えた日本では、肺炎予防の重要性が増しています。肺炎にかからないためにはワクチン接種などの予防対策が重要です。
肺炎は風邪と似た症状で気付きにくい病気です。

以下の症状が出たら早めに医療機関へ受診しましょう。
・38度以上の高熱が長く続く
・胸にするどい痛み
・熱
・悪寒
・息切れ
・せき
・全身のだるさ
・黄色~緑色や鉄さび色のたん
・顔やくちびるが紫色

インフルエンザにかかることで免疫力や抵抗力が弱まり発症する肺炎は、重症化する恐れがあります。
そのため、インフルエンザワクチンだけでなく、肺炎球菌ワクチンも接種することが大切です。

心臓病(不整脈/心不全/虚血性心疾患/心臓弁膜症/心筋症)

不整脈・心不全・虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)・心臓弁膜症・心筋症等があります。 以下は、それぞれの症状と簡単に治療、必要な検査について述べさせていただきます。

  • 不整脈
    症状としては、動悸、息苦しさ、フラツキ感として現れる事が多いです。
    検査(心電図・ホルター負荷検査)をして、危険な不整脈か否かを診断して治療する必要があります。 不整脈の種類(心房細動)によっては脳卒中の原因になる不整脈もあります。
  • 心不全
    症状としては、息苦しさ、動いたときの動悸、むくみ(浮腫)等です。 心臓は全身に血液を送るためのポンプの役割をしています。このポンプとしての機能が低下してきた状態を心不全といいます。検査(心臓超音波)をして、心不全の程度と原因をすぐに調べ、治療する必要があります。
  • 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
    症状としては、胸痛、胸部圧迫感が突然出現します。 心臓を取り巻く冠動脈という名の血管が細くなったりつまったりして起こる病気です。 非常に危険な病気ですので、胸痛が出たら、とりあえず検査(心電図・トレッドミル負荷検査・心臓超音波・ホルター心電図) をしてみましょう。
  • 心臓弁膜症
    心臓には心臓の中で血液が逆流しない様に4つの弁膜 (大動脈弁・肺動脈弁・僧帽弁・三尖弁)があります。この弁膜が障害された状態を弁膜症といい、不整脈や心不全の原因となります。 弁膜障害の程度・心不全の有無の検査(心臓超音波)をおこない継続的に管理する必要があります。
  • 心筋症
    色々な原因で心臓が肥大したり拡張する病気です。不整脈・心不全の原因となり、継続的に検査(心電図・心臓超音波・ホルター心電図)を行い、うまく管理しないと非常に危険な病気です。

心臓病事例(参考にして下さい)

①45才の主婦の事例

Q 2,3年来、ときどき心臓の辺りがドカンとするような動悸を感じることがあったため、症状は消えていましたが、病院で心電図検査をうけました。そのときは、「異常なし」と診断されましたが、最近、いつもより動悸が長く続くようになり、脈を触れると乱れていることに気がつきました。
不整脈だと思うのですが、このまま放っておいてもいいものでしょうか?

A 普通の心電図は、1分間くらいしか記録しませんので、不整脈の証拠をつかまえるのは難しいです。そこで、上記でもふれましたが、ホルター心電図という24時間携帯心電図をつけてもらい、不整脈があるかどうかをみます。このホルター心電図によって危険性のある不整脈をチェックすることが出来ます。
不整脈があった場合、放置してよい不整脈か、治療すべき不整脈かを判断しなければいけません。原因となる心臓病がなければ、致死的なものになる可能性は少ないと言えるでしょう。
そのためには、レントゲン検査、心臓超音波検査などをおこないます。
治療すべき不整脈には、急転直下致死的になる不整脈や、長期的に見て心不全や急死の可能性のある不整脈があります。このように、不整脈は専門的で複雑であるため、もし、脈の乱れや動悸がある場合には、ご相談ください。

②60才の主婦の事例

Q 2年程前から、年に数回、脈が速くなり、動悸発作を起こすようになりました。動悸は、いつも突然起こり、長いときは数時間、短いときで2,3分続き、突然おさまります。病院に行ってみましたが、いつも動悸がおさまった後なので、病院によって診断がまちまちで、狭心症といわれたり、心配ないと言われ安定剤をもらったこともあります。しかし、依然として発作はおさまらず、不安な毎日を過ごしております。この動悸はいずれおさまるのでしょうか?
また、病名はなんでしょうか?

A 不整脈の場合、その種類を区別し、元にある病気の原因が何であるかを知ることが大切です。特に、急死の原因の半分以上が不整脈であることを考えると、あいまいにしておくわけにはいきません。
動悸の診断には、動悸の開始と停止の状況、持続時間、リズムの規則性と速さ、そして動悸の合併症状などを知ることが必要です。
この患者さんの動悸は、突然起こり、比較的突然停止することから、発作性頻拍症の不整脈が考えられます。
動悸のリズムが速く規則的か、あるいは不規則であるかのかわかりませんが、上室性頻拍か、心室性頻拍、または発作性心房細胞、心房粗動が生じている可能性があります。
診断のためには、入院して持続監視するか、先ほど説明しました、24時間連続記録心電図(ホルター心電図)発作中の心電図を記録する必要があります。

③26才の会社員の事例

Q ある朝、トイレに行った後、突然動悸がし、息苦しくなって倒れてしまいました。
顔色も青く、呼吸も速くなり、手足も突っ張っていて、今にも死ぬのではないかと家族は思ったほどでした。急いで、救急車を呼び、病院にはこんでもらいましたが、検査の結果、大きな病気は見つかりませんでした。以前にも、同じような症状が2回も起きた事があります。とても、気になるのですが、いったい何の病気なのでしょう。

A この病気は、過呼吸症候群と思われます。
呼吸が速くなり、息苦しくなって、救急車で運ばれることが多い病気ですが、ノイローゼなどの心理的・情緒的な不安定が原因であることが多く、決して死ぬような病気ではありません。
呼吸を速く繰り返していると、血液中炭酸ガスがどんどん吐き出され、血液がアルカリ性となり、動悸を訴えたり、手足が突っ張ったり、なかには失神する方もいらっしゃいます。
このような場合、救急措置として、紙袋やビニール袋などで自分の吐いた息を、ゆっくりと繰り返し、吸わせるようにして下さい。自然によくなります。

少しでも疑問、不安がある方はいつでもご相談ください。

慢性気管支炎/肺気腫(COPD) 息切れがする

このような症状がある場合、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を疑います。
・せきやたんが長期間続く
・息切れや、息苦しさを感じる
・動くとどきどきすることがある
・風邪をひきやすい

慢性閉塞性肺疾患とは、「慢性気管支炎」「肺気腫」の総称です。それぞれが単独に発症することもありますが、合併することの方が多いとされています。

  • 慢性気管支炎
    気管支の炎症が長期間続くと、気管支の中にタンが過剰にたまり、細菌感染を起こしやすくなります。
  • 肺気腫
    肺が異常に膨らんだ状態になります。肺が壊れてゴム風船のように大きく膨らみ、弾力性がなくなるために、気管支が圧迫されてせまくなります。息を十分に吐けず、肺の中に多くの空気が残ってしまいます。
    一番の原因は、タバコです。若いうちから吸っている人や1日の本数が多い人ほど危険です。まずは、禁煙することが大切です薬で根本的に治療することはできませんが、気管支を拡げたり、せき、たんを鎮める薬によって症状を軽くすることで日常生活を楽に送れるようにします。

 

脳卒中 片側だけしびれる、頭痛がする、ふらつく

脳卒中とは、脳の血管が動脈硬化などにより詰まったり、破れたりして、脳神経に障害を起こす状態をいいます。
脳卒中の危険因子は高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などがあげられます。
高血圧の人は、正常血圧の人の3~4倍で、脳卒中発生率がたかく、脳卒中を予防するには、血圧をさげることがもっとも重要です。

脳卒中の警告症状
●体の片側の顔、腕、足に突然脱力や、しびれが出現し、吐き気もある。
●突然、目が見えなくなったり、ものがぼやけて見える、特に片目に起こる。
●言葉がしゃべれなくなったり、話をしたり、理解するのが困難となる。
●突然、原因不明の激しい頭痛がおこり、吐き気や嘔吐を伴う。
●分けのわからないめまい感、ふらつき感や突然の転倒、特に上記症状を伴う場合

「名医が教える コレステロール」昭和大学医学部助教授 橋本通監修より抜粋
橋本先生は、月2回土曜日当医院にて専門外来を担当していただいております。
先生の受診を希望される方は、受付まで電話予約してください。

生活習慣病(糖尿病/高脂血症)

誤った食生活や喫煙など、問題のある生活習慣の積み重ねで糖尿病・高血圧・高脂血症・肝臓病・脳卒中を引き起こす可能性があります。

  • 糖尿病
    糖尿病は、食事・運動・体重の管理を含めた総合的な治療が必要です。 当院では、運動療法士による運動療法、管理栄養士による食事指導、糖尿病教室など総合的治療をおこなっています。

    Q 運動すれば、糖尿病にとってどのような効果があるのでしょうか。

    A まず、運動により血糖が下がります。この効果は、運動すればただちに現れるため『急性効果」と言われています。なぜ、血糖が下がるかといいますと、筋肉が動き続けるためには燃料として、血液の中のブドウ糖、つまり血糖が必要になるからです。
    また、一定以上運動すると、筋肉や肝臓にためてあった糖分も消費しますから、それを補充するために血液中の糖分を筋肉や肝臓に送り込むため、血糖値が低い状態が1日~2日つづきます。このような状態は糖分の補充が完了するまで続くため、運動後1日~2日が血糖が低くなるというわけです。これを持続効果」といっています。
    さらに、運動を継続して行えば「慢性的効果」といって、インスリンの働きをよくする効果や細胞に糖分を取り込むたんぱく質を増やす効果も得られます。
    このため、血液中のブドウ糖はうまく処理されるようになり、血糖値は正常な値を持続できます。 とういうこは、運動すれば、血液に含まれている血糖も下げられるし、さらに筋肉や肝臓に含まている血糖もさがることになるのですね。
    さらに、運動することによって、糖分ばかりでなく、脂肪も燃料として使われるために、コレステロールや中性脂肪も下がることになります。また、この運動療法に加えて、食事も低カロリー、血糖の上がりにくい食品をとるなど、食事療法もすることにより、糖尿病の治療がより効果的になります。
    当院は循環器に加え、生活習慣病の今や代名詞にもなりつつあるこの糖尿病の治療に力を注いでいます。運動療法、食事療法をおこなっているますので、お問い合わせください。いつでも見学も歓迎です。
    運動療法、食事療法は、糖尿病の方だけでなく、コレステロールが高い方や肥満気味の方にもお勧めですが、患者さんによっては運動療法が逆効果になる方もいますので、必ず行う前にメディカルチェックをうけ、「運動療法をやってもいいかどうか。どの程度の運動をしてもいいのか」医師に相談する必要があります。
  • 高脂血症
    コレステロール、中性脂肪などの血清資質、あるいはリポ蛋白の値が異常に高くなることを高脂血症と呼んでいます。
    高脂血症は痛みなどの自覚症状がないため、健康診断などで、血液検査をするまで気がつかない場合がほとんどです。そのため、治療の必要性を感じない人が多いようですが、コレステロール値の高い状態が、続くと、動脈硬化を促進させます。
    動脈硬化は、日本人の死因となる病気のもとです。
    動脈硬化は、いったん進行してしまったら健康な状態に戻す治療法はいまのところありません。 そのため、動脈硬化の大きな原因である高脂血症をきちんと治すことが大切です。
    高脂血症の人は、糖尿病など動脈硬化の他の危険因子もあわせ持っていることが多いので、その場合は、総合的な治療が必要です。
    (コレストロール 昭和大学医学部助教授 橋本通監修 より抜粋)
    なお、橋本先生は、当クリニックで、土曜日専門外来を担当していただいております。 先生の診察をお受けになりたい方は、電話にてお問い合わせください。

生活習慣病(高血圧)

気付かないうちにそっと忍び寄る成人病「高血圧」は一般に「静かな殺し屋」(サイレントキラー)と呼ばれています。高血圧をほっておくと、知らない間に、脳卒中や心臓病があなたにしのびよってきます。静かに、恐ろしい病気を運んでくるサイレントキラー、高血圧についてご説明します。

  • 高血圧の恐ろしさ
    高血圧は、中程度まで進んでいても、それをはっきりと教えてくれる自覚症状というものは何もありません。むしろ高血圧体質の人のほうが活動的でガンバリのきく人が多いため、まさか自分がある日突然倒れる、など夢にも思っていない人が多くいます。
    しかし、油断は禁物。国際的な基準では、最大血圧140mmHg以上、最小血圧90mmHg以上になったら治療が必要と言われています。
    「血圧の薬はいったん飲み始めると、一生やめられないから大変」という言葉をよく聞きますが、 肥満、ストレス、食事、運動に気をつけることで、薬を飲まなくてもよくなる場合もあります。それより、むしろ、高血圧の状態を放置しておくほうが、寿命を縮め、よっぽど「恐ろしいこと」なのです。

    高血圧の恐ろしい特徴
    ●高血圧とは、10年から15年かけてゆっくりと進行する生活習慣病(成人病)です。
    ●特に高血圧とは関係がないと思われる病気でも、高血圧と複合的に重なると死亡率が高まります。
    ●血圧が高い人は、心臓病などの合併症の発生率が正常血圧の人の2倍以上になる。
    ●高血圧が長く続き、血管に圧力がかかり続けると、全身の血管の壁が厚くなり、弾力性が失われ、ボロボロになります。これを動脈硬化といい、ボロボロになった血管は、そう簡単には修復しないため、長く患うようになってしまいます。
    動脈硬化があると、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞 、脳血管性痴呆症などを引き起こします。
  • 年をとるとどうして高血圧になるのか
    年をとると、誰しもが高血圧を気にし始めます。どうして、年をとると高血圧になるのでしょうか。 血管をホースに例えて説明してみましょう。
    ホースの先をつまんで細くすると、水の勢い(水圧)もつき、遠くまで水を飛ばせるようになります。この場合「水圧が高くなった」と言うのですが、人の血圧も同じです。
    年をとると人の血管は誰でも細くなるものです。しかし、心臓の強さは年をとってもそんなに変わらない為、細くなった血管に今まで通りの血液が流れ込むと、当然血流の勢い(血圧)が高くなっていくわけです。
    さらに、悪いことに、ただでさえも細くなった血管の壁が固くなったり、モノが詰まったりしていると(動脈硬化)、血圧はますます高くなります。
    では、血圧が高いと何がおきるのでしょうか。 心臓はこの血圧に打ち勝って、血液を身体の隅々まで送り込もうとするため、筋肉が厚くなってしまいます(心肥大)。
    心臓が鍛えられ筋肉がついても、決して丈夫になるわけではなく、逆に心臓のポンプとしての力は弱まってしまい、血液を全身に送るのが難しくなってしまいます(心不全)。
    動脈硬化が進んで、血管がますます細くなったり、心臓や脳の血管が完全につまってしまうと、当然血液がいかないわけですから、「狭心症」や「心筋梗塞」「脳梗塞」「脳血管性痴呆症」と呼ばれる状態になってしまいます。また、腎臓への血液も行き渡らなくなると、「腎硬化症」「腎不全」という病気を引き起こします。
  • 血圧に上下があるワケ
    「上の血圧は○○で、下の血圧は○○」と、一般的によく言いますが、この「上下」の意味を知らない方が意外におおいようです。 心臓は常に、ドックン、ドックンと動いています。この動きにあわせて、動脈に血液が送り込まれます。ですから、常に一定量の血液が送り込まれるわけでなく、波状に血液が送り込まれるわけです。
    心臓が収縮した時に送り込まれる血液の圧を「上の血圧」といい、これを専門的には収縮期血圧といいます。一方、心臓が拡張した時の血圧は「下の血圧」、拡張期血圧といいます。これが、血圧に上下があるワケです。
    ですから、ドックン、ドックンのたびに血圧値は変化します。この運動が、1分間に70回とすれば、なんと1日に約10万回にもなります。つまり、血圧値は1日に10万個も存在するわけです。
    今測定した血圧値は、1日のうちの10万分の1の血圧値にすぎないということになります。では、いつ、どうやって測れば、より正確な血圧値が得られるのでしょう。
    治療の為に、より正確なデータを得るには「携帯式24時間血圧モニター」というものを使用します。これを使うと1日の血圧の変動パターンが詳細に観察できます。
    当医院でも、もちろんこの検査を行っています。また、家庭で正確な血圧値を得る為には、毎日同じ時間、正しい姿勢と方法で、1日1,2回測ってみて、そのデータを比較してみれば、おおよその血圧の状態が把握できます。
    なにしろデリケートな血圧値。一時的に「あがった」「さがった」で一喜一憂していてもあまり意味がないことなのです。
  • 家庭用血圧計の選び方と測り方のコツ
    わが国ではすでに2000万台以上の家庭用血圧計が使われていると言われています。
    また、電気店では様々な種類の血圧計が売られています。指で測るタイプ、手首で測るタイプ、上腕(ひじより上)で測るタイプ・・・・。どれを買えばいいか迷うところですが、基本的には誤差が少ない「上腕用」をお勧めします。
    「病院で測ると高いなー」「家ではもっと低いんですよ」 時々、医師が血圧を測ると医師以外の人が測ったよりも高い値がでることがあります。これは自律神経が緊張することによる防御反応によるもので「白衣性高血圧」と呼んでいます。
    ですから、このような意味からも、リラックスした環境の中で、自分で血圧をはかることは大切なことです。もちろん家庭用血圧を過信してはいけません。つまり、高血圧の治療根拠は血圧値ばかりでなく、臓器障害などの合併症があるかどうかも治療の判断基準になるからです。 自分で測った血圧値の記録を医師にみせ、治療方針をきめてもらうことが大切です。

    さて、測り方の注意点ですが 上記にも述べましたとおり、
    ・毎日同じ時間に、同じ姿勢で、同じ側の腕で、1日2回ほどはかる
    朝起床後30分以内と、夜の30分以内
    ・いずれも、深呼吸を1~2回してから普通の呼吸で測定して下さい
    ・ 朝は135/85を、夜は130/80を目標とします。(米国高血圧合同委員会による)
  • 忙しくても必ず薬は服用してください
    わりと重い高血圧で薬を飲んでいた患者さんが、突然来院しなくなると、「薬は飲んでいるのだろうか」「具合は悪くなっていないだろうか・・・」と大変心配になります。
    しかし、当のご本人は、私の心配をよそに来院し、「いやあ、仕事が忙しくて、なかなか来れなかったのです。薬もあまり飲んでないのです。」とおっしゃいます。
    実は、「薬をやめる」ということは、たいへん恐ろしいことなのです。 降圧薬によって血圧をコントロールする場合、140/85mmHg以下に維持することが一応の目標となります。しかし、目標を達成したからと勝手に降圧薬を突然やめると、リバウンドでかえって血圧が急上昇し、脳卒中や心筋梗塞の引き金となりかねません。(中断症候群)
    これが、私が心配するわけなのです。もちろん、自己判断で薬の量や回数を減らすことも危険です。必ず医師に相談してください。かかりつけ医としての私の存在を思いだしてください。

    ちなみに私たち医師は、以下の3つが全部あてはまったら、薬を減らしたり、服薬休止を検討します。
    1.高血圧が少なくとも1年間コントロールされた後
    2.ライフスタイルの改善を厳密に行った場合(食塩制限、体重減少)
    3.特に1種類の降圧薬で血圧コントロールが出来た後
  • 高血圧は遺伝するのか?
    子供というのは、似てほしくないところにかぎって似てしまう、変なところがそっくりで、びっくりすることがよくあります。
    さて、その「似てほしくないところ」高血圧はいかがでしょう。 高血圧は、様々な要因が引き金となって起こるのですが、最近になって遺伝的要因もある事がわかってきています。

    その確率は以下の通りです。

    ●両親共に高血圧でない場合➡子供の高血圧確率・・・・・5%
    ●片親が高血圧の場合➡子供の高血圧確率・・・・・30%
    ●両親とも高血圧の場合➡子供の高血圧確率・・・・・60%

    最高でも60%、これを高いと見るか、低いと見るかは人によって感じ方が違うでしょう。これらの遺伝的要因に生活習慣が複雑にからみあって高血圧症を発症すると言われていますが、まだ、詳しいことはわかっていません。(もちろん、遺伝子的要因がない方でも、生活習慣次第では高血圧症になります。油断は禁物)

    ただ、遺伝的要因がある方は、イエローカードをもらったと考え、以下のことに気をつけて生活する必要がありそうです。
    ・塩分は摂り過ぎない
    ・過度の飲酒はしない
    ・タバコはやめる
    ・太らない
    ・ストレスをためない
    ・睡眠をよくとる
  • 薬が1種類ですまない理由(ワケ)
    「今日から飲んでいただく薬ですが、これは○○の薬です。それから、これは○○の薬で・・・・」 診察中に薬の説明をし出すと、時々、顔をしかめる方がいらっしゃいます。
    どうしたのか尋ねると、 「あの~、薬はあまり飲みたくないんですけど、何とか1種類にしてもらえないでしょうか」とのこと ごもっともです。
    そのお気持ちは十分理解しているつもりです。
    「薬害」「薬づけ」「副作用」・・・薬にまつわることは、とかく悪いイメージがつきまといますから。私だって、1種類ですむものならそうしたいと思っています。
    だけど、そうはいかない理由(ワケ)もあるのです。 最近の高血圧治療では、1種類の薬で効果がなければ、少量・複数の薬を処方する「併用療法」が推奨されてきています。
    ただ、薬というのは、多かれ少なかれ何らかの副作用があるのは当然です。血圧を下げようとすれば、同時に副作用も覚悟しなくてはいけません。
    この副作用を防ぐため、あらかじめ」副作用対策の薬を処方する事があります。
    つまり、1種類の薬を処方した結果、その副作用を抑えるために別の薬を同時に処方することもあり、結果、2種類以上の薬が出てしまうわけです。
    また、高血圧症の患者さんは、様々な合併症(脳卒中、心臓病など)を持っていることが多くあります。だから、これらに対する薬も必要な場合があり、さらに薬の種類は増えてしまいます。
    ですから、1種類にこだわるいと危険な場合があること、そしてその患者さんの病気を真剣に考えれば考えるほど、薬の種類も量も増えることがある。ということを是非わかってもらいたいのです。薬の処方に不明な点がある場合は、納得いくまで、医師にどんどん質問してください。決して遠慮する必要はありません。
  • 高血圧と塩とナメクジ
    唐突ですが、子供のころ、ナメクジに塩をかけたことありますか?
    なんで、ナメクジは塩をかけられると小さくなってしまうのでしょうか。 「高血圧と塩の関係」も、「ナメクジと塩の関係」によく似ています。
    生物は、たくさんの細胞から出来ています。この細胞は、細胞の内側と外側を常に同じ濃度に保とうとする働きがあります。もし、中と外で濃度が違う場合、濃度が薄い側から水分をだし、濃い濃度を薄めようとします。
    これが、中学校の理科の時間に習った「浸透性」というものです。
    塩をかけられたナメクジは、からだの外側の塩分濃度が高くなります。そこで、同じ濃度にしようと、体の中の水分が一気に外に流れ出します。体の中の水分が流れ出てしまったナメクジは、しぼんでしまいます。
    これは、「川魚が海に行くと死んでしまう」ことや、「野菜に塩水をかけるとしおれてしまう」ことと同じです。
    さて、高血圧の方が、たくさんの塩分をとったとします。すると、血液の中の塩分濃度は濃くなりますよね。そこで「浸透性」が働くのです。濃くなった血液を薄めようと、血管の中に、他の組織から水分が入り込みます。当然、血管のなかの血液の量が増え、心臓から出る血液の量も増えます(心拍出量)。
    血液の量が増えると、血管のカベを「押す力」が強くなります。
    この「押す力」が血圧です。
    塩をとる→浸透圧で血液の量が増える→血管を押す力が強くなる→血圧が上がる
    という仕組みです。
    「私の高血圧は親ゆずりだから」という前に、まずは手軽に出来る塩分の制限から始めてみてはいかがでしょうか。
  • ストレスと高血圧
    ストレスと高血圧、決して無関係ではありません。
    恐竜がなぜ絶滅したのか・・・それはストレスが影響しているのではないか?という説があります。天変地異によってストレスを感じた恐竜は、からの薄い卵しか生めなくなり、子孫を残せなくなってしまった。というものです。
    ストレスは種を絶滅させるほどの威力を持っているのです。決してあなどれません。ストレスが原因となって、自立神経を刺激し、血圧を押し上げることがあります。
    このようなとき、「抗不安薬」というものを処方する場合があります。これは不安感、不眠症、うつ状態などの精神症状や自立神経症状に対し効果があり、血圧の薬と併用すると、血圧を下げる効果をより高める ことが出来ます。
  • 高血圧と寿命
    「高血圧」と診断されても、そのまま放置しておくとどうなるのでしょう・・・・?
    動脈硬化が進み、脳、心臓、腎臓に悪影響を及ぼし、いずれ脳出血、脳梗塞や狭心症、心筋梗塞、腎不全といった重い病気を引き起こす事は、これまでお話しした通りです。

    「寿命との関係」について以下のようなデータがあります。
    *発症が35才の場合、健康な人に比べて約16年寿命が短い
    *発症が45才の場合、健康な人に比べて約10年寿命が短い
    *発症が55才の場合、健康な人に比べて約5年寿命が短い

    発症年齢が若い人ほど寿命が短くなるということがわかります。ただし、これは「高血圧の状態を放置しておいた場合」の例で、きちんと治療している人は、この限りではありません。
    いかに治療が大切かがおわかりいただけるのではないでしょうか。 高血圧を放置している皆さん、面倒がらずに気楽に診察をうけに行きましょう!

慢性胃炎

日本人の4人に1人は、胃の不快感(吐き気、膨張感、胸やけなど)によって悩まされている、と言われています。

食べたものは食道を通り、胃に蓄えられます。
そこで、蓄えられたものをかゆ状に消化しやすくして小腸に送るのが胃の仕事です。
胃でたべたものを消化するには、胃の運動(食べたものを腸に送り出す運動)による作用と胃液による作用の2つが協力しています。こうして、消化された食べ物が胃から十二指腸にでていくには1時間30分~3時間かかります。

しかし、このおくりだす機能が低下すると、胃にたまってしまうこともあります。
これが、「胃もたれ」「むかつき」です。
なんとなく胃の不快感を訴え、内視鏡検査(胃カメラ検査)を受けても、「特に問題なし」と言われ「慢性胃炎」と診断されることがあります。

慢性胃炎とは、食べ物を小腸に送り出す「胃の運動」機能が低下し、胃の中の食べ物が長い間残り、胃の不快感を招いている状態のことです。
ですから、胃の壁があれているということではありません。

胃の運動が活発になれば、この慢性胃炎は解消されます。
機能低下の原因としては、様々な要因が考えられていますが、

・食事のとり方
・アルコール、コーヒーの飲みすぎ
・ストレス
・過労
・寝不足

などがあげられます。

この中で「ストレス」が原因になっていることが多くあります。
慢性胃炎と診断された方は、御自分の生活を振り返ってみて下さい。大きなストレスがかかると脳の視床下部が刺激され、結果、胃の動きが悪くなったり、胃壁の防御力が弱まったりします。
慢性胃炎の治療のために必要なことは、まず、「生活習慣の改善」です。
また、薬物療法としては「胃の運動を改善する薬」「胃酸の分泌を抑える薬や胃の運動を改善する薬」「胃酸の分泌を抑える薬」が有効です。
詳しくは医師にご相談ください。

逆流性胃炎/胃潰瘍/過敏性腸症候群

  • 逆流性胃炎
    胸やけがある、ということで悩んでいる方が多くいらっしゃいます。
    これには、胃酸の逆流の可能性が考えられます。 逆流性食道炎があると思いますので、まず、胃の内視鏡検査をお勧めします。
    逆流性食道炎は通常、食道に炎症がありますが、内視鏡所見がなく、症状だけある場合もあります。
    男性では、サラリーマンで30代~50代のかた、女性では60~70代の高年齢の方が多いようです。サラリーマンは多忙で食事が不規則で、アルコール摂取が多いことが原因と考えられます。また、高齢女性の場合は、食道裂孔ヘルニアが関与していることが多いようです。 食べ物にも注意が必要です。(あんこなどの甘いもの、天ぷらなどの油もの、カレー、キムチ等の刺激物、炭酸飲料など)

    治療は、酸の分泌を抑制する薬を飲みます。(医師に相談してください)

    日常生活で注意することとして、夕食は遅い時間ににならないこと、夕食後、寝るまでに4時間以上あけること、などがあげられます。
    また、寝るときは上半身が高くなるような姿勢をとります。
  • 胃潰瘍
    体を作っている組織の一部が何らかの原因によってただれたり、崩れたりして欠けていまうと潰瘍(かいよう)と診断されます。

    これが、胃の壁に起これば「胃潰瘍」、十二指腸の壁に起これば「十二指腸潰瘍」になります。
    これらの潰瘍は、薬によって、一時的にはほぼ完全に治すことが出来ますが、その後、再発してしまう場合が多くあります。
    つまり、潰瘍とは「再発と治療を繰り返しながら慢性的に経過していく病気」といえます。潰瘍の炎症が少し治まると痛みもなくなるので、薬をやめたくなります。しかしこの時期はまだ傷跡の周囲に赤みが残っており、再発の可能性があります。
    勝手な判断で薬をやめてはいけません。

    このように、胃、十二指腸潰瘍は再発しやすく、しっかり治さないと胃に穴が開いたり、大量の出血をおこして命取りになることもある病気です。
    痛みなどの症状がなくなったといっても安心せず潰瘍の傷跡の腫れが完全に消失する時期になるまで気長に治療を続けましょう。

    では、何で潰瘍になってしまうのでしょうか。
    今までは、ストレス・喫煙・遺伝など様々な原因があげられていましたが、最近は「ヘリコバクター・ピロリ」という細菌が病原とされ、注目されています。

    ピロリ菌が、どのように人体に入り込むのかは分かっていませんが、体に入り込むと胃壁に住み着いて、アンモニアを合成します。
    これが胃壁を傷める原因になります。
    しかし、ピロリ菌に感染していても胃・十二指腸潰瘍にならず、一生気付かないまま過ぎてしまうこともあります。
    一方、胃・十二指腸潰瘍があり、再発を繰り返して、なかなか完治しないという人は、ピロリ菌の存在を疑ってみる必要があります。
    そして、そういう人こそピロリ菌の除菌が必要になります。

    胃・十二指腸潰瘍の原因はピロリ菌だけとは限らないので、除菌したからといって、必ずしも再発をさまたげるというものではありませんが、治癒したかに見えて、繰り返し再発する人がピロリ菌除菌をすると再発は劇的に減少します。
    それだけではなく、潰瘍が引き起こすガン発症の確率も低くなります。

    ピロリ菌の有無を調べるには内視鏡検査で組織検査をするか、血液検査をして調べることが出来ます。ピロリ菌除菌治療は、1週間程度の薬の服用になります。
  • 過敏性腸症候群
    腹痛や腹部の不快感などの症状を伴う下痢や便秘が続く病気です。

    症状としては、下痢、便秘、腹痛、腹部膨満感、腹鳴、ガス貯留感などです。
    X線検査や内視鏡検査をしてもはっきりした異常は見つかりません。
    精神的なストレスが誘因となり、胃腸の働きに異常をきたして発症します。一般の人の約20%がこの病気により悩まされており、最近増えている現代病です。

    治療としては、薬物療法の他、日常生活の改善、ストレス解消、食生活の改善があげられます。